2019年03月05日

糖尿病治療薬のフォシーガは中等度腎機能低下にも適応拡大・FDAより

糖尿病治療薬のフォシーガは中等度腎機能低下にも適応拡大・FDAより
 


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 糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬であるフォシーガに対して、アメリカのFDAが腎機能中等度低下者にも
その適応拡大を許可しました。

 ・従来はGFR(腎機能)が60まででしたが、今回の許容範囲は45としています。
  この場合にフォシーガが10mgで調査しています。
 ・対象はGFRが45から60の軽度腎機能低下で、U型糖尿病患者です。
  フォシーガ10mgを投与しています。
 ・結果は、24週間服用しプラセーボと比較して、ヘモグロビンA1cが0.35%低下、
  体重低下が1.43%、空腹時血糖低下が16.58mg/dl、収縮期血圧の低下が3.1mmHgでした。





私見)
 フォシーガに限らず他のSGLT-2阻害薬の適応欄には、“中等度腎機能低下の場合は慎重投与” と
 なっていますが、この報告から類推するに、eGFRが45までは他のSGLT-2阻害薬も適応範囲と考え
 られそうです(?)
 GFRに関しては下記のPDFをご参照ください。
 クレアチニンで計算しますと低めに出る印象です。
 SGLT-2阻害薬を最初に処方する際には、シスタチン-Cの方が良いかと思っています。





1 sglt2 フォシーガ ckd.pdf

2 フォシーガ.pdf




     3 GFR.PNG



4 SGLT2阻害薬一覧.pdf













posted by 斎賀一 at 20:20| Comment(1) | 糖尿病

2019年03月04日

ステント治療後の抗血小板薬の2剤併用療法はいつまで続けるのか?

ステント治療後の抗血小板薬の2剤併用療法はいつまで続けるのか?
 
Dual Antiplatelet Therapy Duration Based on Ischemic
and Bleeding Risks After Coronary Stenting
JACC VOL.73,NO.7,2019



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 急性冠症候群(不安定狭心症や心筋梗塞)の治療には、現在ステント治療が主流です。
当初はステンレス製のベアメタルステント(BMS)が高い有用性を示していましたが、再狭窄が20%程
あり問題でした。その後登場した薬剤溶出性ステント(DES)は更に有効性が証明されています。
DESはベースとなる金属製のステント、新生内膜の増殖を抑制する薬剤、その薬剤の放出をコントロール
するポリマー、この3つから成っています。
BMSでは施行初期の血栓による再狭窄が問題ですが、DESではステント表面に出来る内膜が遅れる為
10%の再狭窄が施行後後期に起り易く、抗血小板薬の2剤併用もBMSより長期服用が必要となります。
最近ではDESの進歩も著しくステントも髪の毛ほどの薄さで、しかもポリマー自体も生体吸収性が登場
しています。(詳細は書籍よりコピペしましたので、下記のPDFをご参照ください。)
 一般的には、DES実施後の抗血小板薬の2剤併用(DAPT)は1年で良いとするガイドラインがほとんど
ですが、1年以上の方がメリットがあるとの文献も散見されます。(以前の私もブログもご参照ください。)


今回、アメリカの学会誌JACCよりDAPTに関するメタアナライシスが発表になりましたので、纏めて
みました。

1) ステント治療(PCI)を受けた14,963名が対象です。
  内訳は単純PCIが11,845名、複雑PCIが3,118名です。
   其々出血リスクを評価して、高リスク群と低リスク群に分けています。

   複雑PCIとは
   ・ステントを3個以上使用  ・3病変を治療  ・3個の冠血管を治療
   ・分岐部を2個のステントで治療  ・合計で60mm以上の長さのステントを使用

   出血リスク評価は、下記のネットでのアクセスを利用してください。
   スコアーで25点以上が高リスク群で、18~24が中リスク群、11~17点が低リスク群、10点以下が
   極めて低リスク群としています。

   DAPT治療の短期療法は3~6カ月、長期療法は12~24カ月としています。

2) 結論としては、下記のPDFのグラフもご参照ください。
   ・複雑PCIの方が血栓の再発や死亡率が高い。これは必ずしも出血の合併を反映している訳では
    ない。
   ・高出血リスク群では、血栓及び出血の両方のリスクが増加する。
   ・出血の低リスク群では、複雑PCIでも長期のDAPTの方が優位である。
   ・出血の高リスク群では、長期のDAPTの恩恵は無い。

3) 考察として
   ・最新のステントの製品(デバイス)は改良されていて再狭窄は稀であり、長期のDAPTの意義は
    ステント治療部位以外での病変の予防効果である。
   ・複雑PCIを行った患者にはベースラインとして、そもそも冠動脈疾患の危険因子があり、長期の
    DAPTの治療効果がある。短期に比べてその効果は44%減との事です。
    よって出血の高リスク群でなければ、複雑PCIでは長期DAPTを行なうべきである。
   ・出血の高リスク群では、虚血性病変のリスクも高くなる。
    長期のDAPTにより、虚血性疾患の増加から出血傾向にリスクが移行するばかりではない。
    その説明として、一つには出血が凝固系の不安定性を増し、血栓形成を誘発する。
    もう一つの考え方として、出血の高リスク群には虚血性疾患の危険因子が内在しているからかも
    しれない。
    内在する因子としては貧血、血小板の活性化、腎機能低下など。
    よって出血の高リスク群では既に血栓疾患の進展が始まっているために、DAPTを2年間程度長期
    に行っても、その予防効果は限定的となってしまうかもしれない。

4) まとめると
   複雑PCIでは、その後に虚血性疾患を起こしやすいのでDAPT療法を推奨。   
   しかし出血の高リスク群の場合は、2年間の長期DAPT療法の効果は出血のリスクも増加するので
   限定的である。






私見)
 よく患者さんに、いつまで2剤併用を続けるかを質問されます。
 ステントの改良は目覚ましいものがありますが、本論文でも指摘しています様に出血のリスク・スコアー
 が大事な様です。
 PCIをお願いした二次病院にコンサルトを依頼するのを常としていますが、事前に概略は本院でも説明
 しています。非専門とはいっても時には丸投げを避ける事が主治医の務めと自負しています。
 プライマリケアー、実地医家、開業医、色々な呼び名がありますが、時々しっくりしない事があります。
 どれも当てはまる感じですが、心の中では「プライムケアー」だと思っています。




◆参考書籍◆

    循環器疾患第3版 ; 日本医事新報社
    Medical Practice ; Vol.35 No.9 2018
    Medical Practice ; Vol.32 No.10 2015



スコアーのアクセスは下記


http://precisedaptscore.com/predapt/webcalculator.html

http://tools.acc.org/DAPTriskapp/#!/content/calculator/

https://www.mdcalc.com/dual-antiplatelet-therapy-dapt-score



1 2剤併用.pdf

2 ステント.pdf

3 Complex percutaneous coronary intervention.pdf
















posted by 斎賀一 at 20:36| Comment(0) | 循環器

2019年03月01日

前立腺癌のPSA監視療法の傾向

前立腺癌のPSA監視療法の傾向
 
Use of Active Surveillance orWatchfulWaiting for
Low-Risk Prostate Cancer and Management Trends
Across Risk Groups in the United States, 2010-2015



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 低リスク患者におけるPSA監視療法の傾向に関する論文が雑誌JAMAに掲載されていましたので、
PDF化しました。

PSA監視療法に関しては「今日の臨床サポート」をコピペしました。

「PSA監視療法(Active surveillance )とは、積極的な治療をせず、PSAを定期的に採血し、PSAの
上昇や画像所⾒により、必要があれば再⽣検を⾏い、病勢の進⾏を評価する⽅法である。
具体的には、PSA測定と直腸診を3〜6カ⽉ごとにチェックし、1〜3年ごとに⽣検を⾏う評価⽅法で、PSA倍加時間が3年以上の場合や⽣検でグリーソンスコアの上昇や陽性コアの増加、腫瘍体積の増⼤を⽰唆する所⾒を認めない限りは、経過観察を継続する。PSA監視療法は、PSA≦10ng/mL、臨床病期≦pT2、陽性コア数≦2本(ただし、ターゲット⽣検、saturation⽣検の場合はこの限りではない)、
グリーソンスコア≦6、さらにPSA濃度(PSAD)<0.2あるいは<0.15ng/mL/mLの症例が適応となる。
 PSA監視療法は、いくつかの研究において低リスク前⽴腺癌患者や予後の10年未満の患者にPSA監視療法を適応した場合には、根治⼿術群と⽐較して全⽣命予後に⼤きな差がないことが明らかになっている。」

また低リスク患者の定義については、下記のPDFをご参照ください。
結論的には低リスクにおけるPSA監視療法が増加傾向ですが、放射線療法は全般的に減少傾向のようです。






私見)
 論文のグラフが一目瞭然ですので、下記のPDFをご参照ください。
 重要な決断が必要な場合には患者さんに時間を設けて説明しますが、最後に質問されるのは

      「ところで、皆はどうしていますか?」

 十分に納得してもらうためにも、世の中の動向が大事なようです。







1 Low-Risk Prostate Cancer and Management.pdf

2 本論文より.pdf

3 前立腺癌学習.pdf

4 前立腺癌ガイドライン.pdf










posted by 斎賀一 at 21:45| Comment(0) | 泌尿器・腎臓・前立腺