2020年02月08日

新型コロナウイルス対するリスク評価の暫定的なアメリカのガイドライン

新型コロナウイルス対するリスク評価の暫定的なアメリカのガイドライン
 
Interim US Guidance for Risk Assessment and Public
Health Management of Persons with Potential 2019
Novel Coronavirus (2019-nCoV) Exposure in Travel
associated or Community Settings



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 新型コロナウイルスに関する知見が毎日のように更新されています。
2月5日の時点で、アメリカCDCからのリスク評価が出ています。
実地医家として知っておくべき領域のみ抜粋してみます。


1) ウイルスのいる表面や物質に接触することにより、更に自身の口、鼻、目に触れて感染が成立
   するかは現時点では不明である。

2) 感染暴露のリスク  



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   飛行機の中で赤が患者とすると、2座席隣までが中等度のリスクで、2座席より離れているが
   2列以内の場合が低リスクです。
   (飛行機では横断して換気していますが、前から後ろまで全体に換気してはいないとの事です。)

3 ) 高リスク
    新型コロナウイルスの診断をされた人と同居したり親密な関係の人で、隔離などの適切な
    対応をしていない場合
    湖南省からの渡航

4) 中等度リスク
   他の国で新型コロナウイルスの診断を受けているが、未だ確定診断か不明の場合
   飛行機で2座席以内
   新型コロナウイルスの患者と同居はしているが、注意勧告に従って対応している場合
   湖南省以外の中国からの渡航
   (アメリカではバッサリとカテゴリーに入れています。)

5) 低リスク
   新型コロナウイルス患者と同室(クラスルーム、病院の待合室など)に長時間同席していた場合
   飛行機で新型コロナウイルス患者の2列以内にいた場合


6) 明白なリスクがない場合
   新型コロナウイルス患者近辺の歩行、短時間の同室ではリスクが乏しい

7) 管理および隔離の基準は下記のPDFを参照
   無症状の人でも、高リスクと中程度リスクの人は隔離の方向の様です。






私見)
 これはアメリカでのガイドラインです。注意して読まなくてはなりません。
 またそのまま中国と日本との関係には当てはめられません。
 しかし、注意事項としては実地医家にとっても参考になります。






CDC コロナ.pdf









posted by 斎賀一 at 15:34| Comment(1) | 感染症・衛生

2020年02月06日

前立腺癌検診のPSAによる効率化

前立腺癌検診のPSAによる効率化

Association of Baseline Prostate-Specific Antigen Level
With Long-term Diagnosis of Clinically Significant Prostate Cancer
Among Patients Aged 55 to 60 Years
JAMA Network Open. 2020;3(1):e1919284


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 55~60歳の人のPSAを用いた前立腺癌の検診を検討した論文が、雑誌JAMAに掲載されています。
腫瘍マーカーの中では、唯一と言ってもよいPSAが検診に採用された1990年代から、
一時は批判的な時を経て、最近ではやや見直されています。
しかし、どの様にPSAというツールを利用するかは議論が分かれています。
又、前立腺癌そのものの生物学的特徴(indolent;進行が遅く臨床症状がない潜在癌の場合も多い)
から過剰診断と過剰治療も指摘され、PSA検診そのものの意義も問われています。


論文を纏めてみますと、


 1) 55~60歳(平均57歳)の10,968人が対象です。
    ベースラインとして1回のPSA検査で、その後の13年間の経過観察です。

 2) 主要転帰は、

    ・何らかの前立腺癌の診断(any prostate cancer)と
    ・臨床的に明白な前立腺癌(clinically significant prostate cancer)です。
  
    尚、clinically significant prostate cancerの定義は、
      
      T2b、グリソンスコアの7以上、前立腺癌での死亡のいずれか
      前立腺癌の摘出術の場合はT3以上、グリソンスコアの7以上、
      リンパ腺転移のいずれか

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 3) 結果
     13年間で前立腺癌の死亡はたったの15例のみで、PSAが2.0以上は、9例(60%)でした。

 4) 結論
     55~60歳でPSAが2.0以下では繰り返しの検査は必要でなく、
     1.0以下では、その後のPSA検査は実施しなくてよい。

              
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私見)
 60歳以下でPSAが1.0以下ならば、10年間はPSA検査をしなくてよいと指導して良さそうです。
2.0以下の場合は5年後に再検し、4.0以下なら3年後でも良いでしょうか?

1 前立腺癌.pdf

2 前立腺癌 ガイドライン.pdf







posted by 斎賀一 at 12:37| Comment(0) | 泌尿器・腎臓・前立腺

2020年02月03日

小さな旅・幸せの赤い提灯

小さな旅・幸せの赤い提灯
 
     <業務連絡> 


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 日曜日の朝(2月2日)は、2つのテレビ番組を見て感じました。
1つ目は春節を迎え、赤い提灯が輝く長崎市の新地中華街をNHKの「小さな旅」で放送していました。
日本で最も歴史のある中華街です。
一度は途絶えてしまった中国伝統の“龍踊”を復活させた日本人たちを紹介しています。
子供の頃に中華街の華僑の人に分け隔てなく親切にされた叔父さんが、今は日本の子供に龍の舞を
指導していました。
「恩を返すことは出来ないが、体で返すことは出来る。」
例年通り長崎のチャイナタウンは、日本の子供たちの龍の舞で賑わっていました。

もう一つは新型コロナウイルスが日本でも流行の危険が迫っているとして、NHKの日曜討論で与野党が
政治的決断について議論していました。
この問題をポピュリズムに流されて、政治の抗争にしないでほしいと思います。

日本感染症学会からは情報が限られているが、冷静な対応を呼びかけています。
現在は新型コロナウイルスが遺伝子学的に突然変異したとの報告はないようですが、今後も注意深い
観察と冷静な対応が必要だといって、気を緩めてはいけないと警鐘を鳴らしています。
 (現時点では仕方ないとは言っても、何とも慎重なコメントです。)
下記のPDFをご参照ください。


また、Medscapeより、医療従事者に対する心構えが掲載されています。

1) 医療機関のスタッフは、呼吸器感染の症状のある人は全て渡航歴を問診する。
   特に2週間以内の中国からのインバウンドには、正確に問診する。
   もしも適合する患者には、直ぐにマスクを装着させる。
   疑いのある患者(PUI)の定義、及び問診の書式は下記のPDF参照

2) 上記に適合する患者に接する場合は、N95などの適切な防具を装着する。

3) 患者は陰圧の個室で診察する事

4) 新型コロナウイルスの死亡率は2~3%と推定される。
   この数字も多分過大評価しているかもしれない。なぜなら重症化した患者や流行の初期のデータ
   からの評価である。
   実際はもっと軽症で、自覚症状がない人が多いようだ。





私見)
 本院では先ずはインフルエンザの診断が第一です。
 身の丈に合った対応をしましょう。
 疫病は自然災害とは異なります。医学情報に注意し、一歩前を行くのではなく半歩後を必死に追い
 かけて対策を皆で考えましょう。








1 新型コロナウイルス感染症|感染症トピックス|日本感染症学会.pdf

2 Novel Coronavirus (2019-nCoV) Frequently Asked Questions.pdf

3 cdc.pdf













posted by 斎賀一 at 18:06| Comment(1) | 感染症・衛生