2020年02月14日

長期的観察においてもプロカルシトニンの効果はない?

長期的観察においてもプロカルシトニンの効果はない?
 
Longer-Term Outcomes of the ProACT Trial
n engl j med 382;5 nejm.org January 30, 2020
  


20214.PNG
 
   

 本院でもプロカルシトニンを測定して抗生剤の有効利用を目論んでいる矢先に、嫌な論文がまたしても
出ました。
2018年に雑誌NEJMに掲載されたProACT研究のその後の発表です。


 まずProACT研究の概略を説明しますと、
下気道感染疑いで救急部を受診した患者で、治療にあたった医師が抗菌薬治療の適応があるか確信がもてなかった例を対象に、826 例をプロカルシトニンを用いた群、830 例を通常治療群に無作為に割り付けています。
 結果はプロカルシトニン群と通常治療群とで、30 日以内の抗菌薬投与日数(平均はそれぞれ 4.2 日と 4.3日や、30 日以内に有害転帰を起こした患者の割合11.7% [96 例] と 13.1% [109 例]に有意差は認められませんでした。
結論として、プロカルシトニン検査結果を解釈の説明書とともに提供しても、通常治療と比較して、下気道感染が疑われる患者での抗菌薬使用は減少しなかった。
   (日本版コピペ)



         20214-2.PNG

         20214-3.PNG
  
  


 今回の論文では2次転帰を90日と、1年後の死亡率としています。
結果は下記のグラフの様に、色々な疾患別でもその差はほとんどありませんでした。




         20214-4.PNG
 


つまるところ、
下気道感染症に対してプロカルシトニンを用いても、30日間での抗生剤の投与の減少には繋がらず
90日、更には1年後の死亡率の減少にも無効であった。






私見)
 何事もブレ易い自分はブレない事を信条にしています。
 プロカルシトニンは、実地医家でセッティングを慎重に行えば有効だと思っています。
 測定機械は購入の方向ですから、職員の皆さん手順を決めておいてください。
 尚、以前の関連ブログを下記に掲載します。







1 プロカルシトニンのストラテジー.pdf

2 新生児に対するクライテリア.pdf

3 急性呼吸器感染症におけるプロカルシトニン測定_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

4 実地医家にとって迅速診断は命_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

5 生後2か月以内の乳児の発熱時の評価判断_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

6 生後3か月以下の乳児の発熱に対する対応_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf












posted by 斎賀一 at 18:33| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年02月12日

ゾフルーザは季節性インフルエンザ治療に使うべきではない 菅谷憲夫氏の提言

 
ゾフルーザは季節性インフルエンザ治療に使うべきではない 菅谷憲夫氏の提言
 

20212.PNG
  



 以前より、インフルエンザにおけるオピニオンリーダの菅谷憲夫氏がゾフルーザに関して懸念を表明していましたが、今回雑誌小児科に同氏の提言が載っていましたので纏めてみます。


1) 最近になって、ゾフルーザの耐性ウイルスが問題となってきたが、実際には治験時から高率に耐性が
   発生することは明らかであった。
   治験の成績で、成人ではA香港型(H3N2)  インフルエンザに対して9.7%(36/370)
   H1Nlpclm09に対して2.2% (4/182)   小児ではA香港型で23.4% (18/77)
   に耐性ウイルスが検出された。

2) 耐性が出た患者では、罹患期間が延長することが治験で証明されている。
   成人では耐性がない患者での罹患期間は49.6時間で、耐性が出ると63.l時間まで延長するが、
   プラセボ患者群の80.2時間と比べると短縮していた。

3) 実際、ゾフルーザ治療歴のない患者数例から138T 耐性ウイルスが検出され、耐性ウイルスが
   周囲から感染発病したと考えられた。

4) 重大な副作用はみられないとされてきたが最近になり出血が報告され、厚生労働省によるとゾフ
   ルーザを飲んだ後、血便や血尿など出血がみられた症例が計25例あり、このうち13例は因果関係
   を否定できなかった。

5) ゾフルーザの利点としては (存在価値)
   欧米では発症してから4~5日目以降の重症例の入院が多く、その時点から開始するオセルタミピル
   治療は十分な効果が期待できなかった。
   季節性インフルエンザの重症例には、ゾフルーザとオセルタミピル併用の有効性が期待されている。
   オセルタミピルはゾフルーザの138T 耐性変異ウイルスに有効であり、一方のゾフルーザはオセル
   タミピル耐性ウイルスに有効なので、併用することにより双方の耐性を抑えることが可能であり相乗
   効果も期待されている。
   現在ロシュ社が中心となり世界的に併用療法の治験が進行中で、オセルタミピルの連日投与とゾフ
   ルーザの4日ごとの投与、オセルタミピルの連日投与とプラセボ4日ごとの投与群での臨床効果が
   比較検討されている。  
   (以上すべてコピペ)





私見)
 生来、未練がましい私としましては、ゾフルーザを特定の患者さんに今シーズンも投与していました。
 以前のブログでも紹介しましたが、基礎疾患のある成人の方や、喘息や肺炎を合併している場合で短期
 での勝負をしたい時に先ずゾフルーザを処方して、翌日好転が見込まれないと判断したら電話診療にて
 タミフルを追加処方する考えでした。
 運よく本院では、ゾフルーザ処方の患者さんは全て順調な回復であったようです。
 今後も実地医家では、最初より併用療法は難しいと思いますので上記の方針で参ろうと存じますが?
 










posted by 斎賀一 at 18:52| Comment(0) | インフルエンザ

2020年02月10日

米国予防接種スケジュール・2020年版

米国予防接種スケジュール・2020年版
 
Recommended Adult Immunization Schedule, United States, 2020*
 


20210.PNG



 残念ながら、ワクチンのガイドラインは多くがアメリカ発に追従の印象です。
今年度も例年とさほど違いはないようです。


1) インフルエンザ
   各学会のガイドラインに沿っています。
   卵アレルギーの場合は、発疹程度なら特に接種しても構わない。
   発疹以上の症状があれば専門家の監視の基に接種

2) 麻疹、おたふく、風疹
   専門学校や大学(postsecondary)の学生で
   以前にMMRの接種が無い場合は、4週間あけて2回接種
   以前に1回接種してあれば、1回の追加接種
   (日本では抗体検査を行う事が多いので、若干異なります。)



          20210-2.PNG



     
3) 肺炎球菌ワクチン
   65歳以上の人が23価ワクチン(ニューモバックス)を接種して、5年以上経ってから2回目を
   考慮した場合、13価ワクチン(プレベナー)を接種するかは特に勧奨するのでなく、医師
   (shared clinical decision-making)との相談で総合的に決定となっています。






私見)
 下記に文献をPDF化して掲載します。
 肺炎球菌ワクチンについては以前にブログしてありますので、ご参照ください。







1 スケジュールワクチン .pdf

2 本論文.pdf

1  65歳以上の肺炎球菌ワクチンについて_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

2 肺炎球菌ワクチン雑感_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

















posted by 斎賀一 at 18:00| Comment(0) | ワクチン