2018年07月05日

乳幼児におけるライノウイルスと細菌感染症との関係

乳幼児におけるライノウイルスと細菌感染症との関係
 
Rhinovirus in Febrile Infants and Risk of Bacterial Infection
PEDIATRICS Volume 141, number 2, February 2018:e20172384


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 私のブログで以前紹介しました(2018-01-22)ライノウイルスに関する記事が気になっておりましたが、今回元文献のfullを読んで再検討しました。


再度確認した点のみを纏めてみました。詳細は下記のPDFのグラフで検討します。


1) ライノウイルス感染症は乳幼児の最も多い呼吸器感染症ですが、無症状の事も多く、注意が必要
   です。また、ライノウイルスは排出も長期間に及びます。

2) 対象は重症感の無い(well-appearing)生後3か月以内の発熱患児で、外来受診後24時間以内に
   救急外来受診、または入院をした10,964人を対象にしています。

3) 細菌感染症の合併を 1;ライノウイルス、2;その他のウイルス、3;ウイルスが同定されない
   以上の3群に分けて調べています。
   細菌感染症としては、尿路感染症、敗血症、侵襲的感染症、髄膜炎です。

4) 55%にウイルスが同定されました。
   38%がライノウイルス、35%がライノウイルス単独、7%がRSウイルスでした。
   細菌感染症合併は9.5%、その中で尿路感染症が6.6%、菌血症が2.6%、髄膜炎が0.3%でした。

5) 結論的には、ウイルスが同定されない場合、細菌感染症の可能性は3.5倍の危険率である。
   ウイルスが同定されても、ライノウイルスの場合は他のウイルスよりも細菌感染症合併の可能性が
   2.21倍となる。





私見)
 一般外来ではライノウイルスの検査は出来ません。
 外来で出来る迅速ウイルス検査を活用して診断出来れば良いのですが、同定出来ない場合はライノ
 ウイルスである可能性から細菌感染の可能性をも視野に入れる必要があります。
 本院でのその確率は7.5%~12.5%です。





ライノウイルス.pdf














posted by 斎賀一 at 13:49| Comment(0) | 小児科

2018年07月03日

糖尿病治療薬のカナグルは下肢切断に無罪?

糖尿病治療薬のカナグルは下肢切断に無罪?
 
Canagliflozin (CANA) vs. Other Antihyperglycemic Agents
on the Risk of Below-Knee Amputation (BKA) for Patients
with T2DM–A Real-World Analysis of >700,000 U.S. Patients



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 以前より、糖尿病治療薬でSGLT-2阻害薬のカナグルについて、下肢切断の頻度が他のSGLT-2阻害薬よりも多いのではとの懸念が発表されていました。
 今回、アメリカのフロリダで行われた糖尿病学会での発表では、その心配はないようです。
SGLT-2阻害薬は心不全にも効果があり、メトグルコに並ぶ勢いで第一選択の薬剤となりつつあります。
そんな中、私のブログでも以前ご紹介しましたが、カナグルにおいて下肢切断の副作用が多いのではとの指摘がFDAからもありました。
今回の発表では、カナグルは他の糖尿病治療薬よりも心不全の発生頻度を抑制していましたし、問題の下肢切断に関しても他のSGLT-2阻害薬と同程度でした。下記のPDFのグラフをご参照ください。




私見)
 そうは言っても、糖尿病患者さん自身が下肢の循環障害を併発しやすい事と、SGLT-2阻害薬が脱水を誘発する危険がある事から、糖尿病患者さん全体に下肢の診察が重要です。





Flash.pdf

APPRISOR Image Viewer.pdf










posted by 斎賀一 at 20:33| Comment(0) | 糖尿病

2018年07月02日

アルコールと血圧との関係

アルコールと血圧との関係
 
Effects of Repeated Binge Drinking on Blood Pressure Levels
and Other Cardiovascular Health Metrics in Young Adults
 


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 飲酒は血圧に関与しており、ガイドラインでも塩分と同様に制限されています。 (下記のPDF参照)
今回雑誌のAHAより、18~45歳の若い人に於いて繰り返される大酒が、果たして高血圧症に繋がるかを検証した研究論文が発表されました。


纏めますと

1) アメリカでは大酒(binge drink)とは、男性で5単位(5drinks)、女性で4単位(4drinks)
   以上と定義されています。
   さらに最近のアメリカの若者は大酒が多くなり、6~7drinksを週に数回も飲んでいるようです。




          0702-2.PNG
  
          One drink は日本酒1合でしょうか。



2) 2011~2012年と2013~2014年の2年間のサイクルでの比較をしています。
   心血管疾患のある方、妊婦の方は除外しています。
   大酒をしない人、大酒を年に1~12回する人、年に12回以上する人の3グループ分けをしました。
   (つまり大酒を月に数回する人を割り出しています。)
   18~45歳の若者を対象に、最終的に4,710名を登録しています。

3) 結論として
   若い男性(18~45歳)では大酒が血圧と総コレステロールに関係していましたが、女性では認められ
   ませんでした。
   若い男女共に大酒はHDLコレステロールを高めますが、血糖に関しては大酒の女性では高めです
   が、男性では低い傾向でした。





私見)
 以前からの研究では、比較的高齢者では、アルコール摂取が高血圧や心血管疾患に繋がるとの結果が報告されていました。今回も、若い男性の大酒は高血圧や心血管疾患に悪影響を及ぼす可能性が示唆
され、長期的検討も必要と思われます。しかし女性では、それ程の影響は無いようです。

 私は若い頃から酒など諸々に弱かったため、年老いて酒が飲めなくなったと言う実感がありません。
今回の論文の結果を見ますと、若いうちに多少の羽目を外すのは大目にみてよさそうな感じもするのです
が...?
特に若いご婦人においては、寛大な気持ちを以前より持っています。





AHA アルコール 高血圧.pdf

飲酒の基礎知識 −公益社団法人アルコール健康医学協会−.pdf

高血圧ガイドライン.pdf














 
posted by 斎賀一 at 18:51| Comment(1) | 循環器