2024年02月13日

胎児水腫について・uptodateより

胎児水腫について・uptodateより



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 胎児水腫とは、胎児の胸やお腹に水が溜まったり、全身に浮腫 をきたしたりする重篤な病気
です。原因は大きく“免疫性胎児水腫”と“非免疫性胎児水腫”に分けられ、およそ9割が非免疫性
胎児水腫であるといわれています。
免疫性胎児水腫は、母体と胎児の血液型が適合しない場合に胎児が貧血状態を起こし発症する
もので、“Rh(D)不適合妊娠”が代表的な病気として挙げられます。
一方の非免疫性胎児水腫(NIHF)は、免疫性胎児水腫の原因に該当しないものが分類され、主な
原因は先天性心疾患や先天性ウイルス感染症、染色体異常などです。
また、胎児水腫を起こし妊娠30週未満で出生した場合の予後は極めて不良とされ、エプスタイン
病などの胎児心臓構造異常が原因となる胎児水腫の場合は、出生週数にかかわらず生命予後が
不良とされています。
いづれの場合においても胎児水腫は重篤で稀な病気であり、専門の高次医療を取り扱う機関への
受診が必要です。(ネットより)

胎児水腫の出生前診断は、以下の胎児所見のうち2つ以上を示す超音波検査に基づいています。
・腹水 ・胸水 ・心嚢液貯留 ・全身性皮膚浮腫(皮膚の厚さ>5mm)です。
感染症はNIHFの5〜10%が原因です。
パルボウイルスB19は水腫に関連する最も一般的な感染症であり、サイトメガロウイルス、
トキソプラズマ症、梅毒がそれに続きます。
全ての感染症について因果関係が証明されているわけではありません。
場合によっては、原因菌が特定されないこともあります。

双胎妊娠
単絨毛膜双胎と二絨毛性双胎の両方で、単胎妊娠に影響を与える病因のいづれかから、片方
または両方の双生児に水腫が発生することがあります。
以下に画像を提示します。





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      (胎児の腹部横断面。矢印は皮膚で、その下の黒い層が腹水)







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               (胎児腹水の縦断面)






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        (偽腹水;矢印は皮下脂肪で腹水ではありません)






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              (胎児水腫の胸水の縦断面)






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    (矢印が腹水と胸水を示しています。上の二つの矢印の間が横隔膜です。
     矢印は肺を示しており、くびれが認められます。)






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              (心嚢水を示します。)






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             (頭皮の肥厚を示します。)






         下記に原因疾患を示しています。



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     原因疾患の多さに困惑します。感染症でも多岐に亘ります。










posted by 斎賀一 at 18:22| 小児科

2024年02月10日

妊娠と先天性梅毒

妊娠と先天性梅毒

Syphilis Complicating Pregnancy and Congenital Syphilis
[n engl j med 390;3 nejm.org January 18, 2024]



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 先天性梅毒は、1497年に最初に記載されています。その後、梅毒がトレポネーマ・パリズム
によることが発見されています。梅毒トレポネーマは試験管での培養は不可能であり、現在でも
感染機序の詳細は不明です。
梅毒は1990年からは減少傾向でしたが、その後増加し、2021年からは横ばい状態です。
当然ながらそれに呼応して、先天性梅毒も増加傾向です。
アメリカでは2012年から2021年に掛けて754.8%の増加で、現在では1,300人の新生児に
対して1人の割合です。

 今回、雑誌NEJMに総説が載っていましたので、勉強してブログします。


1) 梅毒トリポネーナは極めて小さい細菌で、胎盤を通して胎児に感染します。
   出産時での感染は稀とされています。また免疫機能から逃れ、持続感染してしまいます。
   妊婦が第一期梅毒の場合は50〜70%胎児への感染が起きますが、感染から1年以上経過
   した母体からは、15%が感染すると言われています。

2) 第一期梅毒は感染後3週間以内に、感染部位が1つ以上で無痛性の下疳が出現します。
   しかし下疳は非定型で、有痛性の時もあります。
   初期感染は自然消退し、第二期になると全身に発疹が出現します。しかし発疹が出現
   しないこともあり、更に手掌や足底や単独の発疹で落屑を伴うこともあります。
   妊娠中は、アトピー性皮膚炎や妊婦皮膚炎との鑑別が困難です。
   第一期と第二期がオーバーラップする事もあります。
   第二期梅毒の臨床症状はリンパ節腫大、抜け毛、遅発性の下疳、口腔粘膜の病変です。
   やがて寛解し潜在性となり、診断は血液検査のみとなります。
   未治療の場合は、1/4は1年以内に再発性の第二期梅毒となります。
   70%が潜在期のままですが、30%は第三期梅毒へと進行します。

3) 胎児感染の診断
   核酸増幅検査(NAAT)の感度は、75〜100%と言われています。
   (PCRは特定の核酸の断片を増幅するための手法であり、NAATは核酸増幅検査全般を指す
    広いカテゴリーです。NAATにはPCR以外の手法も含まれるため、利用状況や目的に
    応じて適切な方法を選択する必要があります。)

   胎児の超音波検査が有用です。胎児の肝腫(80%)、貧血、胎盤肥大 (27%) 、
   羊水過多症 (12%)、非免疫性胎児水腫(10%)です。(次回ブログで纏めます。)
   ただし、超音波検査だけでrule outは出来ません。
   また、治療により15週間までに上記所見は改善します。
   従って早期の超音波検査により治療を開始する事が大事です。
   また出産時でのリスク軽減のためにも、超音波検査でのモニタリングは欠かせません。
   超音波検査で所見がない場合には、非トレポネーマ検査の値の推移で管理していきます。
   適切な治療により28日過ぎると、先天性梅毒の所見は改善されます。
   従って早期治療が大事です。
   梅毒の妊婦は、非トレポネーマ検査と臨床症状での評価が必要です。
   先天性梅毒の新生児の症状は、貧血や血小板減少症(37%)、
   肝胆道機能不全(33 〜 100%)、水疱性または皮膚粘膜病変 (40%)、
   骨軟骨炎または骨膜炎 (75%) 、長管骨では虫食い所見が見られます。
   先天性梅毒の有症状新生児は、最大60%までに神経症状があります。
   神経発達における長期予後は不明です。
   2歳以降に症状が現れる事があります。(眼症状、聴力障害など)
   アメリカでは、先天性梅毒の新生児の内55.5%は無症状です。
   非トレポネーマ抗体は胎盤を通過するため、生後15か月迄陽性となります。
   もしも生後6か月以降で値が上昇する場合には、新生児の治療を考慮する必要があります。
   【トレポネーマ特異的抗体検査(TPHA・FTA-ABS・梅毒トレポネーマ特異的IgGなど)
    は、感度・特異度共に優れるが、抗体価は病勢とは関連せず、治療後も1度陽転化した
    後は生涯陽性が持続する。
    非トレポネーマ抗体検査(RPR・VDRL・ガラス板法など)は感度・特異度共に劣るが、
    抗体価が病勢の指標となる。治癒後には基本的に陰性化する。】






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私見)
 私の勉強の意味合いも含めて、胎児水腫を主体に次回ブログします。














posted by 斎賀一 at 17:45| 婦人科

2024年02月07日

脳梗塞発症後 72 時間以内の抗血小板薬 2 剤併用療法

脳梗塞発症後 72 時間以内の抗血小板薬 2 剤併用療法

Dual Antiplatelet Treatment up to 72 Hours after Ischemic Stroke
[n engl j med 389;26 nejm.org December 28, 2023]



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 急性軽度虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の患者は、最初のイベントの開始後
90日以内に約5〜10%、発性脳卒中のリスクがあります。
ガイドラインでは、軽度の虚血性脳卒中(米国国立衛生研究所脳卒中スケール[NIHSS]スコアが
≤3)で、24時間以内に治療できる患者に、クロピドグレルとアスピリンを併用した2剤抗血小板
療法を推奨しています。
しかし、24時間の時間枠と低いNIHSSスコアーの制限では、虚血性脳卒中患者における2剤
抗血小板療法の適用が限られてしまいます。
2剤抗血小板療法の有効性は、虚血性脳卒中の病因によって異なる可能性があります。
特に、大動脈アテローム性動脈硬化性狭窄症または多発性急性梗塞の患者は、2剤治療の
有効性の可能性があります。
今回の論文では72時間と緩やかにし、スコアーの基準を高めて2剤併用の効果価値をあげてみて
います。
登録者はやや複雑ですので、下記の表をご参照ください。




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(心原性は除外し、動脈硬化のあることを頚部エコーを含めた画像診断で確認しています。
 NIHSSスコアーとABCD2スコアーは下記のPDFをご参照ください。)



1) 中国の 222 の病院で、アテローム性動脈硬化が原因と推定される軽症脳梗塞または
   高リスク一過性脳虚血発作(TIA)を発症し、血栓溶解療法または血栓回収療法を受けて
   いなかった患者を対象として、二重盲検無作為化プラセボ対照 2×2 要因試験を行った。
   (2x2 Factorial Trial(2x2要因試験)は臨床試験の設計の一種です。
   例えば薬物Aと薬物Bの2つの治療法と、治療開始時点で高血圧と正常血圧の2つの基準を
   持つ患者群を考えると、この場合、2x2 Factorial Trialでは4つのグループが設定され
   ます。)
   発症後 72 時間以内に、患者をクロピドグレル(1日目 300 mg、2〜90日目 75 mg/日)
   +アスピリン(1日目 100〜300 mg、2〜21日目 100 mg/日)を投与する群と、マッチ
   させたクロピドグレルのプラセボ+アスピリン(1日目 100〜300 mg、
   2〜90日目 100 mg/日)を投与する群に、1:1の割合で無作為に割り付けた。 




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   主要有効性転帰は脳卒中の新規発症、主要安全性転帰は中等度〜重度の出血とし、
   いづれも90日以内に評価した。
   6,100例が組み入れられ、各群に 3,050例が割り付けられた。
   患者の 13.1%では、組入れ対象イベントが TIA であった。
   87.2%が発症後 24 時間超 72 時間以内であった。

2) 結果
   脳卒中の新規発症は、クロピドグレル+アスピリン群では 222例(7.3%)
   アスピリン群では 279 例(9.2%)あった。
   (ハザード比 0.79、95%信頼区間 [CI]0.66〜0.94、P=0.008) 
   中等度〜重度の出血は、クロピドグレル+アスピリン群では 27 例(0.9%)
   アスピリン群では 13 例(0.4%)に発生した。
   (ハザード比 2.08,95% CI 1.07〜4.04,P=0.03)





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3) 結論
   アテローム性動脈硬化が原因と推定される軽症脳梗塞、または高リスク TIA を発症した
   患者において、発症後 72 時間以内に開始するクロピドグレル+アスピリン併用療法に
   より、90日の時点で脳卒中の新規発症リスクはアスピリン単剤療法よりも低くなったが、
   中等度〜重度の出血のリスクが数値としては低かったものの、アスピリン単剤療法よりも
   高くなった。
   (一部日本版コピペ)






私見)
 ため込んだ雑誌の総論をブログしています。
 二次施設への転送が滞る事が実地医家にはあります。
 そんな時、一時凌ぎで二剤併用が許されるでしょうか...。






脳梗塞スコアー.pdf

TIAスコアー.pdf









posted by 斎賀一 at 19:11| 脳・神経・精神・睡眠障害