2018年11月07日

解熱鎮痛薬(NSAIDs)と慢性腎疾患(CKD)の関係

解熱鎮痛薬(NSAIDs)と慢性腎疾患(CKD)の関係
 
Prevalence and Outcomes Associated
with NSAID Use in Patients with CKD



1107.PNG



 NSAIDsが腎機能を悪化させないか懸念されています。
特に高齢者での長期投与の場合には配慮が必要です。
 今回NSAIDsの投与による腎機能への影響を調べた報告が、アメリカのサンティアゴの学会であり
ました。


1) 1,736名が登録されています。
   18歳以上でCKDのステージ3〜5の人を対象にしております。
   除外対象は入院、腎移植、急性腎機能障害、透析の患者さんです。

2) 自己報告の形で、1年間の経過観察です。
   全体的に7%の人がNSAIDsを処方されていました。
   (full textを読んでおらず、NSAIDsの種類と服用量は把握していません。)

3) 腎機能(eGFR)の低下を比較しています。
   NSAIDs服用者は5.7ml/min低下しており、非服用者は4.4ml/minの低下でした。
   統計学的には明白な差はありませんでしたが、服用者の方に低下傾向が認められたとの結論です。




私見)
 対象者の年齢やeGFRを層別化するとどのような結果になるかは定かではありませんが、結論的には
 NSAIDsをある程度長期に処方する場合も、最長で1年間と理解しました。




nsaid ckd abstruct.pdf














2018年11月06日

誰にも理解されない私の変な趣味

誰にも理解されない私の変な趣味
 
〜村田真野先生への感謝をこめて〜




 私が医者になって何時のころからかは覚えていませんが、文献や書籍を読んで疑問に思うと、直接執筆者に誰彼構わず電話を掛ける癖がありました。その結果は殆どが叱責されるか罵倒される事になるのですが、それが一層拍車をかけて、とうとう趣味の領域になってしまいました。
その話をすると一晩中になってしまいますが、紙面の都合にて2〜3件だけご紹介します。


1) 数十年前に、突然ある帝国大学の学長にお電話しました。運良く秘書の方が取り次いでくださって 
   お話が出来ましたが、のっけからその学長はお怒りで、質問の内容を聞いて頂く事も出来ず終始
   まくし立てていました。
   「俺は今から京都国際会議場に出席するためタクシーを呼んで待たせているんだ。何だ貴様は。」
   それから只々罵倒され続けましたが、私も申し訳ないと思い「タクシーがお待ちではありませんか。」
   と申しますと「ふざけんな!」の声と共に電話機が壊れんばかりの音がして切れました。

2) 皇室ご用達の病院の皮膚科部長先生にお電話した時も「貴様、何を考えているんだ。」と、最初から
   高圧的なお話しぶりでした。「いや、先生の御著書を拝読し、疑問を持ちましてお電話しています。」
   「馬鹿野郎!」この時は、あっという間のお怒りで終わりとなりました。

3) 高名な国立大学の教授にお電話した時は、最初からヒソヒソ話で始まりました。「いま教授会をして
   いるんですよ。何なんですか。質問ですって? 一体あんたは誰なんですか。初めてだって!?
   冗談を言うな。何、声が大きすぎますって。」最後は我を取り戻されて、低い声で「君は非常識だ!」
   この先生が今までで一番紳士的でした。

 御著明な先生に怒鳴られれば、尚更私の趣味は止みません。
そんな中、意外にも親切に書籍や資料を送ってくださった先生方も極めて稀にいらっしゃいました。
以前の国立がんセンター総長の土屋了介先生、埼玉医大の片山茂祐先生及び医局員の方には、地獄で仏のようなご教示をいただきました。
またいつか、そのような感動的な出会いを求めて私の趣味は続きます。


 何とそんな折に、逆の体で私のブログを当の論文の著者の村田真野先生がご覧になられてコメントを頂きました。本当にありがとうございました。
本ブログは内々の物ですが、今後も身の丈に合った内容を発信したいと思います。
 最後に、今韓国では革新の嵐が吹いています。南北融和のムードの中で、脱北者に対する風当たりは手の平を返したように韓国内でひどくなっているようです。
そんな中、脱北者の漫画家のチェ・ソングス氏は、脱北者の惨状を漫画で発信しています。

「私には誰にもない能力がある。それは漫画と言う武器だ。それを使って私は逃げる事をしない。」

立派な人は輝く言葉を持っています。そんな言葉を心にしまって... お休みなさい。








posted by 斎賀一 at 21:51| Comment(2) | 日記

2018年11月02日

結腸憩室炎

結腸憩室炎
 
Diverticulitis
   n engl j med 379;17 nejm.org October 25, 2018



1102.PNG

 

 結腸憩室炎の症例による総説が、雑誌NEJMに掲載されています。
私にとって認識を新たにする点が多々ありましたので纏めてみました。

1) アメリカでは消化器疾患の中で8番目に多い疾患となっています。
   結腸憩室は40歳以下では5%ですが、60歳以上では50%にもなる発生頻度との事です。
   当然それに従って、憩室炎も増加しています。更に若い人での発生も増加傾向です。

2) 憩室炎の危険因子は喫煙、NSAIDs(鎮痛解熱剤)、運動不足、肥満、食物繊維の摂取不足、精製
   炭水化物(白米など)の過剰摂取、赤肉などが関与する。
   (喫煙が良いとの文献もあり論争)
   憩室の発生原因はハッキリしていません。一応、腸管の運動や内圧の変化が関与していると推定
   されています。
   憩室の頸部(入り口、neck)が狭いために細菌が侵入して出られなくなり憩室炎に進展すると想定
   されていましたが、最近では否定的で、糞便が憩室の中に溜まって固くなり、憩室の粘膜を刺激し
   ビランを誘発するためと推定されています。

3) 診断
   腹痛は左下腹部が多いがアジア系では右下腹部か恥骨上部が多い。
   便秘や下痢の便通異常が出現する事もある。
   CT検査が基本である。その診断確率は98%です。
   Hinchey分類は憩室炎の状態を表しているが、予後や治療方針の決定にはあまり有効でない。
   憩室炎の続発症で小さな穿孔(microperforation)はCTでの診断が可能であり、その場合でも
   必ずしも外科的治療やドレナージが必要ではなく、抗生剤での治療が可能である。

4) 局所的穿孔―単純憩室炎
   憩室炎の75%は局所的な炎症のみの単純憩室炎である。
   高熱がなく、検査でも重態な異常がなければ、経口抗生剤で十分なケースが多い。
   外来での処方例としては、グラム陰性菌や嫌気性菌を含めて想定する必要があり、シプロキサン+
   フラジール、又はパセトシン+少量オーグメンチンを7〜10日間のレジメが代表的である。
   食事は疼痛がなくなるまでは液状の食事とする。 (下記のPDFを参照)
   入院が必要な場合は、発熱が38.6°、好中球増多、CTでの所見、基礎疾患、自宅での介護が不可
   能、疼痛のコントロールが不十分、経口摂取が不可能のケースである。
   初期治療により症状は2〜3日で好転する。それに従って液状の食事から残渣の少ない流動食に
   切り替える。
   膿瘍が3〜4cmならば、ドレナージをしなくても抗生剤の経口投与で良い。
   確定診断のために、憩室炎の軽快から2か月前後して大腸ファイバーを実施しても良い。
   特に最近の2〜3年間で大腸ファイバーを行っていない場合は、実施を勧奨している。

5) 再発
   合併症のない最初の憩室炎からの再発率は、10~35%である。
   憩室炎が2回起こるとその後の再発頻度は増加するが、症状の重症化は同じである。
   穿孔の危険は、最初の発症の方が2回目以降より頻度は多い。 (25%対12%)つまり最初の
   憩室炎の診断が慎重さを求められる。
   食物繊維の多い食事は、再発率を減少するという限定的な研究報告もある。
   リファキシミン(腸管吸収の悪い抗生剤)とアサコールも、再発予防に有効との論文がある。
   (本院でも以前よりサラゾピリンを処方しています。)

6) 外科手術
   穿孔は最初の発症の時が多い。
   最初が非合併の憩室炎ならば、その後に合併の憩室炎を再発するのは3~5%と少ない。
   穿孔して手術を行ってからの再発は5%と少なく手術を繰り返す場合は0.4%と更に低頻度である。   
   以前のASCRSのガイドラインでは、2回の再発例ではその後に外科手術を勧奨していたが現在の
   ガイドラインでは待機的外科手術の適応は再発の頻度でなく、個々人の個別化で判断する事を勧め
   ている。

7) 結論
   治療により1〜2日しても増悪するようならば、CT検査で再検した方がよい。
   再発の頻度が増加したり重症度も悪化傾向なら、待機的手術の適応を外科医に照会した方が良い。





私見)
 以前に憩室炎の既往があるからと言って油断しないようにしましょう。
 常にリセットする事が大事だと自ら戒めています。

 Liquid diet については皆で勉強しましょう。




通常1,000kcal程度で、原則的に脂肪・ミルクなどの乳製品・食物繊維を含まない流動食である。一般的に6回食になることが多い。タンパク質補給のためにサプリメントとして脂肪を含有しない経腸栄養剤がしばし併用される。






How to Treat Diverticulitis (with Pictures) - wikiHow.pdf













  
posted by 斎賀一 at 22:03| Comment(0) | 消化器・PPI