2019年06月04日

乳児の睡眠関連死とチャイルドシート

乳児の睡眠関連死とチャイルドシート
             <短 報>
Infant Deaths in Sitting Devices




 チャイルドシートやベビーカーにおける睡眠時の乳児死亡は、それらの装置を運転に使用していない
時に起きています。


1) 2004~2014年に懸けて、12,000例の睡眠関連死がありました。
   その中の348例は、乳児の座るための装置で起きています。
   一番多いケースはチャイルドシートでしたが、そればかりでなくバウンサーやベビーカーでも起きて
   いました。

2) 1/2から3/4は、車内ではなく自宅で起きています。
   特に自宅では、親でなくベビーシッターや他の育児提供者の監視下で起きていました。

3) 保護者も、又育児提供者やベビーシッターも監視し易いからと、座るための装置を利用しがちですが
   その装置は決してベビーベッドではないという事を、十分に教育する必要があると述べています。





私見)
 アメリカでは日本よりベビーシッターの普及が多いと推測されますが、それらの方々の多くが献身的に
 育児をサポートされています。ただ便利な座るための装置には、必ず盲点がある事も認識する必要が
 あります。






小児科.pdf









posted by 斎賀一 at 20:23| Comment(1) | 小児科

2019年06月03日

軽症喘息にシムビコートの頓用吸入は有効

軽症喘息にシムビコートの頓用吸入は有効
 
Controlled Trial of Budesonide–Formoterol as Needed for Mild
Asthma This article was published on May 19, 2019,at NEJM



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 SMRT研究以降、軽症喘息に対してシムビコート(ブデソニド+ホルモテロール)の発作時での頓用吸入は認められています。持続性気管支拡張薬(LABA)のブデソニドは、トータルアゴニストのため増量に依存して効果が増加し、しかも持続性なのに即効性の効果発現も期待される薬剤です。それを配合しているシムビコートは、喘息のコントローラー(維持治療)にもリリーバー(発作治療)にも適応されています。
(下記のPDF参照)

今回雑誌NEJMより、シムビコートを軽症喘息の発作時に頓用で使用した場合の有効性を示した論文が掲載されました。


纏めますと

1) 軽症喘息の成人を対象とする52週間の比較試験を行った。
   患者を次の3群のいずれかに無作為に割り付けた:
   ・アルブテロール(本邦ではサルタノール)( 1 回噴霧 100μg を 2 吸入を発作時に頓用)
    (アルブテロール群)
   ・ブデソニド(200μg の 1 吸入を 1 日 2 回)+アルブテロール頓用(ブデソニド維持療法群)
   ・ブデソニド+ホルモテロール(商品名シムビコート;ブデソニド 200μg ・ホルモテロール6μg
    の 1 吸入を頓用)(ブデソニド+ホルモテロール群) の3群です。

2) 無作為化された 675 例のうち 668 例を解析の対象とした。
   ブデソニド+ホルモテロール群の喘息増悪の年間発生率は、アルブテロール群よりも低く(絶対的
   発生率 0.195 対 0.400)、ブデソニド維持療法群との間に有意差は認められなかった。(絶対的
   発生率 ブデソニド+ホルモテロール群 0.195 対 ブデソニド維持療法群 0.175)
   重度の増悪の回数は、ブデソニド+ホルモテロール群がアルブテロール群(9 回 対 23 回)と
   ブデソニド維持療法群(9 回 対 21 回)よりも少なかった。

3) 若干の追加説明
   ・従来の研究ではプラセボを用いての1日2回吸入器を使用する事を要求していたが、これでは
    シムビコート1回吸入の利点が損なわれる。
    よって本試験では、非盲検試験の方法を採用しています。
   ・過去1年間で重症の増悪があった患者に対しては、SABA(アルブタノール)の使用制限は設けて
    いません。
   ・喘息の急性増悪の定義
    a. かかりつけ医や救急の受診、入院
    b. ステロイドの全身投与(経口薬、点滴)
    c. 24時間でアルブテロール吸入を16回、又はシムビコート吸入を8回以上
   ・重症な急性増悪の定義
    a. 3日間のステロイドの全身投与
    b. ステロイド全身投与が必要なため入院

   ・β刺激薬の過剰投与は24時間以内でアルブテロール吸入を24回以上か、シムビコートを12回以上
    尚 7 日過ぎたら別の事象としてカウント
   ・治療の変更が必要と認めた時
    a. 1 回の重症な急性増悪
    b. 3 回の急性増悪

4) 理論的根拠
   ・SABA単独の治療は予後転帰の不良に繋がる。
   ・急性増悪の場合に、30分間隔で2 時間以上かけての吸入ステロイドの4 倍量は、ステロイドの
    全身投与より有効
   ・即効性のLABAつまりブデソニドは、SABAつまりアルブテロールより即効性においても効果的
    である。

5) 考察  
   ・喘息患者の治療の本来の目的は、急性増悪の予防ばかりでなく日常生活でのQOLだ。
    従って、軽症以上の喘息患者に対する吸入ステロイド配合剤の継続治療の選択肢は当然あるが、
    増悪の予防としてのシムビコートの頓用は有効である。
   ・繰り返しての吸入ステロイドは経口ステロイドよりも効果的と言われている。特に成人での4倍の
    吸入ステロイドは、急性増悪の時でも有効である。
   ・β刺激薬としてのSABAのアルブテロール2吸入とLABAのブデソニドの1吸入は、即効性の気管支
    拡張作用としても同等でした。
    (SABAは短期作用型気管支拡張薬で、LABAは長期作用型気管支拡張藥です。ブデソニドは
     シムビコートに入っているLABAです。)

6) 結論として、軽症喘息の成人を対象とした非盲検試験では、ブデソニド+ホルモテロール頓用は
   アルブテロール頓用よりも喘息増悪の予防に優れていた。





私見)
 喘息発作は二度、波が押し寄せてくることがあります。一回目は気管支拡張薬で対応できますが、
 二回目の波はステロイドを当初より含んでいないと襲ってくるといわれています。
 本院ではブデソニドがシムビコートとフルティフォームに入っています。
 両者ともに1日最大で8吸入が認められています。
 シムビコートとフルティフォームを頓用として、1日4〜8回までを積極的に使用しようと思います。
 (急性増悪の定義からしても妥当な線だと考えます。)
 当然ながらQOLを目的として、アドエアを始めとした他の合剤も選択肢と考えています。
 結果のグラフも下記のPDFをご参照ください。





1 論文より .pdf

2smart研究.pdf

3配合剤.pdf




















    
posted by 斎賀一 at 21:46| Comment(1) | 小児科

2019年06月01日

喀痰中に好酸球が少ない軽症喘息ではステロイド吸入は効果がない

喀痰中に好酸球が少ない軽症喘息ではステロイド吸入は効果がない

Mometasone or Tiotropium in Mild Asthma
with a Low Sputum Eosinophil Level
This article was published on May 19, 2019,at NEJM.org



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 喘息患者の約半数は吸入ステロイドが無効との報告があります。又、そのような患者の炎症には、
好酸球が関与しているとは限らない様です。しかし、一般的にガイドラインは喘息患者の全員に
吸入ステロイドを勧奨しています。
軽症持続性気管支喘息はステップ治療のUですが、今後重症化の危険も秘めており、重要なステージ
でもあります。


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今回のNEJMの研究では、軽症持続性の喘息患者を対象に喀痰中の好酸球の多寡により(2%を
境界に)吸入ステロイドの効果を調べています。
持続性のβ刺激薬(LABA)は単独で使用する事は禁忌ですので、それに代わる持続性の
ムスカリン拮抗薬(LAMA)を採用しています。
吸入ステロイド剤としてはモメタゾン(アズマネックス)、LAMAとしてはスピリーバ(チオトロピウム)
を採用しています。

纏めますと、

 1)  42 週間の二重盲検クロスオーバー試験において、12 歳以上の軽症持続型喘息患者
     295 例をモメタゾン(吸入ステロイド)を投与する群、スピリーバ(チオトロピウム、
    長時間作用性抗コリン薬)を投与する群、プラセボを投与する群に割り付けた。
    患者を、喀痰中好酸球比率(2%未満,2%以上)によって分類した。
    二重盲検クロスオーバー試験とはやや複雑なプロトコール(試験デザイン)ですが、
    下記に概略を示します。
 
 
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    好酸球が低い群と、多い群に先ず振り分けます。次にピリオッド1では吸入ステロイド
   (モタメゾン)とプラセボを12週、次にピリオッド2では、チオトロピウム(スピリーバ)
    とプラセボを12週、最後にプラセボの2剤を12週間としています。
    其々の最初の4週間の間に起きた喘息症状の変化は、前のピリオッドにカウントしました。
 
 2) 患者の 73%が好酸球低値であり、うち 59%で試験薬の反応に差がみられた。
    しかし、モメタゾン、またはスピリーバへの反応にプラセボとの有意差は認められなかった。
    酸球低値で治療反応に差がみられた患者のうち、モメタゾンへの反応のほうが良好で
    あったのは 57%であり、プラセボへの反応のほうが良好であったのは 43%であった。
    一方、チオトロピウムへの反応のほうが良好であったのは 、60%であったのに対し、
    プラセボへの反応のほうが良好であったのは 40%であった。
    
    好酸球高値の患者では、モメタゾンへの反応のほうがプラセボへの反応よりも有意に良好で
    あったが(74% 対26%)、チオトロピウムへの反応は、プラセボへの反応よりも有意には
    良好でなかった(57% 対 43%)。
    しかし、年齢が高い層ではチオトロピウムの効果は良好であった。

 3) ステップ2は1週間で2回以上の発作と定義されていますが、ガイドラインでは毎日の
    ステロイド吸入を勧めています。しかし、ステップ2の喘息患者の3/4は好酸球が低値です。
    タイプU(好酸球優位の喘息)でなければ吸入ステロイドは効果がありません。
    勿論、本研究でもタイプUでは吸入ステロイドは効果がありました。
    その一方で、以前から喘息患者は気道の炎症が遍在(どこでも認められる)しているので、
    気道のリモデリング(構造の変化)を防ぐ意味で、吸入ステロイドは必要とされていました。
    しかし、本論文の著者は「リモデリングは実際には稀で、喘息でヤイノヤイノと言われている
    ほどには起きていない」としています。

 3) 全体的な結論としては、軽症持続型喘息患者の大部分は喀痰中好酸球比率が低値であり、
    モメタゾン、またはチオトロピウムへの反応にプラセボとの有意差は認められなかった。
    むしろ、毎日の吸入には、副作用の方が懸念されると結んでいます。



私見)
 本院では、喀痰中の好酸球の検査は一般的には行っていません。
 末梢血での好酸球は、喀痰中の好酸球を反映しないとも言われていますが、本論文から引用しますと、
末梢血で4%以上の場合に、喀痰中にも好酸球が多いかもしれません。
取りあえず、最低限に吸入ステロイドの使用の際には、末梢血を参考にしてから喀痰中の好酸球の検査
とします。
 

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本論文より.pdf






posted by 斎賀一 at 16:56| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー