2020年10月19日

脂質異常症の管理・VA/DoDより

脂質異常症の管理・VA/DoDより
 
Management of Dyslipidemia for Cardiovascular Disease Risk
Reduction: Synopsis of the 2020 Updated U.S. Department of Veterans
Affairs and U.S. Department of Defense Clinical Practice Guideline
    This article was published at Annals.org on 22 September 2020



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 アメリカの学会VA/DoDより、脂質異常症の管理・ガイドラインが雑誌Annals of Internal Medicineに掲載されています。 
かなり大胆な内容になっています。
その妥当性は浅学の私には検証できませんが、実地医家には日頃から薄々感じている点も多いため
ブログしてみました。


1) 脂質異常症の治療目標は悪玉のLDL値でなく、リスク評価をしてスタチンの投与量を決定すること
   である。つまり結局は、中等量のスタチンの投与となる。
   もしも高容量または強力スタチンを処方する際は、患者と双方の同意が必要となる。

2) リスク評価に追加する検査項目の必要は、限定的である。
   つまりCRP、CAC(動脈弁の石灰化)、血管年齢の計測、アポ蛋白などは10年リスクの評価因子
   (血圧、降圧薬、糖尿病、年齢、喫煙、心不全、性別、総コレステロール、HDLコレステロール)
   に比べて、その価値は明白でない。

3) 一次予防でも中等量のスタチンで充分である。
   10年リスクが12%以上の時に中等量のスタチンを使用することにより、5年間で心血管疾患のリスク
   を20~30%軽減できる。10年リスクが6%以下ではその効果はなく、10年リスクが6~12%では
   スタチンのはっきりした効果を示すエビデンスはない。従って高容量のスタチンや強力スタチンを
   勧めない。スタチンにゼチーアやフィブラート系の追加も勧めない。

4) 心血管疾患発症後の二次予防に関しても、中等量のスタチンで充分である。
   確かに急性心筋梗塞後や脳卒中後のハイリスクでは、再発予防には高容量や強力スタチンが効果
   的とのエビデンスはあるが、死亡率には貢献していない。
   スタチンの副作用も増加してくるので、再発リスクの高い患者にはスタチンのステップアップの際は
   患者との十分な理解のもとに決定する必要がある。

5) 一般的なガイドラインでは定期的な脂質の血液検査を行いリスク評価を勧めているが、10年後に
   脂質の値が変化することは稀である。従って治療方針が決定したら(中等量のスタチンを処方したら)
   その後は10年間脂質を検査しなくてもよい。
   また検査は食後が原則で、空腹時採血は避けるべきである。

6) 運動療法は、脂質異常症にも心血管疾患の予防にも効果があることは証明されている。
   よって本ガイドラインでも運動は勧めるものだが、他のガイドラインが進める軽い運動の150分/週
   +きつい運動の75分/週が、必ずしも必要とは思わない。
   運動療法が有用とのデータはほとんど運動していない人との比較であり、運動には年齢や個人差
   があるため、いつでもどの程度でも行えば良いとして指導すべきである。

7) 確かに地中海料理はある程度心血管疾患に有用かもしれないが、その程度は限定的である。
   ましてやω-3、繊維成分、ガーリック、緑茶などのサプリメントは積極的には勧めない。
   (やってもよい程度)
   そんな訳で、スタチンにフィブレート系を追加するのには反対の立場である。

8) あるスタチンで有害事象が発生したら、1か月間のウオッシュアウト(中断)後に他のスタチンを
   試みる。その際には隔日投与も選択肢に入れる。






私見)
 本論文をブログしていて、自分は誤訳してないかと思ってしまいました。
 尚、本論文はネットでもfreeでアクセスできるので、念のため購入してみましたが同じものでした。
 せっかくですので購入した論文中の表を下記のPDFに掲載します。
 (ネットでアクセスできるものも同時に掲載します。)

 かなり人にも自分にも優しいガイドラインです。
 こういう「ゆるキャラ」の考え方は私はとっても好きです。






本論文1.pdf

脂質異常症Management of Dyslipidemia.pdf












posted by 斎賀一 at 21:47| Comment(2) | 循環器

2020年10月17日

新型コロナウイルスは皮膚の上で9時間も生き続ける

新型コロナウイルスは皮膚の上で9時間も生き続ける

短報



 ロイター通信によると、オックスフォードの雑誌Clinical Infectious Diseasesに、
もしも、何もしなかったら新型コロナウイルスは、人間の皮膚の上で9時間も生き続けるとの日本発の
論文が掲載されているとのことです。
死体の皮膚と、植皮を使用しての実験結果です。インフルエンザウイルスは2時間以内しか生存できないのに、新型コロナウイルスは9時間以上生存できたそうです。
80%アルコールで、15秒間の手洗いをすれば、インフルエンザも新型コロナの両方のウイルスは
死滅すると記載しています。
CDCも、20秒以上のソープでの手洗いか、60~90%アルコールでの手のこすりを勧めています。



私見)
 注意すべき事と、やる事とは同じなので、今回は原文には目を通さずに下記に掲載のみとさせて
いただきます。昔の音楽を聴いて、秋の夜長をおやすみなさい。



3 原文コロナ 皮膚 .pdf







posted by 斎賀一 at 15:58| Comment(1) | 感染症・衛生

N95マスクは肌に優しくない

N95マスクは肌に優しくない

短報



 アメリカの学会American Society for Dermatologic Surgeryで、N95マスクやサージカルマスクは、不織布マスクにくらべて顔の皮膚には優しくはないという、日頃、我々が感じている同じ内容が発表
されました。
それぞれのマスクを6時間着用して、High-resolution 3D imagingという高感度なハイテクを用いて、
皮膚を調べています。

3種類とも皮膚の刺激性、発赤、ニキビ、脂漏性を誘発しますが、不織布マスクは、皮膚の乾燥、掻痒感、
皮膚荒れは改善します。N95マスクがやはり、一番皮膚に対する有害事象が多い結果でした。
皮膚に対する圧迫と、占拠が問題としています。(当然、感染予防とは裏腹です。)



私見)
 職員の皆さんと違い、顔の皮膚が薄い、間違いました、
皮膚の敏感な私は、最近では昔懐かしアべノマスクにフェイスシールドして対応しています。



2 N95 masks may lead to greater adverse skin reactions.pdf








posted by 斎賀一 at 14:45| Comment(0) | 感染症・衛生