2020年07月29日

入院における新型コロナに対するデキサメタゾンの効果

入院における新型コロナに対するデキサメタゾンの効果
 
Dexamethasone in Hospitalized Patients
with Covid-19 − Preliminary Report
This article was published on July 17,2020, at NEJM.org



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 ステロイドを服用している患者さんにとって、新型コロナは現段階では十分に注意が必要な疾患です。
もしも罹患して、入院中にステロイドのデキサメタゾンの選択を求められた時、判断はどうすべきかの問いがブログでありました。
また最近では、日本でもデキサメタゾンの本疾患での適応を認めています。

 雑誌NEJMのオンラインでその根拠となる論文が掲載されていましたので、簡単に要点を纏めてみま
した。


1) ウイルス性疾患において、従来よりステロイドを使用するとウイルスの増殖に繋がるので禁忌と
   言われていますが、その反面ステロイドは最強の抗炎症作用があり、病状の進行を阻止します。
   以前のSARS,MARSやインフルエンザなどのウイルス性疾患でステロイド使用すると、ウイルスの
   クリアランス(排出)が遅延するため有害とされていましたが、今回の新型コロナ感染では、ウイルス
   の複製(増殖)は病気の初期にピークとなり、その後減少すると言われています。
   従って新型コロナ患者の重症化にはウイルスの複製は二次的な問題で、主たる病変は免疫病理学
   的要因が関与しているものと想像されています。
   今回のRECOVERY研究では、入院した患者で発症後7日以上治療を受けている患者は、炎症性
   肺損傷が強いものと想定しての研究です。

2) 今回のRECOVERY研究では新型コロナで入院した2,104名がデキサメタゾンの治療を受け、
   4,321名が通常の治療を行っています。
   デキサメタゾン群では、デキサメタゾンを一日一回6mgを経口か経静脈で、最大10日間投与して
   います。

3) 全体で28日以内の死亡率は、デキサメタゾン群で22.8%(482名)に対して、通常群では25.7%
   (1,110名)でした。
   さらに詳細に見てみますと、人工呼吸器を使用した群では死亡率に差があり、効果が出ています。
   デキサメタゾン群では29.2%に対して、通常群では41.4%です。
   酸素療法だけの群ではデキサメタゾン群が23.3%で、通常群は26.2%でした。
   一方で呼吸支援を受けていない群ではデキサメタゾン群が17.8%で、通常群が14%と逆転して
   います。
   重症化の見られない軽症の場合では、デキサメタゾンの害(harm)がありそうです。

4) 日本でも同時に承認されたレムデシビルは入院患者の回復時間を短縮する事が確認されています
   が、死亡率の低下には明白な結果が出ていません。
   デキサメタゾンとレムデシビルは、適応患者と病気の時期により使い分ける必要があります。




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私見)
 お問い合わせに関しては、基礎疾患でプレドニンを服用していて万が一デキサメタゾンを追加しても
 支障はないものと思います。

 理由としては
 ・デキサメタゾンの使用は最大で10日以内
 ・デキサメタゾンとステロイドでは、力価と作用時間が異なります。





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 ラング・デール薬理学より
 専門医は適切に漸減してくれるはずです。









posted by 斎賀一 at 13:01| Comment(1) | 感染症・衛生

新型コロナの家庭内感染・韓国からの報告

新型コロナの家庭内感染・韓国からの報告
 
Contact Tracing during Coronavirus Disease Outbreak, South Korea, 2020



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 韓国で2020年1月20日から3月27日にかけて、新型コロナ患者を対象にした調査を行いました。


纏めますと

1) 新型コロナ患者(index patient)5,706人に対して一回でも接触をした人59,073人を対象に、
   聞き取り調査を行っています。
   家庭内群(household)とは、新型コロナ患者以外の家庭の一人に聞き取りを行っています。
   高リスク(家庭内接触、医療従事者)は定期的にPCR検査を実施し、低リスクは症状のある人だけを
   対象にPCR検査を行っています。
   家庭内群とは新型コロナ患者と同居している場合で、非家庭内群とは新型コロナ患者と同じ住居に
   生活していない人を定義しました。
   (韓国方式ですので、徹底した正確なデータだと思われます。論文ではプライベートを重視したと
    述べていますが。)

2) 発生率は、(新型コロナの診断確定数 ÷ 追跡した接触者)×100 です。




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   家庭内群のindex patientは20~29歳が一番多く3.417名で32.3%です。
   10~19歳は18.6%です。全体で陽性率は11.8%でした。
   非家庭内群では陽性率が全体で1.9%です。

3) 結論
   家庭内群の伝搬は成人よりも子供に多い結果です。しかも学校閉鎖の状態での結果です。
   非家庭内群が家庭内群より少ないのは、社会ではディスタンスを守り、家族がステイホームを守って
   いたためかもしれません。一方で家庭内群での伝搬は急でした。
   家庭内群でも学童の方が0~9歳より発生頻度が多いのは、学校閉鎖でも学童は家庭外での活動が
   活発なためと推定しています。
   学校が再開し社会が自粛を緩和するに従って発生頻度の推移を注意深く観察しなくてはなりません。
   Index patientが10~19歳の場合は、家庭内群での伝搬が高いことに注目しなければなりません。






私見)
 本日のニュースでは、日本でも今回の第二波は家庭内感染が多くなっているようです。
 インフルエンザの様相を呈してきています。若い人から高齢者の伝搬が心配されます。新型コロナが土着性を獲得し始めているかのようです。弱毒性を期待するのみです。





新型コロナ 本論文.pdf








posted by 斎賀一 at 12:55| Comment(0) | 感染症・衛生

2020年07月27日

新型コロナの重症化の予測ツール

新型コロナの重症化の予測ツール
 
<短 報>  
Development of a Clinical Decision Support System for Severity
Risk Prediction and Triage of COVID-19 Patients at Hospital Admission
: an International Multicenter Study





 新型コロナ患者を診断したときに、初期において重症化を予測できないかを試みた論文が出ています。
ネットでできるツールがありましたので掲載します。






https://covid19risk.ai/model-mu4/


予測 本論文.pdf













posted by 斎賀一 at 18:23| Comment(0) | 感染症・衛生