2019年01月05日

赤ワインは片頭痛の誘発因子(trigger)

赤ワインは片頭痛の誘発因子(trigger)

Alcoholic beverages as trigger factor and the effect on alcohol
consumption behavior in patients with migraine



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 赤ワインは片頭痛の原因とされています。今回、その他のアルコール飲と比較しながら、
片頭痛の赤ワインの役割を調べた論文が掲載されています。


纏めてみますと、


 1) データはアンケートを主体にして2,197名の片頭痛患者を調査しました。
    (コントロールを設定しないのは、不可能に近い事と判定が困難との事です)
    アルコール飲がtriggerと報告したのは35.6%です。
    片頭痛患者の中で、25%は片頭痛を予測してアルコール飲を途中で止めたり、
    決して飲んでいませんでした。10%の人は、アルコール飲が片頭痛を誘発すると他人から
    言われたことがあり、自分では経験が無くてもアルコール飲を控えていました。
 
 2) アルコール飲が原因の場合の中で、赤ワインが一番多く77.8%です。
    しかし、間違いなく片頭痛を起こす頻度はたったの8.8%でした。
    原因triggerとして、赤ワインは英国、白ワインはフランスとイタリア、ウォッカはロシアが
    多く見られましたが、勿論アルコールの消費量のバイアスが掛かっています。

 3) 種類に関係なく全てのアルコール飲での片頭痛発作開始時間は、1/3が3時間以内で、
    90%が10時間以内です。「二日酔い」よりも早期に発作が起こる事より、triggerと
    二日酔いは独立した因子で別の生理学的機序が関与しているものと推測されます。
    (二日酔いは血中アルコール濃度が低下する時に起ります)

 4) 誘発に関してアルコール飲にあまり一貫性が無いのは、単独の誘発因子ではなく、
    その他の因子(不眠、疲労、ストレス、生理など)が変動して関与しているからと思われる。
    結果は下記のPDFを参照ください。



私見)
 赤ワインは原因と言うよりは、単なる一つの誘発因子(trigger)で複合的な因子が変動しながら
関与しているものと思われます。
 この私は片頭痛持ちで、アルコールに関して下戸です。その割には赤ワインが好きで、小瓶に分けて
一日少しだけ嗜んでいます。ご参考まで。



赤ワイン.pdf

赤ワイン片頭痛 .pdf









posted by 斎賀一 at 15:23| Comment(1) | その他

2019年01月04日

心房細動におけるCHA2DS2-VAScスコアーの評価

心房細動におけるCHA2DS2-VAScスコアーの評価
 
Effect of Variation in Published Stroke Rates on the Net
Clinical Benefit of Anticoagulation for Atrial Fibrillation



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 心房細動の合併症で一番心配なのは脳梗塞ですが、その予防のために抗凝固薬(ワーファリン、DOAC)を服用します。服用する基準としては、危険因子の評価としてCHA2DS2-VAScスコアーが今
では一般的ですが、住民の母集団(population)によりその適応の価値が異なるとのデータがでました。
 欧米ではスコアーが2以上で抗凝固薬が適応となり、スコアー:0では服用の適応なしとしています。
問題はスコアー:1の場合ですが、これに関しては論争があります。

今回の論文ではスコアーが2の時で未治療の場合、年間でどの程度脳梗塞が発生するかを調べました。
ATRIA研究では0.8/100/年、SPORTIF研究及びSwedishコーホー研究では2.2/100/年、Danishコーホー研究では3.7/100/年でした。
上記により解析しますと、抗凝固薬の適応はpopulationにより0,1,2と異なる結果となりました。





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私見)
 j-watch-cardiologyのコメントによりますと、「本研究の主たる薬剤はワーファリンであった。
しかし現在ではDOACの方が効果も副作用に関しても有用だ。また本研究は、リスクの低い〜高いpopulationの差が出た結果である。 結論的には、服用に際してスコアー1〜2が特に重要である。」

 本院でも従来通りにスコアー2で服用の適応とし、1では患者さんとのコンセンサスが必要なようです。


詳細は下記のブログを参照ください。


  「葦の髄から循環器の世界をのぞく」

  http://blog.livedoor.jp/cardiology_reed/archives/77428865.html





af chad.pdf

心房細動の抗凝固療法の適応を決めるとき.pdf










posted by 斎賀一 at 20:30| Comment(0) | 小児科

2018年12月30日

妊娠と糖尿病

妊娠と糖尿病
 
Standards of Medical Care in Diabetes 2019



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 アメリカの学会ADAより2019年の糖尿病ガイドラインが出ました。
 (2018年版とほぼ同じですが異なる点もあり、後日纏めてみたいと思います。)
取り敢えずチャプター14の妊娠編を纏めてみました。
序論として妊娠と糖尿病についても勉強しましたので、まずそれから記載します。


序論  「今日の臨床サポート」参照

 妊婦の糖代謝異常は「妊娠糖尿病」「妊娠中の明らかな糖尿病」「糖尿病合併妊娠」 に分類される。
 ・「妊娠糖尿病」とは、妊娠中にはじめて発見または発症した糖代謝異常であるが、糖尿病に至って
  いない場合である。
 ・「妊娠中の明らかな糖尿病」に関しての診断基準も、下記のPDFをご参照ください。
 ・「糖尿病合併妊娠」とは、以下のいずれかに該当する場合である。
  妊娠前に既に診断されている糖尿病
  確実な糖尿病網膜症があるもの
  妊婦のスクリーニングに関しても今臨サより拝借し、下記にPDF化してありますのでご参照ください。


本論;ADAガイドラインより

1) 妊娠前に女性は専門家のコンサルトを受け、A1cが6.5以下を目標にコントロールしておくべきで
   ある。

2) 妊娠中は赤血球の寿命(turn over)が短いので、A1cは低めに測定される。
   よって低血糖の心配がなければA1cは6.0を目標にするが、低血糖の懸念がある場合は7.0以下と
   する。
   また正常の糖代謝を有する妊婦においては、胎児や胎盤の糖吸収のために非妊娠時と比べて
   空腹時血糖は低いが、逆に食後血糖は胎盤からのホルモン(diabetogenic placenta
   hormones)により、血糖が高めになる。

3) インスリンの生理的変化
   T型糖尿病では、妊娠初期にインスリン感受性が高く血糖は低めで、インスリンの必要量も低下
   する。
   しかし妊娠中期、後期になるとインスリン抵抗性が増加傾向に変化してインスリンの必要量も増すが
   後期の最後には横ばいとなる。
   正常の妊婦では、インスリンの分泌が十分なためインスリン抵抗性に対応できるが、妊娠糖尿病や
   糖尿病合併妊娠では、適切な治療をしないと高血糖になる。

4) T型及びU型ともに下記の目標
   空腹時血糖 : 95mg以下、食後1時間血糖 : 140mg以下、食後2時間血糖 : 120mg以下  
   勿論、低血糖には注意が必要で、目標値は個々人で異なる。

5) インスリンは胎盤を通過しないので、治療の第一選択である。
   メトグルコとサルファニール尿素系は胎盤を通過するので、第一選択にはなれない。

6) 妊娠糖尿病は妊娠初期からのダイエット、身体活動、ライフスタイルの改善で予防できる。
   ある研究では、妊娠糖尿病の70~85%がライフスタイルだけの改善でコントロール出来るとして
   います。

7) 全ての妊婦は最低175gの炭水化物、最低71gの蛋白質、最低28gの線維の摂取を勧めています。

8) T型及びU型糖尿病のインスリン療法
   妊娠の極初期にはインスリンの必要量が増加するが、9週以降は減少してくる。
   やがて16週以降はインスリン抵抗性の傾向となり、5%/週のインスリンの増加が必要になる。
   妊娠後期ではおよそインスリンの倍量が必要になる。
   一般的には基礎インスリンは50%以下で、追加インスリン(食後)50%以上の割合とする。
   妊娠後期では、インスリン必要量は横ばいとなるか減少の傾向である。
   ヒトインスリンは何れも胎盤を通過しない。

9) T型糖尿病
   妊娠初期に低血糖の頻度が増す。しかも低血糖の症状は様々で、見逃されることがある。
   妊娠そのものがケトアシドーシスになり易いし、網膜症の危険も増加する。

10)U型糖尿病
   出産後は劇的にインスリンの必要量が低下するので、注意が必要

11)血圧管理
   目標は120~160/80~105
    拡張期血圧が100と85を比較した研究があるが、転帰に関しては差が無かった。
   降圧薬はアルドメット、アダラート、ヘルベッサーなど
   ACE-IやARBは禁忌。降圧利尿薬も母体の循環血液量の不安定に繋がるため、長期の使用は
   控える。

12)妊娠糖尿病の出産後について
   出産後4〜12週にかけて75g糖負荷試験を実施
   赤血球の寿命が短かく(turn over)、出産による出血のためA1cよりも糖負荷試験を推奨
   次の出産に際してU型糖尿病を発症する事が多く、事前に充分な検査が必要
   15~25年後に糖尿病発生は50~70%と言われている。よって1~3年おきに糖尿病の検査が
   必要
   出産後の肥満が危険因子である。よって妊娠糖尿病の場合は、出産後の積極的なライフスタイル
   改善の介入が大事





私見)
 妊娠による糖代謝の変化は日々刻々と変化し、予測が難しいようです。
 慎重な定期的な検査を、妊娠中及び出産後も実施する事が肝要です。


私の以前のブログ(2018-4-2) : 「妊娠と糖尿病治療薬」 も併せてご参照ください。
ヘモグロビンA1cに関しても下記のPDFを参照ください。



 ◆ 参考書籍  糖尿病診療ハンドブック : 中外医学社





妊娠と糖代謝.pdf

A1c.pdf

Care in Diabetesd2019.pdf

以前のブログより.pdf
















posted by 斎賀一 at 18:46| Comment(1) | 糖尿病