2021年09月02日

闘い続けた内橋克人先生

闘い続けた内橋克人先生



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 内橋克人先生に師事して三十有余年が過ぎました。
先生が講演で四国に行かれた時、先生を知らない旅館の女将が先生の顔を見ただけで
「あなたは自分に厳しく、人にも厳しい方です」と見抜かれたとの事です。
その事が大変お気に入りの様で、嬉しそうに語られていました。
私はと言えば、「自分に優しいので、できるだけ人にも優しく」がモットーです。
私が、「先生の国民に対する優しい眼差しには心が打たれます。」とお話ししますと、「国民を信用しては
なりません。」との意外な言葉が返ってきました。
訝る私に先生の奥様が、「主人は可哀そうな人や、虐げられた人に対して、心底同情し夜中まで一人泣いているのです」と打ち明けられました。

私の尊敬するある病院長が、失意のうちに地元を離れるとき、私に一言を賜りたいとお話しすると、
「患者を差別しないことです。私はそれを続けてきました。」とお話しくださいました。

以前、内橋先生に愛読書をお聞きした時、「蟹工船です」と教えてもらいました。
内橋先生は虐げられた人、そして、その社会に対し最期まで闘い続けた評論家でした。
「人生のぎりぎりの一言は何ですか」とぶしつけに先生に問うことが夢でしたが、残念ながら
それは叶わない事となりました。
もう一度、先生の書物から自分で見つけなければならないようです。






posted by 斎賀一 at 11:23| Comment(1) | 日記

2021年09月01日

コロナワクチン接種後の心筋炎

コロナワクチン接種後の心筋炎

Myocarditis after Covid-19 mRNA Vaccination

        


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 ファイザーワクチン接種後の心筋炎について以前にブログしましたが、今回、雑誌NEJMに
心筋生検を含めた2例の報告がありました。


  ・ 症例1
    
      45歳の女性。ウイルス感染の前駆症状はありません。
      1回目のファイザーワクチンを接種して、10日目に呼吸苦と眩暈が生じています。
      鼻咽頭のウイルス検査ではすべて陰性です。血清学的PCRでも、ウイルス感染を同定
      されていません。
      受診時に頻脈、心電図でST低下、トロポニン値上昇を認めています。
      心エコーで駆出率が15〜20%に低下。冠動脈造影では著変なし。
      心筋生検ではT細胞、マクロファージの心筋組織への浸潤を認めています。
      治療により、症状発現から7日で駆出率が60%に回復して、退院しています。



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  ・ 症例2
    
      42歳男性です。モデルナワクチンを2回接種し、2週間後に呼吸苦と胸痛が出現しています。
      ウイルス感染の前駆症状はありません。
      頻脈と発熱で受診しています。心電図はST上昇、心エコーで駆出率が15%に低下。
      冠動脈造影では著変ありません。心原性ショックを起こし、症状発現後3日で死亡しています。
      病理解剖がなされています。



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結論
 
  2例とも劇症心筋炎の組織像です。コロナワクチン接種後の2週間以内に発生しています。
 


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私見)
 9月から新学期がスタートします。ワクチン接種も12歳までが対象となります。若い人への接種を
本院もすすめて参りますが、ワクチンの有効性のみが先行する事には、十分な注意が必要です。
 心筋炎に対しては迅速な対応として、呼吸苦、胸痛、頻脈の症状に心電図、トロポニン、
簡易心エコーが必須です。
 心不全の治療、methylprednisolone (1 g daily for 3 days)




1 Myocarditis after Covid-19 mRNA Vaccination.pdf

2 ブログ 心筋炎.pdf

3 心筋炎 ped.pdf








posted by 斎賀一 at 21:40| Comment(0) | 感染症・衛生

2021年08月31日

新型コロナの異種混合ワクチン

新型コロナの異種混合ワクチン
 
Safety and immunogenicity of heterologous versus
homologous prime-boost schedules with an adenoviral vectored
and mRNA COVID-19 vaccine (Com-COV):
a single-blind, randomised, non-inferiority trial


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 日曜朝のテレビ番組で河野太郎規制改革担当相が、異なる種類を組み合わせる「異種混合接種」実施について語りました。
以前の私のブログでも、アストラゼネカの次にファイザーワクチンを接種する、所謂「ハイブリッド」の有効性を掲載しましたが、今回ガチンコ勝負の文献が雑誌LANCETに載っていましたので、この時期に遅ればせながらブログします。

 尚、今回の研究報告ではアストロゼネカの2回目の接種を最初より計画しており以前のような待機
 (ペンディング)ではありません。


1) 2021年2⽉11⽇〜2⽉26⽇の間に、検査でSARS-CoV-2感染歴がない50歳以上の成⼈が対象
   です。
   28⽇または84⽇のブースト間隔で投与された830人が登録され、ChAd/ChAd、ChAd/BNT、
   BNT/BNTまたはBNT/ChAdに無作為に振り分けられています。
    (AstraZeneca社, 以下ChAdと Pfizer-BioNTech社, 以下BNT)
   今回の報告は、ブースト間隔が28⽇の463⼈が対象となりました。
   液性免疫と細胞免疫を0日、28日、56日に測定しましたが、その中で特別に100人が
   Immunology群として、7日、14日、35日、42日に追加検査をして詳細化しています。
   一般群とImmunology 群を、それぞれ4つのスケジュール(28⽇間隔のみ)に(1:1:1:1)振り分け
   ています。参加者の平均年齢は57.8歳で⼥性は212⼈(46%)です。
   84日のブスター間隔は近々報告されるとの事です。
   主要転帰はChAd/BNTとChAd/ChAd、BNT/ChAdとBNTを⽐較したときのブースト後、28⽇の
   ⾎清SARS-CoV-2抗スパイクIgG濃度(ELISAで測定)です。

3) 結果は
   4つのスケジュールすべてがChAd/ChAdスケジュールの濃度と同程度の、感染予防に匹敵する
   ⾼濃度の抗体であるSARS-CoV-2抗スパイクIgGを誘導していました。
   細胞性免疫応答は、BNTワクチンを含むスケジュールでは同様に、ChAd/ChAd群と同等以上に
   ⾼く、BNT/ChAdはブースト後28⽇のワクチン抗原に反応するT細胞が、最⼤に反応しています。
   重篤な有害事象は全群で4件発⽣したが、いずれも予防接種との関連性はないとの事です。

4) アルファ変異株(B.1.1.7)感染による⼊院に対する有効性は86%、デルタ変異株(B.1.617.2)
   感染による⼊院に対する有効性は92%でした。
   症候性感染に対する有効性は、アルファ変異株で66%、デルタ変異株で60%です。

5) 今までの研究ではドイツで⾏われた前向きコホート研究で、BNT/BNTを3週間間隔で接種した
   医療従事者と、ChAd/BNTを8〜12週間間隔で接種した医療従事者を⽐較した初期の結果では、
   ブースト後3週間の抗体濃度は同程度で、細胞応答はChAd/BNT接種者の⽅が高い結果でした。
   25〜46歳の26⼈の被験者を対象としたドイツの別のコホート研究では、8週間のプライムブースト
   間隔でChAd/BNTを投与したところ、強固な液性免疫が得られ、BNT/BNTを投与した非無作為化
   コホートで観察された中和活性よりもベータおよびデルタ変異株に対する中和活性が保持されて
   いたことが示されています。

6) 本研究から、ChAdとBNTの異種混合スケジュールが、4週間のプライムブースト間隔で高い免疫
   反応と証明されました。





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   上の2つの表のAとBから、ChAd/BNTが優位なようです。
   一番下のグラフのAが液性免疫の推移で、Dが細胞免疫の推移です。
   BとCが中和抗体を示します。やはりChAd/BNTが勝っています。

7) 考察として
   発展途上国や経済的貧困国では多様なワクチンスケジュールが必要です。
   しかしこの異種混合ワクチンスケジュールは年齢が若くなればなるほど、その反応源性
   (免疫形成と副反応を含めた意味)が高まり、今後の課題です。







私見)
 日本はコロナに関して二流国です。海外のエビデンスを頼りにしなくて何も語れません。
 イケイケドンドンの河野大臣発言に対して、官房長官が水を差しています。
 なぜ今、異種混合ワクチンなのか。
 答えは簡単です。
 効果はともかくとして、日本でもワクチンが不足している事と、アストラゼネカが安いからです。






Safety and immunogenicity of heterologous versus homologous prime-boost schedules with an adenoviral vectored and mRNA COVID-19 vaccine (Com-COV)_ a single-blind, randomised, non-inferiority trial.pdf












posted by 斎賀一 at 19:23| Comment(0) | ワクチン