2018年07月17日

抗凝固薬を服用している時は鎮痛剤(NSAIDs)に注意

抗凝固薬を服用している時は鎮痛剤(NSAIDs)に注意
 
Concomitant Oral Anticoagulant and Nonsteroidal Anti-
Inflammatory Drug Therapy in Patients With Atrial Fibrillation


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 抗凝固薬(OAC:DOACとワーファリン)とNSAIDsを併用すると、出血性胃病変の危険がある事は周知の事実ですが、脳梗塞の危険も増加するとの論文がアメリカの雑誌JACCより報告されました。
心房細動患者に対するプラザキサのRE-LY研究の新たな追加発表です。
その研究の期間中に、最低1回でもNSAIDsを服用した2,279名を対象にしています。


纏めてみますと

1) OACとNSAIDsを併用した群と併用しない群を比較すると、重大な出血例が5.4%対3.3%と増大
   していました。危険率は1.68です。この傾向は全てのOACに共通しています。
   重大な消化管出血は1.81の危険率でした。

2) 脳卒中の発生に関しては、虚血性は危険率が1.55と増加していましたが、出血性は危険率が1.08
   とほぼ同等です。

3) プラザキサはワーファリンと異なり、NSAIDsとの相互作用はないものとされています。

4) 心房細動患者は骨関節性疾患を併発している事が多く、鎮痛薬を処方する場合は配慮が必要として
   います。当然ながら胃酸分泌抑制薬のPPIを併用処方すべきです。
   NSAIDsとしてカロナールが安全かもしれないが、その際も充分な注意が必要とのことです。
   セレコックスは消化管出血の副作用が少なく、血小板機能を減弱させないので適応かもしれません。





私見)
 少量アスピリンとNSAIDsは干渉するため、以前から配慮が必要とされていますが、最近ではセレコック
 スだけが悪者ではないとする報告も出てきました。 (私のブログをご参照ください。)
 今回の論文からは、DOACと併用するならセレコックスを必要最小限度に処方するという事を示唆して
 いるようです。






Concomitant Oral Anticoagulant and Nonsteroidal Anti-Inflammato.pdf











posted by 斎賀一 at 20:39| Comment(0) | 循環器

帯状疱疹ワクチンの続報

帯状疱疹ワクチンの続報
            Medical tribuneより



 以前、私のブログに記載いたしました帯状疱疹ワクチンにおいて、水痘ワクチン(ビケン)の帯状疱疹
に対する適応拡大がありましたが、更に追加する形でサブユニットワクチン(シングリックス)が上市
されました。
効果はビケンよりシングリックスのほうがありますが、副反応も多いようで本院での採用は検討中です。





 
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1; ワクチン水痘.pdf


2; 帯状疱疹ワクチン「シングリックスレジスタードマーク筋注用」承認取得のお知らせ.pdf


3; Recombinant zoster (shingles) vaccine_ Drug information - UpToDate.pdf














 
posted by 斎賀一 at 19:54| Comment(0) | ワクチン

2018年07月14日

小児の尿路感染症に対する抗生剤の予防投与

小児の尿路感染症に対する抗生剤の予防投与
 
Uropathogen Resistance and Antibiotic
Prophylaxis: A Meta-analysis



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 膀胱尿路逆流症(VUR)は外来でも時々遭遇します。
主にエコーで、水腎症の所見から診断されることが多いようです。尿路感染症を3日間放置すると、この水腎症の瘢痕化が増悪する懸念があります。この事からVURで尿路感染症を併発しないように、抗生剤の予防投与を実施する事があります。
しかしこの治療方針は、抗生剤に対する多剤耐性菌を誘発する問題があります。


 今回、雑誌Pediatricsよりこれに関する論文が出ていましたので纏めてみました。

1) VURの18歳以下の患児で、継続して抗生剤の予防投与を行った1,299名(一度尿路感染症を併発
   した224名を含む)を登録し、予防投与しない症例、及び一般的なプラセーボをコントロール群と
   して比較検討しています。

2) 6研究から、抗生剤の予防投与による多剤耐性菌の発生頻度は0~62%でした。

3) 予防投与を行った群では、多剤耐性菌が33%でした。(コントロール群は6%)
   Broad –spectrum(広範囲に効く抗生剤)を使用すると、49%から68%になります。
   この事は予防投与をすることにより、VURのある患児の21人に対して1人に多剤耐性菌が生ずる事   
   になります。(コントロール群では一般的な乳幼児も含まれるため)
   一方で、予防投与をする事により尿路感染症の頻度を23.1%から18.3%に減少させます。
   この事はVURの患児21人に対して、1人よりも少ない人数に効果があったことになるそうです。
   つまり、効果より多剤耐性菌の害の確率が、やや上回っているようです。

4) 論者はこの事から、直ぐに予防投与を中止するように保護者に説明すべきでないとしています。
   一回以上の感染症を合併している場合や外科的処置を好まない保護者に対しては、予防投与の
   選択肢があるが、その利害を説明すべきとしています。






私見)
 本院でも尿路感染症は乳幼児の重要な鑑別疾患です。
 特にVURのある患児に対しては、日頃より保護者に説明しておくことが肝心と認識しています。
 職員の皆さん、そんなわけで尿沈渣に奮闘してください。





Uropathogen Resistance and Antibiotic Prophylaxis_ A Meta-analy.pdf

VUR解説.pdf










posted by 斎賀一 at 16:34| Comment(1) | 小児科