頸動脈解離の予防
Risk Profile of Patients with Spontaneous Cervical Artery Dissection
頸動脈解離は稀な疾患ですが、若い人に多く、死亡率も高いため注目される疾患です。本院でも数名の患者さんが発症しており、事前に診断できなかったのか悔やまれます。今回、その予防に関する論文が掲載されていますのでブログします。
先ず頸動脈解離を説明します。(ウイキペディアより)
「脳に血液を供給する頚動脈の内層がふた状に裂けた状態のことである。典型的な症状は、首、顔、頭の片側に痛みが生じる。頸動脈解離は、脳卒中の症状である片目の失明、味覚異常、複視などを伴う場合がある。その他の症状には、ホルネル症候群(縮瞳と眼瞼下垂)があげられる。合併症には、脳卒中またはくも膜下出血があげられる。」
(以上ウイキペディアより)
本論文はイタリアからの報告です。
1) 3群を比較検討しています。
1群;特発性の頸動脈解離群(sCeAD)
2群;sCeAD以外の急性脳卒中群
3群;健康な病院職員です。
1群は1,468人、平均年齢は47.3歳、男性が56.7%です。
1群の病変は殆どが単一血管で頸動脈が59.3%、椎骨動脈が26.3%です。
2) 結果
1群を他の群と比較したリスク率は、高血圧が1.65、前兆のない片頭痛が2.67、
前兆がある片頭痛は2.45、家族歴があれば1.69でした。
一般的な脳卒中の危険因子の糖尿病、高脂血症、肥満の項目は関係なく寧ろ逆相関
でした。
又、β―ブロッカーが投与されていない場合は逆相関の関係です。
3) 高血圧と片頭痛がリスクです。
治療にはβ-ブロッカーが有効です。
私見)
若い人で高血圧がある人には片頭痛の有無を問診し、一度はMRI検査を勧め、基本的な治療はβ-ブロッカーが第一選択でしょうか。
Uptodateより図譜
解離は、動脈壁の構造的完全性が損なわれ、最初に壁内血腫として血液が層間に
集まります。
明白な外傷なしに起こる場合は、病因に関与する体質的な素因があっても特発性と
扱われます。
頸動脈解離.pdf