治療歴のある進行性子宮内膜がん(子宮体がん)に対するレンビマ+キイトルーダ併用療法
Lenvatinib plus Pembrolizumab for Advanced Endometrial Cancer
[n engl j med 386;5 nejm.org february 3, 2022]
[n engl j med 386;5 nejm.org february 3, 2022]
子宮体部癌に対して分子標的薬のレンビバと、チェックポイント阻害薬のキイトルーダの併用の効果を示した研究が2022年の雑誌NEJMに載っていましたのでブログします。
1) 方法
第 3 相試験で、プラチナベースの化学療法のレジメン(Platinum-based
chemotherapyは、がん治療の一形態であり、癌細胞の成長を抑制し、
破壊するために、プラチナという金属元素を主成分とする化学薬剤を
使用する治療法を指します。これは主に、固形腫瘍やがんの治療に用いられて
います)を 1 種類以上受けた進行子宮内膜癌患者を、レンビバ(20 mg を
1 日 1 回経口投与)と、キイトルーダ(200 mg を 3 週ごとに静脈内投与)
の併用療法を行う群と、治療担当医が選択した化学療法(ドキソルビシン
60 mg/m2体表面積を 3 週ごとに静脈内投与、または、パクリタキセル
80 mg/m2 を週 1 回静脈内投与 [3 週間の投与と 1 週間の休薬で 1 サイクル])
を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた。ミスマッチ修復機能欠損なし
(pMMR)の癌患者(免疫チェックポイント阻害薬の効果が少ないと思われる
ポピュレーション)と、すべての患者で行った。安全性も評価した。
2) 主要エンドポイントは、無増悪生存期間と、全生存期間の 2 つとした。
827 例(pMMR 癌 697 例、ミスマッチ修復機能欠損癌 130 例)が、
併用群(411 例)と化学療法群(416 例)に無作為に割り付けられた。
3) 結果
827 例が(pMMR 癌 697 例、ミスマッチ修復機能欠損癌 130 例)
併用群(411 例)と化学療法群(416 例)に無作為に割り付けられた。
無増悪生存期間の中央値は、併用群が化学療法群よりも長かった。
(pMMR 集団:6.6 ヵ月 対3.8 ヵ月、増悪または死亡のハザード比0.60
;全体:7.2 ヵ月 対 3.8 ヵ月、ハザード比 0.56)
全生存期間の中央値は、併用群が化学療法群よりも長かった。
(pMMR 集団:17.4 ヵ月 対 12.0 ヵ月、死亡のハザード比 0.68
;全体:18.3 ヵ月 対11.4 ヵ月、ハザード比 0.62)
グレード 3 以上の有害事象は、併用群の投与を受けた患者の 88.9%と
化学療法群を受けた患者の72.7%に発現した。
(pMMRポピュレーションは、がん患者の中で、ミスマッチ・リペア機構が
正常に機能しているとされるグループを指します。ミスマッチ・リペア機構が
正常に働いている場合、DNAのミスマッチや、小さな挿入/欠失などのエラーが
適切に修復され、がん細胞は相対的に安定していると考えられます。
pMMRポピュレーションに属する患者は、がん組織中でミスマッチ・リペアが
効果的に行われているため、治療法や予後が一般的ながん患者とは異なる
可能性があります。pMMR状態のがんは、通常は免疫チェックポイント
阻害薬に対する感受性が低い傾向があります。これは、免疫チェックポイント
阻害薬が、主にミスマッチ・リペア機構が不全ながんに対して効果的であるため
です。)
4) 考察
併用群は、pMMR(免疫チェックポイント阻害薬が効果が少ないと思われる人)にも、
全体にも効果がありました。
5) 結論
進行子宮体部癌は、レンビバとキイトルーダ併用療法により、化学療法と比較して、
無増悪生存期間と全生存期間が有意に延長した。
私見)
進行性子宮体部癌の治療のベースとなった論文の様です。
癌治療の進歩に期待したいものです。
下記にメーカーの説明のPDFを掲載しました。
尚、低アルブミンの場合には治療が延期され、アルブミンの改善が必要となります。
(免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)の投与において、低アルブミン血症が問題となる
可能性があります。アルブミンは、血液中の主要なタンパク質であり、様々な生体機能に
関与しています。低アルブミン血症は、体内の免疫応答や薬物代謝に影響を与える可能性が
あります。ICIsは、免疫系を活性化させ、がん細胞への攻撃を増強する働きがあります。
しかし、低アルブミン血症があると、薬物の代謝や分布が変化し、副作用のリスクが増加する
可能性があります。また、低アルブミン血症は、免疫系の機能にも影響を与え、ICIsの効果が
低下する可能性も考えられます。)
キイトルーダ

