2019年12月04日

フィッツ・ヒュー・カーティス症候群

フィッツ・ヒュー・カーティス症候群
 
Fitz-Hugh–Curtis Syndrome
       n engl j med 381;22 nejm.org November 28, 2019



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 フィッツ・ヒュー・カーティス症候群とは、女性生殖器から進入した病原体により、骨盤内腔炎から肝周囲炎に至った感染症です。性行動を伴う年齢の女性に発症することが多く、クラミジア、次いで淋菌などによるものが多いが大腸菌群、嫌気性菌によるものにもみられます。エコーを含めた画像診断では、はっきりした所見が認められないことがあり、疑いで二次施設に紹介する事もあります。
内科診断書の鑑別には必ずと言っていいほど現れる病名です。

 右上腹部痛が特徴ですが、直前の婦人科受診歴や下腹部痛は、本疾患を示唆する重要な病歴です。
しかし、FHCS発症の前後で骨盤腹膜炎の症状を呈さない症例が存在すること、腹部所見の割に血液検査所見が乏しいことが診断を難しくしています。
また、右上腹部痛は胆道系疾患などとの鑑別を要します。腹痛を主訴に一般内科外来を受診した若年女性において、右季肋部圧痛を呈した場合は常にFHCSを考慮し、 婦人科的な問診を加えることが診断に有用であると考えられます。

 雑誌NEJMに説得力のある画像が載っていましたので掲載します。
症例は62歳の女性で、3か月前より右上腹部痛が間歇的にありました。それより約4か月前に激しい下腹部痛、帯下(化膿性)があり婦人科を受診、骨盤内感染症の診断を受けています。
腹部エコーで胆石を認めており、胆石発作の診断の基で腹腔鏡を実施、肝臓と腹壁にバイオリンの絃のような癒着を認めています。  (violin string-like adhesion)
本症例は胆石があったので、偶然診断出来た症例です。

女性で右上腹部痛を訴えている場合に胆石など他の疾患を除外した後、このフィッツ・ヒュー・カーティス症候群も鑑別する必要がありそうです。





本論文より.pdf











posted by 斎賀一 at 20:13| Comment(0) | 婦人科

2017年04月15日

急性妊娠脂肪肝

急性妊娠脂肪肝

Acute Fatty Liver Disease of Pregnancy: Updates
in Pathogenesis, Diagnosis, and Management



        
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 一般的に妊娠初期は不安定で注意が必要ですが、妊娠後期は安定期とされています。
 今回の論文で、妊娠後期で胎児由来の脂肪酸に対する酸化酵素の欠如により、母体の肝臓に重大な脂肪変性が生ずる疾患、急性妊娠脂肪肝の啓蒙を含めた警告をしています。
 本病変は稀ではありますが、実地医家が認識しておく事の重要性を説いています。
早期発見により、母体の死亡率は100%から10%に減少しています。
これは、診断がつき次第胎児の早期での分娩を勧めており、その結果、最近では妊婦の予後は好転しています。 しかし残念ながら出産児の死亡率は20%を推移しているとの事です。


  診断基準として、Swansea criteriaがあるとの事で下記に掲載いたします。


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  昔の妊娠中毒症と言われた病名の中にヘルプ症候群(HELLP)がありますが、
  今回の急性妊娠脂肪肝と症状が良く似ているとの事です。



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 上の表は下記のPDFを参照





私見)
 実地医家として妊娠後期の腹部症状には十分な注意が必要と、改めて認識いたしました。




Access _ Acute Fatty Liver Disease of Pregnancy_ Updates in Pathogenesis, Di.pdf


HELLP.pdf







posted by 斎賀一 at 15:35| Comment(0) | 婦人科

2016年09月27日

妊娠初期での超音波検査と自閉症との関係

妊娠初期での超音波検査と自閉症との関係
 
Severity of ASD symptoms and their correlation with the presence of
copy number variations and exposure to first trimester ultrasound



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 以前よりこの事に関する問題提起はありました。
最近でもアメリカのFDAからは超音波の出力を下げて、しかも無駄な検査はしないようにとの勧告が出ています。

色々な研究より(study)超音波検査と自閉症との関係は無いとされています。
しかし今回の論文では自閉症のリスクのある場合は、妊娠初期での超音波検査により自閉症の確率が増加するとしています。
高齢出産の場合は、医師もお母さんも心配で超音波検査を頻回にしてしまうというバイアスが係ってしまいます。


私見)
 一般的には心配はないものと判断されていますが、妊娠初期での必要以上の検査は避けて、また母親として医師に超音波のゲイン(出力)を下げてもらったり、長い検査は避けるようにお願いするのも良いかもしれません。
(もちろん、必要な検査時間は大事ですが、記念写真的な意味やオチンチンが有るかないかはどうでもいい事です。小さな人はどう判断されるのでしょう。)
論文では、妊娠の中期と後期では問題はないとしています。




Severity of ASD symptoms and their correlation with the presence of copy num.pdf






posted by 斎賀一 at 20:00| Comment(0) | 婦人科