高尿酸血症患者に対する看護師指導の有用性
Efficacy and cost-effectiveness of nurse-led care involving
education and engagement of patients and a treat-to-target
urate-lowering strategy versus usual care for gout
education and engagement of patients and a treat-to-target
urate-lowering strategy versus usual care for gout
斎賀医院は今でもベテランの看護師が頑張っています。これからもズーット。
雑誌Lancetに、高尿酸血症の患者さんに対して看護師の指導の方が実地医家の医師が行うより、
尿酸値の正常化と痛風発作の抑制に繋がったとする論文が出ています。
纏めてみますと
1) 英国でも痛風は増加傾向で、1997~2012年に掛けて1.5%~2.5%に増加しています。
しかしその指導に関しては、未だ十分ではありません。実地医家の医師が指導しているので、
時間的余裕が無かったり、患者さんのモチベーションも上がらないまま治療を受けるため、結果
十分な理解が得られず、継続的な治療参画には至っていません。
英国では、本来尿酸治療薬を服用すべき人の半分しか治療を受けていないとの事です。
また、本来は治療薬を漸増すべきですが、最初から固定量で尿酸値の設定に向かって治療している
のが現状です。そのため患者さんのアドヘアランス(服薬遵守)が低下してしまいます。
しかも高尿酸血症や痛風に関して無理解もあり、全身疾患の一つと捉えない結果となっています。
(misconception)
2) 対象は、一年前に痛風発作を起こした成人517名を登録しました。
255名が看護士指導で、262名が通常の指導(実地医家)に振り分けています。
一次転帰は2年後の尿酸値の正常化(6.0mg以下)としました。
二次転帰は2年以内の痛風発作の回数、痛風結節、QOL、費用です。
今回看護士指導の管理では、臨床家の十分な指導と同等の結果が得られています。
1年後の指導で92%は尿酸値が6.0mg以下に到達しています。
2年後では尿酸値の正常化は、看護師の方が95%に対して実地医家は30%でした。
結果の表は下記のPDFをご参照ください。
3) 以前の研究でも薬剤師による指導で同様の効果がありました。
薬剤師による到達率は35%に対して、実地医家では14%でした。
4) アメリカの学会のAmerican College of Physiciansでは、症状を緩和する治療目標のため
尿酸値を目標とした目標治療(treat-to- target)は行わないようにとのガイドラインですが、
そのエビデンスは無く、患者の関与もなくなってしまうと本論文では批判的です。
私見)
糖尿病と似たところがあります。
職員の皆さん、尿酸、痛風に関する文献をコピーしました。
また、本院での尿酸治療のストラテジーを作成しますので、私の以前のブログを参照しながら患者さん
の指導に頑張って下さい。
2 ua lancet.pdf
高尿酸血症ー2.pdf
高尿酸血症 (2).pdf
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン.pdf