2022年06月22日

ヒアルロン酸関節内注射は有効か?

ヒアルロン酸関節内注射は有効か?

Hyaluronic Acid Injections for Knee Osteoarthritis
Has Utilization Among Medicare Beneficiaries
Changed Between 2012 and 2018?
 

 

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 ヒアルロン酸の膝関節症に対する関節内注射の有効性は、長い間の論争が
あるようです。アメリカの2013年のガイドラインでは、否定的な見解を示されて
いますが、依然として、利用者は増加傾向との論文がありました。
2021年のガイドラインと、今日の臨床サポート、uptodateより調べてみました。


本論文の要略は、


 1) 2012〜2018年までの、アメリカの保険システムである
    medicareの統計から調べています。
    ヒアルロン酸注入は、2012年では1,090,503例でしたが、
    2018年では1,209,489例に増加傾向です。
    2013年のアメリカのガイドラインでは、既にヒアルロン酸注入に
    関しては、推奨しないと結論づけていますが、このガイドライン
    に関して、認識していないケースもあり、又アメリカでは、看護師や
    コメディカルのアドバイスも影響し、medicare受益者に
    おいては、ヒアルロン酸注入を多く受け入れているとのことです。


日本での見解を「今日の臨床サポート」から調べますと、肯定的です。


 2) 保存的治療ポイント:

    まず、体重減少のための栄養指導、大腿四頭筋訓練、
    非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)内服、外用などの
    保存療法で経過をみる。
    痛みが強い場合には、関節注射(ヒアルロン酸、ステロイド)
    を併用する。
    必要に応じて、膝関節装具療法や、足底板使用を考慮する。
    多くの軽症例において、急性増悪期以外は、通常の日常生活や、
    軽い運動を制限する必要はない。


Uptodateより調べますと、やはり否定的見解です。


 3) ヒアルロン酸

    関節内ヒアルロン酸(HA)製剤の使用は、関節内プラセボに対する、
    臨床的に関連する利点を示す確固たる証拠がないため、広く推奨
    されておらず、日常的に使用されていません。症候性膝関節症の治療
    に対する粘性補充(すなわち、関節内ヒアルロン酸注入)の利点
    に関して、試験、およびメタアナリシスにわたって、長年の議論、
    および相反するデータがあります。大規模、二重盲検、
    および高品質の試験からの証拠は、関節内ヒアルロン酸が
    関節内プラセボに対して小さく、臨床的に有効性を証明していません。


AAOSのガイドラインによりますと、

2013年版では、

  4) ヒアルロン酸の使用を勧めていません。
     高分子のヒアルロン酸注入が有効とのデータもありますが、
     エビデンスとしては明白ではないとしています。

2021年版では、

  5) 前回のガイドラインとはやや趣を変えていて(?)、
     軽症の膝関節症に対しては、他の治療が無効の際に検討すべき
     としています。重症のケースでは、寧ろ悪化の懸念があるとして
     推奨していません。
     ヒアルロン酸を使用する場合は、高分子を選択すべきとしています。




私見)
 ヒアルロン酸注入の適応に関しては、論争が続いています。門外漢の私としてはコメントを控えますが、斜に構える必要がありそうです。
 



1 本論文.pdf

2 2013年版.pdf

3 2021年版ヒアルロン酸.pdf

4 2021年版.pdf











posted by 斎賀一 at 21:33| 整形外科・痛風・高尿酸血症

2021年10月18日

関節痛について

関節痛について

 <院内勉強会



        最近、関節痛を訴える患者さんが何人か来院されています。
       ケアネットから勉強しました。







   関節リウマチ .pdf

   スチール病.pdf

   ベーチェット病.pdf

   脊椎関節炎.pdf

   痛風 - コピー.pdf









posted by 斎賀一 at 17:12| Comment(0) | 整形外科・痛風・高尿酸血症

2020年06月29日

痛風のガイドライン・2020年版

痛風のガイドライン・2020年版
 
2020 American College of Rheumatology Guideline
for the Management of Gout



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 アメリカの学会ACRより、本年度の痛風のガイドラインが発表になっています。
簡単に要点だけを纏めてみました。

1) 尿酸降下薬の導入は痛風結節がある事、レントゲンにて痛風に関与する関節の破壊像の存在、
   1年間に2回以上の痛風発作がある事
   1年間で1回程度の発作でも、最近発作が起きた場合には尿酸降下薬を導入する場合もある。
   エビデンスとしては、フェブリクを服用すると発作を41%から30%に減少できる。

   発作が1回だけの場合は、下記の条件で尿酸降下薬を導入する。

   ・中等度以上の慢性腎臓病(CKD)  ・尿酸値が9mg/dl以上   ・尿路結石

   痛風発作の症状がない高尿酸血症の人にも、条件付きで尿酸降下薬を導入する場合がある。
   エビデンスとしては、尿酸値が9mg/dl以上の人は5年以内に稀に20%の人が痛風発作を起こす。
   よって慢性腎臓病、尿管結石、心血管疾患のある場合でも尿酸降下薬の導入を、積極的には推奨
   していない。

2) ザイロリックとフェブリックをステージ3の慢性腎臓病(CKD)に推奨
   その場合、ザイロリックは100mg/日以下から、フェブリックは40mg/日以下から漸増すべきで
   ある。

3) 予防として、コルヒチン、鎮痛薬(NSAIDs)、経口ステロイドを併用する事を推奨する。
   尿酸降下薬を導入したら、3~6カ月間は併用の継続を勧めている。
   特に中止後に発作が起こる場合は継続が必要

4) 発作の期間中に尿酸降下薬を導入する事は構わない。
   発作が終息してからと言われていたが、尿酸降下薬を開始する方が利点が多い。

5) 尿酸値の治療目標は6mg/dl
   尿酸降下薬の服用を永続的に継続する事もある。
   尿酸降下薬を中止したとして、5年間で尿酸値が7以下で、発作が無い場合は僅か13%であった。

6) ザイロリック
   尿酸降下薬の第一選択薬である。アジア系の人にはアレルギー反応が多いようだ。
   本来は事前にHLA-B*5801の検査を推奨している。
   100mg/日以下より導入し、漸増していく。

7) フェブリック
   ザイロリックの代替薬である。
   アメリカのFDAより心血管疾患のある人に対して、一時警告が発せられた。
   現在では統計的問題であると言われているが、処方する場合は患者とのコンサルトが必要となる。

8) ユリノームなどの尿酸排出薬
   一日の尿酸の排出検査が必要となる。
   尿のアルカリ化薬の併用も大事

9) 痛風発作の治療
   ・コルヒチンは、低用量と高用量では効果が同じである。
    勿論高用量の方が副作用が多い。
   ・患部のアイシングは効果的
   ・経口ステロイドも有効
   ・点滴、局注も代替可

10) ライフスタイル
   ・節酒は時に効果がある。
    ビールを飲むと尿酸値が0.16mg/dl上昇する。
    しかし、アルコールを飲み過ぎると24時間以内に痛風発作が40%増加するとのデータもある。
     (40%起こるのでなく、増加率の問題)
   ・プリン体の摂取制限も時には効果がある。
    良く知られている事だが、量が問題で一般的に効果は左程ではない。
   ・フルクトース(甘味のドリンクなど)は制限したほうが良い。
    フルクトースを1gr/体重kgを摂取すると、尿酸値が2時間以内に1~2mg/dl上昇する。
   ・果物の食べ過ぎに注意する。
   ・ダイエットも必要かもしれない。
   ・ビタミンCの摂取は良い。

11) 基礎疾患として併用薬がある場合
   ・降圧利尿薬は避けた方が良い。
   ・ARBはニューロタンが選択薬であるが、降圧効果を優先すべきである。
   ・少量アスピリンは場合により中止も選択肢とする。しかし基礎疾患が大事
   ・脂質異常症ではスタチンよりフィブラート系が良い。しかしスタチンの方が利点が多く、
    必ずしも推奨はしていない。

   以上の項目は、繰り返しますが利点がある場合のみでかなり限定的です。基礎疾患の治療が当然
   優先になります。






私見)
 以前の私のブログもご参照ください。
 実地医療に則したガイドラインです。





痛風.pdf










posted by 斎賀一 at 19:54| Comment(0) | 整形外科・痛風・高尿酸血症