2020年06月29日

痛風のガイドライン・2020年版

痛風のガイドライン・2020年版
 
2020 American College of Rheumatology Guideline
for the Management of Gout



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 アメリカの学会ACRより、本年度の痛風のガイドラインが発表になっています。
簡単に要点だけを纏めてみました。

1) 尿酸降下薬の導入は痛風結節がある事、レントゲンにて痛風に関与する関節の破壊像の存在、
   1年間に2回以上の痛風発作がある事
   1年間で1回程度の発作でも、最近発作が起きた場合には尿酸降下薬を導入する場合もある。
   エビデンスとしては、フェブリクを服用すると発作を41%から30%に減少できる。

   発作が1回だけの場合は、下記の条件で尿酸降下薬を導入する。

   ・中等度以上の慢性腎臓病(CKD)  ・尿酸値が9mg/dl以上   ・尿路結石

   痛風発作の症状がない高尿酸血症の人にも、条件付きで尿酸降下薬を導入する場合がある。
   エビデンスとしては、尿酸値が9mg/dl以上の人は5年以内に稀に20%の人が痛風発作を起こす。
   よって慢性腎臓病、尿管結石、心血管疾患のある場合でも尿酸降下薬の導入を、積極的には推奨
   していない。

2) ザイロリックとフェブリックをステージ3の慢性腎臓病(CKD)に推奨
   その場合、ザイロリックは100mg/日以下から、フェブリックは40mg/日以下から漸増すべきで
   ある。

3) 予防として、コルヒチン、鎮痛薬(NSAIDs)、経口ステロイドを併用する事を推奨する。
   尿酸降下薬を導入したら、3~6カ月間は併用の継続を勧めている。
   特に中止後に発作が起こる場合は継続が必要

4) 発作の期間中に尿酸降下薬を導入する事は構わない。
   発作が終息してからと言われていたが、尿酸降下薬を開始する方が利点が多い。

5) 尿酸値の治療目標は6mg/dl
   尿酸降下薬の服用を永続的に継続する事もある。
   尿酸降下薬を中止したとして、5年間で尿酸値が7以下で、発作が無い場合は僅か13%であった。

6) ザイロリック
   尿酸降下薬の第一選択薬である。アジア系の人にはアレルギー反応が多いようだ。
   本来は事前にHLA-B*5801の検査を推奨している。
   100mg/日以下より導入し、漸増していく。

7) フェブリック
   ザイロリックの代替薬である。
   アメリカのFDAより心血管疾患のある人に対して、一時警告が発せられた。
   現在では統計的問題であると言われているが、処方する場合は患者とのコンサルトが必要となる。

8) ユリノームなどの尿酸排出薬
   一日の尿酸の排出検査が必要となる。
   尿のアルカリ化薬の併用も大事

9) 痛風発作の治療
   ・コルヒチンは、低用量と高用量では効果が同じである。
    勿論高用量の方が副作用が多い。
   ・患部のアイシングは効果的
   ・経口ステロイドも有効
   ・点滴、局注も代替可

10) ライフスタイル
   ・節酒は時に効果がある。
    ビールを飲むと尿酸値が0.16mg/dl上昇する。
    しかし、アルコールを飲み過ぎると24時間以内に痛風発作が40%増加するとのデータもある。
     (40%起こるのでなく、増加率の問題)
   ・プリン体の摂取制限も時には効果がある。
    良く知られている事だが、量が問題で一般的に効果は左程ではない。
   ・フルクトース(甘味のドリンクなど)は制限したほうが良い。
    フルクトースを1gr/体重kgを摂取すると、尿酸値が2時間以内に1~2mg/dl上昇する。
   ・果物の食べ過ぎに注意する。
   ・ダイエットも必要かもしれない。
   ・ビタミンCの摂取は良い。

11) 基礎疾患として併用薬がある場合
   ・降圧利尿薬は避けた方が良い。
   ・ARBはニューロタンが選択薬であるが、降圧効果を優先すべきである。
   ・少量アスピリンは場合により中止も選択肢とする。しかし基礎疾患が大事
   ・脂質異常症ではスタチンよりフィブラート系が良い。しかしスタチンの方が利点が多く、
    必ずしも推奨はしていない。

   以上の項目は、繰り返しますが利点がある場合のみでかなり限定的です。基礎疾患の治療が当然
   優先になります。






私見)
 以前の私のブログもご参照ください。
 実地医療に則したガイドラインです。





痛風.pdf










posted by 斎賀一 at 19:54| Comment(0) | 整形外科・痛風・高尿酸血症

2020年02月29日

痛風発作の治療

痛風発作の治療

 
Open-label randomised pragmatic trial (CONTACT)
comparing naproxen and low-dose colchicine for 
the treatment of gout flares in primary care
Roddy E, et al. Ann Rheum Dis 2020;79:276–284



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 痛風発作の治療に関しては教科書的に多岐に亘りますが、今回の論文では、鎮痛解熱剤(NSAIDs)
の中でもナイキサンが第一選択薬としています。


纏めてみますと

1) ・NSAIDsとしてナイキサン群
    痛風発作時に、ナイキサンを初回に750mg投与、その後8時間毎に250mgを7日間投与する。
   ・コルヒチン群
    痛風発作時にコルヒチン1tab(0.5mg)を1日3回処方し4日間処方する。
    (古典的には、コルヒチンを1日に随時6tabまで服用していましたが、下痢の副作用があるため
     最近では少量療法が主流です。)




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           今日の臨床サポートより




2) ナイキサン群200例とコルヒチン群199例を、疼痛スコアで1〜7日間比較しています。

3) 結果は、疼痛スコアで両者において差はありませんでした。
   ・副作用として、ナイキサン群はコルヒチン群と比較して
    下痢は20.3%対45.9%で、頭痛は10.7%対20.5%といづれもナイキサン群の方が優位
    でした。

4) 結論としては、ナイキサン群は速効性があり、副作用も少なくコストパフォーマンスが良い。




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5) 最後にナイキサンの投与量について、色々な文献より纏めてみました。
   日本ではナイキサン1tab(100mg)です。
  

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本邦ではセレコックス(100mg   200mg)です。






私見)
 従来はエビデンスより二フランを多用していましたが、今回様々な文献を検索しますと、ナイキサンが
 第一選択薬になっています。
 取り敢えず、下記の様に試してみます。

 ・ナイキサンを初回は2~3tab 、3時間毎に疼痛が軽快するまで
  最大1日3回まで。 翌日から3~6tab 分3を7日間
 ・プレドニンを初回は20mg~30mg、翌日より漸減して7~10日間
  5日間の短期も有効だが、再発に注意
  早期からの尿酸降下薬併用も可能
  (ナイキサンの場合も、意外に早期での併用が可能かもしれません。)
 ・再発を繰り返す場合はナイキサンの方が優位







痛風.pdf









posted by 斎賀一 at 15:29| Comment(0) | 整形外科・痛風・高尿酸血症

2019年01月08日

ステロイド性骨粗鬆症

ステロイド性骨粗鬆症
 
Glucocorticoid-Induced Osteoporosis
n engl j med 379;26 nejm.org December 27, 2018



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 雑誌NEJMに、ステロイド性骨粗鬆症の症例による総説が掲載されていましたので纏めてみました。
米国では成人患者のおよそ1%がステロイド製剤を処方されており、50歳以上では3%にまでなるとの
事です。


1) ステロイド関連の骨折は治療3か月以内で増加し、そのピークは12か月に到達します。
   一般に考えられている以上に早期に出現します。
   プレドニン換算で2.5mgから7.5mgに増加すると、50%の骨折リスクの増加となります。
   30mg/日で累積5g以上では、そのリスクは3~14倍となります。
   但し高用量のステロイド吸入では、そのリスクは1.10程度との報告です。
   ステロイドによる骨粗鬆症の機序は、下記のPDFをご参照ください。

2) ステロイドを中止すると、急激に骨折のリスクは低下する。
   現に中止により、骨量は6カ月すると明らかに増加している。
   ステロイドの間歇投与や過去の服用歴などでは、骨折のリスクは低下している。
   従って治療に際しては、なおざりにせず、きめ細かく治療戦略を練る事が大事だとしています。
   少なくともステロイドを使用している患者に対しては、40歳になった時点で骨量を判定し、骨粗鬆症
   の予防薬を検討する事が必要がある。

3) カルシウムとビタミンDのサプリは、少量のプレドニン(5mg/日)に対するリスクは軽減するが、
   高用量の場合は(平均23mg/日)効果が無い。

4) 予防の薬物療法は、50歳以上か閉経後の女性に対してのエビデンスがあり適応となるが、若い人に
   関してはガイドラインはない。
   ビスホスホネートが第一選択
   NNTは31である。 (ビスホスホネートを服用した31人に対してその効果は1人)
   ビスホスホネートの副作用(顎骨壊死、非定型骨折など)は、3〜5年服用で0.01%である。
   エビスタも適応がある。

5) 運動、転倒の予防、カルシウムとビタミンDのサプリなどを指導する。




私見)
 日本のガイドラインとほぼ同じですが、下記のPDFもご参照ください。
 最近では10年後のリスク評価もガイドラインに含まれているので、アクセスを下記に載せました。
 職員の皆さん、私の以前のブログ「骨粗鬆症」を検索して、復習してください。
 また、この機会に骨粗鬆症の薬剤に関しても纏め、勉強しました。
 下記のPDFをご参照ください。




 ◆ 参考文献

   Medical Practice v35 n11 2018
   Medical Practice v29 n11 2012
   今日の臨床サポート;骨粗鬆症の薬理(多大なご迷惑をお掛けします)
   その他



   下記のネットで10年リスクを計算してください。

   https://www.sheffield.ac.uk/FRAX/tool.aspx?country=3





骨粗鬆症の文献より.pdf

骨粗鬆症の薬剤.pdf

ステロイドの作用.pdf

ステロイド性骨粗鬆症 10年ぶりにGL改訂.pdf

骨粗鬆症の一例.pdf

循 骨粗鬆症に対してPTH intactの測定を.pdf

















posted by 斎賀一 at 19:47| Comment(0) | 整形外科・痛風・高尿酸血症