2023年11月08日

関節リウマチにおける低用量ステロイドの効果

関節リウマチにおける低用量ステロイドの効果

The Effect of Low-Dose Glucocorticoids Over Two Years on Weight
And Blood Pressure in Rheumatoid Arthritis

<短 報>


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 最近では関節リウマチの薬剤も進歩を遂げて、以前の治療指針とはかなり異なっています。
以前は少量ステロイドが初期から推奨されていました。
少量ステロイドは病状の活動性を抑制し、関節破壊の進展を抑制するとされていました。
しかし、ステロイドの副反応からその使用が躊躇されていたのも事実です。


「今日の臨床サポート」から抜粋しますと

「関節リウマチの関節炎に対して短期間の少量内服ステロイド投与(プレドニゾロン10mg以下)
は疼痛や関節腫脹の抑制に有効である。したがって、疼痛の強いリウマチ患者への投与は検討
してよい。少量プレドニゾロン(<15mg/日)は、リウマチ関節炎に関してNSAIDsよりも
関節腫脹、疼痛緩和に優れている。
適用:効果を認めるものの、副作用も強く、ステロイド投与の適応となるのは疼痛の訴えが強く
NSAIDs禁忌もしくは効果不十分な患者に限られる。2013年版欧州リウマチ学会推奨治療では
治療開始後6カ月以内を目安に減量中止が望ましいとされている。」


 今回雑誌annals of internal medicineより、少量ステロイドについての論文が出ていますので
ブログします。

1) 2年間の経過観察で、5つのスタディです。
   ヨーロッパの12か国で行われました。
   対象は診断が確定した早期の関節リウマチ患者です。プレドニン換算で7.5mg/日です。
   2年間での体重増と平均血圧、降圧薬の薬剤量の変化を見ています。
   1,112人が登録しています。平均年齢は61.4歳。

2) 少量ステロイド群はコントロール群に比して、体重は1.1kg増加していました。
   平均血圧は両群共に2mmHgの増加で、両群での差は0.4mmHg程度でした。





私見)
  本院では関節リウマチ患者さんに少量ステロイドを使用する事はありませんが、その他の
  疾患、例えば潰瘍性大腸炎やリウマチ性多発筋痛症などでは、やや長期に処方しています。
  用量を十分注意して処方したいと思います。







Effect of Low-Dose Glucocorticoids.pdf









posted by 斎賀一 at 18:24| 整形外科・痛風・高尿酸血症

2023年09月30日

偽痛風・その2

偽痛風・その2

<短 報>
Evaluating the safety and short-term equivalence of colchicine
versus prednisone in older patients with acute calcium
pyrophosphate crystal arthritis (COLCHICORT)



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偽痛風に対して、少量のステロイド対コルヒチンの2日間コースでガチンコ勝負した論文です。


1) 急性CPP結晶性関節炎、いわゆる偽痛風の高齢者95人を登録しています。
   平均年齢は80歳です。
   コルヒチンは一日目が1.5mg、二日目は1mg投与です。
   プレドニンは一日目及び二日目ともに、30mg投与です。
   疼痛に対して、アセトアミノフェン又はトラマドールも処方しています。
   偽痛風の部位は膝が48%、手首が20%、足首が13%です。

2) 結果
   疼痛指数はベースラインで、68/100mm scaleでした。
   24時間後の評価はコルヒチン群では−36mmで、プレドニン群では−38mmでした。
   48時間後の評価でも同様の結果でした。
   副作用はコルヒチン群では下痢が22%、プレドニン群では血圧上昇が11%で、
   血糖上昇が6%でした。

3) 一般的には七日コースですが、今回の論文からは二日コースも有効の選択肢で、その分
   副作用の軽減になっているとしています。







私見)
 偽痛風の鑑別診断は、一般開業医にとっても生兵法にならないよう注意が必要ですが、
 エコー診断、炎症性マーカーに加え、上記の診断的治療も有効かもしれません。







偽痛風colchicine versus prednisone in older patients.pdf

偽痛風・その1.pdf








 
posted by 斎賀一 at 16:42| 整形外科・痛風・高尿酸血症

2023年09月27日

偽痛風・その1

偽痛風・その1


<院内勉強用>


偽痛風の文献がありましたのでブログしますが、その前に予習します。


#今日の臨床サポートより

偽痛風とは、痛風に類似した関節内に結晶が析出して炎症が惹起される急性の結晶性関節炎
である。
ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(calcium pyrophosphate dihydrate:CPPD)は、世界中
で数千万人の成人が罹患し、米国では800万〜1000万人の成人が罹患していると推定されて
いる。画像上、CPPDと認識される軟骨石灰沈着症は、イタリアと米国の65歳以上の成人の
約10%に認められ、フランスでは痛風と同程度の入院件数が報告されている。
原因となる結晶はピロリン酸カルシウムで、血液中の無機ピロリン酸濃度は必ずしも高くない
が、関節局所で過剰に存在し結晶化して沈着すると考えられている。
CPPDは膝関節や手関節に好発するが、ほかに肩関節、足関節、あるいは椎間板や黄靱帯でも認め
られることがある。
特発性CPPD結晶沈着症は高齢者に多発し、決してまれではない。男女差は無く、年齢とともに
有病率は上昇する。欧米では成人の4〜7%がCPPD疾患に罹患しているといわれている。
逆に50歳以下の若年齢ではまれであり、発症した場合には種々の代謝性疾患に続発する場合
(副甲状腺機能亢進症、ヘモクロマトーシス、低マグネシウム血症、低リン血症など)や、
遺伝的背景などを検討する必要がある。
外傷の有無、高尿酸血症や痛風発作歴を問診する。
単純X線で関節局所を撮影し、石灰化像を確認する。
超音波検査で関節軟骨の内部に高輝度の結晶沈着を認める。血液検査:白血球増加、CRP値が
高値になる。
関節液は、肉眼的には黄白色で混濁した関節液が採取される。偏光顕微鏡下で弱い正の複屈折
性を示すピロリン酸カルシウムの結晶が証明されるが、培養検査は陰性である。
単・少関節炎のことが多く、膝関節や手関節、肩関節など大関節に生じることが多い。
60歳以上で、原因なく関節の腫脹と疼痛が出現した場合には、常に本疾患を念頭に置く。
臨床症状は、痛風と異なり手関節や膝関節、肩関節、足関節など比較的大関節に腫脹や疼痛を
認めることが多い。まれに多関節に及ぶこともあり、さらに発熱や体重減少、ときには高齢者
で幻覚など全身症状を伴うことがある



#uptodateより

あらゆる種類の関節炎と類似することに注意が必要です。
ピロリン酸カルシウム(CPP)結晶沈着(CPPD)の個人の大多数は、無症候であり、症状を
発症する人の間では関節疾患のパターンにかなりの多様性があります。
CPPD疾患の臨床分類は、この障害の臨床症状が痛風、関節リウマチ(RA)、
変形性関節症(OA)、神経因性関節疾患など、事実上あらゆる種類の関節炎と類似する。

・[無症候性CPPD疾患]
 CPP結晶沈着がX線写真で容易に明らかなほとんどの関節は、関節で無症候性です。
 ただし、明らかな無症候性CPPDの患者でも、綿密な質問により関節炎障害の症状が判明する
 場合があります。
・[急性CPP結晶性関節炎 いわゆる偽痛風]
 偽痛風は、臨床的に尿酸痛風の急性発作に似たCPPD誘発滑膜炎の急性発作です。
 しかし、CPPD患者の大多数はそのようなエピソードを経験することは少ないです。
 特に、「偽痛風」という用語の使用は、2つの主要な結晶誘発性関節炎(痛風と偽痛風)の
 共通の臨床的特徴に注意を向けるためにもより広く使用されています。その特徴とは、時間が
 経てば自然に軽快する点と、ほとんどの場合再発性、通常は単関節のflareがあります。
 痛風と偽痛風を鑑別する必要があります。したがって、急性CPP結晶性関節炎に対する
 「偽痛風」という用語の使用がなされています。
 膝は急性CPP結晶性関節炎のすべての急性発作の50%以上で影響を受けますが、最初の中足
 指節(MTP)関節は尿酸痛風で最も頻繁に影響を受けます。急性CPP結晶性関節炎で一般的に
 影響を受ける他の関節には、手首、肩、足首、足、および肘が含まれます。急性CPP結晶性関節
 炎の初期エピソードは、尿酸痛風の一般的な1週間よりも寛解するまで長く続く可能性があり、
 最初の発作の上肢の炎症部位(手首、肘、肩)は急性CPP結晶性関節炎の疑いを高めます。
 これらのエピソードは自然寛解しますが、通常は数日から数週間続きます。外傷、手術、
 または重度の医学的病気は、しばしば急性発作を引き起こします。
 特に、副甲状腺摘出術後の急性CPP結晶性関節炎の再燃が観察されています。
 パミドロネートおよび他のビスホスホネートまたは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子
 (GM-CSF)による治療も、偽痛風の急性発作を引き起こすことが報告されています。
 急性CPP結晶性関節炎の50例のレビューでは、その多くは多関節発作であり、50%の微熱と
 血沈の亢進があります。場合によっては、多関節急性CPP結晶性関節炎に伴う全身性の特徴が
 非常に顕著であり、化膿性関節炎、骨髄炎、全身性敗血症を疑う場合もあります。
 まれに、いくつかの急性関節炎flareの後、痛風の結節に似たCPP結晶の触知可能で目に見える
 塊が滑膜および隣接する関節構造に蓄積し、局所的に破壊的で圧縮的な症状を引き起こす可能
 性があります。

・[慢性CPP結晶炎症性関節炎 いわゆる偽RA]
 慢性CPP結晶性炎症性関節炎は、症候性CPPD疾患の患者の5%以下に発生します。
 急性多関節発作中に高齢の成人患者に最も頻繁に発生する慢性CPP結晶炎症性関節炎のまれな
 サブタイプは、白血球増加症、発熱、精神的混乱などの顕著な全身性特徴を特徴とし、全身性
 敗血症との鑑別が必要です。
・[CPPDを伴う変形性関節症(「疑似OA」)
・[重度の関節変性症(偽神経障害性関節疾患)]
・[脊椎病変]
 強直性脊椎炎またはびまん性特発性骨格肥大症(DISH)の脊椎の変化に類似し脊椎のこわばり
 を含む多くの臨床症状を伴います。クラウンデン症候群(CDS)はまれですが、認識すること
 が重要な症候群であり、重度の急性または再発性の軸頸部の痛み、首と肩のガードルのこわば
 り、および関連する発熱を特徴としています。
   
   
   
   
    
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           コピペでゴメン ...。






posted by 斎賀一 at 19:57| 整形外科・痛風・高尿酸血症