2019年10月16日

副甲状腺機能亢進症の診断

副甲状腺機能亢進症の診断
          <業務連絡用>



本院における副甲状腺機能亢進症のストラテジーを纏めてみました。
1) スクリーニングにて、電解質の項目にカルシウムを追加する。
   血清アルブミンが低値の場合は、下記の補正式を用いる。

   血清補正Ca=実測Ca+[4−アルブミン]

  例えばAlb;3.3g/dl Ca;9.8mg/dlでは
    9.8+(4−3.3)=10.5mg/dlとなる。


2) 副甲状腺機能亢進症を疑っている場合やカルシウムが高値の場合は
   副甲状腺ホルモンを測定

   intact PTH ; 従来の測定方法
   whole PTH ; 最近の方法で、本院もこれが主体となります。
     ※下記のPDF参照

3) 家族性低Ca尿性高Ca血症(FHH)を鑑別する。
   副甲状腺機能亢進症の40%が高Ca血症で、残りの60%は正常
   24時間蓄尿において、下記の式でCa/Cr clearance ratioを求める。

   Ca/Cr clearance ratio = [24-hour urine Ca x serum Cr] ÷ [serum Ca x 24-hour
    urine Cr]

   結果は0.01以下でFHHの可能性、0.02以上でFHHは否定的
   0.01~0.02は鑑別を要する。

   uptodateによりますと、随時尿(spot尿)でのCa/Cr比でも診断価値があるとの事です。
   本院ではこれを採用します。 (場合により午前、午後の2回法)

4) 高カルシウム血症でintact PTHが正常なら、副甲状腺ホルモン関連蛋白を測定する。(PTHrP)




◆参考書籍など

 1 ; 今日の臨床サポート
 2 ; uptodate
 3 ; 内分泌疾患 日本医事新報







私見)
 下記のPDFに文献から抜粋しておきましたので、職員の皆さん検討してください。
 ラグビーの盛り上がりにあやかって、元全日本監督の大西鐡之祐氏の言葉より

   「絶対の戦略は存在しない。しかし戦略を信じない者は愚かだ。」






1 副甲状腺の文献.pdf

2 今日の臨床サポート.pdf

3 副甲状腺 uptodateより.pdf

4 カルシウム.pdf

5 電解質.pdf

6 検査センター.pdf













  
posted by 斎賀一 at 19:57| Comment(0) | 甲状腺・副甲状腺

2019年10月15日

副甲状腺機能亢進症と腎結石・骨粗鬆症の関係

副甲状腺機能亢進症と腎結石・骨粗鬆症の関係
 
Predictors of Nephrolithiasis, Osteoporosis,
and Mortality in Primary Hyperparathyroidism



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 尿管結石、腎結石、骨粗鬆症の患者さんの場合に一度は副甲状腺機能亢進症を疑うのは定説ですが、どの程度それらの疾患が副甲状腺機能亢進症の予測因子となるかは不明です。
それに関する論文が掲載されていますので、ブログにしました。


纏めてみますと

1) 英国では、副甲状腺機能亢進症の発生は年間で0.86%です。
   副甲状腺機能亢進症は腎結石や骨粗鬆症のリスク因子でもあり、心血管疾患との関連性も指摘
   されています。
   2006~2014年の間で、新たに診断された611例の副甲状腺機能亢進症患者を対象に研究して
   います。
   診断は血清カルシウムとPTH(副甲状腺ホルモン)によります。
   intact PTHを主に採用しています。最近ではルーチンで、血清カルシウムを測定するために無症状
   の副甲状腺機能亢進症が診断されるようになっています。しかしその診断的ストラテジーは確立され
   ていません。

2) 副甲状腺機能亢進症患者の13.9%が腎結石で、その多くが以前から腎結石を指摘されていました。
   スクリーニングで見つかった無症状の腎結石はたったの4.7%で、その率は一般人と同じでした。
   骨粗鬆症は48.4%に認められましたが、高齢者、低体重、低クレアチニンが骨粗鬆症の独立因子と
   して認められ、副甲状腺機能亢進症の明白な予測因子としては低い様です。
   カルシウム高値が死亡率に関係しますが、直接的に副甲状腺機能亢進症と死亡率とは関連性が
   認められないとの事です。
   結局、骨粗鬆症と腎結石は、副甲状腺機能亢進症の予測因子には成りにくいとの結論です。






私見)
 副甲状腺機能亢進症を診断するために、腎結石と骨粗鬆症との関連性から進めるのは確率的に低い
 様です。 詳しい内容は下記のPDFの表ご参照ください。
 実地医家の場合、診断することがある意味で信念です。
  (私は開業以来「早老症」を3例見つけています。  何故って ...。)
 今回、副甲状腺機能亢進症の診断について再勉強しましたので、次回のブログで職員の皆さんと検討
 しましょう。







副甲状腺 本論文.pdf










posted by 斎賀一 at 20:53| Comment(0) | 甲状腺・副甲状腺

2019年07月01日

甲状腺疾患と妊娠

甲状腺疾患と妊娠
           〜業務連絡を兼ねて〜



 本院でも甲状腺疾患の妊婦の方が来院されますが、定期的な検査(原則として1か月に1回の受診)を要します。
その解釈も通常とは異なり、妊娠による特別な注意が必要です。
予め患者さんにも予備知識を持って理解して頂き、万全を期したいと思います。


先ずuptodateより纏めてみました。

1) 妊娠全般としては
   甲状腺刺激ホルモン(TSH)の正常値は
     妊娠初期 ; 0.1~2.5
     妊娠中期 ; 0.2~3.0
     妊娠後期 ; 0.3~3.0
   
   甲状腺ホルモンのfree T4は、妊娠中には信頼できるdirect free T4を測定するのが最善ですが、
   残念ながらできないので、その代わりにtotal T4を測定する。
   妊娠中はTBGが増加するので、正常の1.5倍以上を亢進症とする。

  ・甲状腺機能亢進症は、妊娠初期でTSHが0.03~0.1の時にfreeT4とtotal T4(甲状腺ホルモン)を
   測定する。はっきりしなければTRab、TGUを測定する。
  ・甲状腺機能低下症は、妊娠初期でTSHが2.5以上の時にfreeT4とtotal T4を測定する。
   潜在性機能低下ではTSHが上記の範囲以上で、且つfreeT4及びtotal T4が正常の時に疑う。
    (原則、本院では妊娠中はfree T4、total T3,T4の3つを測定する。)

2) gestetional transient thyrotoxicosis(GTT) = 妊娠一過性甲状腺中毒症
   治療の必要は原則無い。
   total T4又はtotal T3が正常の1.5倍で治療開始
   治療目標はtotal T4が18mcg/dl
    (本院ではこの場合もtotal T4も測定します。)

3) 妊娠20週でTRabを測定して正常の3倍以上の時には、新生児のモニタリングが必要

4) 妊娠後の甲状腺機能亢進症の再炎は、4~8カ月に出現するので注意が必要

5) 妊娠中は正常値が変動するので注意が必要
    (下記のPDF参照)





私見)
 その他の知見は、下記の文献より引用して下記のPDFに纏めましたので、ご参照ください。



  
◆文献;

  日本医師会雑誌 ; 第141巻 第11号  2013年2月
  medicalPractice ; vol.31 no.11  2014
  甲状腺疾患の診かた、考えかた ; 中外医学社
  内分泌糖尿病ー代謝内科   32(5): 4 62-467,2 011
  Uptodateより





甲状腺と妊娠.pdf













posted by 斎賀一 at 20:36| Comment(1) | 甲状腺・副甲状腺