2019年08月26日

スタチン(脂質異常症治療薬)に肝細胞癌の予防効果あり

スタチン(脂質異常症治療薬)に肝細胞癌の予防効果あり
 
Lipophilic Statins and Risk for Hepatocellular Carcinoma
and Death in Patients With Chronic Viral Hepatitis



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 スタチン系薬剤は脂溶性と水溶性があります。
それぞれに特色がありますが、この脂溶性の方にウイルス性肝炎(B型、C型肝炎)から肝細胞癌への
進展を予防する可能性があるとの論文がでました。


以前の私のブログを抜粋します。

 「C型肝炎ウィルスは、抗体が出来てもその免疫から逃れて(エスケープ)、肝細胞の中に生き残って
います。それは人体の脂質代謝と関連がありそうです。脂質のリポ蛋白とウィルスが結合する事により、免疫機能から逃れており、その結合物質が肝臓の脂質代謝の受容体(レセプター)を通して、肝臓の中に侵入するようです。 
 ハーボニー(肝炎治療薬)で効果のあった人100人を調べました。
脂質のアポーEとアポーAUが治療後に低下していました。肝炎ウィルスと脂質代謝の解明が今後の治療選択になってくれればと思います。」                           2016年1月16日より




脂溶性スタチンはリピトール、リバロ、リポバスです。


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 結論として、ウイルス性肝炎患者の10年後を比較すると、脂溶性スタチン服用者では肝細胞癌の発生が3.3%に対して、服用していない場合は8.1%でした。
服用しているとその危険率は0.56と減少します。





私見)
 ウイルス性肝疾患の人に脂溶性スタチンを使用すべきかは、今後の課題としています。
 肝炎ウイルスと脂質代謝の関係がありそうです。
 今後の研究が待たれます。





スタチン.pdf

スタチンと肝癌.pdf















2019年08月02日

ビタミンB12製剤(メチコバール)は経口薬でよい

ビタミンB12製剤(メチコバール)は経口薬でよい
 
Prevalence of Inappropriateness of Parenteral
Vitamin B12 Administration in Ontario, Canada
  JAMA Internal Medicine Published online July 15, 2019


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 一般的な鉄欠乏性貧血は、赤血球の材料の鉄が不足するので小さな赤血球しか作れません。
つまり小球性貧血です。ビタミンB12欠乏症は、赤血球の製造過程の問題で大球性貧血を起こします。
多くは胃切除をした人が対象です。
薬理学的問題で、今まではビタミンB12製剤のメチコバールは筋注が必要でした。しかし最近では、
経口薬のメチコバール1500㎍(3錠)でも有効との文献があります。

 今回雑誌JAMAのletterより、メチコバールの不適切な処方が多いと指摘されています。

その内容は
・経口より筋注が有効だと思っている。
・血中ビタミンB12を測定していない。




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私見)
 ・大赤血球性貧血の患者さんはその原因を調べる。
 ・胃の手術の既往のある患者さんにも、最初は経口メチコバールを処方する。
 ・3か月後に血中ビタミンB12濃度の増加傾向が認められなければ、メチコバール筋注も検討
 ・その後も6カ月に1回は、血液検査を行う。

 以上の方針とします。






T岩手県立病院.pdf

2メチコバール文献.pdf

3フオイパン.pdf











2019年04月20日

アセトアミノフェンは高齢者にも安全

アセトアミノフェンは高齢者にも安全
 
Acetaminophen Safety: Risk of Mortality and Cardiovascular
Events in Nursing Home Residents, a Prospective Study



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 本院でのアセトアミノフェンはカロナール、コカール、アルピーニ座薬がありますが、安全性が高い解熱鎮痛薬(NSAIDs)として汎用されています。
しかし、海外では多用、多量使用のため最近では問題視されています。
また喘息、腎障害、肝細胞障害、骨折、血液疾患、ワーファリンとの相互作用などの副作用に関しても、
報告されるようになりました。

上記の懸念に対して、アセトアミノフェンの安全性を高齢者で検証しようとした論文が出ましたので、ブログにします。
高齢者は薬の副作用も出やすい事が想定されますので、本論文では対象者を施設(nursing home)に入居している人を対象にしています。
論者は述べていますが、最近のアセトアミノフェンに対する副作用報告は極めて稀な例が多く、過剰評価しているとしています。


纏めてみますと

1) アセトアミノフェンの常用量での副作用を調べました。
   対象は施設(nursing home)に入居している5,429名の高齢者で、平均年齢は86.1歳です。
   73.9%が女性

2) 死亡率、心筋梗塞、脳卒中の発生を解析しています。
   2,239名がアセトアミノフェンを服用しています。 (コントロール群と同等の分布populationで
   振り分けています。)
   平均で2,353±993mg/日服用  (本院ではせいぜい1,000mgです。)
   死亡率は、アセトアミノフェン服用者で22.34人/100人/年に対して
   非服用者では22.16人/100人/年と差はありません。 死亡率の危険率は0.98となります。
   心筋梗塞においても関連性はありませんでした。
   但し糖尿病のある人では、アセトアミノフェン群は脳卒中の危険率が3.19でした。

3) 高齢者は一般的に多剤併用しており、代謝上副作用の出現の危険もありますが、アセトアミノフェン
   は、鎮痛薬としては安全性の点で第一選択枝だとしています。
   但し糖尿病患者に関しては、今後の研究が待たれるとも記載しています。





私見)
 未だ疑惑は晴れないと思いますが、依然としてアセトアミノフェンは解熱鎮痛薬ファーストの地位
 のようです。





アセトアミノフェン Acetamin ophen Safety.pdf