2022年06月07日

運動は腎機能低下を抑制する

運動は腎機能低下を抑制する
  <短 報>
 
Effect of Structured, Moderate Exercise on
Kidney Function Decline in Sedentary Older Adults



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 一週間で2.5時間の運動は、腎機能低下のスピードを遅らせるとの報告がありました。


1) 対象者は座ってばかりいる70〜89歳の高齢者(平均年齢78.9歳)1,199人です。
   ベースラインのシスタシンCによる腎機能eGFRが54です。
   2年間の経過観察です。
   一週間で150分間のウオーキング、エクササイズを行う運動群と、健康管理の教育だけを
   受けた群とを比較しています。
   主要転帰はeGFRの変化と急激なeGFRの低下です。

2) 結果
   運動群の方が教育だけの群より、eGFRの低下が0.96少ない結果でした。
   また、運動群では急激なeGFRの低下の危険率は、0.79と有効な結果です。

3) 考察と結論
   一般市民で坐位傾向の高齢者では、運動とエクササイズが腎機能低下を予防できるよう
   です。運動により糖尿病、脂質異常の改善や血圧低下にも繋がり、その結果が腎機能
   低下の抑制になるかもしれません。
   しかし、腎機能低下が進んでいる高齢者にどれだけ効果があるかは今後の研究課題です。






私見)
 腎機能に運動は好影響を及ぼすようです。








Effect of Structured, Moderate.pdf
















posted by 斎賀一 at 19:34| 泌尿器・腎臓・前立腺

2021年10月04日

前立腺がんのスクリーニング・PSA

前立腺がんのスクリーニング・PSA

    <短 報
 
Prostate-specifi c Antigen Testing as Part of a Risk-Adapted
Early Detection Strategy for Prostate Cancer



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 前立腺がんの検診でも日常診療においても、腫瘍マーカーのPSAが主体です。
今回、スクリーニングの方式を示した論文が出ています。


1) ハイリスクの人にPASスクリーニングを行う
   ・50歳以上
   ・家族歴に前立腺がんのある45歳以上
   ・遺伝子のBRCA2変異のある40歳以上
    しかも余命が15年以上ある人 (つまり100−15=85歳)

2) ・PSAが1ng/ml以下の場合は5年ごとに検査
   ・PSAが1~3ng/mlの場合は2~4年ごとに検査
   ・PSAが3ng/ml以上の場合は、直腸診で異常がなければ1年ごとに検査。
    もしも1ng/ml/年の増加があればMRI検査を行い、その後も積極的な経過観察が必要




          31004-2.PNG




 
私見)
 今までは4.0がカットオフでしたが、今後は3.0とし直腸診を汎用して参ります。








Prostate-specific Antigen Testing as Part of a Risk-Adapted Early Detection Strategy for Prostate Cancer_ European Association of Urology Position and Recommendations for 2021 - ScienceDirect.pdf











posted by 斎賀一 at 21:00| Comment(1) | 泌尿器・腎臓・前立腺

2021年06月05日

慢性腎臓病と降圧剤

慢性腎臓病と降圧剤
  
Comparative Effectiveness of Renin-Angiotensin System
Inhibitors and Calcium Channel Blockers in Individuals
With Advanced CKD: A Nationwide Observational Cohort Study



 降圧薬の中でもARBは腎保護作用があると言われて久しいものがありますが、最近では進行した慢性
腎臓病(ステージGVb)では、逆にARBは禁忌とまで言われています。
しかし、注意して処方すれば依然としてARBには腎保護の期待があるとするPre-proof(校正前)論文を
以前にブログで紹介しました。

 今回、正式に雑誌AJKDに採用されていますので原文を紹介します。
当然ながらステージGVbでは注意が必要ですし、専門家へのコンサルトも念頭に置かなくてならない
ようです。







Comparative Effectiveness of Renin-Angiotensin System Inhibitors and Calcium Channel Blockers in Individuals With Advanced CKD_ A Nationwide Observational Cohort Study.pdf








posted by 斎賀一 at 16:23| Comment(0) | 泌尿器・腎臓・前立腺