前立腺癌の積極的監視に直腸指診は不要?
Best Current Practice and Research Priorities in
Active Surveillance for Prostate Cancer−A Report
of a Movember International Consensus Meeting
Active Surveillance for Prostate Cancer−A Report
of a Movember International Consensus Meeting
前立腺癌に対する積極的監視の内容は、国または学会により異なっています。
アメリカではPSAが主体ですが、英国ではMRIに重きをもった監視体制です。
以前はPSA監視と言われていましたが、最近では積極的監視(active surveillance)と
言われています。
治療を決定するまでの待機的な注意深い監視(watchful observation)とは異なり、一種の
治療手段です。積極的監視が提唱する意義は前立腺癌には低リスクの癌があり、癌と診断
されても余命が長く、逆に診断のための生検や治療による健康被害も懸念されるからです。
欧州の雑誌European association of urologyから、専門家のアンケート結果が載って
いましたのでブログします。
1) 精度の良いMRIが可能なら、直腸指診は省略可能である。
またMRIとPSAに変化がなければ、繰り返される生検も実施しなくてよい。
もしもPSAと直腸指診に変化があれば、治療を急ぐよりもMRIの再検を実施すべきであり
その結果生検を行うこともある。
2) 結論として、精度の良いMRIによって直腸指診は無用となり、生検の回数を制限する事が
出来る。
番外編1)
medscapeのコメントでは、PSA検査により3〜6か月毎に監視する事が必要だが、
MRIは特に制限がなく、定期的な実施、年に1回は行う必要があります。
番外編2)
そもそも積極的監視の対象は、低リスクと中等度リスクの患者さんが主体です。
uptodateより、NCCNの積極的監視の内容を下記にPDF化しました。
私見)
「弘法筆を選ばず」と言われます。
これは正しいのですが、その逆も真であることを「ヘボ画家」の私は知っています。
ヘボはヘボなりに筆を選ばなくてはなりません。
実地医家として患者さんを積極的に診療するなら、しかるべき時に直腸指診も有効だと
思います。
キモは積極的監視とは、治療の一つだと言う事です。
前立腺がん 原文.pdf
UpToDate.pdf