2018年10月10日

若い女性の水分補給が膀胱炎の再発予防

若い女性の水分補給が膀胱炎の再発予防
 
Effect of Increased Daily Water Intake in Premenopausal
Women With Recurrent Urinary Tract Infections



1010.PNG



 若い女性(閉経前)の場合は十分な水分の補給により、繰り返す膀胱炎の再発予防に繋がるとの研究が、雑誌JAMAに掲載されました。


纏めますと

1) 対象は、閉経前の女性140名です。
   現在は症状が無いが、前年に少なくとも3回以上の膀胱炎を発症し、一日に水分を1.5L以下しか
   摂取していない人を登録しました。

2) 一日に水分を1.5L以上摂取した群(水分群)と、従来通りの摂取量の群(コントロール群)に振り
   分けました。 一年間の経過観察です。

3) 膀胱炎の発症は水分群で1.7、コントロール群で3.2でした。
   膀胱炎に対する抗生剤の使用頻度は水分群で1.9、コントロール群で3.6でした。
   結果的に水分群では、膀胱炎が50%減少しています。

4) 副作用としては頭痛12例、消化器症状が8例ありましたが、両群での差はありませんでした。

5) 患者さんの教育も大事と論者は記載しています。
   ・抗生剤の服用は耐性菌の誘発に繋がり、結局は膀胱炎の難治化となってしまう点
   ・性行為が膀胱炎のリスクとなるとの認識で、水分補給を十分にして、行為後は速やかに排尿する。

6) 抗生剤の予防投与の効果は85~95%まであるが、水分補給は、安価で且つ耐性菌の発生の問題も
   無く、安全であると結論付けています。





私見)
 自慢する程の事ではないのですが、私はこの年になるまで膀胱炎になったことがありません。
 水分補給が1.5L/日とは多いような感じもするかもしれませんが「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」
 十分な水分補給をして、1日に排尿回数8回を目安にしましょう。
  尚、個人的見解ですが、閉経前後や男女に関係なく、多くの水分摂取は膀胱炎の予防になるものと
 実感しています。





本論文より.pdf

JAMA文献.pdf











posted by 斎賀一 at 19:35| Comment(1) | 泌尿器・腎臓・前立腺

2018年05月15日

前立腺癌のMRI検査の有用性

前立腺癌のMRI検査の有用性
 
MRI-Targeted or Standard Biopsy for Prostate-Cancer Diagnosis
n engl j med 378;19 nejm.org May 10, 2018



0515.PNG




 生検を受けたことのない前立腺特異抗原(PSA)高値の男性において、事前にマルチパラメトリック
MRIを実施して癌の可能性を調べてから、そこを標的にコア生検を実施した場合と、標準的に経直腸的超音波ガイド下生検でコア数 10〜12の生検した標準生検とを比較した論文が、NEJMに掲載されました。
結論的には、生検前に MRI を実施してから MRI 標的生検を行った群の方が、標準的な経直腸的超音波ガイド下生検に対して優越性を示しました。


纏めますと

1) PSAが20以上や直腸指診で進行癌の所見がある場合は除外しています。
   PSAが20未満で前立腺癌の疑いがある470人を、MRIを実施した群としないで標準的にコア生検を
   10~12行った群に其々235名に振り分けています。
   MRIを実施した群ではPiRADS v2の診断基準に従い、スコアーが1と2は癌の可能性が低いので
   標的生検は実施せず、3・4・5に実施しています。
   (PiRADS v2に関しては下記のPDFをご参照ください。また生検のグリソンスコアーに関しては以前
   の私のブログもご参照ください。
   簡単に述べますと、MRI所見を辺縁領域と移行領域で調べてスコアー化しています。
   グリソン・スコアーとはコア生検から細胞異型でなく組織異型を主として、標本の中で一番目と二番目
   に多い異型所見を足したものです。当然両方ともスコアー化の数字が多い方が悪性です。)




         0515-2.PNG
         0515-3.PNG



 
2) MRI 標的生検群 252 例のうち、71 例(28%)は MRI で前立腺癌が示唆されなかったため生検
   を受けなかった。つまりMRIを実施することにより、無駄な生検を1/4減らすことが出来た。

3) 臨床的に意義のある癌は、MRI 標的生検群では 95 例(38%)に検出されたのに対し、標準生検群
   では 248 例中 64 例(26%)に検出された。
   MRI群の非劣性が証明された。

   詳細の結果表は下記のPDFをご参照ください。




私見)
 MRIを実施する事により無駄なコア生検を1/4減らすことができ、その後のMRI標的生検によりコア生検
 の回数も減らせて合併症も少なくて済みます。
 なにやらMRIが標準的な診断方法のようです。
 残念ながらMRIに関しては造詣が浅いため、下記の文献をご参照ください。




前立腺癌文献より.pdf

1 文献.pdf

2 PI-RADS v2 Score 高橋.pdf

3 PI-RADS v2 Score1.pdf

4 PI-RADS v2 Score2.pdf














posted by 斎賀一 at 20:33| Comment(0) | 泌尿器・腎臓・前立腺

2018年05月10日

前立腺癌のスクリーニング;一般向け

前立腺癌のスクリーニング:一般向け

The US Preventive Services Task Force (USPSTF) has recently
Published recommendations on screening for prostate cancer
in asymptomatic men



0510.PNG



 米国の医師会雑誌のJAMAより、症状のない一般の人用の前立腺癌に対する手引書が出ましたので
掲載します。


1) 前立腺癌とはなにか? 
   前立腺とは膀胱の裏側にあり、精液の液体の一部を形成する。
   前立腺癌の臨床的特徴(生物学的特性)は幅が広い。
   多くの場合は進行が緩徐で死亡の原因にはならず、前立腺癌以外の疾病で亡くなるケースが多い。
   前立腺癌以外で死亡した人の病理解剖で、1/3人に前立腺癌があった。 (潜在癌:オカルト癌)
   従って前立腺癌のスクリーニングに関しては自ずと過剰診断、過剰治療のリスクが生ずる。

2) 前立腺癌のスクリーニング検査は何か?
   PSA検査が有用。
   しかし前立腺肥大、前立腺炎でも高値となるので、基本的には組織を採る生検が必要である。
   (最近では生検の前にMRIを実施)

3) スクリーニング検査の有益性と有害性は何か?
   スクリーニングの主たる目的は、最も進行性の速い前立腺癌を同定する事である。
   その事によって、死亡率や転移の減少を目的としている。
   しかし70歳以上では、有益性よりも有害性が勝っている。
   つまり勃起障害や尿失禁が、副作用に生じてQOLの低下に繋がってしまう。

4) 前立腺癌のスクリーニングに関する勧奨の程度は?
   55~69歳では有益性と有害性のバランスが拮抗しているが、70歳以上では有害性が勝る。
   よって70歳以上でスクリーニングに躊躇する人には勧奨しない。




         0510-2.PNG 





私見)
 55歳以上の人を目の前にしてこのように割り切れるのでしょうか。
 特に70歳のあなた、どうしますか?


 私の好きな詩の一節が思い浮かびます。

       「かうして目には見えずに、夜が下りて来る。」

                             ギイ・シャルル・クロス




前立腺癌 患者用.pdf








posted by 斎賀一 at 14:04| Comment(1) | 泌尿器・腎臓・前立腺