2019年04月25日

肝細胞癌

肝細胞癌
 
Hepatocellular Carcinoma
  n engl j med 380;15 nejm.org April 11, 2019


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 雑誌NEJMに肝細胞癌の総説が掲載されていましたので、ブログにしてみました。


1) 以前はB型肝炎が主な原因でしたが、輸血の改善とB型肝炎ワクチンの普及により、主流はC型肝炎
   に移行しました。更に最近では経口薬のDAAの導入によりC型肝炎も治癒(SVR)の時代となり、
   肝細胞癌の原因は様変わりしています。
   ウイルス性肝炎に代わり非アルコール性肝疾患(NAFLD)、及びそれに関連した肥満、糖尿病が
   注目されています。

2) 遺伝子のDNAに変異が起こり、前癌状態の異型結節(dysplastic nodule)が発生する。
   そこから肝細胞癌に進展する。
   TERTpromoterの変異が60%関与していると言われている。
   しかしDNA変異は多岐にわたり、其々の頻度が低いために治療や診断、予後判定には未だ実用化
   されていない。

3) 一般的には炎症、線維化、肝硬変から肝細胞癌は進展するが、B型肝炎の様に肝硬変を経ずに肝
   細胞癌が発生する事がある。  これが増殖過程(proliferation class)である。
   もう一つが非増殖過程(nonproliferation class)でC型肝炎に代表されるように肝硬変を経て
   から肝細胞癌となる。
   (エコーで肝硬変が無くても肝細胞癌の発生する過程がproliferation class)
   Proliferationの方が進行度は悪性で、αプロテインと関連している。
   Nonproliferationはその細胞は遺伝子的、免疫応答が正常肝細胞に近似している。

4) エコー検査は6カ月毎が基本であるが、診断の感度は47~84%で特異度は90%である。
   正常肝細胞や、良性の異型結節の血液供給は門脈系だが、悪性の肝細胞癌では変移して動脈系と
   なる。  これを利用した造影CTとMR検査により、動脈相と静脈相を区別して鑑別する事が出来る。
   1cm以上の腫瘍では、その診断感度は66~82%で特異度は90%以上です。
   確定診断は生検です。





私見)
 本論文のグラフの方が分かりやすいので下記のPDFを参照ください。
 注意深いエコー検査が必要です。下記の文献より今一度勉強しましょう。



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          書籍;腹部エコーの基礎;秀潤社より






1 肝細胞癌.pdf

2 腫瘍性肝疾患の超音波診断.pdf

3 肝腫瘤の超音波診断基準.pdf

4 腹部超音波検診判定 マニュアル.pdf














posted by 斎賀一 at 14:11| Comment(0) | 肝臓・肝炎

2019年03月19日

薬物性肝障害と薬剤熱:uptodateより

薬物性肝障害と薬剤熱:uptodateより



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 前回のブログに引き続き、薬物性に関して纏めましたので掲載します。


薬物性肝障害(DILI)

1) 医療薬ばかりでなくサプリや漢方、ハーブに至る広範囲にDILIが認められ、その数はおよそ
   1000以上に及ぶ。
   アメリカで最も多いのは、アセトアミノフェン、抗生剤である。
   抗生剤に関して世界的にはオーグメンチン、クラバモックスに報告が多い。

2) 臨床的な分類 (下記のPDFに纏めました。)
   ・肝細胞性障害
   ・閉塞性障害
   ・混合型

3) 臨床経過
   ・急性 ; 3か月以内
   ・慢性 ; 3か月以上

4) 機序
   ・用量依存性 (predictable)
   ・非用量依存性 (idiosyncratic、代謝性か免疫性が関与)

5) 臨床症状
   ・急性 ; 症状が無い事が多い。閉塞性の場合は痒み、黄疸症状が時にある。
   ・慢性 ; 他の慢性肝疾患(自己免疫性肝疾患、PBC、アルコール性肝疾患など)に似ている。
         肝線維化や肝硬変に進行する事もある。
         発熱や発疹を伴う事や、伝染性単核症様の症状があり鑑別が必要

6) 病理組織的分類 (下記のPDFに纏めました。)
   ・肝細胞障害
   ・胆汁閉塞
   ・脂肪変性
   ・肉芽形成
   ・signs of hepatic venous outflow obstruction
   ・sinusoidal obstruction syndrome
   ・phospholipidosis
   ・peliosis hepatis


薬剤熱(drug fever)

1) 発熱の出現時期は診断の価値がない。
   平均で投与後8日(24時間〜数か月) 時には数年

2) 微熱から消耗熱(hectic)まで色々
   中止から3~4日で解熱するが、時に一週間かかる事もある。

3) 発熱以外には、発疹、蕁麻疹、肝腎障害、口内炎、血液障害
   原因不明の発熱で肝腎障害があればdrug feverを疑う。
   発疹に診断価値はあるが頻度は18%程度

4) 除脈は10%、好酸球増加は20%

5) 当該薬剤としては
   てんかん薬、ミノマイシン、ザイロリック、ヘパリン、抗がん剤など





私見)
 人生を振り返ると若い頃は何とボーっとしていた事かと、思い出すだけで一人小声で叫びたくなります。
 病理学教室にいる頃、ある造影剤検査後に、肝障害を起こした症例の肝生検を見たことがありました。
 下記のPDFに掲載しました 「peliosis hepatis」 でした。






薬物性肝障害.pdf










posted by 斎賀一 at 21:13| Comment(0) | 肝臓・肝炎

2019年03月14日

薬物性肝障害(DILI)に関する6つ最新情報

薬物性肝障害(DILI)に関する6つ最新情報

Drug-induced liver injury: 6 recent reports on risk factors, outcomes



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 ネットのhealioより薬物性肝障害(DILI)に関する最新情報が載っていました。

6つの情報とは、

 1) アメリカでは一般的に、ドラッグ・ストアーでアセトアミノフェン(カロナール等)を購入して
    大量服用の危険があります。そのため、アセトアミノフェンによるDILIを発症した場合には、
    血中濃度が測定不能にまでなっている事が約半数あるとの事です。
    日本では考えられない状況ですが、やはり対岸の火事と安心してはいられないかもしれません。

 2) 解熱鎮痛薬(NSAIDs)やアスピリンは、大腸にmicroscopic colitis(私のブログの
    オルメテックで紹介したcollagenous colitisと同義です。)を起こす。

 3) 免疫療法によるDILIは増加傾向である。

 4) DILIに対する血液検査(biomarker)が確立されつつある。

 5) 肝移植後の胆道系の損傷を予防する治療も確立され始めている。

 6) DILIとアルコール摂取量とは直接的には関係ない。



私見)
 他の文献も纏めて下記のPDFに掲載します。
 Uptodateよりも纏めようとしましたが、時間切れのため次回といたします。

 参考文献
  日本医師会雑誌;2015 V144 N7
  日本消化器病学会誌;2015 V112 N5
  Medical practice; ?



1 薬物性肝障害.pdf

2 薬物性肝障害1.pdfk (2).pdf

3 Acetaminophen is Undetectable in Plasma From More Than Half of Patients Beli.pdf

4 Heavy Consumption of Alcohol.pdf

5 liver-biliary-disorders.pdf

6 denovo B型肝炎.pdf








posted by 斎賀一 at 16:08| Comment(1) | 肝臓・肝炎