2018年09月12日

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肝癌の危険因子

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肝癌の危険因子
 
Risk of Hepatocellular Cancer in Patients
with Nonalcoholic Fatty Liver Disease



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 脂肪肝にはアルコール性と非アルコール性があります。
この非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に分かれます。   (以前の私のブログを参照)

今回の論文では、このNAFLDから肝癌の発生が予想以上に多いことを裏図けるデータを示しています。



纏めますと

1) 2004~2008年の間でNAFLDと診断された人を登録し、その後肝癌、死亡又は2015年までの観察
   期間として解析しています。
   NAFLD患者の296,707人に対して、コントロール群の296,707人を比較対象しています。
   平均年齢は55.4歳です。

2) ベースラインでの肝硬変の率はNAFLD群では0.4%でしたが、研究終了時で1.4%に上昇していま
   した。
   肝癌の発生は545名で、その内NAFLD群では490名でした。
   肝癌発生の頻度は、NAFLD群では0.21人/1,000人/年、コントロール群では0.02人/1,000人/年
   と、約10倍の危険率でした。

3) 1,000人/年で見ると男性が0.4人対して女性は0.22人と男性の方が危険率が高く、65歳以上と
   以下では0.41人と0.01~0.21人でした。





私見)
 男性で見ますと、10年リスクは0.4%となるでしょうか。
 肝癌に絞っての事ですので少ないようで多い感じです。
 また大雑把に言って、NAFLDは10年で1%の肝硬変への移行でしょうか。




Risk of Hepatocellular Cancer in Patients with Non-alcoholic Fatty Liver Dis.pdf










posted by 斎賀一 at 18:33| Comment(0) | 肝臓・肝炎

2018年09月06日

C型肝炎治療後の肝線維化の改善について

C型肝炎治療後の肝線維化の改善について
 
Regression of liver fibrosis after curing chronic hepatitis C
with oral antivirals in patients with and without HIV coinfection



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 経口治療薬のDAAの登場により、続々とC型肝炎の治療成功例(SVR)が本院でも認められ嬉しい限りです。しかし注意すべき点は、SVRと言っても必ずしも肝線維化(慢性肝炎や肝硬変の状態)が好転したとは限らない点です。

 今回の論文は、SVR後の肝線維化の改善度を示したスペインからの報告です。
私の以前のブログも併せてご参照ください。


纏めてみますと

1) 対象者は、C型肝炎の治療のDAAでSVRとなった246名です。
   肝線維化の程度は、特殊エコーのFibroscanを使用しています。
   ベースラインとしては以前の研究とは異なり、57.2%が慢性肝炎進行例、18.4%が代償性肝硬変、
   42%がHIV(エイズ)合併でした。

2) 肝線維化の改善度は、軽度線維化例では22.5%に対して、高度線維化例では52.3%と顕著に
   改善傾向がありました。 (まあ、当たり前ですが、進行しても改善があると言う事です。)
   しかし逆の意味では進行した肝線維化例では、41.4%に改善が認められなかったとの報告です。

3) 結論として、代償性の肝硬変に進行した症例では、SVRになっても肝癌発生の早期発見に注意を
   しなくてはならないとしています。





私見)
 本論文を直接読んでいないので、観察期間など詳細は分かりません。また本論文にはHIVの混合
 感染例が多い印象です。しかしDAAによる治療例を集積しての論文ですので、それなりの価値がある
 と思います。
 肝線維が進行している場合は、SVRとなっても約半分の人は肝癌の進行があるかもしれません。
  (以前の私のブログと併せて理解しますと、進行肝線維化例では、SVRになっても20~40%は進行
  するかもしれないと推測できます。)
 年に2回のエコーを含めた経過観察が必要です。






hcv.pdf









posted by 斎賀一 at 13:09| Comment(0) | 肝臓・肝炎

2018年08月06日

C型肝炎治療後のリスク因子

C型肝炎治療後のリスク因子
 
Cirrhosis, high age and high body mass index are risk
factors for persisting advanced fibrosis after sustained
virological response in chronic hepatitis C



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 J Viral Hepat. 2018;25(7):802-810. の論文の全容がmedscapeに掲載されていましたので
そこから抜粋してブログにします。
最近では経口治療薬のDAAが主流になり、その効果(SVR)はほぼ90%以上となっています。
以前はインターフェロンの注射を主とした治療をしていましたが、本論文はこのインターフェロンを中心に
した治療後のデータです。
C型肝炎は肝線維化が徐々に進行して、肝硬変、肝癌になる危険があります。
肝線維化を調べる基本は肝生検ですが、侵襲的なためそれに代わる特殊エコーのFibroScanが多用
されています。肝線維化の程度は、F0が正常でそこから進展してF3になると前肝硬変、F4が肝硬変(肝組織の改変、偽小葉形成)です。
色々な論文を総合すると、C型肝炎の治療後でウイルスが排除されたSVRの状態でも、1~14%に肝線維化の進行があるとされています。
その場合の危険リスクを調べています。


纏めますと

1) C型肝炎治療により6カ月以上SVRとなっているF3とF4(代償性肝硬変)の患者269名を、エコー
   のFibroScanで7.7年間(0~20年間)経過観察をしています。登録は1992~2013年です。

2) 多くの患者は肝線維化が改善していましたが、治療前にF4ではその改善率は24%でした。

3) 以前の論文では進展の危険因子として脂肪肝と飲酒が言われていましたが、本論文では治療前の
   肝硬変の状態、高齢者、肥満が危険因子でした。
   糖尿病と治療前の肝硬変との関係は証明されていますが、今回の研究では糖尿病と危険因子とは
   直接はSVR後の関連性がありませんでした。

4) 本研究でのFibroScanでの診断の感受性は61%程度でしたが、特異度は95%と高いです。
   これは治療当初では炎症の改善が認められますが、それも肝線維化の改善と過剰診断となってしま
   います。しかし本当の意味での改善は長い期間によって達成されるため、特異度は高くなるとして
   います。又肝線維化はFibroScanで改善したと判断しても、肝生検では偽小葉が存在していると
   診断しますので乖離が生じます。

5) 本論文の対象者はインターフェロン治療ですが、最近の他の論文からはDAA治療後においてもほぼ
   同じ経過と言われています。

6) 若い人には積極的に治療を勧告し、肝硬変になる前に治療を開始する事が大事で、SVR達成後は
   肥満防止が重要としています。




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私見)
 やがてC型肝炎は無くなるとの楽観論もありますが、以前の私のブログでもご紹介しましたが依然として
 アメリカでは若い人達の間での感染も懸念されています。ハーボニーを始めとしたDAA剤により治療が
 格段に進歩しました。しかし、ウイルスを除去しても一部の人では注意が必要です。
 飲酒を控える、適当な運動をする、肥満に気を付ける、糖尿病にならない。
 つまり肝臓に余計な負荷をかけないで脂肪肝にならないように注意する事だと思います。愚痴を言わな 
 い肝臓を大事にいたわってあげましょう。


 追伸)
  Medical TribuneにC型肝炎治癒後(SVR)の肝癌の発生予測因子として、亜鉛が取り上げられて
  います。しかも亜鉛を服用すると、その予防も出来そうだとの記事が載っていました。






hcv Advanced Fibrosis After Sustained Virological Response.pdf


肝癌 亜鉛.pdf











posted by 斎賀一 at 20:12| Comment(0) | 肝臓・肝炎