2018年12月07日

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
 
Diagnosis and Management of Nonalcoholic Fatty Liver Disease



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 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪
肝炎(NASH)を含む疾患概念です。
肝脂肪変性を画像検査(腹部超音波検査、CT、MRI)で確認し、有意な飲酒歴がなく(エタノール換算で
男性30g/日、女性20g/日未満)、他の肝疾患が除外されればNAFLDの診断となります。
NAFLDの10人に1人の割合でNASHの症例が含まれます。非侵襲的な手段で初期のNASHを診断するのは困難であり、肝生検を行うか、定期的な経過観察を行う事が大事です。 (今日の臨床サポートより)
以前の私のブログもご参照ください。


 今回雑誌JAMAより、NAFLDのガイドライン(学会AASLD)の概要が記載されていましたので、纏めて
みました。

1) 脂肪肝を画像で見つけたら、肝機能が正常で症状が無くてもメタボリック症候群(糖尿病、肥満、
   脂質異常症)の検索を行う事。更にアルコール性、薬剤性その他の脂肪肝の鑑別をする。

2) 運動とダイエットによる体重減少は、一般的に脂肪肝を好転する。

3) 薬物療法は、進行性の肝線維化やNASHの治療には限定的である。

4) 脂質異常症を合併したNAFLD、NASH、代償性NASH肝硬変には、スタチン系の薬剤が有効。

5) 糖尿病治療薬のアクトスに関しては、学会で異なった見解です。
   学会AASLDではU型糖尿病が有る無しに関わらず、生検で確認されたNASHはアクトスの適応と
   していますが、学会NICEでは肝線維化が進行した例に適応としています。




私見)
 アクトスの適応に関して、UPTODATEで調べました。
 ・あるガイドラインでは、U型糖尿病が無くても生検で確診したNASHにアクトスを投与する事を推奨して
  いるが、副作用の懸念から、U型糖尿病を合併した場合のみ投与する事を勧めています。
   (下記のPDFに抜粋しました。)
 
 本院では、積極的にエクササイズとダイエットによる体重の減少を指導します。
 更に脂質異常症があれば、当然スタチンの処方も考慮する。
 U型糖尿病を合併してNASHの線維化が進行性と診断されれば、アクトスも投与の視野に入れる。
 といった戦略でしょうか。





Nashとアクトスの効果.pdf

NAFLD JAMA.pdf



















posted by 斎賀一 at 19:18| Comment(0) | 肝臓・肝炎

2018年11月08日

C型肝炎の母子感染について

C型肝炎の母子感染について

 
Quasispecies Diversity Is a Major Risk Factor
for Vertical Hepatitis C Virus Transmission



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 B型肝炎とは異なり、C型肝炎は母子感染による垂直感染は稀と言われています。
C型肝炎に罹患すると血液内に抗体が出来ますが、C型肝炎ウイルスは賢くて肝細胞の中に隠れてこの抗体の攻撃を逃れ、慢性の肝炎へと進展してしまうと想像されています。最近では遺伝子的にアプローチされています。
よって他の疾患と異なり、C型肝炎の患者さんがC型肝炎ウイルスの抗体があったとしても治癒した事にはなりません。
 しかし、母子感染の場合には母親のこのC型肝炎ウイルス抗体が有効に働き、胎児の出産における垂直感染を防止するようです。
今回の論文では、HIVとの混合感染の時にその免疫機能が作動しない場合を調べています。
C型肝炎ウイルスもHIVウイルスと同様に変異が激しく、ワクチンを作るのが困難です。 (最近は明るい報告もあります。)
下記にウイルスの遺伝子配列を示します。



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C型肝炎ウイルスを包むエンベロープにはE1とE2がありますが、その中のE2の末端にHVR-1と呼ばれる変異が激しく起こる領域があり、この部位が抗体から逃れる機能に関係しているようです。
つまり、母体のHVR-1の変異により垂直感染の有無が決まります。しかし母体がHIVと混合感染しますと、HVR-1の変異と関係せずに免疫機能が作動しなくなり、垂直感染を起こしやすくなるとの事です。





私見)
 C型肝炎の垂直感染は稀ですが、HVR-1の変異によっては成立してしまいます。
 HIV感染との混合感染では、変異に関係せずに垂直感染の頻度が増すようです。



hcv.pdf
















posted by 斎賀一 at 13:28| Comment(0) | 肝臓・肝炎

2018年10月03日

慢性肝疾患とアルコール

慢性肝疾患とアルコール
 
Alcohol Use in Patients with Chronic Liver Disease
N Engl J Med 2018;379:1251-61




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 雑誌NEJMに、慢性肝疾患におけるアルコール摂取との関係が総説として掲載されています。
慢性の肝疾患を患っている人はアルコールを控える事が当然と認識していますが、メジャーな雑誌に載りますと、患者さんに対する説得力も増します。 



纏めてみますと

1) まず飯島の組織病理アトラスによりますと、アルコール性肝障害は下記の所見が指摘されています。
    ・小葉中心性の硝子様壊死・また、それに続く小葉中心性線維化・胆汁鬱滞
    ・グリソン鞘中心性線維化・肝細胞の脂肪空砲 ・mallory変性

   (特徴は小葉中心性と周辺性の両方に線維化が起こり、やがてブリッジングが生じると理解して
    います。)
   本論文では、上記の所見が一人の人で混在して認められるとしています。

2) 肝障害の程度は一日平均のアルコール摂取量にも関係がありますが、大酒飲も独立した危険因子
   です。時には大酒も好いかとはいかない様です。

3) アルコール自体の肝毒性もありますが、アルコール摂取により腸内グラム陰性細菌が増殖して、
   endotoxin の増加となり、これが肝のクッパー細胞(貪食細胞)を活性化して線維化が進展する。

4) 残念ながらC型肝炎患者は一般の人と比べて飲酒の量が多く、時に8倍にもなるとのデータがあり
   ます。
   C型肝炎ではアルコールにより酸化ストレスが増加するばかりでなく、C型肝炎ウイルスの複製も促進
   してしまう。
   DAA(最近の経口薬)の時代でも、アルコールは大丈夫とは言えない。

5) マウスの実験では、B型肝炎ウイルスの複製をアルコールは増長させる。
   更にB型肝炎による肝硬変患者では、アルコールにより肝細胞癌の発生が増加する。

6) 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肥満、メタボリック症候群で発生しますが、アルコール
   摂取で頻度は更に多くなり増悪もします。
   ワインが良いとのデータもありますが、一般的にはアルコール摂取によりNAFLDの線維化は進展
   してしまう。

7) 慢性肝疾患はアルコールにより急性増悪をするが、比較的回復は良い。
   (acute-on-chronic liver failure)しかし長期での転帰は悪い。
   基本的には禁酒である。

8) アルコールからの離脱療法には、ベンゾジアゼピン系が有効
   特に短期作用型が推奨される。中でもワイパックスは腎代謝であり有効と思われる。
     ※下記のグラフを参照





  
私見)
 肝疾患とアルコール性肝疾患は、独立した疾患ではなく相互に作用して増悪する傾向があります。
 本院に来院する患者さんの多くは、酒を飲み続けたいために治療を受けに来ているようです。 
 「酒を続けると病状が悪化しますよ。」と説得したら藪医者の誹りを受けそうです。





肝疾患とトランキライザー.pdf







  
posted by 斎賀一 at 19:22| Comment(1) | 肝臓・肝炎