2021年06月01日

アストラゼネカのワクチンと血栓症

アストラゼネカのワクチンと血栓症

ChAdOx1-S in Denmark and Norway: population based cohort study
 


30601.PNG


         
 アストラゼネカのワクチンも承認されました。
しかし海外で血栓症の副作用報告があり、日本では公的に使用しないとの事です。
意味不明の対応ですが、雑誌BMJより論文が掲載されていますのでブログします。
以前の私のブログもご参照ください。


1) 欧州医薬品庁の声明によると、2021年3月10日までに当時のヨーロッパでアストラゼネカのワクチン
   を接種された500万人のうち、主に静脈血栓塞栓症の30例が報告されました。
   その後の欧州医薬品庁の声明では、血栓症の頻度は自然発生とそれほど差はないとしていますが、
   報告は過少評価の可能性もあります。

2) 2021年2月から2021年3月までに、デンマークとノルウェーで実施されたアストラゼネカのワクチン
   接種者282,572人の解析をしています。





          30601-2.PNG 




   動脈性の血栓症は自然発生率と差はありませんが、明らかに静脈性の血栓症は多い傾向です。
   静脈性血栓塞栓イベントは、ワクチン接種10万回当たり11件(5.6-17.0)の超過イベントに
   相当します。脳静脈血栓症の発生率は、ワクチン接種10万回当たり2.5件(0.9-5.2)の超過
   イベントでした。ワクチン接種群の15例が死亡し、一般集団の予想死亡者数は44例でした。

   纏めてみますと

   ・静脈性の血栓症は2倍の危険率
   ・脳静脈血栓症は20倍の危険率
   ・稀な部位に静脈性の血栓症が発生
   ・重篤な血小板減少症が接種の5~24日後に発生
   ・副反応は50歳以下の女性に多い

3) 結論
   アストラゼネカのワクチンは70%の有効率があります。
   リスクよりその効果の方がはるかに勝ります。
   流行の推移、地域性、接種の汎用性、そして社会と個人の問題を含めてその活用が求められて
   います。







私見)
 日本ではファイザーのワクチンが大量に手に入りました。インセンティブなどあらゆる手段をかけて
 政府は実地医家にストレスをかけています。
 ワクチン確保の担保の意味で、アストロゼネカとも契約したと思います。
 余り始めたワクチンは、世界のワクチン格差の解消に使われるのは仕方がないかもしれません。
 国内のワクチン格差を生じないよう、我々は努力しなくてはいけない段階です。







Arterial events, venous thromboembolism, thrombocytopenia, and bleeding after vaccination with Oxford-AstraZeneca ChAdOx1-S in Denmark and Norway_ population based cohort study.pdf









posted by 斎賀一 at 19:10| Comment(2) | ワクチン

2021年05月24日

ファイザーワクチンは冷蔵庫で1ヶ月間保管が可能

ファイザーワクチンは冷蔵庫で1ヶ月間保管が可能
 <業務連絡> 
 
FDA In Brief: FDA Authorizes Longer Time for Refrigerator Storage
of Thawed Pizer-BioNTech COVID-19 Vaccine Prior to Dilution,
Making Vaccine More Widely Available



30524.PNG




 アメリカのFDAが、ファイザーワクチンの保管期間に対して変更を承認しました。
零下80~60度の冷凍保存後に2~8度の冷蔵庫で解凍した場合には、希釈する前ならばそのまま1カ月は保管可能との事です。(以前は5日間が限度でした。)
接種のキャンセルが心配でしたが、希釈しなければそのまま冷蔵庫で最長1ヶ月間は管理しておけます。
主パソコンが修理中のためfact sheetの日本語翻訳は後日行います。





          30524-2.PNG

          
           以前のfact sheet




          30524-3.PNG


          改訂されたfact sheetです。後日翻訳しブログします。







私見)
 これはかかりつけ医にとって福音です。
 迅速な通達を望みます。1カ月の保管が許可になれば、本院でもキャンセルのため最後の1バイアルは
 希釈せずにそのまま冷蔵庫に保管し待機できます。
 但し保管は1〜2週間前後としておきましょう。必ずバイアルに日付を付けておく必要があります。
 また別の見方をすれば、配布されたワクチンも日付管理を徹底すれば余裕が持てそうです。
 個別接種の立場から、厚労省の早い対応を望みます。








1 以前のfact.pdf

2 改訂 Pfizer- Fact Sheet.pdf

3 FDA In Brief_ FDA Authorizes Longer Time for Refrigerator Storage of Thawed Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine Prior to Dilution, Making Vaccine More Widely Available _ FDA.pdf










posted by 斎賀一 at 21:16| Comment(0) | ワクチン

2021年05月10日

モデルナとファイザーのワクチンにおける皮膚反応

モデルナとファイザーのワクチンにおける皮膚反応
 
Cutaneous reactions reported after Moderna
and Pfizer  COVID-19 vaccination



30510-2.PNG


      

 以前のブログでも紹介しましたが、稀ですがモデルナワクチンよる皮膚反応の報告があります。
今回の論文では、mRNAワクチンであるファイザーも報告があるようです。


1) 2020年12月より2021年2月までの414例の報告です。
   内訳はモデルナが83%で、ファイザーは17%でした。
   平均年齢は44歳で90%が女性でした。
   遅発性の局所反応が主体で、注射部位、蕁麻疹様、移動性です。
   1回目の接種で皮膚反応が起きると、43%が2回目にも出現しています。
   稀な皮膚反応に凍瘡様、顔にヒアルロン酸注入の反応、肢端紅痛症、ヘルペス、
   ジベルばら色粃糠疹があります。

2) モデルナに関しては、接種後8日以降の遅発性の局所反応は1回目の接種で244例(0.8%)
   2回目の接種では68例(0.2%)の報告です。
   414例の内、両方の接種で確認が取れたのは180例です。
   1回目の接種で38/180(21%)、2回目の接種で113/180(63%)
   両方の接種では29/180(16%)でした。
   皮膚反応は、1回目の場合は平均で接種後7日後で4日続きます。
   2回目では、接種後2日で3日続いていました。

3) 考察
   ワクチン接種後の皮膚反応は、局所的な注射部位から遅発性の局所反応まで幅が広い。
   本研究報告では、1回目の接種により遅発性の皮膚反応を経験しても、それに続いての重篤な
   アレルギー反応は起きていません。
   また皮膚症状に対しては、ステロイド軟膏や抗アレルギー剤で対応可能です。
   アイシングも有効です。蜂窩織炎を疑っての抗生剤は不要です。
   これらの皮膚症状は、あたかも新型コロナ感染症に類似しています。
   ワクチンそのものの直接的な皮膚反応と言うよりは、ウイルスに対する免疫応答かもしれません。
   現に肢端紅痛症やジベルばら色粃糠疹などは、インフルエンザやB型肝炎のワクチンの場合にも
   稀ながら認められています。
   大事な点は、ワクチンによる即時型のアレルギー反応との鑑別です。
   CDCの勧告では、即時型は接種後4時間以内としており、その場合は2回目の接種に対しては
   禁忌の可能性が生じます。
   しかし本反応は4時間以上ですし、多くが1日以上の遅発性です。
   結論として、接種後4時間以上の皮膚反応は2回目の接種の禁忌ではありません。





          30510-3.PNG





  
私見)
 mRNAワクチンの皮膚反応は4時間以内か、メジャーな全身症状(痒み、全身の蕁麻疹など)なのか、
 十分な鑑別が必要になります。







Cutaneous reactions reported after Moderna and Pfizer COVID-19 vaccination_ A registry-based study of 414 cases.pdf

モデルナのワクチン・遅れての皮膚反応_ _Font Size=_6__斎賀医院壁新聞__Font_.pdf

新型コロナ・ワクチンによる血液障害_ _Font Size=_6__斎賀医院壁新聞__Font_.pdf

日本におけるファイザー・ワクチンの副反応_ _Font Size=_6__斎賀医院壁新聞__Font_.pdf











posted by 斎賀一 at 21:48| Comment(2) | ワクチン