2019年10月17日

ロタウイルス・ワクチンは安全

ロタウイルス・ワクチンは安全
 
Association Between Rotavirus Vaccination
and Risk of Intussusception Among Neonates and
Infants A Systematic Review and Meta-analysis



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 現在日本では、2種類のロタウイルス・ワクチンがあります。
ロタリックス(GSK社)とロタテック(MSD社)です。
効果においては同等です。

 ・ロタリックスは2回接種 : 1回接種量1.5ml、4週間以上の間隔をおいて2回接種(経口接種)
                   します。ワクチンを嘔吐した場合、再投与できます。
・ロタテックは3回接種 : 3回接種量2.0ml、4週間以上の間隔をおいて3回接種(経口接種)
                 します。ワクチンを嘔吐した場合、もう一度服用することができません。

しかし何れのワクチンも多くの弱毒ウイルスが含まれていますので、少し吐いても心配ありません。




         1017-2.PNG


 

 今回雑誌JAMAから、ロタリックスとロタテックの両方をまとめてその安全性を証明したメタ解析の論文が
掲載されていますので、纏めてみました。

1) 以前からロタウイルス・ワクチンによる予防効果は、36~96%と言われています。
   ワクチンの副反応として腸重積がありますが、一般的には予防効果の方が勝るとされています。
   今回の論文は、25の研究のメタ解析でその安全性を検討しています。

2) 1999~2018年間の調査です。
   200,594名が対象で、その内104,647名がワクチン接種群で、95,947名がコントロール群です。

3) 結果は
  ・31日以内での腸重積の発生は20例です。  0.17/10,000人です。
   ワクチン群が11例で、コントロール群が9例でした。
  ・1年以内での腸重積の発生は74例です。  0.65/10,000人です。
   ワクチン群が37例で、コンロトール群も37例でした。
  ・2年以内での腸重積の発生は59例です。  0.48%/10,00人です。
   ワクチン群が29例で、コントロール群が30例でした。
  
  メタ解析のため、期間発生に関しての例数の同次元性はありません。
  結局ワクチン群とコントロール群での差異はありませんでした。






1 ロタワクチン.pdf

2 本論文.pdf











   
posted by 斎賀一 at 14:14| Comment(2) | ワクチン

2019年07月27日

妊娠中のインフルエンザ・ワクチンは安全

妊娠中のインフルエンザ・ワクチンは安全
5歳時までの調査結果
 
Health outcomes of young children born to mothers who received
2009 pandemic H1N1 influenza vaccination during pregnancy



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 妊娠中のインフルエンザ罹患は、時に重大な結果をもたらすため各学会からのガイドラインは、妊婦の
インフルエンザ・ワクチンの接種を勧めています。
それでも妊婦の方は躊躇されるケースが多くあり、接種率も低い傾向です。

 今回カナダからの報告が英国の雑誌BMJに掲載されています。
出産後5歳時までの観察期間の報告です。



纏めますと

1) 2009年11月~2010年10月に出産した135,807人の新生児を対象としています。
   但し、出生体重は500gr以上で、妊娠20週以上での出産としています。
   その中でH1N1インフルエンザ・ワクチンを受けた妊婦は30%でした。
   (最終的にはインフルエンザ・ワクチンを接種した妊婦が4,359名で、接種しなかった妊婦が
   10,100人登録され調査しています。)

2) ワクチンを受けていな人をコントロール群としています。

3) 5歳時までの副反応を調べました。
   主要転帰は、呼吸器感染症、喘息、急性中耳炎、癌、神経疾患、救急疾患の受診の既往、
   5歳までの死亡率です。

4) 結果は、ワクチンを接種した妊婦及びその出産した子供の5年経過を見ても(5歳時まで)
   コントロール群と差は無く、インフルエンザ・ワクチンの安全性が証明できたとしています。
   (下記のPDFのグラフをご参照ください。)





私見)
 長期予後での安全性が証明されました。
 接種が妊娠のどの時期にされたかは論文中に詳細に記載していませんが、uptodateから調べても
 どの時期においても(any time)安全が証明されているため、本論文では問題視しなかったのかも
 しれません。
 念のため原文も掲載します。






1 本論文より.pdf

2 インフルエンザワクチン 妊娠.pdf

3 Immunization before, during, and after pregnancy - UpToDate.pdf














posted by 斎賀一 at 18:57| Comment(0) | ワクチン

2019年02月19日

肺炎球菌ワクチン雑感

肺炎球菌ワクチン雑感




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 2019年版のワクチン・スケジュールがアメリカより発表になりブログしましたが、肺炎球菌ワクチンに
関してはあまり変化がないようです。
今年度中に日本でも肺炎球菌ワクチンに関しての改訂があるとの事ですが、それに先立ちまして私の
認識している事を纏めておいた方が、現場での混乱を若干解消出来るものと思いQ&A形式でブログ
します。
また参考にした文献を下記のPDFに羅列しました。


Q1) 肺炎球菌ワクチンは2種類ありますが、どのように違うのでしょうか。

A1) 肺炎球菌が病原性を強く発揮する主な原因は、菌体を覆う厚い莢膜(多糖体の膜)の存在です。
   莢膜がバリアとなり、貪食細胞などによる貪食作用に対して強い抵抗性を示します。この強い
   抵抗性は、肺炎球菌感染症が短時間のうちに重症化しやすいことにも関連しています。
   この莢膜の抗原性の違いにより、肺炎球菌は90種類以上に分類されます。
   ナンバーが小さい抗原型、つまり血清型のほうがヒトに対する感受性が高いと言われています。
   ワクチンの接種により産生された抗体が莢膜に結合することで、肺炎球菌は貪食されます。
   肺炎球菌ワクチンには莢膜多糖体を精製し、そのまま抗原として使用した多糖体ワクチン
   (ニューモバックス;PPSV23)と、精製した莢膜多糖体にキャリアタンパクを結合させた結合型
   ワクチンの2種類があります。(プレベナー;PCV13)
   ニューモバックスは23種類の莢膜多糖体を含むので、23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチンとも
   呼ばれ、国内の侵襲性肺炎球菌感染症患者から分離された肺炎球菌のうち、およそ70%をカバー
   していました。
   プレベナーは13種類の莢膜多糖体を含むので13価肺炎球菌結合型ワクチンとも呼ばれ、国内の
   侵襲性肺炎球菌感染症患者から分離された肺炎球菌のうち、およそ48%をカバーしています。
   ニューモバックスは主に液性免疫のみを活性しますので、何回接種してもブスター効果はありま
   せん。しかも咽頭の肺炎球菌における細菌叢の血清型に変化を起こしにくいと言われています。
   プレベナーはTリンパ球に貪食され易いジフテリアトキソイドと、莢膜多糖類を接合させたワクチンで
   細胞免疫をも活性化しますので、ブスター効果や長期の免疫維持が可能です。
   しかし粘膜の抗体を刺激して菌の増殖を抑制しますので、キャリアにおいては咽頭の肺炎球菌に
   おける細菌叢の血清型に変化をもたらせます。
   現在、日本では乳幼児がプレベナーで、65歳以上がニューモバックスを使用しています。


Q2) 65歳で23価のニューモバックスを接種しました。再接種は何時ごろが良いのでしょうか。

A2) 5年以内だと副反応も多いかもしれないとの事で、間隔を5年以上としています。
   効果の衰退の面からも、一般的には5年過ぎたらもう一度ニューモバックスを接種するようになって
   いますが、以下の点で異なる見解もあります。

   *uptodateによりますと、ニューモバックスの効果は10年近くあり、再接種は5〜10年の間に
    行えば良いとしています。
   *ニューモバックスに含まれている23価が等しくその抗体を減少するのでなく、マチマチなため
    予測が不可能との事です。


Q3) 65歳以上の2回目の接種は13価のプレベナーを勧めているとネットに書かれていましたが、混乱
   してしまいます。

A3) 上記にも記載しましたが、結合型ワクチンは長期に亘る免疫効果がありますが、キャリアにとっては
   細菌叢の血清型に変化が起きてしまいます。
   以前、小児に適応した7価ワクチンの接種により却って血清型の変化が起こり中止となったため、
   現在では13価を使用しています。
   一部論文では13価でもキャリアの血清型の変化を報告しています。
   麻疹ワクチンに代表されるウイルス感染症に対するワクチンとは異なり、肺炎球菌ワクチンは細菌
   感染症に対するワクチンです。
   私個人的には以下の点で注意をしています。

   *肺炎球菌は100種類ほどあるので、抗体の獲得が十分なのか。
   *血清型が変化しないか。 特に結合型において
   *肺炎球菌ワクチンを接種する意義は、本人が感染症に罹らない事、他人に感染させない事
    ですが、そもそも健康な人でもある種の細菌叢をキャリアーとして保持しており、ワクチンの
    接種により本人、または他者に対してどの様な影響が生じるか予測が出来ない点です。
    しかも国や地域により細菌叢は異なります。

最近医学情報サイトのhealioより [PCV13 vaccination highly effective but complicated by serotype replacement] の記事が載っていました。
示唆に富む見解ですので一部紹介します。

  *「あなたが今週末に孫と抱き合いたいと思った時、あなたは肺炎球菌ワクチンの何を接種して
    いるか、また、孫は既にワクチンを接種しているかを知らなくてはならない。」
  *「あなたはニューモバックスを接種していても何の変化もないかもしれないが、プレベナーを接種
    する事によりあなた自身が変化して、それはもしかしたら13価の菌が完全に消滅していて、それに
    よる感染症は起きないし、孫にも感染症を起こさせないかもしれない。」
  *「インフルエンザ後の2週間は健康な人でも肺炎球菌感染症を併発し易い。それは本人が従来
    持っている細菌叢からの感染症である。
    つまり、結合型を接種する事により13価の細菌叢を自身の体から駆除して、更に多糖体のワクチン
    で周囲からの23価の細菌叢の感染を防ぐことが、65歳以上のあなたには必要である。」

  
Q4) 多方面の文献をコピペしてくれて有難うございます。ただ残念ながら明日には忘れてしまいそうな
   内容です。結局65歳でニューモバックスを接種し、5年が経過した70歳の現在の私は何を接種
   したら良いのでしょう。

A4) 個人的な考えでは、70歳までには今度はプレベナーを接種して、75歳で再度ニューモバックスを
   接種します。更に85歳になったらその時は新しいワクチンが開発されている事でしょう。


Q5) 肺炎球菌ワクチンについて何となく分かりました。それから先生はあまりワクチンに対して乗り気で
   ない事も分かりました。

A5) そうではなく、ワクチンにも私にも過剰な期待をしないでもらいたいのです。
   ため込んだ論文を下記に掲載します。こちらからも肺炎球菌ワクチンに対して関心がないわけでは
   ない事をご理解してください。







1 肺炎球菌ワクチン論文集.pdf

1 論文 肺炎球菌ワクチン 13価.pdf

2 そうだったのか!成人用肺炎球菌ワクチンQ&A.pdf

3 肺炎球菌ワクチン.pdf

13価結合型肺炎球菌ワクチン,65歳以上にも接種可能に:医師のための専門情報サイト[MT Pro].pdf

13価肺炎球菌結合体ワクチンの高齢者への定期接種化の是非を審議/第10回予防接種.pdf

Effectiveness of 23-Valent Pneumococcal Polysaccharide Vaccine Agai... - Pub.pdf

Effectiveness of 23-valent pneumococcal polysaccharide vaccine against invas.pdf

Lack of effectiveness of the 23-valent polysaccharide pneumococcal ... - Pub.pdf

Pneumococcal vaccines for older.pdf

プレベナー 高齢者(65歳以上)適応追加のご案内.pdf

高齢者への13価肺炎球菌ワクチンによる有効性の詳細が明らかに/オランダ・CAPITA試験:.pdf

小児用肺炎球菌ワクチン国内導入のインパクト.pdf

肺炎ワクチン『定期接種化』で混乱.pdf

肺炎球菌ワクチン 2回接種.pdf

肺炎球菌ワクチンの構造.pdf

肺炎球菌ワクチンの接種の現状と留意事項.pdf

米諮問委,65歳以上への13価結合型肺炎球菌ワクチンの定期接種を推奨:.pdf





















posted by 斎賀一 at 21:47| Comment(0) | ワクチン