2019年04月20日

アセトアミノフェンは高齢者にも安全

アセトアミノフェンは高齢者にも安全
 
Acetaminophen Safety: Risk of Mortality and Cardiovascular
Events in Nursing Home Residents, a Prospective Study



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 本院でのアセトアミノフェンはカロナール、コカール、アルピーニ座薬がありますが、安全性が高い解熱鎮痛薬(NSAIDs)として汎用されています。
しかし、海外では多用、多量使用のため最近では問題視されています。
また喘息、腎障害、肝細胞障害、骨折、血液疾患、ワーファリンとの相互作用などの副作用に関しても、
報告されるようになりました。

上記の懸念に対して、アセトアミノフェンの安全性を高齢者で検証しようとした論文が出ましたので、ブログにします。
高齢者は薬の副作用も出やすい事が想定されますので、本論文では対象者を施設(nursing home)に入居している人を対象にしています。
論者は述べていますが、最近のアセトアミノフェンに対する副作用報告は極めて稀な例が多く、過剰評価しているとしています。


纏めてみますと

1) アセトアミノフェンの常用量での副作用を調べました。
   対象は施設(nursing home)に入居している5,429名の高齢者で、平均年齢は86.1歳です。
   73.9%が女性

2) 死亡率、心筋梗塞、脳卒中の発生を解析しています。
   2,239名がアセトアミノフェンを服用しています。 (コントロール群と同等の分布populationで
   振り分けています。)
   平均で2,353±993mg/日服用  (本院ではせいぜい1,000mgです。)
   死亡率は、アセトアミノフェン服用者で22.34人/100人/年に対して
   非服用者では22.16人/100人/年と差はありません。 死亡率の危険率は0.98となります。
   心筋梗塞においても関連性はありませんでした。
   但し糖尿病のある人では、アセトアミノフェン群は脳卒中の危険率が3.19でした。

3) 高齢者は一般的に多剤併用しており、代謝上副作用の出現の危険もありますが、アセトアミノフェン
   は、鎮痛薬としては安全性の点で第一選択枝だとしています。
   但し糖尿病患者に関しては、今後の研究が待たれるとも記載しています。





私見)
 未だ疑惑は晴れないと思いますが、依然としてアセトアミノフェンは解熱鎮痛薬ファーストの地位
 のようです。





アセトアミノフェン Acetamin ophen Safety.pdf







posted by 斎賀一 at 14:59| Comment(0) | 小児科

2019年04月10日

自己炎症性疾患のPFAPA症候群について

自己炎症性疾患のPFAPA症候群について

 
 
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 先日の扁桃腺摘出に関するブログの中で、PFAPA症候群の記載がありました。
稀な疾患との事ですが、鑑別疾患の中ではよく出てくる病気なので纏めてみました。
運よく雑誌小児科3月号に特集が組まれていましたので、それから抜粋して参ります。


1) 自己炎症性疾患には遺伝性の狭義と特定の遺伝子の関連が認められない広義があるが、多くは
   広義の方で、クリニックでも遭遇する疾患である。
   広義として、家族性地中海熱とPFAPAがある。

2) 発熱の期間は、家族性地中海熱は12~72時間、PFAPAは3~6日間です。
   診断的治療として、家族性地中海熱はコルヒチン、PFAPAはステロイドです。





私見)
 扁桃腺炎とは限らず、周期性発熱疾患の鑑別を下記の書籍より抜粋し纏めましたので職員の皆さん、
 下記のPDFで再度勉強しましょう。






 ◆参考文献及び書籍◆

  小児科 ; Vol.60 No.3 2019
  外来で診るリウマチ・膠原病Q&A ; 日本医事新報社
  小児科 ; Vol.57 No.3 2016   大西秀典
  小児の感染症診療の落とし穴 ; 南江堂   尾内一信
  小児診療のコツ ; 羊土社   細谷亮太
  小児科 ; Vol.51 No.9 2010
  Medical practice ; Vol.33 No.7 2016
  写真はuptodateより





1 周期性発熱疾患について.pdf

2 自己炎症性疾患ガイドライン.pdf








posted by 斎賀一 at 19:31| Comment(1) | 小児科

2019年04月09日

扁桃腺摘出術のガイドライン・2019年版

扁桃腺摘出術のガイドライン・2019年版
 
Clinical Practice Guideline: Tonsillectomy in Children (Update)



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 本年度の扁桃腺摘出術に関するガイドラインが、アメリカの学会より発表になりましたので掲載します。
  (AO-HNSF)

 対象は1~18歳です。15個の声明文(key action statement)より成り立っています。
閉塞性睡眠時無呼吸障害や発作の疑いがあれば、睡眠ポリグラフ検査を勧めています。
本院では閉塞性の場合は専門医に紹介していますが、扁桃腺炎を繰り返している場合に関しては、本院でも十分に患者さんとコンタクトをとるようにしています。
その意味で、本ブログでは閉塞性に関しては簡略に纏めてみました。


1) 生体の分泌物には唾液、粘液、消化管液など色々ありますが、この分泌液には単に液体だけでなく
   病原菌を標的にする免疫グロブリンIgAが大量に含まれています。それにより局所的な免疫機能に
   おける防護を司っています。
   扁桃腺はリンパ組織です。抗原(病原菌やウイルス)が侵入してくると、喉の扁桃腺組織にある
   M細胞がこの抗原、つまり病原菌を捕捉してリンパ球のT細胞に情報を送り→更にその情報がリンパ
   球のB細胞に伝達され→B細胞は形質細胞と成熟します。
   この形質細胞は5種類の免疫グロブリンを産生しますが、扁桃腺表面の上皮からは分泌型グロブ
   リンのIgAが産生されます。これらは局所の免疫機能にとって一番重要です。
   一方、扁桃腺組織内ではJ鎖結合のIgAが形成されます。このJ結合型IgAはリンパ球のB細胞を
   活性化させるのに重要です。

2) 扁桃腺炎が繰り返されると、表面の上皮にある病原菌を捕捉するM細胞に異変が生じます。
     (そんなに仕事が多くてはやってられないと言った感じでしょうか?
      だってしょうがないじゃーありませんか! 若い看護師が見つからないんですから…。)
   すると病原菌が直接扁桃腺の中に侵入してしまい、その結果、バランス悪く早期にB細胞がJ結合型
   IgAを産生し、更にそのJ-IgAがB細胞を活性化して増殖を促します。
   加えて扁桃腺内のリンパ球は過労状態となり、もはや正常の局所免疫機能は十分にその役割を
   果せなくなってしまいます。
   そこで、繰り返される扁桃腺炎に対して扁桃腺摘出術を施行する事は、病原菌の侵入を阻止して
   再び分泌型の免疫機能を改善する事を目的としています。
   しかし残念ながら、扁桃腺摘出術後の免疫機能の十分な検証は未だされていないとの事です。

3) 扁桃腺摘出術による副作用
   ・手術後24時間以内での出血は0.2~2.2%で、24時間以降では0.1~3%です。
   ・摘出術後に退院が4~24時間延びてしまうのは1.3%、再入院は3.9%です。
   ・死亡事故はアメリカの入院患者で1/2,360人、外来で1/18,000人
    入院患者の合併症のバイアスがあるかもしれません。
    イギリスでは33,921人中1人しか死亡事故は生じていないとの事です。


前口上が長くなりましたが、本題の声明(statement)を纏めます。

1) statementT ; 再発性扁桃腺の注意深い観察
   1年間で7回以下の再発、2年間で5回以下の再発、3年間で3回以下の再発
   この場合は摘出術をしないで経過観察も可能。つまり2年以降では自然に再発が低下するので
   1年に1回程度に落ち着けば経過観察とのことです。
   しかしこの経過観察とは摘出術をしなくてよいと言うのでなく、場合により手術もするとの方針です。

2) statementU ; カルテに正確に記載された再発性扁桃腺炎で、下記の場合は摘出術が適応
   1年間で7回以上の再発、2年間で5回以上の再発、3年間で3回以上の再発
   カルテの記載事項としては
   ・38.3°以上の発熱 ・頸部リンパ節腫脹 ・滲出性扁桃腺炎 ・溶連菌感染のデータ
   下記のPDFに記載しますが、重症度も参考にします。
   摘出術の効果は、最初の1年間で再発は1.9回減少
    (摘出術を施行すると1年間に0.5~1回の再発)
   重症の場合は1年間で1.2回から0.1回に減少

3) statement V ; 特殊な場合   
   多剤に抗生剤アレルギーか耐性がある場合、PFAPA、1回以上の扁桃腺周囲膿瘍の既往
   PFAPAに対する摘出術は論争があるとの事です。
   扁桃腺周囲膿瘍で必要な摘出術は、10~20%との事です。


   以下のstatementは一覧表で確認してください。






私見)
 疾患PFAPAについては、近々文献を集めてブログします。
 個々のstatementについては、患者さん毎に説明いたします。
 扁桃腺摘出術に関しては熟慮して頂き、その上で専門医に紹介いたします。
 IgAに関しても下記のPDFをご参照ください。





1 Tonsillectomy ガイドライン.pdf

2 扁桃腺摘出 本論文.pdf

3 IgAについて.pdf















  
posted by 斎賀一 at 21:45| Comment(1) | 小児科