2020年01月07日

肺塞栓症の診断とd-dimerについて

肺塞栓症の診断とd-dimerについて

静脈血栓塞栓症診断を目的とした D- ダイマーの
カットオフ値設定およびその運用について



20107.PNG
 
         

 以前のブログ(下記のPDF参照)でも紹介しましたが、肺塞栓症の診断で有力な D-dimer には検査
方法として、エライザ法とラテック法の2種類があります。
海外の文献はエライザ法を採用しています。エライザ法は高感度であり年齢補正も可能との事で、調べて
みましたが残念ながら近隣での検査会社では行っていません。結局は試薬の使用期限が短いようです。
ならば自前で検査機械をとも考えましたが、それこそ高価で試薬制限もあり、ほぼ不可能です。
現時点ではラテック法を駆使して診断しなくてはと決断をしています。
迅速診断キットを購入予定ですが、それは次回のブログで紹介します。

 精神科より、ラテック法で D-dimer 値のカットオフ値の提案があり、現時点ではこれを採用するのが
本院にとってベストだと考えています。


論文を纏めてみますと

1) D ダイマ ーは感度が高く、急性肺血栓塞栓症に対する 0.5 μ g/ml 以下である場合の陰性的中率
   は100%であるとの報告がある一方で、偽陽性率が高いことも知られている。

2) 各科では、工夫してカットオフ値を下記の様に設定している。
   婦人科:1.0~1.5   整形外科:10.0

3) 本研究では静脈血栓塞栓症と診断された症例 12 例の Dダイマーを検討した。
   深部静脈血栓症を発症した症例の D ダイマーの最小値が2.96 μ g/ml であるのに対し、肺血栓
   塞栓症を発症した D ダイマーの最小値は、 9.40 μ g/ml と高値であった。
   以上を考慮して、整数の3.0(感度91.7%、特異度78.2%、偽陽性21.8%)を採用する事とした。



          20107-2.PNG


          20107-3.PNG
 

 

4) 早期発見により大事に至るのを防ぐことを目的に、経皮的動脈血酸素飽和度(Sp02)を頻回に測定
   することが望ましいと考えた。 これまでに低酸素血症以外に自覚症状を認めない肺血栓塞栓症の
   報告もあり、Sp02 の変化をモニターすることは有用であると思われる。






私見)
 本院でも現段階ではD-dimerはラテック法で参ります。
 カットオフ値は3.0として、年齢による補正は行いません。
 Sp02もモニタリングに採用します。
 詳しいストラテジーは別のブログとします。







1 d-dimer 精神科.pdf

2 D ダイマー値による肺塞栓症の診断_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

3 肺塞栓症の診断;YEARSクライテリア_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf









 
posted by 斎賀一 at 19:42| Comment(0) | 小児科

2020年01月06日

急性呼吸器感染症におけるプロカルシトニン測定

急性呼吸器感染症におけるプロカルシトニン測定
 
An investigation of the effects of procalcitonin
testing on antimicrobial prescribing in respiratory
tract infections in an Irish university hospital setting



20106.PNG



 急性の下気道感染症は多くがウイルス性で、細菌性の合併は多くても40%との報告です。
 (下気道感染症とは呼吸困難、痰を伴い、聴診上の所見、レントゲン所見など総合的に判断して
います。)
その際に抗生剤を適切に処方する事と、いつ休薬するかを決定するツールとして、プロカルシトニンは
以前より有力視されていますが、一方でその判定に関しては一貫性が無く、採用には賛否両論です。
 今回その有用性を報告した論文が発表になっていますので、ブログしてみます。


1) プロカルシトニンは、細菌感染により誘導されたサイトカインです。しかしウイルス性感染症により
   プロカルシトニンの産生は抑制されます。その結果、細菌感染症とウイルス性感染症を鑑別する
   ことが出来ます。又感染症が軽快すると急激に低下します。従って抗生剤の投与と中断の決定に
   有効となります。

2) 本研究の対象はアイルランド国立大学(University College Cork, UCC)に、下気道感染症で
   入院目的で紹介され、呼吸器専門家のチームによる診断治療を受けた患者です。
   その中でプロカルシトニンを検査した群(Active arm ;PCT)と
   検査をしない群(Respiratory control group)に分けています。
   更に小規模病院で非専門家により急性下気道感染症と診断され、一般的な診断治療を施された
   群(Control group 2)も追加して比較検討しています。
   Control group 2はプロカルシトニンの検査をしていません。
   検査のストラテジーは下記に示します。詳しくは本論文のPDFをご参照ください。




            20106-2.PNG
   

  
3) 対象者は18歳以上の下気道感染症で、アイルランド国立大学に紹介され入院した患者です。
   生命の危険のある重症例や免疫不全の患者は除外しています。
   登録者は120人で、検査をしない群(Respiratory control group)を2対1になるようにして
   います。一般的な診断治療を施された群(Control group )は50~200人より選んでいます。

4) 主要転帰は抗生剤の使用期間です。
   2次転帰は、入院期間、30日以内の再入院、抗生剤の副作用が主です。

5) 結果
   抗生剤の使用期間は6.8日対8.9日、入院期間は7日対8日と、プロカルシトニンを検査した群が
   短縮していました。
   その他の結果は下記の図です。




         20106-3.PNG


   
 尚、DDDは入院日数当たりの抗生剤使用量、DOTは抗生剤使用日数、LOSは入院日数を表します。
 詳しくは下記のPDF参照






私見)
 プロカルシトニンを迅速にかつ頻回に測定し、患者層を限定すれば有効なツールであるようです。
 又プロカルシトニンの偽陽性にも注意が必要です。
 本院での採用に関してとストラテジーは、再度ブログします。
 





1 プロカルシトニンのストラテジー.pdf

2 本論文procalcitonin.pdf

3 ddd dot los.pdf













posted by 斎賀一 at 17:47| Comment(0) | 小児科

2019年12月16日

子どもの事故・窒息死

子どもの事故・窒息死
           <短 報>


1216.PNG

 

 先日、本院にテーブルから転倒した幼児が来院しました。運よく軽症で、本院での経過観察となりましたが、更にお母さんのお話では、ご自分のイヤリングが見当たらないとの事です。透視で確認しましたがこちらも経過観察で良しとしました。
乳幼児にとっては安全なはずの家庭内が、アフガン並みのとんでもない危険地域である事を常に想定しなくてはなりません。

 最近、雑誌JAMAより子供の窒息死はキャンペーン後、激減しているとの事ですが、それでも後が絶たないとの論文が出ています。臨床家も保護者に対しての注意勧告を、今後もすべきとしています。
下記にネットでの注意勧告を掲載します。







1 online.pdf

2 子ども 事故.pdf

3 月齢・年齢別で見る起こりやすい事故(乳幼児の事故)|あいち はぐみんNet.pdf

4 こどもの救急(ONLINE-QQ) - 事故と対策 - 窒息.pdf











posted by 斎賀一 at 20:12| Comment(0) | 小児科