前立腺がんのモニタリングに MRI 単独は信頼できるか?
<短 報>
Magnetic Resonance Imaging or Confirmatory Biopsy for Patients
With Prostate Cancer Receiving Active Surveillance
With Prostate Cancer Receiving Active Surveillance
アクティブサーベイランスを行っている前立腺癌患者(米国ベテラン)集団において、
多パラメータMRIでは、確認生検でグレードグループ2以上の疾患を除外する際に75%の陰性
的中率を示し、サーベイランス生検ではcorresponding value(対応する値)は、77%との論文
が掲載されています。
これはMRI単独では、臨床的に重要な癌の相当部分を見逃すことを示しています。
【補足説明;アクティブサーベイランス(Active Surveillance, AS)とは、
癌をすぐに治療(手術・放射線)せず厳格に経過観察し、進行の兆候が出たら治療に移行
する管理方法を意味します。】
【補足説明;陰性的中率(Negative Predictive Value:NPV)とは検査が陰性だったとき、
その結果が正しく “本当に病気がない” ことを意味する確率です。】
低リスクの前立腺癌をアクティブサーベイランスで見ていく場合、最初の検査で見つけられな
かった悪性度の高い癌がないかを確認するために、もう一度生検をすることが良くあります。
最近のガイドラインでは、多パラメータMRIが確認生検の代替となり得ると提案されています
が、その精度を裏付けるデータは限られています。
その点を調べた論文の短報をブログします。
1)方法
研究者らは2013〜2023年にグレードグループ1または2の前立腺癌と診断され、確認生検
及びサーベイランス生検の180日以内にMRIを受けた1,901人の米国ベテランのデータを
解析した。
主要アウトカムは、確認生検またはサーベイランス生検においてグレードグループ2以上の
前立腺癌の存在であった。 MRI におけるPI-RADSスコア3以上を陽性とみなした。
【補足説明;PI-RADS スコアとは、
前立腺MRIでの「癌らしさ」を5段階で表すスコア。数字が大きいほど、臨床的に重要な
癌の可能性が高い。」3は中間、4・5は生検を考える】
【補足説明;
】
2)結果
MRIの陰性的中率は、グレードグループ2以上の前立腺癌を検出する際に、
確認生検で75%、サーベイランス生検で77%であり、MRI単独では約4分の1の臨床的に
重要な癌を見逃していた。
診断時生検でグレードグループ1の患者では、陰性的中率は確認・サーベイランス生検
共に79%に上昇した。
一方、グレードグループ2の患者では、陰性的中率は大幅に低かった。
PSA密度が0.15ng/mL2 未満の患者では陰性的中率がより高く、確認生検:78%、
サーベイランス生検:83%であった。
3)結論
MRIは、グレードグループ3以上の前立腺がんを除外する際にはより良好な性能を示し、
PI-RADS3〜5を陽性とした場合、複数のサブグループで陰性的中率が95%を超えた。
高品質な多パラメータMRIは、前立腺生検を誘導し診断を改善するのに明らかに役立つが、
AS(アクティブサーベイランス)において生検の代替としてMRIに頼ると、臨床的に重要
な癌の過小診断に繋がることを確認した 。
もっとも、これらの多くが差し迫って生命を脅かす可能性は低い。
PI-RADSスコアを上回る改良が進行中であるが、それまではアクティブサーベイランスの
確認検査としては、生検を含めるべきである。
私見)
前立腺はグレードの低い癌も多くありますが、高齢化社会において発生頻度が高まると
分母も多くなり、グレードの高い癌も絶対数が増えます。
PSA検査、MRI検査、生検は三種の神器でしょうか...。