2021年09月08日

ファイザーワクチン後の小児における心筋炎

ファイザーワクチン後の小児における心筋炎
 
Association of Myocarditis With BNT162b2 Messenger RNA COVID-19
Vaccine in a Case Series of Children



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 アメリカのボストンからの報告が雑誌JAMAに掲載されていましたので、ブログします。


1) FDAはファイザーワクチン接種を、2021年5月10日より12歳以上の若者に緊急使用することを認可
   しました。
   本研究は12歳から19歳の若者の、ワクチン接種後30日間経過観察における心筋炎の報告です。
   観察期間は2021年5月1日から7月15日です。

2) 15例の心筋炎での入院例を報告しています。
   男児が14例 (93%)
   平均年齢は15歳
   症状は接種後、1〜6日に出現しています。
   胸痛 ; 平均3日後(1〜6日) 15例(100%)  
   発熱 ; 10例 (67%)
   筋肉痛 ; 8例 (53%)
   頭痛 ; 6例 (40%)
   トロポニン上昇は全ての症例で認めています。
   心エコーで駆出率低下は3例(20%)ですが、心外膜のeffusionは認めていません。
   心電図 ; 6例(40%)が心外膜炎のdiffuseなST上昇。
          9例(69%)にST-T変化を認めています。
   PR間隔やQT延長は認めていません。
   治療は免疫グロブリン療法が7例 (47%)
   メドロールの点滴 (1mg/kg/回を一日2回)
   退院時にはプレドニン処方

3) ICUへの入院はありません。
   入院期間は平均で2日間です。 (1〜5日)
   11例が症状の回復を認めています。 (73%)
   駆出率の正常化には2〜11日を要しています。
   1例は駆出率が54%とボーダーラインが続いていました。 (7%)
   1例に心室頻拍が続いています。
   一般的な心筋炎ではICU入院率が高くて不整脈の頻度も多く、致死率は7.8%です。
   それに比べれば、ワクチン接種後の心筋炎は軽症です。

4) ほとんどが2回接種後に発生しています。 (1例のみ1回接種後)
   これまでのデータでは、コロナワクチン接種後の心筋炎が1,226例報告されています。
   その中で30歳以下は687例です。
   12歳から29歳の頻度は62.8例/100万人です。
   (ワクチン関係では5例/10万人がイエロー信号です。)
   1人の心筋炎の発生に対して250人のコロナ発生、14人の入院を予防できます。
   しかし、経過は軽症ですが長期予後の観察が必要です。






私見)
  12歳までのワクチン接種が始まります。
  後日に再度ブログしますが、十分なコンセンサスが必要です。
  私の以前のブログもご参照ください。








JAMA 子供 心筋炎.pdf

ソルメドロール.pdf










posted by 斎賀一 at 18:31| Comment(1) | 小児科

2021年08月24日

コロナ禍での小児の重症糖尿病の発生

コロナ禍での小児の重症糖尿病の発生
 
The SARS-CoV-2 pandemic is associated with increased severity
of presentation of childhood onset type 1 diabetes mellitus:
A multi-centre study of the first COVID-19 wave



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 若い人のT型糖尿病(インスリン注射が絶対的に必要な糖尿病)は、ある日突然発症します。
T型糖尿病は、膵β細胞の破壊によるインスリンの絶対的不足が原因です。自己免疫機序の関与する
自己免疫性(1A型)と、自己免疫機序の関与が明らかでない特発性(1B型)に分類されています。
また、1A型をさらに急速進行型(rapidly progressing form)と、緩徐進行型(slowly progressing form)に分類することもあります。
一般的なU型糖尿病は体質、つまり遺伝的要因が強いのですが、T型糖尿病は感染症が原因との事も
指摘されています。

uptodateによりますと
(ウイルスは、直接感染してβ細胞を破壊するか、これらの細胞に対する自己免疫攻撃を誘発することに
よって、動物モデルで糖尿病を引き起こす可能性がある。1型糖尿病を発症してから、数週間以内に死亡
した75人の患者の膵臓組織におけるコクサッキー、EBウイルス、流行性耳下腺炎、またはサイトメガロ
ウイルスからの急性または持続性感染の証拠は見つからなかった。
しかし、いくつかの異常な形態の糖尿病は、多数のβ細胞におけるコクサッキーウイルスの存在と関連
している。)

このコロナ禍で、重症T型糖尿病が見過ごされている可能性を指摘した論文が発表になっています。
簡単に纏めますと


1) 18歳以下に発生したT型糖尿病を調べています。
   期間は2019年7月1日から2020年3月22日までのコロナ流行前と
   2020年3月23日から2020年6月30日のコロナ流行時での発生を比較しています。
   通年で1年間を調べています。


2) 結果はグラフで示します。




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  T型糖尿病の発生は、コロナ流行前は3.5例/月に対して、コロナ流行時では4.9例/月と増加傾向
  ですが、問題なのは重症例、つまりケトアシドーシス症例(DKA)が流行時において、10%から47%
  に増加している点です。





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       本研究では、実際にコロナに感染した人は確信例で1人/17人でした。





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3) 考察として
   新型コロナウイルスが何らかの免疫機能により、膵β細胞に働きT型糖尿病を発症したことも想定
   されますが、多くはコロナ流行により医療機関の受診を手控えることに起因するものと思われます。





私見)
 小児のT型糖尿病は、一歩間違えば死に至る病です。
 しかしその診断は重症例なら尚の事、苦慮することがあります。
 コロナ禍では疾患の診断の遅れが他にも多くあるものと思われます。
 新型コロナは実地医家にとって、忍耐と知略を振り絞る段階を迎えようとしています。







コロナ 小児 糖尿病.pdf









posted by 斎賀一 at 20:43| Comment(2) | 小児科

2021年08月20日

小児の急性胃腸炎にヨーグルトは無効

小児の急性胃腸炎にヨーグルトは無効

Association Between Diarrhea Duration and Severity and
Probiotic Efficacy in Children With Acute Gastroenteritis



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 乳幼児に限らず、大人の急性胃腸炎にも本院はヨーグルト、特にLactobacillusGGの入っている
タカナシ・ヨーグルトを推奨してきましたが、あまり効果がないとのデータが雑誌AJGに載っていますので
纏めてみました。


 1) アメリカとカナダの2つの研究を纏めています。
    対象は、3か月から48か月の乳幼児です。
    1,770人が登録し、プロバイオティクス群が882人(50%)と、プラセボ群を比較しています。
    プロバイオティクス(ヨーグルト)は、Lactobacillus GG と L. rhamnosus と
    L.helveticusです。
    急性胃腸炎の原因は多岐にわたります。


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 2) プロバイオティクスを投与する初期段階で、下痢の期間と重症度を分類しています。
    下痢の期間は、24時間以内、24〜72時間、72 時間以上に分類
    重症度は、1日に下痢の回数が3回以下、4〜5回 、6回以上に分類
    主要転帰は、MVSを用いています。


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    2次転帰は下痢の回数、期間、再診、入院です。

 3) 結果は下記のグラフを参照ください。


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    軽症例は、プロバイオティクスもある程度有効かもしれませんが、入院率を下げるほどの
    効果はありませんでした。

 4) 本研究では、プロバイオティクスを投与をしてからの結果で、又重症度と期間も層別化して
    いますので、研究の精度は今までの研究より高いとしています。




私見)
 急性胃腸炎の基本方針は、補水に変わりはないようです。



Association_Between_Diarrhea_Duration_and_Severity.26 (3).pdf







posted by 斎賀一 at 22:49| Comment(0) | 小児科