2018年11月10日

糖質制限はやせるのか? 健康にもよい?

糖質制限はやせるのか? 健康にもよい?



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 糖質制限はダイエットばかりでなく、糖尿病の食事指導でも市民権を得てきています。
今回雑誌Newtonに特集が組まれていましたので内容を抜粋してみました。


1) 日本人のエネルギー産生栄養素としては、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、炭水化物
   50~65%が目標とされています。

2) 糖質制限は小規模研究ですが、2〜6カ月後の体重減少は他の食事制限よりも効果があった
   ようです。
   但し無気力、頭が働かないといった副作用も報告されています。

3) 低糖質食では死亡リスクや心血管疾患のリスクも高まるとの指摘もあります。
   糖質50~55%の時に最も死亡率が低かったようです。





私見)
 短期的には痩せられますが、長期的にはリスクも疑われているようです。
 論者も言っていますがほどほどが無難の様で、本院で行っている週に二回の主食制限が一般的で
 しょうか。
 本論文のグラフは下記のPDFを参照ください。





Newton.pdf







posted by 斎賀一 at 14:25| Comment(0) | 糖尿病

2018年10月22日

U型糖尿病ガイドライン;2018 ADA

U型糖尿病ガイドライン;2018 ADA
 
Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018.
A Consensus Report by the American Diabetes Association
(ADA) and theEuropeanAssociation for the Study of Diabetes (EASD)



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 アメリカの学会ADAからU型糖尿病に対するガイドラインが発表になっています。
ライフスタイルの改善からエビデンスに基づいた治療まで、広範囲に及ぶ改訂です。


纏めてみますと

1) DSMES; 糖尿病医療スタッフが患者の個別化を図りながら、教育並びにモチベーションを高めて
   効果を上げる事が主体である。

2) 糖尿病の合併症は細血管(microvascular)と大血管(macrovascular)があるが、大血管病変
   に対する治療の効果は時間が掛かり、薬剤の副作用は短期に出現するため、その効果判定は必ず
   しも明白でない。

3) ヘモグロビンA1cは血糖コントロールの指標になるが、自ずと限界があり解釈には注意が必要

4) 自己血糖測定(SMBG)はU型糖尿病の場合、その有効性は中等度である。

5) 治療の継続が大事で、一方的な患者の教育のみでなく治療の意義、患者の好みの問題、副作用、
   コスト、患者のライフスタイルの多様性の理解、等の総合的な取り組みが必要
   さもなければ治療に対するやる気がなくなってしまう。つまり患者のライフスタイルに適合した治療
   選択をして支える事が肝心である。

6) 患者の合併症の有無、特に心血管疾患(ASCVD)、腎機能(CKD)を考慮する。
   最近のエビデンスからはSGLT-2阻害薬が推奨されている。
    (本院では新薬のGLP-1注射薬が発売になるまでは採用していません。  以下省略)

7) 以下に薬剤についてのコメントを記載します。

   ・メトグルコ
    腎機能のeGFRが30以下では処方しない方が無難
    eGFRが45以下では用量を調整し注意深く経過を見る。
    心血管疾患に対してはスルフォニール系よりも有効
    病状が不安定、嘔吐、脱水の場合は休薬する。
    ビタミンB12欠乏症を誘発するので貧血、下肢しびれがある場合は血液検査を行う。

   ・SGLT-2阻害薬
    効果は腎機能に関連する。また初期導入に関しての用量も腎機能に制限される。
    定期的な腎機能検査のモニタリングも必要である。
    体重減少及び降圧効果も認められる。
    単独、またはメトグルコとの併用においても低血糖リスクは増加しない傾向
    心血管疾患(ASCVD)のある人には、心及び腎機能に予防的に働く。
    しかし、いずれのSGLT-2阻害薬も腎機能低下(eGFRが45以下)においては承認されていない。
    ケトアシドーシスの報告もあるが、大規模研究では証明されていない。
    急性腎不全、脱水、起立性低血圧も懸念されており、利尿薬やARB(降圧薬)の併用時には注意が
    必要である。

   ・DPP-4阻害薬
    効果は中等度。
    単独の場合低血糖はマイルドであるが、スルフォニール系との併用では低血糖が50%増加する。
    稀な副作用として膵炎、筋肉痛がある。

   ・チアゾリジン(アクトス)
    心血管疾患や脂肪肝に有効とのデータがあるが、結論には至っていない。
    水分貯留、心不全の誘発、体重増加、骨折、膀胱癌との関係等安全性とのバランスが大事

   ・スルフォニール系
    細血管疾患の減少は証明されている。
    新しい世代の薬剤のグリミクロン、アマリールは低血糖をあまり起こさないと言われている。
    コストパフォーマンスにおいて、未だに存在価値がある。

   ・インスリン
    利点として、増量によりその効果は増加する点である。
    *基礎インスリン(basal)
     食後の糖の放出を抑制する。 U型糖尿病の初期治療には適している。
     一般的にはアナログ製剤(ランタス、トレシーバ)が低血糖を起こさないと言われているが、
     実地医療の現場では、中間型ヒトインスリン(NPH)との差はない。
     コストとの関係でこのNPHが見直されている。

8) 治療戦略

   ・初期治療
    基本はメトグルコ
 
   ・追加
    *A1cが11%以上で体重減少が起きている場合は、基礎インスリン
    *A1cが9以上で体重減少を目標にしている場合は、SGLT-2阻害薬
    *A1cが7以上で心血管疾患の合併の時は、やはりSGLT-2阻害薬

   ・3剤併用
    3剤併用が必要になる場合が多いが、期待したほど効果は無い。
    寧ろ薬剤の相互作用の懸念が生じるし、継続服用が困難なケースも増加する。(アドヘランス)
    効果が少ないと患者側からは減薬の希望も増す。
    特に低血糖が起きたり、合併症の出現や手術などのためにA1cの目標の変更から指導が厳格に
    なれば、患者はかえってモチベーションが下がる。効果が少なければ3剤併用は中止して、副作用
    のチェックを再点検すべき。
    A1cが6.5以下に達成し、体重が増加傾向の場合は薬剤の減量を試みる。

   ・基礎インスリンの次の一手
    多くのU型糖尿病は肥満でインスリン抵抗性のため、更なるインスリンの増量が必要となる。
    体重増加がインスリンの問題点だが、その意味でSGLT-2阻害薬は併用薬として良い。
    一日で一番多く食べる食事の前に一回、即効性のインスリンを追加するのも安全である。
    混合型インスリン(本院ではライソデク等)は低血糖の頻度が少ないが、学会では特別に推奨は
    していない。

   ・コストを考える。
    メトグルコ、スルフォニール系、ヒトインスリンも再考されるべき

9) 今後の課題
   本当にメトグルコを第一選択として良いのか?
   SGLT-2阻害薬が全ての患者の心血管疾患で有効なのか?
   はっきりした結論が出るまでは、メトグルコを第一選択として推奨する。





私見)
 立派なガイドラインには一種のアイロニーが、若干含まれています。
 本ガイドラインも通読しますと、「エビデンスを知ったかぶりで治療しているあなた、気を付けて
 くださいよ。」と言われているような気になります。
 尚、DSMESに関しては、訳して後日ブログしますので、皆さんで勉強しましょう。








ada dm ガイドライン.pdf

ADAガイドライン.pdf















posted by 斎賀一 at 21:06| Comment(0) | 糖尿病

2018年09月27日

Low-Resource Settingsにおける糖尿病薬の選択

Low-Resource Settingsにおける糖尿病薬の選択
 
Medicines for Treatment Intensification in Type 2 Diabetes and Type
Of Insulin in Type 1 and Type 2 Diabetes in Low-Resource Settings



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 WHOのシンポジウムで、 Low-Resource Settings での糖尿病薬の選択についてガイドラインが
発表になり、雑誌 annals of internal medicine に掲載されています。
この “Low-Resource Settings” の意味合いに思案してしまいます。
“費用対効果” とも違うようですし、単にお国柄として片づけられない気もします。
 論文中に「お金は患者さんのポケットから出る。」との記載がありますが、日本の実地医家にとっても
糖尿病の新時代と浮かれていられない感じです。



纏めてみますと

1) 2013年に、既にWHOは第一選択としてメトグルコ、第二選択としてスルフォニール尿素系と、ヒト
   インスリンを勧奨しています。
   このWHOのガイドラインは、患者個人よりも集団としての捉え方をしているとの事です。
   しかし、最近の新薬は患者個々の効果に焦点を当てているとの指摘です。

2) 本ガイドラインは二つの点を重視しています。
   ・DPP-4阻害薬、SGLT-2阻害薬、TZDs(アクトス)は、メトグルコやスルフォニールで十分な効果
    が得られない時に使用すべき
   ・インスリンアナログは、ヒトインスリンとの比較試験がされている場合のみ採用すべきとして
    います。つまりヒトインスリンの方に重点を置いています。





私見)
 DPP-4阻害薬、SGLT-2阻害薬、インスリンアナログは実地医家にとっても強い味方です。
 しかし、一度頭を冷やす必要もありそうです。






ana dm .pdf












posted by 斎賀一 at 15:15| Comment(2) | 糖尿病