2019年11月05日

腎機能低下患者でもメトグルコはSU剤より有効

腎機能低下患者でもメトグルコはSU剤より有効
 
Association of Treatment With Metformin vs Sulfonylurea
With Major Adverse Cardiovascular Events Among
Patients With Diabetes and Reduced Kidney Function

JAMA September 24, 2019 Volume 322, Number 12



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 糖尿病の治療ガイドラインによると、第一選択薬はメトグルコです。
安価、低血糖の心配が少ない、体重増加がない等の利点からです。
 1998年のUKPD研究によりメトグルコの復権がなされました。更に2016年のアメリカFDAのガイダンス変更により、腎機能のeGFRが45まで低下していても適応ありとなりました。(私のブログの“メトグルコ”で検索してください。)

 以前より、メトグルコの副作用として乳酸アシドーシスが懸念されています。
 (診断方法に関して下記のPDFを再度掲載します。検査方法を忘れていると、本院のチコちゃんに叱ら
れますので、再度職員の皆さん復習してください。)
メトグルコと乳酸との関係(コリ回路)については、色々なネットで検索し図譜を拝借しました。
失礼ながら出典は省略します。下記に纏めましたので参考にして下さい。

 腎機能が中等度低下した患者さんにもメトグルコを服用して良いとなりましたが、その場合の有効性に関してはエビデンスがありませんでした。
今回、雑誌JAMAより、メトグルコとSU剤(本院ではアマリール、グリミクロン)の単剤によるガチンコ勝負が載っていましたので、ブログしました。



纏めますと

1) 糖尿病治療で、メトグルコとSU剤を新規に開始した人を登録しています。
   研究の開始180日間は、他の糖尿病治療薬を服用していない条件です。
   更に腎機能が低下傾向の糖尿病患者を選定しています。
   腎機能のeGFRが60以下か又はクレアチニンが男性で1.5mg/dL以上、女性で1.4mg/dL以上
   までに低下してからの、メトグルコとSU剤のガチンコ勝負です。

2) 主要転帰はMACE(メイス;主要心血管イベント;急性心筋梗塞での入院、脳卒中、
   一過性脳虚血発作、心血管疾患による死亡)です。
   (最近ではMACEを採用する論文が多いようです。MACEについて、下記のPDFに掲載します。)
   2001~2016年までの登録で、4年間の経過観察です。
   96,725名が登録されましたが、統計学的処置の比較では
   新規メトグルコ群は24,679名、SU剤群は24,799名です。
   平均年齢は70歳、平均HbA1cは6.6%、平均eGFRは55.8です。

3) 結 果
   メトグルコはSU剤と比較して、主要転帰のMACEのリスクは0.8、心血管疾患の入院リスクは0.87、
   心血管死亡リスクは0.7でした。
   年間の累積危険率は、下記のグラフをご参照ください。

         
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4) 結 論
   腎機能の軽度〜中等度低下患者でも、メトグルコはSU剤に比較してMACEを予防できる。
   原因として、SU剤による低血糖の副作用も関与しているものと推測されています。





私見)
 取りあえず、メトグルコが基本である事には変わりはないようです。
 以前のブログでも紹介しましたメトグルコと腎機能の関係論文を下記に掲載します。



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         JAMA Internal Medicine Published online June 4, 2018



メトグルコが第一の手ですが、次の一手は何を選択すべきでしょうか。
 何事も「故きを温ねて新しきを知る」でしょうか
 今後も職員に対して「古きを尊び新しきを求める」姿勢で頑張ります。

  (現実はそんなに甘い物ではありません。ダラダラと現状維持でしょうか・・・?)





1 メトグルコと乳酸の関係.pdf

2 本院における乳酸アシドーシスの検査.pdf

3 MACE.pdf












posted by 斎賀一 at 21:46| Comment(1) | 糖尿病

2019年10月28日

FDAが糖尿病治療薬・フォシーガの心不全治療を承認

FDAが糖尿病治療薬・フォシーガの心不全治療を承認
        <短 報>




 以前のブログでも紹介しましたが、雑誌NEJM発表のDECLARE研究に基づき、糖尿病治療薬である
フォシーガの心不全に対する治療が、アメリカのFDAより承認されたというロイター報道がありました。
(ブログのフォシーガで検索)

 U型糖尿病患者で心血管疾患のリスクがある場合は、心不全での入院が増加するという事を踏まえて
の承認です。
U型糖尿病患者が狭心症や脳梗塞を発症する前段階で、心不全は重要な疾患の1つと捉えられて
います。
糖尿病そのものが、ポンプとしての心臓の機能低下を誘発する可能性があります。心不全の約半数がHFrEF(心機能の駆出率が低下している場合の心不全)ですが、この場合に有効との事です。
FADはある種の心不全と腎不全に対して、フォシーガの適応を迅速に承認したとの事です。





私見)
 上記の様に、ある種の心不全と腎不全に対して承認したと言う事で、全てでない点がミソのようです。






Farxiga approved in the US to reduce the risk of hospitalisation for heart f.pdf


SGLT.pdf









posted by 斎賀一 at 19:59| Comment(0) | 糖尿病

2019年09月07日

糖尿病治療薬・GLP-1受容体作動薬(ビクトーザ)は胆道疾患に注意

糖尿病治療薬・GLP-1受容体作動薬(ビクトーザ)は胆道疾患に注意
 
Effects of Liraglutide Compared With Placebo on Events of Acute
Gallbladder or Biliary Disease in Patients With Type 2 Diabetes at
High Risk for Cardiovascular Events in the LEADER Randomized Trial



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 ビクトーザと持効性インスリン(ランタス)の合剤が上市されたのを機に、本院でも採用の予定ですが
胆道疾患に注意が必要との論文が掲載されましたので、ブログしました。


纏めますと

1) U型糖尿病で心血管疾患のリスクが高い人、9,340名を登録しています。
   ビクトーザ1.8mgを投与した群の4,668名と、コントロール群4,672名に振り分けています。
   観察期間は3.5年から5年です。 (平均で3.8年)

2) 結果は
   全体の胆道系疾患の発生はビクトーザ群で141例で、コントロール群で88例でした。

   内訳として
   ・無症状の胆嚢結石はビクトーザ群で16例、コントロール群で5例です。
   ・有症状の胆嚢結石はビクトーザ群で52例、コントロール群で40例
   ・総胆管結石はビクトーザ群で51例、コントロール群で33例 
   ・閉塞性黄疸はビクトーザ群で25例、コントロール群で16例

   結局、胆道系疾患はビクトーザ群で1.6倍の頻度となります。



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3) 急性膵炎の頻度では差がありませんでした。
   ビクトーザ群で18例、コントロール群で23例でした。

4) ビクトーザ群で胆道系疾患を併発した場合は体重減少が5.3kgに対して、併発症がないコントロール
   群の体重減少は3kgでした。
   体重が1kg減少する毎に、4%の胆道系疾患のリスクが増加するようです。

5) 胆石は体重減少により増加するとのデータは、以前からありました。
   糖尿病患者がダイエットや腸管切除の手術をした場合に、胆道疾患が増加するという報告もあります
   が、ビクトーザによる体重減少だけでは説明がつかないとしています。
   その他として、胆嚢の収縮低下、空腹時間の延長、が想定されています。





私見)
 ビクトーザと合剤の新薬を下記に紹介します。
 GLP-1受容体作動薬の効果は、ガイドラインでも既に紹介されています。
 インスリンとの合剤が上市されたことで、処方の幅が増えた感じです。
 胆石のある方は勿論ですが、十分な胆道系の観察が必要なようです。






1 本論文.pdf

2 どんなおくすり?ビクトーザ.pdf

3 ビクトーザ.pdf

4 ゾルトファイ.pdf

5 ゾルトファイ成分量.pdf












posted by 斎賀一 at 17:12| Comment(1) | 糖尿病