2020年05月12日

糖尿病治療薬のフォシーガが心不全の治療として承認

糖尿病治療薬のフォシーガが心不全の治療として承認
 
FDA approves new treatment for a type of heart failure



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 アメリカでの話ですが、FDAがフォシーガ(糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬)を心不全での使用として
承認したとの事です。
しかも糖尿病の有る無しに関わらず適応になります。心不全には収縮力の低下したHFrEFと拡張機能
の低下したHFpEFがありますが、心不全症状のNYHA分類3~4のHFrEFが適応となります。
心不全の一般的な治療薬となった感じです。
 一方で、心臓専門家の意見として今回の薬事承認により、糖尿病治療薬としての使用頻度が却って
少なくなるのではと考えているようです。
本院でも糖尿病患者さんで心不全を合併している場合に、他の心不全治療薬に追加の方向としてフォシーガを考慮して参ります。






1 フォシーガ 心不全.pdf

2 フォシーガ.pdf










posted by 斎賀一 at 19:05| Comment(0) | 糖尿病

2020年01月22日

SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)は痛風にも有効

SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)は痛風にも有効
      <短 報>
 
Assessing the Risk for Gout With Sodium–Glucose
Cotransporter-2 Inhibitors in Patients With Type 2 Diabetes




 U型糖尿病患者は、高尿酸血症を伴う事が多いとの事です。
糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬は腎蔵での糖の吸収を阻害しますが、以前より血中尿酸の低下作用も
報告されています。

 今回の論文はSGLT2阻害薬が実際に痛風発作も抑制するかを研究しています。


1) 比較として、GLP1作動薬を使用しています。
   対象者はU型糖尿病患者で、治療薬として新たにSGLT2阻害薬か、GLP1作動薬を使用した患者
   295,907人です。
   SGLT2群とGLP1群を一対一に振り分けています。 (其々が111,419人)
   平均年齢は54歳で、52%が女性
   経過観察は260~300日間(平均で177日間)です。



         20122.PNG



   
2) 結果
   痛風発作はSGLT群で4.9例/1000人/年、GLP群で7.8例/1000人/年でした。
   SGLT群の危険率は0.64です。



         20122-2.PNG

   
   心不全の危険率も0.63と、SGLT群が優位です。
   また、懸念されている皮膚感染症(蜂窩織炎)の危険率は、1.05と同等でした。
   SGLT2阻害薬は、痛風のリスクのあるU型糖尿病患者には有効な選択薬となります。








1 Assessing the Risk for Gout With SGLT2 Inhibitors in Patients With Diabetes .pdf

2 糖尿病治療薬.pdf










posted by 斎賀一 at 20:04| Comment(1) | 糖尿病

2019年11月05日

腎機能低下患者でもメトグルコはSU剤より有効

腎機能低下患者でもメトグルコはSU剤より有効
 
Association of Treatment With Metformin vs Sulfonylurea
With Major Adverse Cardiovascular Events Among
Patients With Diabetes and Reduced Kidney Function

JAMA September 24, 2019 Volume 322, Number 12



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 糖尿病の治療ガイドラインによると、第一選択薬はメトグルコです。
安価、低血糖の心配が少ない、体重増加がない等の利点からです。
 1998年のUKPD研究によりメトグルコの復権がなされました。更に2016年のアメリカFDAのガイダンス変更により、腎機能のeGFRが45まで低下していても適応ありとなりました。(私のブログの“メトグルコ”で検索してください。)

 以前より、メトグルコの副作用として乳酸アシドーシスが懸念されています。
 (診断方法に関して下記のPDFを再度掲載します。検査方法を忘れていると、本院のチコちゃんに叱ら
れますので、再度職員の皆さん復習してください。)
メトグルコと乳酸との関係(コリ回路)については、色々なネットで検索し図譜を拝借しました。
失礼ながら出典は省略します。下記に纏めましたので参考にして下さい。

 腎機能が中等度低下した患者さんにもメトグルコを服用して良いとなりましたが、その場合の有効性に関してはエビデンスがありませんでした。
今回、雑誌JAMAより、メトグルコとSU剤(本院ではアマリール、グリミクロン)の単剤によるガチンコ勝負が載っていましたので、ブログしました。



纏めますと

1) 糖尿病治療で、メトグルコとSU剤を新規に開始した人を登録しています。
   研究の開始180日間は、他の糖尿病治療薬を服用していない条件です。
   更に腎機能が低下傾向の糖尿病患者を選定しています。
   腎機能のeGFRが60以下か又はクレアチニンが男性で1.5mg/dL以上、女性で1.4mg/dL以上
   までに低下してからの、メトグルコとSU剤のガチンコ勝負です。

2) 主要転帰はMACE(メイス;主要心血管イベント;急性心筋梗塞での入院、脳卒中、
   一過性脳虚血発作、心血管疾患による死亡)です。
   (最近ではMACEを採用する論文が多いようです。MACEについて、下記のPDFに掲載します。)
   2001~2016年までの登録で、4年間の経過観察です。
   96,725名が登録されましたが、統計学的処置の比較では
   新規メトグルコ群は24,679名、SU剤群は24,799名です。
   平均年齢は70歳、平均HbA1cは6.6%、平均eGFRは55.8です。

3) 結 果
   メトグルコはSU剤と比較して、主要転帰のMACEのリスクは0.8、心血管疾患の入院リスクは0.87、
   心血管死亡リスクは0.7でした。
   年間の累積危険率は、下記のグラフをご参照ください。

         
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4) 結 論
   腎機能の軽度〜中等度低下患者でも、メトグルコはSU剤に比較してMACEを予防できる。
   原因として、SU剤による低血糖の副作用も関与しているものと推測されています。





私見)
 取りあえず、メトグルコが基本である事には変わりはないようです。
 以前のブログでも紹介しましたメトグルコと腎機能の関係論文を下記に掲載します。



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         JAMA Internal Medicine Published online June 4, 2018



メトグルコが第一の手ですが、次の一手は何を選択すべきでしょうか。
 何事も「故きを温ねて新しきを知る」でしょうか
 今後も職員に対して「古きを尊び新しきを求める」姿勢で頑張ります。

  (現実はそんなに甘い物ではありません。ダラダラと現状維持でしょうか・・・?)





1 メトグルコと乳酸の関係.pdf

2 本院における乳酸アシドーシスの検査.pdf

3 MACE.pdf












posted by 斎賀一 at 21:46| Comment(1) | 糖尿病