2020年11月18日

逆流性食道炎・食道の運動異常の観点から

逆流性食道炎・食道の運動異常の観点から
 
Esophageal Motility Disorders and Gastroesophageal Reflux Disease
N Engl J Med 2020;383:1961-72.



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 食道の運動を診断するのはかなり専門分野で、消化器を嗜んだ私のような輩には異次元の世界です。
今回雑誌NEJMに食道の運動から見た逆流性食道炎の総説が載っていましたが、案の定理解に苦しみ
ました。
パソコンのトラブルと相まって、結局は記憶に残る部分だけブログすることにします。




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1) 上の図の様に何層にもなる平滑筋が食道を取り囲み、それは胃壁に繋がっています。
   更にその外側を横隔膜の横紋筋が包み込みます。それが食道と胃の境目であるジャンクションで
   括約筋を形成しています。食道全体とジャンクションに知覚神経と運動神経が協同して、的確な
   食道運動を形成しています。

2) 食べたものが食道を拡張することにより、食道の蠕動を起こします。
   その蠕動運動が食道の長軸方向で短縮を起こし、食物が食道胃ジャンクションに到達すると
   括約筋の弛緩が生じて、食道が上に持ち上げられた格好でヘルニア状態となります。
   その結果食物が胃に送り込まれます。食道の蠕動が排出には直接関わっていません。
   (胃カメラをしていてこの現象をよく見かけます。)

3) 逆流性食道炎の原因は
   ・下部食道括約筋の一過性の弛緩
   ・下部食道内圧の低下
   ・食道ヘルニア  です。
   食道の蠕動運動が胃酸の逆流と、それに続く食道が胃酸に晒されるのを防ぎます。
   この食道の蠕動低下が、胃酸による食道炎を増悪させます。
   内容としては、胃酸とペプシンが食道粘膜の傷害を惹起します。
   食道粘膜が傷害されると、更に胃酸が侵入し食道粘膜の細胞間隙が広がり、食道の知覚神経の
   損傷となります。それが脳に伝達されて、胸焼けの感覚となります。




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4) 酸ポケット(acid pocket)
   一般には食事を摂ると胃酸は中和されますが、噴門の一部は酸性のままの部位があります。
   このacid pocketが、食後にも関わらず胸焼けなど逆流性食道炎の症状の起因となります。

5) ウエスト・ヒップ比が最も逆流性食道炎と関係があります。
   体重を減らすことが有効です。アルコール、炭酸飲料、コーヒーとの関係は論争があります。
   以上、食道運動検査の項目は省略







私見)
 PPIを含めた治療に関しては、あまり参考になりませんでした。
 パソコンの不具合もあり参考文献検索できず、この辺で終了となります。
 Tさん、ご苦労さん。










posted by 斎賀一 at 19:01| Comment(0) | 消化器・PPI

2020年10月30日

大腸ファイバーは二度挿入する

大腸ファイバーは二度挿入する

Two vs one forward view examination of right colon on adenoma
detection: an international multicenter randomized trial



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 大腸ファイバー検査は見落としが無いように体位変換をしたりと工夫が大事ですが、今回の論文では
上行結腸を再挿入し、二度調べる方法が有用との報告です。


簡単に纏めますと

• 大腸検査で、大腸の一番奥の回盲部に到達すると一仕事完了の気分になります。
  そこから注意深くファイバーを抜いてくる通常方法(standard withdrawal colonoscopy;SWC)
  と、肝曲部(上行結腸の入り口)まで抜いてきたら、もう一度上行結腸に再挿入して二度調べる方法
  (Second forward view ;SFV)とを比較検討しています。

• 2016〜2019年の1,011例の症例を、二度挿入群502例と通常群509例に振り分けています。
 上行結腸のポリープ発見率は、二度挿入群が27.1%に対して通常群は21.6%と明らかに二度挿入群
 の方が診断確率を上げています。
 その結果、経過観察の必要な症例が二度挿入群で3%増加しています。
 検査の時間も、抜いてくる時間を比較しますと二度挿入群が12分、通常群は10.5分で1〜2分の差
 でした。





私見)
 何事も大事をとって、二度行う必要があるでしょうか。
 話は変わりますが、新型コロナの場合も必要なら二度検査することも可能とのこと。
 職員の皆さんにはご負担をお掛けいたします。
 本日はおいしい高級団子を、一人二本プレゼントします。






Two vs one forward view examination of right colon on adenoma detection_ an international multicenter randomized trial - Clinical Gastroenterology and Hepatology.pdf











posted by 斎賀一 at 17:42| Comment(1) | 消化器・PPI

2020年10月15日

コロナ禍の虫垂炎・CODA研究

コロナ禍の虫垂炎・CODA研究
 
A Randomized Trial Comparing Antibiotics
with Appendectomy for Appendicitis
This article was published on October 5,2020, at NEJM.org



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 急性虫垂炎の治療は手術が基本ですが、60年以上前から保存的治療の有用性も論じられています。
現在新型コロナの時代に、虫垂炎の抗生剤療法における保存的治療がなお一層注目されています。

 今回雑誌NEJMに、手術と抗生剤治療のガチンコ勝負であるCODA研究が載っていましたので纏めて
みました。
本研究は当初1年間の経過観察でしたが、コロナ禍において最初の90日間での集約となっています。


1) 抗生剤治療群は、抗生剤を10日間処方しています。
   主要転帰は、治療30日後のアンケート調査によるQOL評価をED-5Dで行っています。
   (下記PDF参照)
   二次転帰は、抗生剤治療群においても手術を含めた90日までの合併症の集積です。
   データでは糞石の有無に注目しています。

2) 1,552例(糞石が414例)をランダマイズ化しています。
   776例が抗生剤治療群(47%が外来治療)で、776例が手術群(腹腔鏡手術96%)に振り分けて
   います。

3) 結果は30日後のED-5D評価で、両群の差はありませんでした。
   二次転帰の90日評価では、抗生剤治療群において手術を行ったのは29%ありました。
   内容は糞石があれば41%で、糞石がなければ25%が手術への移行でした。
   重大な有害事象は、抗生剤治療群で4.0人/100人に対して、手術群では3.0人/100人で、その
   危険率は1.29です。
   合併症は抗生剤治療群が8.1人/100人に対して、手術群は3.5人/100人で危険率は2.28です。
   特に糞石があるとその危険率は5.69と高くなりますが、糞石がなければ両群の差はなくなり、
   危険率は1.05とほぼ同じです。
   ドレナージ術が必要であった例は、抗生剤治療群で2.5人/100人で、手術群では0.5人/100人で
   危険率は5.36です。
   両群とも手術した例に限定して調べますと、穿孔は抗生剤治療群が32%、手術群で16%ですが、
   糞石があると61%対24%です。

4) 結論的には、90日時点での評価としては、抗生剤治療群の10人中3人は結果的に手術となって
   います。   
   逆に言えば10人中7人は手術をしなくてもよいという結果です。その際に糞石の有無が合併症に
   関与することが分かりキーポイントとなります。




私見)
 外科に紹介するかの決め手は、糞石が大いに関与します。




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                     Appendicolith 糞石






本論文.pdf

EQ-5D.pdf













posted by 斎賀一 at 14:26| Comment(0) | 消化器・PPI