2020年03月30日

胃過形成ポリープの切除後の経過

胃過形成ポリープの切除後の経過
 
Risk of neoplastic change in large gastric hyperplastic polyps
and recurrence after endoscopic resection




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 胃のポリープは大きく分けて3つあります。 (詳しくは下記のPDFに纏めてみました。)
  ・過形成ポリープ(狭義) ・胃底腺ポリープ  ・腺腫性ポリープ
本院では腺腫性ポリープと2cm以上の過形成ポリープは生検しています。
 (胃底腺ポリープも本態は腫瘍性であり、5mm以上では1~6%の癌化率と言われています。)
過形成ポリープはピロリ菌感染、萎縮性胃炎との関連が指摘されています。
一般的に過形成ポリープは良性ですが、2~5%に癌化の可能性も報告されています。
過形成ポリープの45%に臨床症状があり、その内訳は
・貧血が80%、・上部消化管出血が11%、 ・鉄欠乏貧血が9%と、ポリープからジワジワと出血している
事を示唆します。

 今回1cm以上の大きい過形成ポリープを切除(ポリペクトミー)した後の経過観察を、11年以上行った
論文が載っていました。 



纏めてみますと

1) 対象者は1cm以上の過形成ポリープで、ポリペクトミーした後の2007~2018年間の経過観察
   です。
   108名の患者で検体は145例です。

2) 結果は、再発は51%(74/145)、悪性化は 10.4%でした。
   悪性化のリスクとしては、2.5cm以上が危険率 10.24
   腸上皮化生の危険率が 5.93でした。
   再発率に関しては、肝硬変が独立因子として挙げています。 (危険率4.82)

3) 過形成ポリープが2.5cm以上では悪性化する可能性があり、5.0cm以上では既に悪性となっている
   リスクが高い。又ポリペクトミー(切除)しても再発は50%もあります。
   生検で腸上皮化生を伴っている場合は、注意が必要です。





私見)
 胃ポリープに関しては種類があること、危険率も異なる事を理解してください。
 一般的に病変とは、既存の組織の衣を着て現れます。下図の表面の粘膜のsurface mucous
 epitheliumが表層の腺窩上皮です。Glandsが胃底腺です。腺窩上皮から発生したポリープが
 過形成ポリープで、Glandsの胃底腺から発生したのが胃底腺ポリープです。
 何れも多くが良性ですが、腫瘍性の形態を帯びているのが腺腫性ポリープで大きさに関係なく切除の
 対象としています。
 詳しくは下記のPDFと文献をご参照ください。




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◆参考書籍と文献

 ・消化管の病理 第2版  藤盛孝博   医学書院
 ・胃と腸 2016年増刊号   消化管拡大内視鏡診断
 ・胃と腸 53(11): 1522-1528, 2018
 ・胃と腸 47(8) :  1192-1199, 2012




1 過形成ポリープ文献集.pdf

2 本論文.pdf

3 WOSについて.pdf  

 







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2020年03月16日

潰瘍性大腸炎の食事に対するガイダンス

潰瘍性大腸炎の食事に対するガイダンス
 
Dietary Guidance for Patients with Inflammatory Bowel Disease
from the International Organization for the Study of Inflammatory
Bowel Disease Clin Gastroenterol Hepatol 2020 Feb 14



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 潰瘍性大腸炎に対する食事療法は、大腸憩室炎に似ています。私のブログもご参照ください。
今回、潰瘍性大腸炎の食事に対するガイダンスが載っていましたのでブログしてみます。
結論から説明した方が手っ取り早いので、患者さん用のイラストから説明します。



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本院では、クローン病は専門病院に紹介し治療もお願いしていますので、主に潰瘍性大腸炎を解説
します。
上の図の右が潰瘍性大腸炎で、左がクローン病です。
緑が推奨食品で、赤が避ける食品です。
(本論文は最初より拍子抜けの記載から始まっています。
「潰瘍性大腸炎の患者の中には食事療法のみで治そうとするストイックな考えの人がいるが、自らの
食事療法には限界がある。」
推奨されている食事に対してもエビデンスが少ない場合があり、また反対の研究もあったりと本論文を
読むに従って、結局は上の図を参考にバランスの良い食事が大事だと納得しました。)


気持ちを切り替えて纏めてみますと

1) 果物と野菜
   (上図ではクローン病になっていますが、潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患にも当てはまった
    記載です。)
   果物と野菜の食物繊維は小腸では消化されず、大腸の中の腸内細菌の酵素により消化される。
   一般的には水溶性食物繊維の方が非水溶性よりも吸収が早い。発酵により酪酸などの短鎖脂肪酸
   (SCFA)が生成され、大腸の粘膜のエネルギー源として働きますが、活動性の炎症性腸疾患では
   この短鎖脂肪酸が減少しています。
   食物繊維の摂取不足は、大腸粘膜における腸内細菌の消耗に繋がる。
   一方でバナナやブロッコリなどの特別な水溶性食物繊維は、悪玉の腸内細菌の癒着や体内への
   移行を阻止します。そして共存する善玉の腸内細菌を殖やす短鎖脂肪酸のための基質を生成
   します。
   研究では炎症性腸疾患の患者は、発症前には野菜や果物の摂取が少ない傾向でした。
   しかし研究によっては野菜や果物を多く摂取しても効果がないとする論文もあります。

2) 砂糖(refined sugar)と炭水化物
   潰瘍性大腸炎との関係は明白なエビデンスはない。

3) 赤肉、加工肉、鶏肉、卵
   赤肉と潰瘍性大腸炎との関係は6/8研究で認められている。
   鶏肉と2個/日の卵は、クローン病の再炎の頻度を下げる。

4) 乳製品
   炎症性腸疾患との関係は指摘されているが、乳製品との関連性は明白には証明されていない。
   大腸炎動物モデル(DSS-animal model)ではカゼインが炎症性腸疾患の
   症状の悪化に関係しているとの報告がある。しかし人体では明白なエビデンスはなく、悪化は
   証明されていない。
   乳糖不耐症の場合がクローン病で多い。
   但し低温殺菌のされていない牛乳(unpasteurized milk)は避けるべきです。

5) 脂肪
   脂肪は肉類の摂取と関連性がある。特に加工肉と硫黄が再炎のリスクとなる。
   ・飽和脂肪酸(saturated)
    ココナッツ油、パーム油、乳製品の中にあるミリスチン酸が潰瘍性大腸炎の発症に関与している。
   ・不飽和脂肪酸(unsaturated)
    オリーブオイル、マカダミアナッツはクローン病に有効
    オリーブオイルは潰瘍性大腸炎の治療効果がある。
   ・多価不飽和脂肪酸(PUFAs)
    サケ、サバ、ニシン、植物性のクルミ、亜麻仁油、ナッツ
    n-3対n-6の比が1対1の場合には潰瘍性大腸炎の寛解を促進する。
    少人数の研究では明白な結果は出ていない。
   ・トランス脂肪酸
    明らかに炎症性腸疾患の増悪因子である。

6) アルコール
   炎症性腸疾患との関連性は指摘されていない。
   しかし少人数の研究ではあるが潰瘍性大腸炎の増悪(trigger)に2.7倍関与していた。

7) その他
   上図の乳化剤、人工甘味料、添加物などは潰瘍性大腸炎の増悪因子である。
   下記のPDFを参照ください。

8) 結論
   赤肉、加工肉、マーガリン、乳化剤、人工甘味料、その他の添加物には注意して、バランスの良い
   食事を心がける。






私見)
 上図と論文中の表を下記のPDFに掲載します。
 その他関連する私のブログ及び添加物(酸化チタン、saturated FAT、トランス脂肪酸、パーム油、飽和脂肪酸、マルトデキスロリン、乳化剤、亜麻仁油)に関してネットで調べたものを同時に掲載します。








1 イコサペント酸(EPA製剤)は高中性脂肪血症の心血管疾患を軽減する_.pdf

2 結腸憩室炎の予防と食事の関係_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

3 週二回は魚を食べましょう_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf



      0118-2-e8fad-thumbnail2[1].png



アメリカの食品規制事情:トランス脂肪酸 – アメリカで10倍うまく立ち回る方法.pdf

アメリカンフードの記載でSaturated FAT とありますが、日本... - Yahoo!知恵袋.pdf

カゼイン.pdf

マルトデキスロリン.pdf

ミリスチン酸.pdf

亜麻仁油.pdf

英語単語の意味がわかりません・・・・・。 - vegetable oil ... - Yahoo!知恵袋.pdf

酸化チタン.pdf

脂肪酸 トランス.pdf

脂肪酸.pdf

水溶性食物繊維.pdf

乳化剤.pdf

飽和脂肪酸.pdf












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2020年01月16日

大腸ファイバーの適切な検査間隔は?

大腸ファイバーの適切な検査間隔は?
       <短 報


 最近は大腸がんの罹患率が増加傾向です。
そのため大腸がん検診及びその後の大腸ファイバーの受診率向上も課題です。
従って、患者さんにも負担の多い大腸ファイバー検査の間隔はどの程度にしたらよいか、議論が分かれていますが、一般的に5年としています。
 以前の私のブログでも何回か紹介していますが、今回雑誌BMJより初回に大腸ファイバーが陰性
(正常)の場合、次回の検査は10年後で良いとするメタ解析の報告がありました。



1) 28の研究論文をメタ解析しています。
   初回の大腸ファイバー(index colonoscopy)で所見がない人を対象にしています。

2) 全体的な良性の腺腫性ポリープ及び大腸癌の発生を調べました。
    1~5年では20.7%の発生
    5~10年では23.0%
    10年以上では21.9%の発生頻度でした。
   その殆どが良性のポリープでした。一般的には年数が経つに従って、大腸ポリープの発生頻度も
   増加すると予測されますが、年数によってもあまり相違がありませんでした。
   理由として、大腸ポリープは進展が遅いかもしれませんが、9mm以下のポリープは見逃されている
   可能性も推測しています。

   悪性腫瘍(大腸癌、9mm以上のポリープ、絨毛状パターン、グループ4)の発生の頻度に絞りますと
    1~5年で2.8%
    5~10年で3.2%
    10年以上で7.0%でした。

3) 現在のガイドラインと同じように、初回の大腸ファイバーが異常なければ10年以内に再検査を実施
   すれば良いようです。なぜなら悪性腫瘍発生の危険は、10年以内なら僅か3%としているからです。





私見)
 マイナス思考の私としましては、大腸ファイバー検査で異常なしとしても、9mm以下の小さな
 ポリープは最大で15%見落としている可能性があります。
 また、5年過ぎると3%の悪性腫瘍が発生しているかもしれません。
 本院では従来通り、5年後の再検をお勧めします。






大腸ファイバー negative colonoscopy in average risk.pdf











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