2018年11月14日

プラビックス継続服用は大腸ファイバーのポリープ切除の際に可能?

プラビックス継続服用は大腸ファイバーのポリープ切除の際に可能?
 
Risk of Post-polypectomy Bleeding With
Uninterrupted Clopidogrel Therapy in an Industry-
independent, Doubleblind,Randomized Trial



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 ガイドラインでは、大腸ファイバーにおけるポリープ切除の際に、抗血小板薬のプラビックスは施術の
7日前に服用を中止するようになっています。しかし中断する事によるデメリットとして、早期の血栓症の
報告があります。
本院の看護師が作成したガイドラインには、プラビックスは中断するか生検を実施しないように取り決めてくれています。
 今回の論文によりますと、プラビックスを当日まで継続服用してもその後の出血の頻度は増加していま
せんでした。


纏めますと

1) 心血管疾患のため、抗血小板薬のプラビックスを服用している患者で大腸ファイバーを施行した
   387名を登録しました。
   2012~2018年間で香港での研究です。
   大腸ファイバーを行う7日前にプラビックスを中断し、その後プラビックスを継続服用する群と
   プラセーボを服用する群(つまり中断した群)に振り分けました。
   ポリープ切除をしたのは216例です。プラビックス群は106名、プラセーボ群は110名でした。

2) ポリープ切除後、1か月間の入院や再処置が必要となった出血例の累積を調べました。  
   プラビックス群では3.8%でプラセーボ群では3.6%と、その差は殆どありませんでした。





私見)
 本院では以前同様に胃カメラも大腸ファイバーも、余程でない限りは生検の実施は慎重に判断したいと思います。





Risk of Post-polypectomy Bleeding With Uninterrupted Clopidogrel Therapy in .pdf























posted by 斎賀一 at 19:14| Comment(0) | 消化器・PPI

2018年11月02日

結腸憩室炎

結腸憩室炎
 
Diverticulitis
   n engl j med 379;17 nejm.org October 25, 2018



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 結腸憩室炎の症例による総説が、雑誌NEJMに掲載されています。
私にとって認識を新たにする点が多々ありましたので纏めてみました。

1) アメリカでは消化器疾患の中で8番目に多い疾患となっています。
   結腸憩室は40歳以下では5%ですが、60歳以上では50%にもなる発生頻度との事です。
   当然それに従って、憩室炎も増加しています。更に若い人での発生も増加傾向です。

2) 憩室炎の危険因子は喫煙、NSAIDs(鎮痛解熱剤)、運動不足、肥満、食物繊維の摂取不足、精製
   炭水化物(白米など)の過剰摂取、赤肉などが関与する。
   (喫煙が良いとの文献もあり論争)
   憩室の発生原因はハッキリしていません。一応、腸管の運動や内圧の変化が関与していると推定
   されています。
   憩室の頸部(入り口、neck)が狭いために細菌が侵入して出られなくなり憩室炎に進展すると想定
   されていましたが、最近では否定的で、糞便が憩室の中に溜まって固くなり、憩室の粘膜を刺激し
   ビランを誘発するためと推定されています。

3) 診断
   腹痛は左下腹部が多いがアジア系では右下腹部か恥骨上部が多い。
   便秘や下痢の便通異常が出現する事もある。
   CT検査が基本である。その診断確率は98%です。
   Hinchey分類は憩室炎の状態を表しているが、予後や治療方針の決定にはあまり有効でない。
   憩室炎の続発症で小さな穿孔(microperforation)はCTでの診断が可能であり、その場合でも
   必ずしも外科的治療やドレナージが必要ではなく、抗生剤での治療が可能である。

4) 局所的穿孔―単純憩室炎
   憩室炎の75%は局所的な炎症のみの単純憩室炎である。
   高熱がなく、検査でも重態な異常がなければ、経口抗生剤で十分なケースが多い。
   外来での処方例としては、グラム陰性菌や嫌気性菌を含めて想定する必要があり、シプロキサン+
   フラジール、又はパセトシン+少量オーグメンチンを7〜10日間のレジメが代表的である。
   食事は疼痛がなくなるまでは液状の食事とする。 (下記のPDFを参照)
   入院が必要な場合は、発熱が38.6°、好中球増多、CTでの所見、基礎疾患、自宅での介護が不可
   能、疼痛のコントロールが不十分、経口摂取が不可能のケースである。
   初期治療により症状は2〜3日で好転する。それに従って液状の食事から残渣の少ない流動食に
   切り替える。
   膿瘍が3〜4cmならば、ドレナージをしなくても抗生剤の経口投与で良い。
   確定診断のために、憩室炎の軽快から2か月前後して大腸ファイバーを実施しても良い。
   特に最近の2〜3年間で大腸ファイバーを行っていない場合は、実施を勧奨している。

5) 再発
   合併症のない最初の憩室炎からの再発率は、10~35%である。
   憩室炎が2回起こるとその後の再発頻度は増加するが、症状の重症化は同じである。
   穿孔の危険は、最初の発症の方が2回目以降より頻度は多い。 (25%対12%)つまり最初の
   憩室炎の診断が慎重さを求められる。
   食物繊維の多い食事は、再発率を減少するという限定的な研究報告もある。
   リファキシミン(腸管吸収の悪い抗生剤)とアサコールも、再発予防に有効との論文がある。
   (本院でも以前よりサラゾピリンを処方しています。)

6) 外科手術
   穿孔は最初の発症の時が多い。
   最初が非合併の憩室炎ならば、その後に合併の憩室炎を再発するのは3~5%と少ない。
   穿孔して手術を行ってからの再発は5%と少なく手術を繰り返す場合は0.4%と更に低頻度である。   
   以前のASCRSのガイドラインでは、2回の再発例ではその後に外科手術を勧奨していたが現在の
   ガイドラインでは待機的外科手術の適応は再発の頻度でなく、個々人の個別化で判断する事を勧め
   ている。

7) 結論
   治療により1〜2日しても増悪するようならば、CT検査で再検した方がよい。
   再発の頻度が増加したり重症度も悪化傾向なら、待機的手術の適応を外科医に照会した方が良い。





私見)
 以前に憩室炎の既往があるからと言って油断しないようにしましょう。
 常にリセットする事が大事だと自ら戒めています。

 Liquid diet については皆で勉強しましょう。




通常1,000kcal程度で、原則的に脂肪・ミルクなどの乳製品・食物繊維を含まない流動食である。一般的に6回食になることが多い。タンパク質補給のためにサプリメントとして脂肪を含有しない経腸栄養剤がしばし併用される。






How to Treat Diverticulitis (with Pictures) - wikiHow.pdf













  
posted by 斎賀一 at 22:03| Comment(0) | 消化器・PPI

2018年10月29日

PPI(胃酸分泌抑制薬)と低ナトリウム血症

PPI(胃酸分泌抑制薬)と低ナトリウム血症
 
Associations of proton pump inhibitors and hospitalization
due to hyponatremia: A population–based case–control study



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 PPIは、汎用されている強力な胃酸分泌抑制薬です。潰瘍、逆流性食道炎、抗血栓薬の出血性潰瘍に対する予防等、適正に処方する限り安全で有効な薬剤の一つです。
 今回、極めて稀ながらPPIの処方初期に(3か月以内)低ナトリウム血症を誘発すると言う論文が発表されました。


纏めますと

1) 低ナトリウム血症で入院した14,359名と、3か月以内にPPIを服用した57,383名のコントロール群
   を比較して、その危険率を割り出しました。
   72%が高齢の女性との事です。

2) タケプロンは危険率が1.19、オメプラールは2.67、ネキシウムは2.89でした。

3) 論者は、高齢の女性ではタケプロンが安全としています。
   しかし、この研究は現在進行していますが、前向き試験での結果が出ていない様です。






私見)
 PPIに関しての疑惑は消えては現れの繰り返しですが、高齢者での使用に関しては注意が必要なようです。
 本研究ではパリエット、タケキャブは含まれていませんでした。
 取りあえず、稀ながら本リスクはPPI全般と解釈します。





ppi 低ナトリウム血症.pdf












posted by 斎賀一 at 19:50| Comment(0) | 消化器・PPI