2019年01月09日

大腸ファイバー検査の間隔はどの位が良いか?

大腸ファイバー検査の間隔はどの位が良いか?
 
Long-term Risk of Colorectal Cancer and Related Deaths
After a Colonoscopy With Normal Findings



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 大腸ファイバー検査をして異常がない場合に、次回は何年後に検査をしたらよいかを聞かれる事が多いですが、概ね便検査を含めて5年後と私は答えています。

下記のPDFの雑誌NEJMの論文をアレンジしての説明です。
今回は雑誌JAMAに「後ろ向きコーホー研究」の論文が掲載されていましたので報告します。


1) カルファルニアのコーホー研究です。
   スクリーニングの大腸ファイバー検査で所見がない1,251,318人を対象に(スクリーニング群)
   1998~2015年に掛けて調査をしています。年齢は50~75歳です。
   男性が49%です。スクリーニングを受けなかった人をコントロール群としています。

2) 調査の終了は、直腸結腸癌(CRC)の診断、死亡、対象者の研究からの離脱や研究自体の終了時期
   としています。一方コントルール群の終了は便検査、S状結腸スコープ検査か大腸ファイバー検査を
   するまでとしています。

3) 主要転帰はCRCの診断とCRC関連死です。
   12年間での比較でスクリーニング群ではCRCが133人/100,000人/年、
   CRC関連死が92人/100,000人/年でした。
   コントルール群では、CRCが225人/100,000人/年で、関連死が192人/100,000人/年でした。
   統計処置を行いますと、10年間ではスクリーニング群の方がCRCを46%減少、関連死は88%減少
   の効果でした。

4) 結論的には、ガイドラインと同様に大腸ファイバーで正常なら、10年後の経過観察が妥当として
   います。





私見)
 アメリカの専売特許である費用対効果での話です。
 やはり本院では、5年の経過観察が妥当として参ります。
 下記に雑誌NEJMの表も再度掲載します。




論文より.pptx

cf jama 予後.pdf

nejmより.pdf











posted by 斎賀一 at 19:22| Comment(0) | 消化器・PPI

2018年12月25日

非ビラン性胃食道逆流症(NERD)における治療抵抗性

非ビラン性胃食道逆流症(NERD)における治療抵抗性
 
Prevalence and clinical characteristics of refractoriness to optimal
proton pump inhibitor therapy in non‐erosive reflux disease
Aliment Pharmacol Ther. 2018;48:1074–1081



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 胃食道逆流症(GERD)と非ビラン性胃食道逆流症(NERD)の関係を示した図は色々と探しましたが
残念ながら「今日の臨床サポート」が一番的確で分かりやすいので、ご迷惑を顧みず借用させて頂き
ます。




         1225-2.PNG


今日の臨床サポート

 GERDの治療はPPI(胃酸分泌抑制薬)が基本で効果もありますが、中には治療抵抗性(refractoriness)の症例もあります。
対策としてはPPIの増量、力価の高いPPIに変更、朝食前での服用に変更等が考えられています。
食道症状があり胃カメラで食道にビランが無い事を確認してPPIを処方し、それでも食道の症状が軽快
しない場合はどの程度か、またその場合にNERD、逆流の過敏症、機能性の胸焼けの割合はどうかを
調べた論文が出ていますので、ブログにしてみました。


1) GERD症状としての 胸焼け、胃内容の逆流、胸痛 : つまりSAP(symptom association
    probability)、及びその他として嚥下障害、ゲップ、心窩部痛、食後不快感、過敏性腸症候群、
   咽喉頭異常感症(globus)、ENT症候群(耳、鼻腔、喉頭の症状)等の症状がある患者573名を
   登録し、更に事前の問診によりPPIで軽快しない患者を92名選んで研究対象としています。
   (VISIT-1)
 
2) このPPI抵抗性の92名に対して、ネキシウム40mg(通常の倍量)を8週間服用し、その後8週間の
   経過観察中(VISIT-2)に食道症状が3回/週以上ある人の60名を更なる治療抵抗性として、食道の
   24時間逆流モニタリングの測定検査をしています。

3) 食道の24時間逆流モニタリング測定検査において、逆流は1日平均で64±17回で、内訳は酸逆流
   が31±11回、混合が26±11回、近位まで逆流が19±11回でした。
   モニタリングで逆流が陽性の定義 : AET(acid exposure time) : 食道内の酸のPHが4以下
   がモニタリング全体で6%以上あるか、4〜6%の場合は逆流が80回以上としています。
   以上によりモニタリングによる分類では
    ・NERD : SAPに関係なくAETがある場合      19名
    ・逆流過敏症 : SAPはあるがAETが無い場合   25名
    ・機能性胸焼け : SAPもAETもない場合       16名      合計60名

4) 下記のグラフのPDFをご参照ください。
   結論的には、PPIを適切に服用すれば治療抵抗性は20%程度で、治療抵抗性の1/3がNERDで
   残りの2/3は機能性か逆流過敏症である。






私見)
 胃カメラで逆流性食道炎が無い事を確かめた後にPPIを服用しても、食道症状が改善されなければ
 殆どが機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群関連疾患を考えなくてはいけない様です。
 特に心窩部痛、食後不快感、過敏性腸症候群の場合は、PPI処方よりも他の治療戦略を考えなくては
 なりません。
 多種にわたる腹部違和感は 「押してもだめなら引いてみな」 でしょうか。 

 全論文がMedscapeに転載されていましたが、内容が不明確のため元文献も調べてみました。
 残念ながら全く同じものでした。図表だけ元文献よりPDFにし、Medscapeの方を下記に添付します。





元文献より.pdf

ppi gerd Refractoriness to Optimal.pdf

患者さん用GERD.pdf

日経より.pdf















posted by 斎賀一 at 22:11| Comment(0) | 消化器・PPI

2018年12月17日

DOAC(抗凝固薬)はポリペクトミーの際に安全?

DOAC(抗凝固薬)はポリペクトミーの際に安全?
 
Patients Prescribed Direct-acting Oral Anticoagulants
Have Low Risk of Post-Polypectomy Complications



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 大腸ファイバーによるポリープの切除(ポリペクトミー)は、低侵襲性で安全性が確立した治療です。
それでもポリペクトミーによる穿孔は0.93%で、出血は0.1~10%と報告されています。
抗凝固薬のDOACは、ワーファリンに比べて心血管疾患の発生を19%減少させ、消化管出血のリスクも25%まで減らせると言われています。
 今回DOACを服用していてもポリペクトミー後の出血の危険性は増加しないとの論文が、カリフォルニアから出版されました。


纏めますと

1) 2011~2015年に掛けてポリペクトミー又は粘膜切除術(EMR)を実施して、抗凝固薬を服用して
   いる患者11,504名(1590 DOAC、3471 ワーファリン、6443 プラビックス)と抗凝固薬を服用
   していないコントロール群599,983名を検討しました。
   ポリペクトミー後、30日間での消化管出血、心血管疾患、心筋梗塞、入院 を比較しています。

2) 稀でしたが、抗凝固薬を服用している群が明らかに、コントロール群に比して合併症は多く認められ
   ました。(注意点はバイアスとして抗凝固薬を服用する人の方が、合併症のリスクは当然多いと思い
   ますし、本論文ではプラビックスを抗凝固薬として扱っています。)
   尚、少量アスピリンや鎮痛解熱剤(NSAIDs)の服用に関しては調べていません。また、現在服用
   とはポリペクトミー前90日のデターを集め、施行時にも服用している事を確認しています。

3) 消化管出血の頻度はDOACで0.63%、コントロール群で0.2%でした。
   (DOACの区別はしていません。少数の事例ですが、3倍のリスクとも言えます。)

4) 論者は、DOACはワーファリンやプラビックスに比べて安全であると述べています。
   但し事前のリスク評価が大事だとしています。つまりCHADSスコアー、CCI(患者の合併症などの
   評価)、EMRの適否などです。
   結果は下記のPDFのグラグをご参照ください。





私見)
 本論文の結論として、DOACはワーファリンやプラビックスと比較すると安全との事ですが、当たり前
 ですがコントロール群と比較するとややリスクが増加します。
 職員にアルゴリズムを作成して貰い以前にブログしましたが、職員と相談して若干の修正(例えば
 DOACは当日服用中止して、注意深く生検するのならOKとか)を試みたいと思っています。
 以前のアルゴリズムを下記に掲載します。



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DOACとポリぺく.pdf

doac polypectomy 雑誌.pdf

本院の内視鏡と抗血栓薬.pdf














posted by 斎賀一 at 21:40| Comment(0) | 消化器・PPI