2020年01月21日

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は過去最多

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は過去最多
 
    

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 昨年は、SFTSが過去で一番多く報告されたとの事です。
マダニによる病気で有名なのが、日本紅斑熱とSFTSです。
日本紅斑熱は細菌で起きますのでテトラサイクリンが有効ですが、SFTSはウイルスにより発症するため
治療法がありません。
 日本紅斑熱と鑑別が必要なのが、ツツガムシ病です。
ツツガムシ病も細菌で発症するため、テトラサイクリンが有効です。


症状を纏めてみますと

1) 日本紅斑熱とツツガムシ病
   ・3徴が特徴 (発熱、皮疹、ダニの刺し口)
   ・初診時に発熱は75%、刺し口も75%しか同定できない。
   ・千葉県に多い。
   ・皮疹の鑑別は下記のPDF

2) SFTS
   ・発熱以外に特徴のある症状はない。
   ・熱の原因が不明の場合、採血して白血球減少、血小板減少があれば疑う。
   ・刺し口は45%しか同定できない。
   ・九州、中国地方に多い。

   その他、6日〜2週間の潜伏期間を経て、発熱、消化器症状 (食欲低下、眠気、嘔吐、下痢、腹痛
   等)が多くの症例で認められ、その他、頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節
   腫脹、皮下出血や下血などの出血症状を起こし、重症化すると血球貪食症候群や多臓器不全を
   起こして死亡することもあります。






私見)
 千葉県と九州方面に御親戚のある方は注意しましょう。







1 sfts.pdf

2 マダニ2.pdf

3 厚労省.pdf

4 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

5 マダニ感染症_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

6 日本紅斑熱とツツガムシ病の見分け方_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf










  
posted by 斎賀一 at 18:50| Comment(1) | 感染症・衛生

2019年06月20日

溶連菌感染症にはペニシリン系

溶連菌感染症にはペニシリン系
                      ~日経メディカルより~


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 日経メディカル、に年長児が溶連菌と診断された時の抗生剤は、以前と同様にペニシリン系が第一選択として推奨されているとの記事が載っていました。本院ではパセトシンとワイドシリンです。時にバイシリンも処方します。
現段階でも耐性菌はほぼありません。しかも記事では、一日一回から二回の服用でも効果があるとしています。

 これを機会に溶連菌について勉強してみました。
下記のPDFをご参照ください。


勉強の結果を纏めてみますと

1) 一般的には溶連菌の分類はLncefield分類を用いています。
   しかし最近の遺伝子学の進歩により菌種が同定されています。下記にハリソンの表を掲載します。
   咽頭炎の代表はgroup A streoptoccocus(GAS)です。
   新生児や妊婦に関係する侵襲性溶連菌感染症はGBSが注目されていますが、人食いバクテリアと
   して知られるようになった劇症型は、GCSとGDSがあります。
   大雑把に言って劇症型(多臓器不全)まで至らない場合が侵襲性(敗血症、髄膜炎)と定義している
   ようです。
   最近の研究により、劇症型はGAS,GBS,GCS,GGSも関与している事が判明してきました。
   突然に同じ菌種でも臨床症状が変化する事もあり、一概にgroup分類では片づけられない様です。



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         ハリソンの内科書より




2) GAS感染症後の二次症としては、リウマチ熱と溶連菌感染後急性糸球体腎炎(APSGN)が代表的
   です。
   抗生剤の時代にリウマチ熱は現在殆ど見られなくなっています。
   またAPSGNに関しては、抗生剤で発症予防が出来ないとする報告もありますが、もともと発生頻度
   が低いという事と不適切な治療、顕微鏡的血尿で発見されることもあるため、その真偽は明白では
   ありません。
   ともあれ感染後の10日目に尿検査を勧めていますが、保護者に余計な心配をさせない意味で
   ルーチンな尿検査はせずに浮腫、血尿(コーラ様)が出現したら、受診を勧めても良いとして
   います。
   本院では一か月後の尿提出をお願いする場合もあります。
   APSGNは予後が良い事もその背景にあります。

3) GASの咽頭迅速検査(ストレプトA)に関しては感度が良い(90%)とする文献と、低い(60%)と
   する報告もあり、まちまちです。
   検査の実施には注意が必要だと思います。

4) 溶連菌感染症の皮膚症状にも要注意です。
   特にブドウ球菌、ジベルバラ色粃糠疹、薬疹などとの鑑別です。

5) 溶連菌感染後反応性関節炎(PSRA)の存在も知っておく必要がある。

6) 治療に関しては長い論争があります。
   バイシリンの14日間療法、パセトシンの10日間療法、バナンの4日間療法などです。
   其々に一長一短があります。ペニシリン7日間療法も下記のPDFで紹介しました。
   (基本的には本院ではパセトシンの7日間療法です。しかし化膿性扁桃腺炎などは混合感染の心配
    もあり広域セフェム系を最初より処方しています。)





私見)
 溶連菌感染症は古くて新しい問題です。





  ◆参考書籍

  小児科Vol. 59 No. 11 2018 ; 特集 溶連菌感染症を見直す
  小児プライマリ・ケアガイド ; 羊土社
  Medical Practice 2019 vo l. 36 臨時増刊号 ; 実践的感染症診療
  小児科Vol. 58 No.l3 2017 ; 感染症迅速診断キットを見直す
  外来腎疾患診療 ; 南山堂
  一発診断100 ; 文光堂
  皮膚疾患アトラス ; 羊土社





T溶連菌感染症の勉強.pdf

2溶連菌治療は本当にペニシリンでいいのか.pdf

3ハリソンより レンサ球菌および腸球菌による感染症.pdf

4溶連菌感染症.pdf

5溶連菌感染症.pdf











posted by 斎賀一 at 19:51| Comment(0) | 感染症・衛生

2019年06月06日

Q熱

Q熱
 
Q Fever in Southern California, a Case Series
of 20 Patients from a VA Medical Center



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 Q熱という病名はQuery fever「不明熱」に由来します。病原菌はコクシエラ・バーネッティイによる動物由来感染症です。急性と慢性があります。
急性Q熱は50%が不顕性感染、40%がインフルエンザ様の一過性の発熱、残りの数%は肺炎型、肝炎型、不明熱型の重症例です。
慢性Q熱は6カ月以上持続する場合で、主として心内膜炎の病型をとり予後が不良です。
 今回アメリカの南カルフォルニアから20例の報告がありました。
以前のCDCからの報告とは異なり、急性から慢性に移行する率は20%で、診断の遅延が予後の不良に繋がると警告しています。
下記の雑誌小児科のPDFにも掲載していて日本では稀な疾患とされていますが、実態はアメリカと同様に氷山の一角かもしれません。


心に留めつつ纏めてみますと

1) 以前の報告では急性Q熱から慢性Q熱の移行は5%以下とされていましたが、本論文では21.4%と
   高率でしかも診断の遅延が予後の不良に繋がり、17年間の経過で死亡率は10%でした。

2) 病原菌のコクシエラ・バーネッティイが、風とほこりに乗って遠くまで到達する可能性がある。
   従って発生は春から初夏が多い。
   30%は動物との接触を証明されていない。




私見)
 下記の文献より抜粋しましたが、日本では診断が保険適応になっていません。
 専門の施設に依頼する事になりますが、数万円かかるとの事です。
 インフルエンザのシーズンでなくインフルエンザ様症状の時にはQ熱も鑑別疾患として捉えるか、経験的
 に抗生剤を投与するかが問題です。

  ・インフルエンザ様症状
  ・肺炎
  ・肝障害
  ・不明熱
  ・心内膜炎、感染性の動脈瘤

 以上の時には鑑別疾患として、Q熱も考慮する必要がありそうです。




◆参考文献

 1) ペットからの感染症 ; 小児科  Vol.54 No.1 2013
 2) 不明熱の臨床 ; Medical Practice vol.33 110.7 2016
 3) 今日の臨床サポート
 4) CDC






1 熱q.pdf

2 本論文の表.pdf

3 Q熱文献より.pdf

4Q4 fever.pdf














posted by 斎賀一 at 15:27| Comment(0) | 感染症・衛生