2020年06月26日

高齢者における降圧剤の減薬

高齢者における降圧剤の減薬
 
Effect of Antihypertensive Medication Reduction vs Usual Care on Short-term
Blood Pressure Control in Patients With Hypertension Aged 80 Years and Older 
The OPTIMISE Randomized Clinical Trial



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 以前に私のブログでも紹介しましたSPRINT研究は、厳格治療を推奨しています。
目標は120以下を設定していますが、その後の論文でも反対意見が散見されます。下記の私のブログ
からのPDFをご参照ください。
 今回は雑誌JAMAより80歳以上の高齢者を対象に、降圧薬の減薬をデザインした研究が発表になり
ました。
SPRINT研究では80歳以上の高齢者は1/3にも満たしていませんでした。


纏めますと

1) 対象者は80歳以上、血圧が150以下に安定していて、降圧薬を少なくとも2剤以上服用している
   患者です。



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   除外はこの1年間に左心不全、心筋梗塞、脳卒中の既往のある人、2次高血圧、本研究を理解
   できない人です。

2) 69のプライマリケアが参加しています。
   降圧薬を1剤以上減薬した群282名と、通常のコントロール群の287名に振り分けています。
   平均年齢は84.8歳です。
   主要転帰は12週間後(3か月後)の血圧が150以下になっているかです。
   2次転帰は降圧薬の減薬が継続されているか、フレイル、QOL、副反応、重大な事例の発生です。
   Per protocol解析を行っています。その結果、減薬群は185名でコントロール群が269名となって
   います。
   減薬が維持できたのは187名の66.3%です。





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3) 結果は12週間後の血圧は減薬群の方がコントロール群に比較して3.4mmHg高めでした。




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  重大なイベント(事例)は減薬群で12例(4.3%)に対してコントロール群では7例(2.4%)でした。


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4) 結論として、高齢者に対して降圧薬を1剤減らす事は12週の時点では非劣性でした。

5) 考察
   実地医家が中心の研究のため降圧剤の更なる減薬に関しては、プロトコールから逸脱するため
   躊躇したようです。
   本研究の降圧剤の減薬はマイルドでした。
   本研究がステップアップして更なる減薬に繋がる事を筆者は期待しています。




 私見)
  日本でのガイドラインは基本的に少量多剤併用です。
  最近では降圧剤も合剤が多くなっています。減薬する時にはやや不便です。
  その点を考慮しつつ果敢に減薬、減量してまいります。
  まさか高齢者の長期効果の判定は出来ないと切り捨てるのではない事を祈ります。







JAMA.pdf

高齢者にも血圧を120以下に_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

高血圧のガイドライン : AHAより_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

降圧目標は120以下か?_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

厳格降圧療法;SPRINT研究の再考_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf

65歳以上の血圧治療について_ _Font Size=_6_斎賀医院壁新聞_Font_.pdf













posted by 斎賀一 at 19:39| Comment(0) | 循環器

2020年06月08日

持続性心房細動のアブレーションの有効性について

 
持続性心房細動のアブレーションの有効性について
 
Persistent atrial fibrillation ablation with contact force sensing catheter
 


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 発作性心房細動に対しては、アブレーション治療の進歩によりかなり標準化しています。
今回アメリカの雑誌JACCより、持続性心房細動におけるアブレーションの有効性に関する論文が載って
いましたのでブログしてみます。


先ず「今日の臨床サポート」より抜粋しますと

「心房細動はその持続時間から、発作性(7日間以内、多くは48時間以内)、持続性(7日間以上)、
長期持続性(1年以上)および永続性(除細動が不能)に分類される。
発作性の心房細動は毎年5.0〜8.6%で慢性化するとされている。
尚、発作性から慢性への移行は初期に多く、最初の5年で約25%が永続性の心房細動に移行するとの
データがある。最新の日本循環器学会ガイドラインでは、高度の左房拡大や左室機能低下を認めず、
薬物治療抵抗性症候性発作性心房細動に対し、カテーテルアブレーションの適応はクラスTとなって
いる。」
                                        以上「今日の臨床サポート」より


さて本論文を纏めてみますと

1) 持続性心房細動の381名を登録しています。
   アブレーション後の3か月の投薬調整期間と、3か月の観察期間を経ています。
   (medical consolidationつまりblanking period ;術後3ヶ月以内のBlanking period内
   では比較的再発が多いのですが、左房焼灼部位の治癒過程で不整脈が起こることが知られて
   います。)この期間の繰り返されるアブレーションは許されています。
   その後の9か月の経過観察となります。






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           SCR;臨床スケジュール HMホルター心電図

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  Blanking time では2回までのアブレーションは許されるようです。

  348名が登録されました。56%がPVIアブレーションで44%が追加アブレーションを行っています。
  (PVI;肺静隔離術)

2) 1週間以内の副作用は3.8%です。
   心タンポナーデが1.5%、脳梗塞が0.6%、横隔膜麻痺が0.3%、血管合併症が0.9%でした。

3) 効果の基準は心房細動発作が30秒以内としています。
   15ケ月時点で62%の効果でした。
   心房細動の症状の消褪は80%でした。
   アブレーションの再施行は14%です。


  


私見)
 持続性心房細動でも適応を満たせば効果は60%で、症状の軽快も80%はあると説明出来そうです。
 ガイドラインでは、患者さんの意向を重視とする意見と慎重にとの見解があります。
 結局はクラスUa~bという事の様です。
 患者さんが「やった方が良いですか?」と問われれば「それはあなたが決める事です。」と言うコンサルト
 の回答は最後まで控えましょう。
 専門医への丸投げも避けたいものです。





 ◆参考書籍等

  ・エクスプレス循環器病ファイル;メディカル・サイエンス・インターナショナル;村川裕二
  ・medical practice ;V.37 N.3 2020
  ・今日の臨床サポート






1 アブレーション.pdf 本論文.pdf

2 心房細動アブレーション文献より.pdf
3 アブレーション不整脈..pdf

4 アブレーションエキスプレス循環器病ファイル.pdf

5 心房細動アアブレーション治療.pdf 漫画.pdf

6 アブレーション 日本ガイドライン.pdf

7 発作性心房細動.pdf

8 慢性心房細動.pdf

9 AF Ablation Clinician Summary.pdf

10 AF Ablation Slide Set.pdf

11 カテーテルアブレーション 旧ガイドライン.pdf










posted by 斎賀一 at 18:28| Comment(3) | 循環器

2020年05月13日

オリーブオイルが心血管疾患の予防に

オリーブオイルが心血管疾患の予防に
 
Olive Oil Consumption and Cardiovascular Risk in U.S. Adults


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 地中海料理の中心であるオリーブオイルが心血管疾患の予防になると言うエビデンスは、主に
ヨーロッパからの様です。
今回、アメリカの雑誌JACCにも同様の結果が掲載されています。
オリーブオイルの効果は世界共通のようです。


纏めますと

1) アメリカの各団体から調査しています。
   Nurses' Health Studyから女性 61,181 名
   Health Professional Follow-up Study から男性31,797 を登録しています。
   調査は1990~2014年の24年間です。
   主要転帰は心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患による死亡です。

2) 期間中に心血管疾患は9,797例発生しています。
   毎日オリーブオイルをスプーン0.5杯以上摂取していると、心血管疾患を14%削減できました。
   更にマーガリン5グラムをオリーブオイル5グラムに変えると、6%削減できます。






私見)
 私も降圧薬服用前の朝食は、パンにオリーブオイルと蜂蜜をつけた2枚をたべています。
 歯を食いしばって頑張りましょう。






オリーブオイル.pdf









posted by 斎賀一 at 19:04| Comment(0) | 循環器