心房細動アブレーション後の積極的ライフスタイル管理
<短 報>
Aggressive Risk Factor Reduction Study for Atrial Fibrillation Implications
for Ablation Outcomes ;The ARREST-AF Randomized Clinical Trial
for Ablation Outcomes ;The ARREST-AF Randomized Clinical Trial
心房細動の患者に対しては、生活習慣因子(例:体重、運動)を改善することで洞調律を
維持し、症状を防ぐことができると期待されています。
それが、アブレーションを受けた患者にも及ぶかどうかを検証した論文が発表されています。
122人の患者(平均年齢60歳、平均BMI 33 kg/m2)を、ライフスタイル管理群と通常診療群
に無作為化しています。
ライフスタイル管理では、高血圧、高脂血症、肥満、睡眠時無呼吸、糖尿病、喫煙、アル
コール使用について、標準化されたカウンセリングとマネジメントプロトコルを提供して
います。
両群とも3か月毎に1年間のフォローアップを実施し、全患者にループレコーダーが植え込ま
れています。
1)方法
追跡期間は12か月です。期間は2014年7月〜2018年9月。
オーストラリア・南オーストラリア州アデレードの3施設で実施。
対象者は非永続性の症候性心房細動で、初回アブレーションを受けた患者のうち、BMIが
27以上で、且つ1つ以上の心代謝リスク因子を有する患者としています。
データ解析期間は、2023年9月〜2024年8月。
ライフスタイル管理群(Lifestyle and Risk Factor Management)とは、
医師主導の構造化された専門外来で、修正可能なリスク因子を集中的に管理
通常治療群(Usual Care)とは、
主治医からリスク因子管理の情報提供のみ
専門のリスク因子修正外来には参加しない
両群共ランダム化を知らされていないチームによって、心房細動標準治療を受けた。
全例で肺静脈隔離を施行し、追加アブレーションは術者判断で実施。
主要評価項目は、アブレーション後12か月間の心房細動の非再発率。
2)Results(結果)
主要評価項目(心房細動の非再発)は、ライフスタイル管理群:38名(61.3%)、
通常診療群:24名(40%)
不整脈再発のハザード比は、ライフスタイル管理群で HR 0.53(95% CI:0.32–0.89)
つまり、ライフスタイル管理群は通常診療群の約半分のリスクです。
症状重症度の改善もライフスタイル管理群で有意に改善し、平均差:−2.0
(95% CI:−3.7〜−0.3)
リスク因子の改善も、ライフスタイル管理群が通常診療群より有意に良好で、
体重: -9.0kg、 腰囲: -7.0cm、 収縮期血圧: -10.8mmHg、
拡張期血圧: 差は有意でない(−3.5mmHg; 95% CI:−7.2 〜 0.2mmHg)
3)結論
BMIが高く、心代謝リスク因子を1つ以上持つ心房細動患者では、積極的なリスク
因子管理(LRFM)がアブレーション後12か月の不整脈再発を減少させた。
カテーテルアブレーション後の洞調律維持には、リスク因子管理が重要である。
(補足説明;運動に関しては、体重減と血圧に関与し有効としています。
具体的には、中等度(moderate intensity)=会話できるが歌えないレベルとして
います。
:早歩き(5〜6 km/h)、軽いジョギング、自転車(ゆっくり〜中等度)、水泳、
エアロビクス。
運動は複数の経路で心房細動を抑制します。
内臓脂肪減少が心房炎症の低下、交感神経過緊張の改善、血圧低下・インスリン
抵抗性改善、睡眠時無呼吸(OSA)の改善、心房リモデリングの抑制が考えられます。
特に 肥満+高血圧+アルコール過量がある患者では運動介入の効果が非常に大きい。
<例:55歳の方>
歩く速さ:1km を10–12分、心拍数:80–115 bpm、感覚:少し息が弾む、汗ばむ
会話可能
心疾患のリスクがある方(β遮断薬内服など)は会話法(talk test)で調整:
しゃべれるが、短文になる程度がベスト。)
私見)
これらの結果は、心房細動アブレーションを受ける患者に対して、リスク因子管理への
取組みを強化することの価値を示しています。
1年後において、介入群と対照群の主な差異は、体重、血圧、アルコール使用の3つで
あり、これらがフォローアップ期間中に最も重視すべきリスク因子であることを示唆
しています。
運動は体重減と血圧に関与します。