2018年10月25日

イグザレルトは末梢動脈疾患(PAD)や慢性冠動脈疾患(CAD)にも有効

イグザレルトは末梢動脈疾患(PAD)や慢性冠動脈疾患(CAD)にも有効
 
U.S. FDA Approves XARELTOレジスタードマーク(rivaroxaban) to Reduce the Risk of
Major Cardiovascular Events in Patients with Chronic Coronary Artery
Disease (CAD) or Peripheral Artery Disease (PAD)



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 アメリカのFDAが、抗凝固薬(DOAC)のイグザレルトがCADやPADにも有効で、24%の効果があることを承認したそうです。
DOACの中でもアメリカでは現在、イグザレルトだけが心房細動以外のCADやPADに認可されていますが、その効果を改めて認めたようです。
日本では抗血小板薬のプレタールが主流ですが、アメリカではCOMPASS研究によりDOACも期待されています。心房細動を含めた静脈性の血栓には抗凝固薬、動脈性の血栓には抗血小板薬が有効と棲み分けされている感じですが、実際問題はその境界線はあまりないとの指摘もあります。
今回の報告では、懸念されている出血も重大な症例や脳内出血は増加していない様です。





私見)
 今回の発表では少量アスピリンとイグザレルトとの併用ですが、日本ではどのような推移になるか注目
 したいと思います。
 ADに関しては、以前の私のブログをご参照ください。
 今後高齢化社会の到来で実地医家にとってPADは重要な疾患ですが、とっても心配な疾患でもあり
 ます。
 患者さんが診察する時は、いつも靴下を脱ぐように指導してください。






U.S. FDA Approves XARELTOレジスタードマーク (rivaroxaban) to Reduce the Risk of Major Cardiov.pdf













posted by 斎賀一 at 13:31| Comment(0) | 循環器

2018年10月06日

心筋梗塞のステント治療後は2剤抗血小板薬を6カ月で良い?

心筋梗塞のステント治療後は2剤抗血小板薬を6カ月で良い?

Six months versus 12 months dual antiplatelet therapy after
drug-eluting stent implantation in ST-elevation myocardial
infarction (DAPT-STEMI):




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 最近では冠動脈ステントも進歩して、薬剤溶出性ステントも第二世代となっているようです。
それを踏まえての研究が、雑誌BMJに発表されました。
従来よりステント治療後は、特にST上昇型心筋梗塞(STEMI)では、少量アスピリンを含めた
抗血小板薬の2剤併用(DAPT)を1年間服用する事が推奨されています。今回の論文では6カ月で
DAPTを中止し、その後は単剤(例えば少量アスピリンだけのSAPT)とする単剤群(SAPT群)と、
2剤併用を継続する群(DAPT群)とに振り分けて18か月間経過観察をしています。


纏めてみますと、


 1) 18~85歳のSTEMI(一般的には貫壁性の心筋梗塞)で、第二世代のステント治療をし、
    その後にDAPTをしていた患者を登録しています。
    経皮的冠動脈形成術(PCI、つまりステント治療)後に6カ月間は安定している患者を抽出し、
    約900名をその時点で引き続きDAPTをした群と、単剤に変更したSAPT群に一対一に
    振り分けて18か月経過を見ています。

 2) 主要転帰は死亡、心筋梗塞の再発、血管再建術、脳梗塞、血栓症、大出血

 3) 結果は、6カ月のDAPT(つまりSAPT群)は12か月のDAPTに非劣性でした。
    (つまり劣っていない。)
    この際に、少量アスピリンは全ての患者に出来る限り、継続服用を推奨しています。
    尚、SAPTの中で14例は少量アスピリン以外の抗血小板薬を用いていました。

 4) 少量アスピリン以外の抗血小板薬では、下記のPDFにも掲載しましたが、プラビックスよりも
    新薬のエフィエントの方が有効との研究が既にありますが、国により採用がされていない
    場合もあり、出血の副作用も懸念されプラビックスも捨てがたいとしています。
    本論文では抗血小板薬の違いは結果には反映されていないとしています。
    (エフィエントに関しては下記のPDFかアクセスをして参考にして下さい。)

 5) 結論としては、最初のPCI後の24か月で主要転帰をみますと、6カ月のDAPT群では
    4.8%で、12か月のDAPT群では6.6%でした。
    (主要転帰に大出血も含まれているためと思われます。)




私見)
 患者登録のベースラインを見ますと、新規抗血小板薬が多く採用されています。
 第二世代のステントと併せて、この事が結果的に6カ月の優位性に寄与したのではと考えてしまいます。
 
参考書籍;HRRISON

STEMIに関しては下記のPDFを参照ください。
新薬に関して興味のある方は、下記にアクセスしてみてください。


 https://medicalcampus.jp/di/






Six months versus 12 months dual antiplatelet therapy bmj.pdf

1 本論文より.pdf

2 STEMIについて.pdf

3 ガイドライン.pdf

4 PCI施行例における新規P2Y12阻害薬とclopidogrelの比較抗血栓療法トライアルデータベース.pdf

5 エフィエント(プラスグレル)の作用機序と副作用【虚血性心疾患】.pdf







posted by 斎賀一 at 14:50| Comment(0) | 循環器

2018年10月04日

ステント後の心房細動と冠動脈疾患に抗凝固薬の単独で良いか ?

ステント後の心房細動と冠動脈疾患に抗凝固薬の単独で良いか?
 
An Open-Label Randomized Trial Comparing Oral Anticoagulation
with and without Single Antiplatelet Therapy in Patients
with Atrial Fibrillation and Stable Coronary Artery Disease
Beyond One Year after Coronary Stent Implantation:
The OAC-ALONE Study



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 心房細動と冠動脈疾患でステント治療をした場合に、抗凝固薬と抗血小板薬を1年間は併用するのが
一般的ですが、さてその後に抗血小板薬を中止しても悪影響は無いのかを調べた研究が、日本より発表になりました。
つまり抗凝固薬(ワーファリンかDOAC)単独が抗凝固薬+抗血小板薬(プラビックス)と比較して非劣性であること(同等であること)を証明できれば、即座に抗血小板薬を中断出来るとの想定で研究が行われました。



纏めますと

1) 690人の心房細動と、ステント治療をして1年間は安定していて、尚且つ冠動脈疾患を併発している
   人を登録しています。
   平均年齢は75歳、CHA2DS2-VAScスコアーは4.6です。
   抗凝固薬のみの単独群が344名、抗凝固薬と抗血小板薬の併用群が345名に振り分けています。
   抗凝固薬はワーファリンが75.2%で、DOACが24.8%です。

2) 主要転帰は・心筋梗塞 ・死亡例 ・全身性の血栓症 ・脳梗塞
   2次転帰は出血例です。

3) 主要転帰は単独群で15.7%、併用群で13.6%と非劣性を証明出来ませんでした。  
    (つまり併用群の方が優勢で、単独群の危険率は1.16)
   個別で見ますと、脳梗塞では単独群で3.8%、併用群で5.5%ですが
   心筋梗塞では単独群で2.3%、併用群で1.2%です。
   脳梗塞では単独で良いようですが、肝心の心筋梗塞では併用の方が優位です。

4) 2次転帰の出血は単独群で7.8%に対して、併用群では10.4%と単独群の方が優位です。

5) 考察として、単独群が非劣性を証明できなかったのは、登録に延々と時間が掛かってしまった。
   そのため、統計学的に十分な結論を導けない結果となった。
   やはり臨床家が抗血小板薬を中止するのをためらう傾向が認められた。





私見)
 出血の危険を充分に認識しつつも、抗血小板薬をどのタイミングで中止するかを躊躇するのは、実地
 医家では当然でしょうか?




Oral Anticoagulation.pdf










posted by 斎賀一 at 13:20| Comment(0) | 循環器