2023年03月03日

赤ワインは心血管疾患の予防

赤ワインは心血管疾患の予防


A red wine intervention does not modify plasma trimethylamine
N-oxide but is associated with broad shifts
in the plasma metabolome and gut microbiota composition




 その昔からフレンチパラドックスと言われているのに、なんで今という感じがしますが、
改めて簡単にブログします。


1) 心血管疾患の病歴がある、平均年齢60歳の男性42名が対象です。
   全員が2週間ウォシュアウトをして、3週間の介入試験です。
   ワイン群はアルコール12.75度の赤ワインを250cc毎日飲みます。
   対象者は禁酒群です。介入試験中は他のアルコール類、ヨーグルト、昆布茶、食物繊維、
   乳製品、プロバイオティクスなどのポリフェノール関連の物は控えます。

2) 腸内細菌と代謝産物のオキシダントの一種であるTMAOを測定します。
   TMAOは腸内細菌が蛋白質の豊富な食品を代謝するときに放出されるトリメチルアミンから
   生成され、アテローム硬化に関与すると言われています。

3) 結果
   赤ワイン群は腸内細菌の変化があり、Parasutterella、Ruminococcaceae、
   Bacteroides、Prevotellaが優位となっていました。
   血液検査では酸化還元のホメオスタシスの改善が認められ、動脈硬化を悪化させるオキシ
   ダントストレスの解消に繋がっていました。
   しかし、TMAO値は赤ワイン群と禁酒群では同等の値でした。
   3週間の介入試験では余りにも短期過ぎるため、今後の試験が期待されるとしています。







私見)
 ジョギングの際に前と同じ場所で、アスファルトの轍に引っ掛かり顔面打撲の
こぶをつくってしまい、とんだ様相になってしまいました。
 痛みよりも年のせいかとガッカリしていると、songの番組で中島みゆきの
「旅はまだ終わらない」のメロディーが流れていました。
 妻の明るい笑い声よりも、音楽は人を慰めてくれるものですね。
 本日は赤ワインも飲まず、風呂にも入らず、ブログはサマリーを読んで
早く寝ます。お休みなさい。






赤ワイン 本論文.pdf












posted by 斎賀一 at 18:02| 循環器

2023年02月24日

PPIが糖尿病患者の心血管疾患を誘発する?

PPIが糖尿病患者の心血管疾患を誘発する?

 <短 報>
Proton Pump Inhibitor Use and Risksof Cardiovascular Disease
and Mortality in Patients With Type 2Diabetes



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 胃酸分泌抑制剤のPPIは腸管の細菌叢を変化させます。
U型糖尿病患者において、PPIの使用が心血管疾患に影響しないか調べた論文があるので
ブログしてみます。


1) 2006年3月から2010年10月までに、U型糖尿病患者の内19,229人が登録しています。
   平均年齢は59.5歳です。
   本研究の適応対象者は、PPI服用群3,275人で非服用群15,954名です。
   経過観察は、平均10.9年から11.2年です。

2) 服用群の方が明らかに危険率が高い結果です。
   冠動脈疾患の危険率は1.27、心筋梗塞が1.34、心不全が1.35、脳卒中が1.11、
   全死亡が1.3でした。
   脳卒中と心血管疾患の死亡に関しては、両群とも明らかな相違はありませんでした。
   サブグループを解析しても同様の結果です。
   本試験では、PPIの使用期間に関しては調査を行っておりません。

3) U型糖尿病患者にPPIを処方する場合には、充分にそのメリットを勘案しなくては
   なりません。







私見)
 心血管疾患の二次予防で抗血小板薬、抗凝固薬を使用する際に、出血性胃病変の予防の
 ためにPPIを使用します。
 最近PPIに対する風当たりが強いようです。
 糖尿病のある患者さんには然るべき時期に、H2ブロッカーに切り替えるべきかもしれません。









PPI Proton Pump Inhibitor Use and Risks of Cardiovascular Disease and Mortality in Patients With Type 2 Diabetes _ The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism _ Oxford Academic.pdf












posted by 斎賀一 at 17:20| 循環器

2023年02月15日

高齢者にとってゴルフは勝るとも劣らない運動

高齢者にとってゴルフは勝るとも劣らない運動

Comparative effectiveness of playing golf to Nordic walking and walking on
acute physiological effects on cardiometabolic markers in healthy older adults
: a randomised cross-over study



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 高齢者にとって、ゴルフは生活習慣病の改善に適しているとの報告がありましたのでブログ
します。


1) 有酸素運動は若い人にとって心血管疾患の予防と改善に有効とのデータはありますが、
   高齢者に関しては不明です。
   今回、健康な高齢者25名が登録されています。 平均年齢は68歳
   運動として18ホールのゴルフ、6kmのノルディックウォーキング、6kmのウォーキングの
   3種類をクロスオーバーして実施しています。
   運動後の即決した効果を、心血管疾患のマーカーで調べています。

2) 登録者は65歳以上、BMIが35以下、ゴルフのハンディキャップが36以下、ゴルフは
   18ホールとしています。
   降圧薬や高脂血症治療薬の服用は適応していますが、βブロッカーなどの脈拍数に影響
   する薬剤の服用者は、除外しています。
   スタディ前に6分間のウォーキングとフィットネスで適応を調べ、最終的に26名がエント
   リーされました。
   参加者は第一週と第二週に分かれて実施しています。トライアルの日は朝の7時にゴルフ場
   に集合し朝食を摂っています。
   参加者は3グループに分かれ、クロスオーバーで5日間のコースです。
   例えば、先ず1日目は18ホールのゴルフを行います。それぞれウォシュアウトを1日設けて
   3日目はノルディックウォーキングを6km実施し、5日目はウォーキングを6km行います。
   検査はウォシュアウトの1日目と3日目に行いました。
   ウォシュアウトを設けることにより、それぞれの運動に影響が及ぼさない事も証明して
   います。

3) それぞれの運動において収縮期血圧は低下し、特にノルディックウォーキングと
   ウォーキングでは拡張期血圧の低下も認められています。
   ゴルフは運動としての強度が低いにもかかわらず、運動時間が長いため脂質と血糖に
   効果がありました。




       50215-2.PNG






私見)
 ゴルフ愛好家によるスタディの印象ですが、高齢者にとって自分の好きなスポーツをやる事は
 健康に良い事です。もちろん週一ゴルフなどと馬鹿には出来ません。
 但しゴルフカートに乗ってのゴルフはどうなんでしょう。
 元来マナーの悪い私は、またゴルフ場で叱られないため、ジョギングを楽しんでいます。







ゴルフ 原文.pdf

ノルディックウォーキングとは.pdf







posted by 斎賀一 at 17:58| 循環器