2019年08月24日

DOAC(抗凝固薬)の中断と再開

DOAC(抗凝固薬)の中断と再開

Perioperative Management of Patients With Atrial Fibrillation
Receiving a Direct Oral Anticoagulant




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 心房細動でDOACを服用している人が、待機的(予定して)手術をする際には、
事前に服用を中断する必要がありますが、それによって動脈血栓性疾患が誘発されないか、又服用を再開して出血の危険が増加しないかは懸念される問題です。
ガイドラインにそって適切に対応すれば安全性は高いとの論文が出ました。


 纏めますと、

 1) 2014~2018年にかけて心房細動でDOACを服用している人で、待機的手術か、処置を行った
    3,007名を登録しています。
    18歳以上の人で平均年齢は72.5歳です。
    
    レジメとしては、
     
     ・出血の危険が低い処置の場合は、術前1日前に中断し、再開は術後1日後としています。
     ・出血の危険が高い処置の場合は、術前2日前に中断し、再開は術後2~3日後としています。
      主要転帰は術後30日での大出血、血栓性疾患(脳梗塞、一過性脳虚血発作、
      全身の血栓症)としています。

 2) DOAC服用状況は、エリキュースが41.8%、プラザキサが22.2%、
    イグザレルトが36.0%でした。(最新のリクシアナは記載有りません)
    出血の危険が高い処置は1007例で、33.5%です。

 3) 30日以内での結果は、
    大出血は、エリキュースが1.35%、プラザキサが0.90%、
    イグザレルトが1.85%でした。
    血栓性疾患の発生は、エリキュースで0.16%、プラザキサが0.60%、
    イグザレルトが0.37%でした。

    出血の危険が高い処置の場合での大出血のリスクは、エリキュースで2.96%、
    イグザレルトで2.95%でした。

 4) 結論としては、手術の30日の評価では大出血のリスクは2%以下で、
    動脈性の血栓性疾患の発生は、1%以下と安全性は高いとの評価です。




私見)
 プラザキサの中和剤を敢て使用しなくても待機的手術の場合は安全性が高いようです。
 (勿論反対意見はあるようです)



Perioperative Management of Patients With Atrial Fibrillation Receiving a Di.pdf








posted by 斎賀一 at 16:18| Comment(0) | 循環器

2019年08月19日

ジゴキシン(強心剤)の少量継続服用が大事

ジゴキシン(強心剤)の少量継続服用が大事
 
Digoxin Discontinuation and Outcomes in Patients
With Heart Failure With Reduced Ejection Fraction



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 以前の私のブログでもジゴキシンについて報告しましたが、今回、心不全のある人(駆出率が40%以下の心不全;HFrEF)では継続服用が中断よりも有益性があるとの論文がでました。


纏めますと

1) 既に心不全(HFrEF)でジゴキシンを服用している患者さんが対象です。
   3,499名が登録されています。
   同じ集団群を対象にして、ジゴキシンを中断した群698名と、継続した群の698名を比較しています。

2) 退院の4年後を調べています。
   継続した群と比較して、中断した群の危険率は
   ・心不全による再入院が1.21
   ・全原因の再入院は1.16
   ・全死亡率は同等で1.09

   退院の30日後では
   ・全死亡率は1.8
   ・心不全による入院/全死亡率は1.36

   しかし退院後の6カ月から1年では、全死亡率も心不全による再入院も、差はありませんでした。

3) 強心剤のジゴキシンを正当に評価する前に、最近では本薬剤を不当に扱っているかもしれないと
   論評しています。






私見)
 本院でもハーフ-ジゴキシン(0.125mg/tab)を中心に処方しています。

 Uptodateによりますと
 ・最初はハーフ-ジゴキシンを半錠から開始して1錠、2錠と漸増していく。
 ・基本は血中濃度を測定して、モニタリングする。
 ・血中濃度は0.5~0.8ng/mLとしています。



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 口八丁手八丁でまくし立てる政治家より、前衆議院議長の伊吹文明氏のようにゆったりと語る政治家の方が 説得力があります。

 「老兵は死なず、いまだ少し頑張るのみ

  ...なんだか僕みたい。





ジゴキシン.pdf












posted by 斎賀一 at 21:04| Comment(1) | 循環器

2019年08月06日

アメリカンフットボールリーグ(NFL)の選手は心房細動になり易い

アメリカンフットボールリーグ(NFL)の選手は心房細動になり易い
 
Arrhythmias and Adaptations of the Cardiac Conduction
System in Former National Football League Players
 


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 かなりの持続力運動を要求するアメリカンフットボールリーグに所属していた人を対象に、((NFL群)と
エリートでない一般のアスリートをDHSから抽出したDHS群(コントロール群)を比較しています。



纏めますと

1) 調査は2014~2015年に懸けて行われています。
   NFL群はリタイヤしていますが、現在の運動の程度を1週間に1回以下の軽度、1〜2回の中等度
   3回以上の高度に分類しています。
   更に現役の時のポジションにおいても調べています。
   平均年齢はNFL群で56歳、DHS群は54歳です。

2) 心房細動はNFL群で23例(5%)認められ、DHS群では5例(0.5%)でした。
   危険率は5.7です。
   23例中15例は心房細動の診断を受けていませんでした。
   NFL群は、安静時脈拍数がコントロール群に比較して徐脈傾向です。
   62対66
   更に1度房室ブロックは18%対9%です。

3) NFL群では心房細動、心室内伝導速度の遅延、房室伝導時間のブロック、左房拡大も認められて
   います。
   しかも自覚症状はない傾向でした。

4) きつい運動は心筋の炎症を起こし、やがて心筋の線維化に繋がり、伝導障害を引き起こすと想定
   しています。
   このような変化は、現役を引退して中高年になってから出現します。






私見)
 一生で1,500時間以内のトレーニングを勧めるガイドラインもありますが、そんなことをしていたら
 アスリートは育ちませんし、張本さんに怒られます...。
 今後、本院でも中高年の方が来院され昔運動をしていたならば、それはスポーツ心で大丈夫ですと
 断定せずに、心電図と左房を診ていきたいと思います。





JAMA文献.pdf












posted by 斎賀一 at 22:11| Comment(1) | 循環器