2018年07月21日

心血管疾患の10年リスクの改訂

心血管疾患の10年リスクの改訂

Clinical Implications of Revised Pooled Cohort
Equations forEstimating Atherosclerotic Cardiovascular Disease Risk



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 患者さんの層別化のために、10年の心血管疾患の発症リスクを裁定する事により治療方針を決定していましたが、2013年版の計算式(PCEs)が過剰に判定しているとの批判に答えて、改訂版が発表になっています。
元文献を取り寄せてみましたが、かなり統計学的見識が必要で結果だけをブログしてみます(信ずる者は救われる。)計算式のアクセスは下記に掲載しますので、それぞれがパソコンに入れてください。


結論的に纏めてみますと、


 1) 2013 PCEsに最近のデータを加味して新しい統計学的処置を施しました。
    モデル1と2をつくり、モデル2を採用しています。

 2) 2013年版では黒人が過大評価されていたり、又バラつきもありましたがこれを是正しています。
    白人と同等での評価が出来るようになっています。少数の集団でのバラつきも、新しい改訂では
    修正していますが、残念ながら対象は白人と黒人だけでアジア系は対象になっていません。

 3) 今回の改訂版では、以前の2013年版に比較して黒人ばかりでなく、全般に10年リスクが軽減
    されています。
    リスクが5%以下は23:1、リスクが10%以下では8:1の割合で再評価される計算となっています。

 4) リスクの評価が抑えられることにより、脂質異常症に対するスタチン系薬剤の服用適用に関しても
    少なくなることで副作用も軽減されるとしています。



私見)
 計算してみましたが私の場合もリスクが軽減されました。
 10年先の事ですので暗い事ばかり心配せずに、白人、黒人で計算し、希望をもって低い方を
 採用します。(日本人は白人と黒人の中間との見解もありますが、その中にアジア系も計算式に
 組み込まれるのを期待したいものです。)
 以前は東アジア系もあったのですが、small集団として今回はオミットされています。
 尚、バラつきが少ないとのグラフを下記のPDFに掲載しました。
 下記が計算式のアクセスです。
 https://sanjaybasu.shinyapps.io/ascvd/



10年リスク.pdf


文献サプリより.pdf








posted by 斎賀一 at 16:27| Comment(0) | 循環器

2018年07月18日

週二回は魚を食べましょう

週二回は魚を食べましょう

 
Seafood Long-Chain n-3 Polyunsaturated
Fatty Acids and Cardiovascular Disease


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 魚には、動脈硬化に良いとされているn-3系脂肪酸(DHAとEPA)が含まれています。
アメリカでは近年、1999年よりも魚の摂取はやや多くなっているようですが、未だ不十分のようです。
1週間に2回は摂取した方が良いようですが、4回以上と多く摂っても心血管疾患の予防効果はなく、
却って水銀の問題も懸念されてきます。
アメリカAHAの雑誌のcirculationより総説が出ていましたので、纏めてみます。



1) n-3系脂肪酸はサーモン、ニシン、アンチョビ、サバ、マグロに多く含まれています。
   甲殻類、タラにも多少あるそうです。

2) 2017年のAHAの勧告ではサプリメントに関して一般的に懐疑的でしたが、心筋梗塞や心不全で
   入院歴のある人に関しては、2次予防としての効果を期待して勧めています。

3) 魚由来のn-3系脂肪酸は、心拍数を減らし心伝達を遅らせるため不整脈の予防にもなる。
   また血管内皮の機能改善に作用して、血管内のプラーク(脂肪の沈着)を減少させる。

4) サプリメントは血圧に有効かもしれないが、魚を摂取する事は血圧に直接影響を及ぼさない。

5) しかし、食事に魚料理を多くすると冠動脈疾患、心臓関連の急死を減少させる。

6) サプリメントは、心不全患者の入院率や急死を予防できる。

7) 月に一回しか魚を摂取しない人に比べて四回以上摂取する人は、心血管疾患を22%減少させる。
   しかし、出血性脳卒中に関しては有効ではない。

8) 養殖のサーモンとマスは、天然ものよりn-3脂肪酸が多く含まれている。

9) 論者は週に1〜2回の魚の摂取を勧めています。







魚.pdf

脂肪酸 n3系.pdf












posted by 斎賀一 at 18:54| Comment(1) | 循環器

2018年07月17日

抗凝固薬を服用している時は鎮痛剤(NSAIDs)に注意

抗凝固薬を服用している時は鎮痛剤(NSAIDs)に注意
 
Concomitant Oral Anticoagulant and Nonsteroidal Anti-
Inflammatory Drug Therapy in Patients With Atrial Fibrillation


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 抗凝固薬(OAC:DOACとワーファリン)とNSAIDsを併用すると、出血性胃病変の危険がある事は周知の事実ですが、脳梗塞の危険も増加するとの論文がアメリカの雑誌JACCより報告されました。
心房細動患者に対するプラザキサのRE-LY研究の新たな追加発表です。
その研究の期間中に、最低1回でもNSAIDsを服用した2,279名を対象にしています。


纏めてみますと

1) OACとNSAIDsを併用した群と併用しない群を比較すると、重大な出血例が5.4%対3.3%と増大
   していました。危険率は1.68です。この傾向は全てのOACに共通しています。
   重大な消化管出血は1.81の危険率でした。

2) 脳卒中の発生に関しては、虚血性は危険率が1.55と増加していましたが、出血性は危険率が1.08
   とほぼ同等です。

3) プラザキサはワーファリンと異なり、NSAIDsとの相互作用はないものとされています。

4) 心房細動患者は骨関節性疾患を併発している事が多く、鎮痛薬を処方する場合は配慮が必要として
   います。当然ながら胃酸分泌抑制薬のPPIを併用処方すべきです。
   NSAIDsとしてカロナールが安全かもしれないが、その際も充分な注意が必要とのことです。
   セレコックスは消化管出血の副作用が少なく、血小板機能を減弱させないので適応かもしれません。





私見)
 少量アスピリンとNSAIDsは干渉するため、以前から配慮が必要とされていますが、最近ではセレコック
 スだけが悪者ではないとする報告も出てきました。 (私のブログをご参照ください。)
 今回の論文からは、DOACと併用するならセレコックスを必要最小限度に処方するという事を示唆して
 いるようです。






Concomitant Oral Anticoagulant and Nonsteroidal Anti-Inflammato.pdf











posted by 斎賀一 at 20:39| Comment(0) | 循環器