2019年03月23日

心房細動に対するカテーテルアブレーションの効果

心房細動に対するカテーテルアブレーションの効果

Effect of Catheter Ablation vs Medical Therapy on Quality of Life
Among Patients With Atrial Fibrillation
The CABANA Randomized Clinical Trial



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 心房細動におけるアブレーション治療は進歩しており、治療の主体となっています。
機械の改良に加えて、心房細動の病巣である肺静脈周辺の剥離同定の進歩も挙げられているそうです。
しかし、アブレーション後の再発に関しては左程、進展が無いようで、アブレーションに関するQOL
(患者サイドの満足度?)の方に関心が移っているようです。今回、雑誌JAMAから、アブレーションと
QOLの関係を調べた論文が掲載されました。CABANA研究です。


纏めますと、


 1) リスクが1以上ある有症状の心房細動患者2,204名を登録しています。
    2009~2016年間調査しています。
    アブレーション群が1,108名で、薬物療法群が1,096です。

 2) アブレーション施行後の12か月以降の調査です。
  
    ・AFEQTスコアー(0~100) ;QOLに関するもの(点数が多い方が良い)
    ・MAFSIスコアー(0~40)  ;心房細動の症状(点数が多ければ症状あり)
    ・重症度スコアー(0~30)  ;点数が多ければ重症度です。    

    以上の3つのスコアーで、アブレーション群と薬物療法群を比較しています。
 
 3) 結果は、
    平均年齢は68歳、63%が男性です。
    発作性心房細動が43%で、持続性心房細動が57%でした。
    平均経過観察期間は48.5カ月です。1,968例(89%)が登録し、研究対象となりました。
    
    施行後の12カ月の時点は、
    
     AFEQTでは、アブレーション群が86.4対薬物群が80.9
     MAFSIでは、アブレーション群が6.4対薬物群が8.1
     重症度では、アブレーション群が5.0対薬物群が6.5
    
    結論的には、QOLも患者の自覚症状もアブレーション群の方が優位でした。



私見)
 本院でのアブレーションをお勧めする基準は、

   ・発作性心房細動 ・心電図でP波が大きい ・心エコーで左房拡大がそれ程でない

 以上で、2次施設にご紹介しています。
 
 心房細動も、患者さんの満足度を重視する時代になったのでしょうか。
 何事も早期発見、早期治療のようです。
 アブレーションに関する文献を下記に纏めましたので、本院でのコンサルタントを受ける前に
 参考にして下さい。
 アブレーションの種類に関しては、下記の日本における特集号を参照ください。

 
 参考文献
    Medical Practice ;2014 V31 N10
    N Engl J Med 2016;374:2235-45
    N Engl J Med 2015;372:1812-22.

  その他の日本の特集号も直接下記のPDFにて掲載しました。


1 Catheter Ablation vs Medical Therapy.pdf

2 心房細動とアブレーション.pdf

3 nejm1.pdf

4 nejm2.pdf

5 心房細動に対するクライオバルーン アブレーション.pdf

6 心房細動治療の新時代.pdf

7 初心に返れ!心房細動診療.pdf







posted by 斎賀一 at 14:54| Comment(1) | 循環器

2019年03月22日

利尿薬のアルダクトンAの効果の性差

利尿薬のアルダクトンAの効果の性差

 
Sex Differences in Outcomes and Responses to Spironolactone
in Heart Failure With Preserved Ejection Fraction:
A Secondary Analysis of TOPCAT Trial



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 アルダクトンA(spironolactone)はカリウム保持作用のある利尿薬です。
ループ利尿薬(ラシックス、ダイアート)は利尿効果が高いのですが低カリウム血症を起こす事があり、
アルダクトンAを併用すれば、低カリウムを防ぐため相乗効果があります。従って心不全に対する治療
としても重要です。またアルダクトンAは、難治性の高血圧症に対する裏ワザとしても有効です。
しかしこのアルダクトンAはその効果、副作用(高カリウム血症)に関して紆余曲折がありました。
雑誌NEJMからの有名な2つの文献を、下記のPDFに掲載しましたので参照ください。

今回、駆出率が保たれている女性の心不全患者では、入院率の減少が認められたとの論文が発表に
なりました。この研究は2014年のTOPCATstudyのその後の報告です。
 (元文献は下記のPDFのNEJMに掲載しました。)


纏めてみますと

1) 安定した心不全患者のHFpEFを対象
   つまり、HFpEFとは心不全症状はあるが心エコーで駆出率が45%以上ある人です。
    (HFrEFは駆出率が45%以下に低下している人)
   アルダクトンA を投与した群と、コントロール群に分けて調べています。

2) 主要転帰は  ・心血管死 ・心停止 ・心不全による入院
   二次転帰は  ・全死亡率 ・全入院率です。

3) 結果は、1,767名中882名が女性 (49.9%)
   主要転帰においては性に差は無かったが、全体的に限定的ですが全死亡率に関しては、女性で
   アルダクトンA群に効果があった。 (危険率 0.66)





私見)
 アルダクトンAは十分にモニタリングして少量を漸増する限りは有効な薬剤と認識しています。
 HFpEF患者ではその進行に対する予防薬はないといわれていましたが、今回の論文から推測しますと、
 女性に関して高血圧の合併があれば、HFpEFでアルダクトンAも選択肢と言えそうです。
 尚、糖尿病性腎症に関してアルダクトンAは適応がありますが類似のセララは投与禁止となっています。
 しかし、近々適応があるカリウム保持利尿薬が上市されるとのことです。




1 アルダクトンa.pdf

2 nejm 1 .pdf

3 nejm 2.pdf

4 本論文.pdf








posted by 斎賀一 at 21:06| Comment(0) | 循環器

2019年03月18日

発作性心房細動の誘発因子

発作性心房細動の誘発因子
 
Patient-reported triggers of paroxysmal atrial fibrillation



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 発作性心房細動の患者さんの、4人に3人は誘発因子を経験しています。
雑誌HeartRhythmによると   ・アルコール摂取  ・カフェイン  ・運動  ・不眠  でした。
但し心不全を持っている人においては、これらの誘発因子はあまり関係は無かったようです。
 (上記の因子が心不全の患者さんにとって急に多くなる事は稀ではないかと思いますし、心不全の増悪そのものが危険因子となるかもしれません。)


纏めますと

1) 症状を有する発作性心房細動患者1,295名を対象にしています。
   957名(74%)が誘発因子を経験していました。
   バックグラウンドを調べてみますと、心不全患者では誘発因子の関与の危険率は0.29と低いのに
   比べて、心房細動の家族歴がある場合は、誘発因子の危険率は2.04と高めでした。
    (遺伝的に関与する心房細動では、誘発因子は重要になっています。)

2) 誘発因子を調べますと
    ・アルコール摂取(35%) ・カフェイン(28%) ・運動(23%) ・不眠(21%) でした。

3) 誘発因子と遺伝的背景を研究する事が、今後期待されるとしています。





私見)
  Medscapeの論評では、「患者との検討、家族歴からの遺伝的背景、環境因子などから誘発因子を
 探すのがこの研究の一つの目的でしたが、十分には達成されなかった。そのために包括的な勧奨は
 適切でない。実際、カフェインが問題な人もいれば、全く誘因とならない人も多くいる。
 運動を制限する必要のない人もいれば、ある種の運動が誘因となる事もある。
 今後は個々人の特異性を研究する必要がある。」としています。

  ある朝鮮半島の専門家が言っています。
     「予測に決め言葉は使わない方が良い。相手をあまり甘く見ない方が良い。」

そこで患者さんには次のように言いましょう。
「発作性心房細動をあまり甘く見ないでください。お酒を飲むなら1合程度、運動は苦しくない程度、
 コーヒーはブラックで飲んでよいのですが、カフェイン入りのドリンク剤を元気のために飲まないでくだ
 さい。眠れない日でも布団の中で楽しい事や卑猥な事を想像して、朝までゆっくりしていてください。」





af.pdf












posted by 斎賀一 at 20:13| Comment(1) | 循環器