3剤配合吸入薬(ステロイド+LABA+LAMA)の有用性
Adherence and Persistence to Single-Inhaler Versus Multiple-Inhaler
Triple Therapy for Asthma Management
Triple Therapy for Asthma Management
喘息治療の吸入剤には吸入ステロイド(ICS)、長時間作用型β2刺激薬(LABA)と
長時間作用型抗コリン薬(LAMA)がありますが、この3剤配合薬の一日一回吸入がアドへ
ランス(服薬遵守(じゅんしゅ))において有効との論文が出ています。
ご迷惑かと思いますが、以前の私のブログのオンパレードを下記に掲載します。
世界の基準GINA2021年に依りますと、アドへランスが喘息のコントロールに重要との指摘
です。
吸入療法のstep upを迅速に行うことが、喘息の増悪を防ぐとも言われています。
またGINAのガイドレインでも、LAMAの追加を肺機能の保持の点からも推奨しています。
しかし、アメリカと日本からの報告では3者併用のアドへランスの低下も指摘されています。
アメリカのFDAは、1日1回吸入の3者配合剤を承認しています。
1) 1,396例の3剤配合薬(single) 平均年齢50.6歳と5,115例の多剤併用(MITT)
平均年齢50.2歳を比較しています。3か月の導入期間後6か月と12か月後の調査です。
本研究では中途での変更は認めていません。
対象は18歳以上です。(LAMAは12歳以上が適応です)
調査対象からCOPDは除外されています。
2016年9月18日より2019年12月31日の期間です。
PDC(proportion of days covered)と45日以上の怠薬のnon-persistenceを
調べました。PDCは全日数に対する吸入日の割合です。
0.8以上と0.5以上を調べました。
2) 3か月後の時点では、PDCはsingleで0.68に対し、MITTは0.59でした。
6か月後はsingleが0.56に対し、MITTは0.46です。
12か月後はsingleが0.46に対し、MITTは0.35です。
3) singleの方がMITTに比べて、50%以上も継続治療をしていました。
FF/UME/VIがsingle MITTが多剤併用
4) 配合剤(single)の方が、アドへランスが高いことを証明しました。
本論文では喘息に対する効果は調べていませんが、他の文献からアドへランスが
高ければ、喘息のコントロールも良好とのデータが出ています。
私見)
喘息の治療の基本は頂上作戦です。
まずしっかりした治療から始め、ステップダウンする方法です。(血圧などは裾野作戦で、
少しづつステップアップする方法です。)
以前のブログでも急性期にはサルタノール+フルタイド、サルタノール+シンビコート、
コンプレッサーによるベネトリン+パルミコートの治療戦略を記載しましたが、3剤配合薬の
頂上作戦も選択肢です。
尚、最近この3剤配合薬が喘息に適応になりました。
1日1回の吸入もアドへランスから有効で、頂上作戦及びステップアップ両方とも有効かも
しれません。
本論文.pdf
3剤配合剤吸入薬(ステロイド+LABA+LAMA).pdf
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