2019年03月08日

喘息の急性増悪で入院した場合に抗生剤は必要か?

喘息の急性増悪で入院した場合に抗生剤は必要か?
 
Association of Antibiotic Treatment With Outcomes in
Patients Hospitalized for an Asthma Exacerbation Treated
With Systemic Corticosteroids



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 多くのガイドラインは喘息の急性増悪の場合に抗生剤の投与も推奨していますが、その場合の転帰に
ついて調査した論文がJAMAに掲載されています。


纏めてみますと

1) 2015年1月~2016年12月の期間
   ステロイド治療(吸入以外の経口や経静脈投与)をしたにも関わらず、急性増悪を呈して入院した
   19,811名が対象

2) 抗生剤群は入院の最初の2日間に抗生剤を開始し、最低でも2日間は処方しています。
   コントロール群は、その期間に抗生剤を投与しない群です。

3) 両群を比較しますと
   ・抗生剤群は8,788名  (44.3%)
   ・年齢は抗生剤群の方が高齢  (48歳対45歳)
   ・心不全などの合併症は抗生剤群の方が多い。  (6.2%対5.8%)

4) 主要転帰としては
   ・入院期間 ・治療の不成功(人工呼吸器の使用、集中治療室への転送)
   ・退院30日以内の再入院 ・費用 ・下痢

5) 結論として
   入院期間は抗生剤群の方が長い。(4日対3日、29%長い)
   費用は抗生剤群の方が高い。
   下痢の副作用は抗生剤群の方が多い。
   治療不成功は同じ。
   入院の場合に、抗生剤の適切使用が今後の課題としています。





私見)
 論評にも記載されていますが、抗生剤を投与する群には高齢で基礎疾患があり、重症感も認められる
 と言うバイアスがあります。
 しかし、本院のような外来における急性増悪にも当てはめますと、入院同様抗生剤を投与する事に
 あまり利点は無いようです。
 勿論、いろいろなツールでの肺炎の合併を鑑別する必要はありそうです。





Association of Antibiotic Treatment With Outcomes in Patients Hospitalized f.pdf











posted by 斎賀一 at 21:04| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2019年02月25日

アナフィラキシーの2相性について

アナフィラキシーの2相性について

 
Low Incidence of Biphasic Allergic Reactions in Patient
Admitted to Intensive Care after Anaphylaxis



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 アレルギー反応で全身症状がある場合をアナフィラキシー反応と言い、必ずしもショック症状を伴わない事もあります。注意する点は稀に悪化の経過を辿る事と、2相性と言って数時間後に症状がぶり返す危険性もあります。以前から2相性に関しては、1〜23%の発生との報告です。

今回、この2相性に関しての論文が掲載されていましたので、ブログします。


1) 2011~2014年間の、83例のアナフィラキシー症例を検討しています。
   症状では、皮膚症状が83%、循環器症状が58%、呼吸器症状が54%です。
   原因(trigger)は70%が薬剤関係です。
   最初のアナフィラキシーの治療としては
   抗ヒスタミン薬が99%、ステロイド治療が96%、エピネフリン(エピペン)が80%で治療しています。

2) 2相性の反応が起きたのは4例/82例(4.8%)でした。
   その中、3例がpossible、1例がprobableでした。(用語については下記のPDF)
  全てが皮膚反応のみで、最初の症状から平均で14時間後の2相性の症状です。
   しかも症状的には軽度でした。

3) アナフィラキシーの場合は24時間の経過観察が一般的ですが、4時間で症状が無ければエピネ
   フリン(エピペン)を持たせての帰宅も可能としています。






私見)
 2相性は稀で症状も軽度の様です。鼻用のエピネフリン持参も可能でしょうか。







1 Low Incidence of Biphasic Allergic Reactions in Patients Admitted to Intensi.pdf

2 possibleとprobable.pdf

3 アナフィラキシーの2相性.pdf













posted by 斎賀一 at 20:02| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2019年02月04日

慢性閉塞性肺疾患(COPD)にβ-遮断薬は有効

慢性閉塞性肺疾患(COPD)にβ-遮断薬は有効
 
β-Blocker Therapy and Risk of Chronic Obstructive Pulmonary
Disease – A Danish Nationwide Study of 1・3 Million Individuals



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 呼吸器症状はβ-2刺激薬で軽快します。その作用機序は気管支の拡張を促すためです。
交感神経のβ受容体にはβ-1、β-2、β-3がありますが、β-2刺激薬が喘息やCOPDの治療薬となります。 一方でβ-1遮断薬は心臓の興奮を抑制したり、降圧作用から、心筋梗塞や高血圧の治療薬として処方
されます。
高齢化社会のために、COPDと冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)が合併している患者さんが多くなって
います。その場合にβ受容体に対して刺激するのか遮断するのかが問題ですし、一方を使用した時に
副作用が出ないか懸念されていました。
最近ではCOPDの患者さんにβ-1遮断薬を使用していても心筋梗塞の悪化はなく、むしろ予後が良いと
言う論文が散見されています。

 今回の論文も心血管疾患のために長期に渡り選択性β遮断薬(β-1ブロッカー)を服用する事により
COPDの急性増悪の減少を認めています。
混乱しますので、下記のグラフを先ずご参照ください。



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1) COPD入院歴のない30〜90歳の301,542人のβ遮断薬の新規使用者と、1,000,633人の他の
   降圧薬の新規使用者が本研究に含まれ、デンマーク国立患者登録簿で、COPDの入院かCOPD
   死亡の追跡調査を1995年から2015年に行いました。

2) 6ヵ月以上継続してβ遮断薬で治療された人は、他の降圧薬で治療された人と比較して、追跡調査中
   のCOPD入院のリスクが低かった。 (危険率 0・80)   
   β遮断薬投与群でCOPD入院のリスクが低下していたが、各疾患での内訳は虚血性心疾患
    (0・72)、心不整脈(0・76)、喘息(0・69)、高血圧(0・91)、および肺循環の疾患
   (肺塞栓症および肺性)(0・72)でした。
   つまり、追跡調査期間中の全死因死亡率およびCOPD死亡リスクは、他の降圧薬で治療したグルー
   プと比較して、β遮断薬で治療したグループの方が低かった。 (0・56)

3) 結論として、β遮断薬による治療は、他の降圧薬による治療と比較して、COPDによる入院および
   死亡のリスクを軽減するようです。
   入院率が19.7%減、COPD死亡が44%減、という結果です。

4) 考察として、β遮断薬がCOPDの急性増悪の頻度を軽減したと結論付けています。
   その機序は明白ではない様ですが、動物実験ではβ遮断薬を長期に与えるとβ受容体が増加する
   レギュレーションが起こるとしています。
   更にβ遮断薬の抗炎症作用、喘息モデルでの気管支分泌物の低下なども認められています。

5) この研究の問題点としては、健康な患者も含まれていると言う点です。
   しかし、一般的に喫煙者や軽度のCOPD患者に対して、β遮断薬を投与することを躊躇する医師が
   多いが、心血管疾患の患者に選択的β遮断薬を処方していても、COPDの悪化には繋がらないとして
   います。






私見)
 以前の他の論文も下記のPDFに掲載します。
 また、心配なのでuptodateからも引用してみました。

 本院での結論として
 ・COPD患者さんの心血管疾患にはβ遮断薬としては、選択的β-1遮断薬のメインテートかアーチストを
  用いる。
 ・心血管疾患を有する患者さんが喘息やCOPD増悪を呈した場合は、低用量のβ-2刺激薬の吸入剤を
  用いる。
  短期作用薬としてはメプチンキッドを選択、妊婦に対してはサルタノールを少量吸入
  薬剤の一覧表は下記のPDFをご参照ください。
  受容体の復習も下記のPDFで行ってください。






1 COPD本論文.pdf

2 α β 受容体.pdf

3 本論文 β-Blocker Therapy and Risk of Chronic Obstructive Pulmonary Disease.pdf

4 β遮断薬の使い方|看護roo![カンゴルー].pdf

心筋梗塞 吸入薬 Inhaled short acting b agonist use in COPD.pdf

その他文献 β-Blockers are associated with a reduction in COPD.pdf










posted by 斎賀一 at 21:11| Comment(0) | 喘息・呼吸器・アレルギー