2018年01月06日

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の初期治療の注意:LABAとLAMAに関して

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の初期治療の注意:LABAとLAMAに関して

Association of Cardiovascular Risk With
Inhaled Long-Acting Bronchodilators in Patients
With Chronic Obstructive Pulmonary Disease



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 COPDの治療に長期作用型の気管支拡張薬であるLABAとLAMAは、色々な研究よりその有効性が
証明されていますが、喘息の時にLABAに対する注意勧告が出たように、COPDに関しても大丈夫か
との心配がありましたが、やはりと言うか、台湾より警告する論文が出ており、多数のネットでも紹介
されています。
その有効性を鑑みて本院の方針を記載したいと思います。



論文の主旨は

1) 40歳以上で、1年間に2回以上の外来受診か1回の入院歴のあるCOPD患者に新たにLABAか
   LAMAを処方して、心血管疾患(冠動脈疾患、不整脈、心不全、脳梗塞)の発生を調べています。

2) 146,139名中37,719名が重症の心血管疾患を併発していました。

3) 処方後の30日以内での心血管疾患の危険率は
   LABAで1.5、LAMAで1.52、LABA+LAMAで2.03でした。
   しかし、30日を過ぎると危険率は下がり、70~240日で、処方していない患者との差は無くなって
   いました。

4) 尚、心血管疾患や、以前のCOPDの急性増悪の既往歴とは関連性がありませんでした。またLAMA
   の用量とも相関関係を認めていません。






私見)
 心血管疾患のある患者さんに処方する前に、心血管のチェックをする事は大事ですが、それだけで安心とは言えないようです。COPD患者さんが吸入を追加していく場合は急を要するので、著者は心血管の治療を並行して行う事を勧めています。
 ガイドラインに添って先ずLAMAより開始するようにしますが、少量なら安全、ともいかないようです。
対策として処方する場合は、効果と心疾患の発生のチェックのため、1週間隔の来院が大事なようです。
用量とは関係ないとの事ですが、LABAとLAMAの合剤は1吸入ずつを1日2回としてはどうかと思いますが?(本院では以前よりそうしていましたので...。これは自己満足?)





Cardiovascular Risk and Inhaled Long-Acting Bronchodilators _ A.pdf

気管支拡張薬外用剤型一覧(1).pdf

スピオルト レスピマット 60吸入.pdf















posted by 斎賀一 at 15:15| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2017年12月29日

喘息とCOPDの吸入治療薬に対するFDAの勧告

喘息とCOPDの吸入治療薬に対するFDAの勧告
 
FDA Drug Safety Communication:FDA review finds no significant
increase in risk of serious asthma outcomes with long-acting beta
agonists (LABAs) used in combination with inhaled corticosteroids
               (ICS)



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 以前より吸入薬のLABA(長期作用気管支拡張薬)とICS(吸入ステロイド薬)の合剤の安全性に関して、 アメリカのFDAから製薬会社に対して市販後調査をするようにとの勧告が出ていましたが、今回正式にその結果報告がありました。



1) 41,297人の喘息及びCOPD患者を対象に、6カ月間LABA+ICSを使用しています。
   12歳以上と4~11歳のスタディを含んでいます。

2) 疾患の増悪、入院率、死亡率等に関して調べていますが、吸入使用による利点の方が、リスクつまり
   副作用よりも明らかに上回っていました。

3) 但し、LABA単独での使用に関しては依然として警告(warning box)から解除されていません。

4) 効果に関してもICS単独よりもLABA+ICSの方が優れていました。







私見)
  以前よりLABA単独での喘息の増悪が問題視されていました。
 しかしこれに関しては賛否両論があり、スタディのデザインの問題だとか、対象にコントロールに熱心
 でない黒人が多かったためだとか言われていましたが、現在ではLABAは必ずICSと併用する事になって
 います。
  それでもFDAはLABA+ICSをwarning boxに入れていましたが、今回の報告で、それは解除され
 ました。 (個人的意見ではこのLABA単独でもかなり有効な患者さん層があり、十分なコンセンサスと
 説明を得られれば、単独使用も可能と思っているのですが?)




utm_campaign.pdf


配合剤.pdf










posted by 斎賀一 at 16:15| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー

2017年12月04日

季節性アレルギー性鼻炎

季節性アレルギー性鼻炎
 
Pharmacologic Treatment of Seasonal Allergic Rhinitis
 


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 以前の季節性アレルギー性鼻炎の治療ガイドラインでは、軽症から重症にかけて経口の抗アレルギー薬に対して、抗ロイコトリエン薬と鼻噴霧用ステロイド薬をアドン療法(追加療法)するのが主流でしたが、昨年より、最初から鼻噴霧用ステロイド薬を勧めています。
 今回もアメリカで同様のガイドラインが出ましたので紹介します。


1) 鼻噴霧用ステロイド薬を先ず処方する。
   経口の抗アレルギー薬単独では効果が劣る。

2) 軽快しなければ、噴霧用抗アレルギー薬を追加する。

3) 場合により経口薬も併用する。


 私の蔵書より抜粋しましたので、PDF化し掲載いたします。

    ○ 小児科Vo1. 58 NO.8 2017
    ○ Medical Prac/ice vol.32 1/0.4 2015
    ○ 小児科Yo1. 57 No.4 2016
    ○ NEJM





私見)
 本院でも今後は鼻噴霧用ステロイドの見直しと噴霧用抗アレルギー薬を検討いたします。
 シーズンに1回の筋肉注射で済むと言われているケナコルトに関しては、量的にステロイドのパルス療法(30mg以上の高用量)に匹敵するケースもあり警告する論文もあります。
 また、以前のブログ(2016-3-9)もご参照ください。





Pharmacologic Treatment of Seasonal Allergic Rhinitis.pdf

アレルギー性鼻炎抜粋.pdf

アレルギー性鼻炎で使う鼻スプレー、薬によって使い心地は違う? - MEDLEYニュース.pdf

アレルギー性鼻炎診療ガイドライン.pdf

脳内に移行する抗ヒスタミン薬の小児に与える影響.pdf

薬一覧.pdf

喘息患者の鼻炎有病率を全国調査7割が鼻炎合併、両疾患の類似性示唆.pdf







posted by 斎賀一 at 20:15| Comment(1) | 喘息・呼吸器・アレルギー