2020年08月24日

インフルエンザの迅速診断は家庭でも可能

インフルエンザの迅速診断は家庭でも可能
A Prospective, Multicenter Study to Evaluate the Performance
of a Novel Home Diagnostic Kit for Detection of Influenza A and B


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 新型コロナの時代に新たな挑戦が始まりそうです。
 インフルエンザの迅速診断キットを家庭で行っても、安全で、その精度は落ちないとの報告が
外国の学会で発表になりました。

纏めますと

1) 迅速診断はGSK社のキットを使用しています。
   2018年12月から2019年4月までのインフルエンザ様疾患患者1,012人を対象にしています。
   年齢は2歳以上です。
   家庭での鼻咽頭スワブ採取の迅速診断と、医療関係者による鼻咽頭スワブ採取によるPCR検査を
   含めた3方法
  (nucleic acid amplification testing, shell viral culture anda RT-PCR)を
   consensusとして比べています。

2) 家庭での迅速診断では、インフルエンザAの場合は陽性確率が87.7%で、陰性確立は
   98.0%でした。インフルエンザBは流行が少なかったため追加調査をしていますが、
   その結果は陽性確率が86.3%でした。

3) 安全性にも問題はなく、迅速診断を家庭で実施すれば、より治療も早期に開始できるとしています。


私見)
  本論文の迅速診断と日本にあるキットが同じかは分かりませんが、現在は精度が高い機種もあり、
  鼻汁でも診断が可能です。今後、検討して本院でも家庭での迅速診断採用は対象者を絞り勧める
  計画です。ネットでの意見も下記に紹介します。
  今シーズンは選択肢を多くして臨みたいと思います。






本論文.pdf

ネットより.pdf










posted by 斎賀一 at 13:52| Comment(0) | インフルエンザ

2020年08月19日

インフルエンザのシーズンを迎えるにあたり

インフルエンザのシーズンを迎えるにあたり

 〜患者さんへのお願い〜



 新型コロナ第2波のさ中ですが、今季のインフルエンザ対応は一段と厳しいものと考えています。
本院職員と知恵を絞って対策を練っています。
本院通院の患者さんにはご迷惑をお掛けしますが、今考えている点を列挙致しますので、事前にご理解の程お願い致します。



1) 予約システムを導入して、なるべく待ち時間の短縮に努める。
   既に斎賀医院ホームページより予約が可能になりましたので、ご利用ください。


2) 感染症対策の一環として、オンライン診療も併せて導入いたしました。
   (下記のPDFをご参照ください。)
   この場合は事前登録が必要になります。尚、予約システムとは連動していませんので、オンライン
   診療での予約は直接電話での対応となります。詳細は本院ホームページに掲示する予定です。


3) 新型コロナが収束していなくても、本院での診療の軸足はインフルエンザとなります。
   そのためインフルエンザの診断・治療に関しても新型コロナを想定しての診療となります。
   診断の際には、インフルエンザも新型コロナも同様の防護体制で行う予定です。
   本院職員のアイデアで、下記の如く検体採取のアイテムを作ってもらいました。
   もしも参考にしたい医療関係者の方がおりましたら、ご遠慮なく本院にご連絡ください。
                                              (看護師・宮原)






        20819.PNG




  機材
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私見)
 何はともあれ、インフルエンザの予防接種が肝心です。






オンライン診療の流れ.pdf














posted by 斎賀一 at 19:41| Comment(1) | インフルエンザ

2020年07月29日

インフルエンザ治療薬のゾフルーザの予防効果

インフルエンザ治療薬のゾフルーザの予防効果
Baloxavir Marboxil for Prophylaxis against
Influenza in Household Contacts



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 2年前に、華々しく本院でも登場した一日一回服用のインフルエンザ治療薬ゾフルーザは、その後
耐性ウイルスや症状の遅延の問題が発生し、逆風に晒されています。
 今回はメーカーの必死の努力により、家庭内感染の予防効果に活路を見いだした論文が雑誌NEJMに
掲載されていましたので、纏めてみました。


1) インフルエンザは3密である家庭内と学校で伝播しますが、特に家庭内に持ち込んで若い兄弟や
   家族に感染を起こしてしまいます。
   タミフルとリレンザの場合にも耐性ウイルスは発生しますが、この場合のウイルスには感染力はなく
   従ってタミフルとリレンザの予防投与は早くから承認されていました。最近ではイナビルも承認を
   受けています。
   しかしゾフルーザによる耐性ウイルスは、その後ゾフルーザに対しての効果(感受性)が10~420倍
   も低下しています。この耐性ウイルスは、ゾフルーザを服用していると2.2~9.8%出現します。
   小児の場合は19.3~23.4%と高率です。
   また厄介な事にこの耐性ウイルスは感染の遷延化を招き、結果的には感染の増加にも繋がります。
   このことを踏まえて、ゾフルーザの予防投与における効果を調べています。

2) 方法
   2018~2019年のインフルエンザシーズンに、主に日本の実地医家で調査が行われています。
   対象者は家庭内で患者(index patient)と接触した人で
   ・インフルエンザの症状がない
   ・体温が37℃以下
   ・index patientと、少なくとも48時間は同居している事が条件です。
   ゾフルーザ群は体重ベースで一日一回ゾフルーザを服用しています。
   主要転帰は観察期間10日間でのインフルエンザの発生です。

3) 結果
   Index patient 545 例の同居家族 752 例が、バロキサビル単回投与またはプラセボ投与に
   無作為に割り付けられました。
   Index patientは、95.6%が A 型インフルエンザで、73.6%が 12 歳未満、
   52.7%がゾフルーザで治療を受けました。
   解析対象者(ゾフルーザ群 374 例、プラセボ群 375 例)のうち確定した臨床的なインフルエンザ
   を発症した割合は、バロキサビル群のほうがプラセボ群よりも有意に低かった。(1.9% 対 13.6%)
   有害事象の発現率は 2 群で同程度であった。 (ゾフルーザ群 22.2%,プラセボ群 20.5%)
   ゾフルーザ群 374 例で、PA の I38T/M 変異ウイルスが 10 例 (2.7%)
   E23K変異ウイルスが 5 例 (1.3%)検出された。
   ゾフルーザの投与を受けたindex patientからの変異ウイルスの伝播は、プラセボ群では認められ
   なかったが、ゾフルーザ群の⼀部ではその伝播を否定できなかった。

4) 考察
   ゾフルーザの迅速な予防目的の単回投与は、インフルエンザの家庭内での感染において有意な
   曝露後の効果を⽰しました。
   特に12歳以下の高リスクやワクチンの接種を行っていないグループには、効果が期待されます。
   ゾフルーザの予防効果は86%と推定されます。
   以前の文献からタミフルの予防効果は68~89%で、リレンザは82~84%と報告されています。
   ゾフルーザの予防投与は家庭内ばかりでなく、他の環境でも効果が期待されます。
   ゾフルーザの予防投与の失敗例では、緊急避難的にタミフルの投与もあり得ると考えています。






私見)
 インフルエンザは小児と高齢者がハイリスクとなります。
 今後新型コロナとのかち合わせも心配されるシーズンでは、ゾフルーザの予防投与はかなりの期待を
 持たせます。










posted by 斎賀一 at 19:02| Comment(0) | インフルエンザ