非重症例のインフルエンザに対する抗ウイルス薬の評価
<短 報>
Antiviral Medications for Treatment of Nonsevere Influenza
インフルエンザの今シーズンはアッと言う間に収束し、B型が少し流行している感があります
が、その抗ウイルス薬の治療に関する評価が出ていますのでブログします。
1)CDCは重症例や合併症のある患者には、抗ウイルス薬を推奨しています。
ランダマイズされた73の研究で、34,332人を解析しています。
平均年齢は35歳の非重症例が対象です。
65のトライアルが、発症2日以内に抗ウイルス薬を処方しています。
2)結果
すべての抗ウイルス薬(ペラミビルとアマンタジンのデータなし)は、低リスク患者の
入院率に、ほとんど影響を及ぼさなかった。
高リスク患者の入院については、オセルタミビル(リスク差RD、−0.4%)はほとんど
効果が見られず、バロキサビルはリスクを低減させた可能性がありました。
(RD、−1. 6%; )
つまり合併症のリスクが高い人では入院率が、ゾフルーザは16/1000人で、タミフルが
4/1000人の低下率でした。
統計学的には著明ではありませんでした。
症状緩和までの時間については、ゾフルーザが症状期間を短縮した可能性が高く
(−1.02日)、タミフルは明らかな効果をもたらさなかった可能性がありました。
(MD、−0.75日)
つまり、治療の副作用はゾフルーザにはありませんでしたが、タミフルの方には認め
られています。(ゾフルーザ(RD、-3.2%)
耐性ウイルスはゾフルーザで10%認めらますが、タミフルでは結論が出ませんでした。
合併症のリスクが低い人では、ゾフルーザもタミフルも死亡率と入院率に差はありません
でした。
3)Jwatchの寸評では、
本統計の対象者は殆どが若い人で、入院のリスクがない人です。
本論文の結果は耐性ウイルスの頻度はゾフルーザの方が多く、副作用はタミフルの方が多い
結果でした。
両群共に症状の短縮は著明ではありませんでした。
インフルエンザが重症でなくても重症化のリスクがある人には、抗ウイルス薬の投与が
必要です。
私見)
診察時に重症感がなくても、例えは重症化リスクのある人にはゾフルーザで、耐性ウイルス
を考慮すればタミフルでしょうか。
AIによる見解では、「重症化リスクが高い患者(高齢者・基礎疾患あり)には、実績のある
タミフルが優先される。
ゾフルーザ投与後に症状が長引く場合→ 耐性ウイルスの可能性を考え、追加でタミフルを
投与することがあり得る。」
そそられる文言ではあります。
インフルエンザAntiviral.pdf