2018年07月19日

今季のインフルエンザワクチンについて・AAPより

今季のインフルエンザワクチンについて・AAPより
 
American Academy of Pediatrics Advises Parents
to Choose the Flu Shot For 2018-2019 Flu Season



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 早々と今季のインフルエンザワクチンに関しての勧奨がAAP(アメリカ小児科学会)よりアナウンスされ、mediscapeの記事に載っていました。
 鼻用スプレーのインフルエンザワクチンに関してACIP(米国予防接種諮問委員会)は推奨していましたが、この鼻用は2016年にH1N1には殆ど効果が無く、H3N2に関しても効果が低い事が判明したため、ACIPは新たに、鼻用は2歳から49歳に適用範囲を広げる改訂をしました。
更にメーカーより、新型の鼻用は効果があるとのデータを基に、今季も引き続き鼻用も勧奨していく方針を発表しています。
 それに対してAAPは鼻用に関しては、一般的なインフルエンザワクチンが適用出来ない場合のみに限定し、原則的には従来通り4価の注射を勧めていますし、鼻用に関しては、やらないよりは効果があるとしています。





私見)
 鼻用に関しては日本では上市されていません。
一般的な4価ワクチン注射が一番良いとの事で勧奨しています。インフルエンザの流行型は予測が出来ません。それでも予防に関しては、ワクチンが一番有効と期待されています。

 今季は本院でも引き続きインフルエンザワクチンをお勧めします。
尚、新しいインフルエンザ治療薬が登場しています。
選択肢が増えました。






American Academy of Pediatrics Advises Parents to Choose the Fl.pdf


ワクチンインフルエンザ .pdf











posted by 斎賀一 at 14:45| Comment(1) | インフルエンザ

2018年05月31日

タミフルの小児における効果と安全性

タミフルの小児における効果と安全性
 
Efficacy and Safety of Oseltamivir in Children:
Systematic Review and Individual Patient Data
Meta-analysis of Randomized Controlled Trials



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 インフルエンザ治療薬のタミフルに関しては、特に乳幼児から小児にかけて論争があります。
2009年のパンデミック以来、米国では生後2週間の乳児でのタミフルの適応が許可されています。
また成人では、タミフル服用により入院率の減少が証明されています。しかし乳幼児に関してはその
効果は顕著ではありません。タミフルに対して積極的な私にとって強い味方の論文が、今回オックス
フォードの Clinical Infectious Diseases から出ましたので掲載してみます。

 対象は18歳以下です。
97の研究論文を検索して、結局5件の論文研究を選び抜いて解析しています。
統計学的知識がないので十分に理解が出来ませんが、その点はご了承ください。
(取りあえず、ランダマイズ化するにあたって調査を追行出来たグループを解析したのが ITT で、その
 中でもインフルエンザの有無を確診出来たグループのみを解析したのが ITTI のようです。更に
 ハザード比ではなく、より正確な RMST をもって比較しています??) 


纏めますと

1) 一度でもタミフルの治療を開始し、最後まで経過観察ができた2,561名を ITT として解析し、その
   中でインフルエンザウイルスの有無が確診出来たのが1,598名で ITTI として解析しています。

2) ITTI の解析で病態期間の短縮が、タミフル群で17.6時間ありました。
   以前の成人での報告では25時間の短縮と報告されていますが、小児ではそれほどでないとされて
   いましたし本論文の ITT でもあまり効果が無い結果でしたが、ITTI 解析では明らかな短縮効果
   が認められました。  
   更に喘息の既往が無い研究ではその効果は顕著で、タミフル群で29.9 時間の短縮でした。
   この理由ははっきりはしませんが、喘息があるとその症状のために有病期間が長くカウントされる
   ため、としています。
   プラセボ群との比較で下気道感染症(肺炎合併なで)の差は顕著ではありませんでした。
   しかし喘息患児を有するスタディを見ますと、タミフル群に効果ありとの結果です。
   その推測と併せて下記のPDFのグラフを参照ください。

3) 急性中耳炎の合併のリスクは、タミフル群で34%減少でした。
   本論文ではこの意義は大きく、小児のその後の聴覚に対する影響を考えると、重要としています。

4) 副作用として、嘔吐はタミフル群で、コントロール群より多くありましたが、吐き気は同じでしたし重大な
   副作用はありませんでした。
   (薬剤を服用する事による嘔吐はあるかもしれませんが、服用により吐き気が続くことはないと理解
    しました。)

5) 以上より、多くのガイドラインに沿って小児はワクチンと相乗して、タミフルの服用を推奨するとして
   います。

6) リスク比に関しては下記のPDFを参照ください。





私見)
 一部の見解でタミフルの逆風を感じています。
 今シーズンのインフルエンザ流行期に東京の医療機関を受診し、その後発熱が続くとの事で、地元の
 本院を受診した方がいました。東京の医師には「タミフルは効果が曖昧だし副作用もあるので、本院では
 処方しない。しないからインフルエンザの検査もしない。そもそもインフルエンザは自然に治る病気だ。」
 と言われたとの事です。
 ・・・ さすが東京は最先端を行くと感心しました。

 私は思うんです。人生においてはぶれない主義や哲学が必要だと。
 しかし、医療においてはなるべく個人的感情の主義・主張は避けたいものだと思っています。
 アットホームな町医者を目指す私としましては、常に冷徹な判断をする事はなかなか難しい事です。





インフ文献.pdf














posted by 斎賀一 at 13:54| Comment(2) | インフルエンザ

2018年04月21日

インフルエンザ検査キット

インフルエンザ検査キット

インフルエンザウイルス抗原検出キットの実力
  日本医事新報 No.4830 2016.11.19



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 若干古い文献ですが、入手しましたので掲載します。
私としては認識を新たにした点もあり、今後の参考にしようと思っていますので職員の皆さんも共有して
ください。


1) 適切な鼻汁検体を使用すれば、A型ウイルスに対する感度は90~95%である。
   ところが如何なる方法を用いても、B型ウイルスに対する感度は90%未満である。

2) 一般的に低年齢かつ検査時までの体温が高く、症状発症後の経過時間が長いほど、感度は高いと
   報告されており、発熱直後では偽陰性になることをしばしば経験する。
   一方、成人では小児と比べてキットの感度は低いと言われている。

3) 迅速診断キットの一部では、鼻腔拭い液採取用に特殊な新タイプの細毛を配した綿棒flocked
   Swabを採用しているため、キットの感度に関してこの綿棒による鼻腔拭い液、が鼻咽腔吸引液に
   匹敵するかどうかを検討する価値はある。

4) インフルエンザであった場合、2〜3日間の投薬によりキットが陰性化することは、まずありません。
   強く疑った場合は投与を開始して、後日再検査してもかまいません。

5) インフルエンザB型の流行時には、どのような検査体制をとるべきかを考えると、B型ウイルスに対
   するイムノクロマト法キットの感度は十分ではないので、B型検出感度が高い銀増幅イムノクロマト
   法を導入し、イムノクロマト法キットと併用して検査することが1つの方法としてお勧めできます。



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私見)
 フジの高感度の機器を大いに活用しつつ、検査体制を再構築したいと思っています。








posted by 斎賀一 at 15:16| Comment(0) | インフルエンザ