2020年09月15日

小児におけるインフルエンザと新型コロナ

小児におけるインフルエンザと新型コロナ
 
COVID vs Flu in Kids: Can We Breathe a Little Easier?
 


20915-2.PNG



 新型コロナが流行り始めた頃はせいぜい季節性インフルエンザに毛が生えた程度だろうと思っていま
したが、新型コロナが世界爆発した現在、これはインフルエンザとは異なる次元と多くの人が認識して
います。
 雑誌JAMAに、小児において新型コロナはかなりの部分でインフルエンザに似ているとしています。
やっぱりと少しは安堵する反面、インフルエンザの流行期においての難しさも浮き彫りになってきました。



本図表はMedscapeより引用しています。
図を見ながら解説しますと



         20915-3.PNG

 

赤が新型コロナで青がインフルエンザです。
症状はほぼ同じですが、新型コロナでは下痢が多く、小児では味覚・嗅覚障害は認められないようです。
インフルエンザをはじめとしたウイルス性呼吸器疾患は、新型コロナの診断が確立しない限り脇に追い
やられそうです。
下記の図より、入院などの重症度はほぼ同程度です。



         20915-4.PNG




 
年齢別の発生は、下記の図より5歳以下ではインフルエンザ、15歳以上では新型コロナの比率が高い
ようです。 (本院では10歳以上が発熱外来で、10歳以下はそれに準じて対応の予定です。)




         20915-5.PNG




 
問題なのは、インフルエンザは完全に回復しますが新型コロナの場合は後遺症が長引くとのデータ
があります。
死亡率に関しては、下記の図が示しますように1歳以下では両疾患ともに高率です。
 (1歳以下では、当初よりインフルエンザと新型コロナの診断をつける必要がありそうです。
  15歳以上では、経過をみて新型コロナの検査の追加も考えています。)




         20915-6.PNG




 

私見)
 日本の学会の指針では新型コロナとインフルエンザを同時に検査するようにとのことですが、実地医家
 にとっては、やや現実的でありません。
 本論文を踏まえて、年齢的な要因も考慮していきたいと考えています。





2 インフルエンザコロナ.pdf











posted by 斎賀一 at 21:03| Comment(0) | インフルエンザ

2020年09月14日

今季のインフルエンザ・ガイドライン

今季のインフルエンザ・ガイドライン
  〜米国小児科学会より〜 
Recommendations for Prevention and Control
of Influenza In Children, 2020–2021



20914.PNG


 

 米国における今シーズンの小児のインフルエンザ・ガイドラインは、新型コロナの感染により若干変更があります。


1) ワクチンは前年と同じ4価で(A[H1N1],A[H3N2],B[Victoria]が新しくなり、B[Yamagata]は
   従来のものです。)

2) 5歳以下の小児は、入院率と重症率が高い点に注意

3) ワクチン接種にあたり、軽い感冒症状での接種は可能
   軽い発熱、咳、鼻水、くしゃみなどは接種しても支障はないが、中等症以上の場合は延期する。

4) インフルエンザ・ワクチンにはギランバレー症候群との因果関係は否定的であるが、ギランバレー
   症候群を罹患している場合は6週間以上の間隔をあける。

5) 米国では、インフルエンザは10月から翌年の5月まで流行するがその間ピークが2回ある。
   いつ流行が始まるかは、予測が不可能である。
   残念ながらワクチンの効果は時間とともに減弱する。
   特に新型コロナの流行している今シーズンでは、ワクチン効果の期間が重要問題となる。
   米国学会は、それでも10月末までのワクチン接種を勧めている。
   特に2回接種を必要とする乳幼児では、間隔を4週間あける必要があるため、ワクチンが入荷でき
   次第接種をすべきとしている。
   しかし最近のデータでは、早期の接種はインフルエンザ・シーズンの後半には効果が減弱している
   と報告されている。特に乳幼児や高齢者では減弱が強く、中でもA(H3N2)が顕著である。
   一般的には1か月に7〜10%の減弱率である。ただし流行のシーズンにより異なる。
   ワクチンの効果は、接種後5か月で全くなくなるわけではない。
   接種後6か月で50%の予防効果が減衰するとの報告の一方で、ヨーロッパからの報告では4か月で
   予防効果は消失する方向としている。 
   (ワクチン効果はそもそも期待値として60%ですから、最悪を想定しますと4〜5か月で効果なし
   でしょうか?データが錯綜しており、明快な見解がありません。)
   ガイドラインではそれでも新型コロナの流行が重なる今シーズンは、出来るだけ早期の接種を勧めて
   いる。

6) 以前のインフルエンザ・ワクチンで、アレルギー反応がある人は専門家に相談すべきである。
   卵アレルギーに関しては、特別の配慮は必要ない。
   妊婦の接種はいつでも可能である。胎盤を通して胎児に移行するが、却って胎児にも効果的である。
   授乳中も可能であり乳児にも害はない。

7) 治療
   タミフルとリレンザは有熱期間を36時間短縮する。
   タミフルは小児の中耳炎の発症を34%低下させる。
   喘息の小児には特に効果ははっきりしない。
   タミフルの嘔気、嘔吐の副作用は5%である。
   治療は出来るだけ早く開始することが大事で、診断を待つことによる遅延を避ける。
   家族にワクチン接種をしていない乳幼児や基礎疾患のある同胞がいる場合は、健康児でも積極的に
   インフルエンザ治療を施す。
   インフルエンザの重症例や入院例は、48時間以降でもタミフルなどの治療を行うことが推奨されて
   いる。

8) 予防投与
   原則、家庭内接触の場合に48時間以内なら効果的
   臨床家は予防投与のリスク及び服用を中止したら即感染の可能性が生ずることと、症状発現では
   フルドーズに切り替える必要性を説明する。






私見)
 厚労省の通達では10月1日より65歳以上の高齢者を優先としていますが、
 本院では理想的には10月下旬から11月上旬を目途に乳幼児および高齢者の積極的な接種をお願い
 する方針です。ご理解とご協力をお願いします。







ガイドラインインフルエンザ .pdf
















posted by 斎賀一 at 18:41| Comment(0) | インフルエンザ

2020年08月24日

インフルエンザの迅速診断は家庭でも可能

インフルエンザの迅速診断は家庭でも可能
A Prospective, Multicenter Study to Evaluate the Performance
of a Novel Home Diagnostic Kit for Detection of Influenza A and B


            20824.PNG


 新型コロナの時代に新たな挑戦が始まりそうです。
 インフルエンザの迅速診断キットを家庭で行っても、安全で、その精度は落ちないとの報告が
外国の学会で発表になりました。

纏めますと

1) 迅速診断はGSK社のキットを使用しています。
   2018年12月から2019年4月までのインフルエンザ様疾患患者1,012人を対象にしています。
   年齢は2歳以上です。
   家庭での鼻咽頭スワブ採取の迅速診断と、医療関係者による鼻咽頭スワブ採取によるPCR検査を
   含めた3方法
  (nucleic acid amplification testing, shell viral culture anda RT-PCR)を
   consensusとして比べています。

2) 家庭での迅速診断では、インフルエンザAの場合は陽性確率が87.7%で、陰性確立は
   98.0%でした。インフルエンザBは流行が少なかったため追加調査をしていますが、
   その結果は陽性確率が86.3%でした。

3) 安全性にも問題はなく、迅速診断を家庭で実施すれば、より治療も早期に開始できるとしています。


私見)
  本論文の迅速診断と日本にあるキットが同じかは分かりませんが、現在は精度が高い機種もあり、
  鼻汁でも診断が可能です。今後、検討して本院でも家庭での迅速診断採用は対象者を絞り勧める
  計画です。ネットでの意見も下記に紹介します。
  今シーズンは選択肢を多くして臨みたいと思います。






本論文.pdf

ネットより.pdf










posted by 斎賀一 at 13:52| Comment(0) | インフルエンザ