NHK番組「桐島聡 “仮面”の逃亡劇」
先日「桐島聡」の番組を見ました。連続企業爆破事件に関与後、半世紀にわたり逃亡し、
去年死亡した桐島聡には若干の関心がありました。
番組では、桐島を企業爆破事件に誘った共犯者や20年以上親交があった男性、桐島の最期を
知る人々らを取材しています。
「やみだ やみが人間を創造する」「暗闇の中で考えないと、仮面が消えてしまう」
といった意味深なメモ書きも紹介しています。
番組を観て、学生時代を思い出しました。
大学3年の時、私の学校も学生運動の熱気に包まれていました。そんな時、ノンポリの私が
学年委員の1人に選ばれてしまいました。集会ではいつも「ナンセンス」の怒号が吹き荒れて
いました。その頃、良寛に傾倒していた私は、委員会で学生の本分の自説を述べると
「ナンセンス、引っ込め、委員を止めろ」の集中砲火を浴びるのが常でした。
学校全体として、ストに突入するかの最終会合にうんざりしていた私は欠席を決めていました
が、責任感からちょっとだけ最後に出席しようと会場に入った瞬間に、会場から割れんばかり
の拍手を浴びました。
あと一人の出席で、採決の有効性が決まるギリギリの状態だったようです。
残念ながら私の一票は空しく、翌日からは6か月間の授業ボイコットとなりました。
戦犯は私となり、あるグループからは「ノンポリのくだらないやつ」とのレッテルを貼られ
ました。
その後、数年たってあっという間にあの熱気は大学から消えていました。
あの当時、私をナンセンスと言っていた同期は大学に残り、出世して立派になりました。
私はといえば、卒業後直ぐに母校を飛び出し、その後はバンカーの連続です。
私は同窓会には中学、高校はそれぞれ1回だけ、大学は1回も出席していません。
桐島を本当に理解したのは、20年来の友人で盲目のマッサージ師と、湘南鎌倉総合病院で
最期を看取った看護師だと思いました。
医療従事者として、あの看護師のようにしなやかに仕事をしたいものです。
そして、喧騒の中で暮らしている私には見えない大事な何かを、あの盲目のマッサージ師は
見つめているのかもしれません。私もそのような静かな心で日々を送りたいものです。
ちなみに、元日本赤軍の足立正生氏と高橋伴明氏の桐島映画も控えているとの事ですが、
多分私は観ないでしょう。