出血性結腸憩室炎の長期予後
<短 報>Long-Term Natural History of Presumptive Diverticular Hemorrhage
直近で出血性結腸憩室炎の患者さんが来院しましたのでブログします。
急性出血性結腸憩室炎の再発のリスクが懸念されていますが、その実態は明白でありません
でした。その頻度は報告により差があります。
原因の多くは、診断が疑い(presumptive)のためです。
つまり、下部消化器からの出血原因が他にない場合の除外診断(default diagnosis)だからです。
1)アメリカからの報告です。
1994〜2024年間の重篤な下血にて、急性出血性結腸憩室炎の疑いと診断された139人の
前向きデータを用いた、後ろ向きコホート研究です。
(データ自体は「前向きに収集」されたが、それを用いた解析は「後ろ向き」という形
になります。)
肛門鏡検査、小腸内視鏡、カプセル内視鏡、CT血管造影、標識赤血球スキャンなどで
他の出血原因が除外されています。
男性104人で女性35人、年齢は76歳です。
2)長期追跡 (中央値73ヶ月) の間に、24.5% (34/139) の患者が再出血をしています。
再出血した患者の56% (19/34) は、確定の急性出血性結腸憩室炎と診断されました。
追跡期間中に再出血患者では、新たな高血圧または動脈硬化性心血管疾患の発症率が
有意に高かった。
全死亡率は42.8%でしたが、急性出血性結腸憩室炎による死亡かは確認されていません。
3)考察
・疑診TICH患者の75.5%は再出血せず、24.5%は再出血した。
・再出血患者の56%は、確定診断に移行した。
・新規発症の高血圧および動脈硬化性心血管疾患は、再出血のリスク因子であった。
私見)
J・Wのコメントでは、症例数が少ないが傾向を把握するには十分な内容としています。
心血管系のリスク軽減が重要となります。
Long-Term Natural History of Presumptive Diverticular Hemorrhage.pdf