電子タバコによる急性好酸球性肺炎の症例報告
Severe Presentation of Acute Eosinophilic Pneumonia Possibly
Secondary to Recent E-Cigarette Use
Secondary to Recent E-Cigarette Use
ACPからの症例報告です。
52歳の男性です。2型糖尿病を罹患していますが、呼吸器疾患の既往はありません。
呼吸困難と発熱で、救急外来を受診しています。従来のタバコをやめてから10年が過ぎ、
ニコチン含有の電子タバコを始めて数日から症状が出現しています。3週間で徐々に呼吸苦は
悪化しています。
糖尿病薬はメトグルコです。
救急外来時には体温は38.3℃で、サチュレーションは89%でした。両下肢に浮腫を認めて
います。
最初の胸部レントゲンは両側性に浸潤性病変を認め、心不全による肺浮腫を疑う所見です。
しかし、心不全の時に上昇する血液検査のBNPは正常値で、心エコー検査でも正常範囲の駆出率
でした。発熱と白血球20,000と好中球優位の所見は、細菌性肺炎も疑われました。
しかし、末梢血液で好酸球が11%、絶対数は1,300と特徴的なデータでした。
先ずは細菌性疾患を想定して、経験的治療でセファロスポリン系とジスロマックを処方して
います。しかし、感染症の原因ウイルス、細菌の何れも同定されていません。
胸部CTでは、特徴的なすりガラス状の所見です。人工呼吸器の装着が開始されています。
気管支洗浄液からは、好酸球が多数認められています。
電子タバコによる急性好酸球性肺炎の診断のもとに、ステロイド治療を行っています。
人工呼吸器の治療と相まって、ステロイド治療後3日目で胸部レントゲンは改善しています。
考察)
1989年にJames Allenが急性の発熱疾患で、気管支洗浄液に25%以上の好酸球を認めた
疾患を報告したのが急性好酸球性肺炎の始まりです。
免疫系のカスケード反応が病態生理の本質の様です。
感染症との鑑別には困難を要しますが、気管支鏡による洗浄液での好酸球の同定と、ステ
ロイド治療の早期開始が決め手となります。
私見)
私も数例の急性好酸球性肺炎を経験していますが、一例は若い看護師でした。
職場での喫煙から1か月後の肺炎でした。5月は新社会人の時期です。
本疾患も十分に注意が必要です。また電子タバコは必ずしも安全ではありません。
電子タバコ.pdf
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