2023年04月17日

U型糖尿病患者にスルホニル尿素薬の有効性について

U型糖尿病患者にスルホニル尿素薬の有効性について

Cardiovascular Safety in Type 2 Diabetes With Sulfonylureas
As Second-Line Drugs



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 U型糖尿病患者の治療は日進月歩です。
SGLT2iとGLP-1RAの登場により、心血管疾患のリスクのある患者さんにもその福音が及んで
います。スルホニル尿素薬は低血糖、体重増加、二次無効の逆風のため、その使用が減少して
います。しかしスルホニル尿素薬は費用が安く効果もあります。
 今回雑誌Diabetes Careより、スルホニル尿素薬の有効性を示した論文が載っています。
心強い感じです。


1) スルホニル尿素薬は費用対効果において有効で、発展途上国においては主要な薬剤です。
   アメリカですら、そのシェアは44%です。
   第二世代以降のスルホニル尿素薬であるグリミクロンとアマリールを用いて、DPP阻害薬
   とTZD(アクトス)とのガチンコ勝負です。
   U型糖尿病患者の第一選択薬はメトグルコです。
   第二選択をスルホニル尿素薬群、DPP-i群、アクトス群と比較検討しています。
   主要転帰はMACE(心筋梗塞の入院、脳卒中、心不全、心血管疾患の死亡)です。
   二次転帰は全ての死亡としています。

2) スルホニル尿素薬群は非スルホニル尿素薬群と比較して、主要転帰のMACEの危険率は
   1.0で、二次転帰の全死亡は1.03でした。
   スルホニル尿素薬群の患者層は非スルホニル尿素薬群よりも、やや高齢者、喫煙者、
   コントロール不良、合併症が多い傾向でした。

3) 考察
   スルホニル尿素薬は心筋のミトコンドリアに親和性があり、心筋に結合しやすいと
   言われています。そのために心血管疾患を起こしやすいようです。
   一方で、親和性の低いスルホニル尿素薬としてアマリールとグリミクロンがあり、
   心血管疾患の悪化も少ないと推測されています。
   親和性の高いスルホニル尿素薬としては、オイグルコンとダオニールがあります。
   (現在ではアマリールとグリミクロンのみが使用されています。)
   本研究では、薬剤変更の症例は除外して、メトグルコに追加した症例のみを対象に
   しています。
   本研究では服用期間、低血糖の発生に関して調べていません。
   しかし、結果的にはDPP-iとアクトスとの結果において差を認めていない事から、
   アマリールとグリミクロンにおいては、副作用が転帰には影響ないものと推測できます。
   SGLT-2iが今後はますます使用頻度が増すと見込まれていますが、その適応がない場合や
   コストを勘案すると、スルホニル尿素薬は有力な選択肢です。





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私見)
 時代の流れに逆行するのもまた、真かもしれません。
 時代はやがてチャット-GTPとなるかもしれません。
 スルホニル尿素薬について調べますと多少の誤謬はありますが、短いフレーズで的確に
 纏めています。論文も下記に掲載します。
AIを使いこなすというよりは、検証する術を持つことが大事な様です。





本論文 sulfonylureas_.pdf

心筋 スルフォニール系.pdf

AIの回答.pdf














posted by 斎賀一 at 18:16| 糖尿病