2023年04月15日

慢性閉塞性肺疾患の吸入ステロイドの有効性

慢性閉塞性肺疾患の吸入ステロイドの有効性

Association of Inhaled Corticosteroids With All-Cause Mortality Risk
in Patients With COPD
 

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 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の維持療法に吸入ステロイドは欠かせませんが、その有効性をメタ解析した論文が雑誌CHESTに載っていました。


 1) 60の論文からのメタ解析です。
  
    COPD患者の103,034人が登録されています。吸入ステロイドを使用した60,552人と、
    吸入ステロイドを使用しないコントロール群の42,482人です。
    死亡率を見ますと、コントロール群と比較して、吸入ステロイドのみ群の危険率は0.9、
    吸入ステロイド+LABAの危険率は0.89、吸入ステロイド+LABA+LAMA(トリプル
    テラピー)は0.73でした。
    治療期間の危険率でも、6か月以上では危険率が0.9、6か月以内では0.91となります。
    吸入ステロイドの用量に関しては、中等量の危険率は0.71、低用量は0.88、高用量は
    0.95でした。中等量が勝るようです。

 2) 吸入ステロイド治療が奏功する予測因子として、
  
    ・ 好酸球が200/μL以上
    ・ 好酸球が2%以上
    ・ 前年に中等度以上の増悪が2回以上あった場合
    ・ 呼吸機能低下
    ・ 65歳よりも若い
    ・ BMIが25以上

 3) 本論文ではメタ解析のため、対象のばらつきがあります。
    吸入薬剤の差、使用方法、ポピュレーションの差異などの限界(limitation)が
    本論文にはあります。



私見)
 以前の私のブログも参照してください。
 やはり、三者併用療法(トリプルテラピー)が有効であることには間違いがないようですが。





吸入ステロイド 原文.pdf










posted by 斎賀一 at 17:39| 喘息・呼吸器・アレルギー