新しい脂質異常症治療薬・ベンペド酸
Bempedoic Acid and Cardiovascular Outcomes
in Statin-Intolerant Patients
[This article was published on March 4,2023, at NEJM.org]
in Statin-Intolerant Patients
[This article was published on March 4,2023, at NEJM.org]
脂質LDLコレステロール降下薬の新しい薬剤、ベンペド酸の臨床試験結果が雑誌NEJMに
掲載されています。海外では既に承認されていますが、日本では臨床試験の段階です。
1) 対象者は18〜85歳で心血管疾患のリスクがあり、スタチン薬の副作用のため服用を
望まない人です。但しスタディ開始時にはスタチンの利点を説明し、納得するか
スタチンの種類を変えたり、量の変更を承認した人も含まれます。
従って開始時には、スタチンやゼチーアなどの他の脂質異常症治療薬も併用している
場合もあります。
2) ベンペド酸180mg服用群と、服用しないコントロール群に分けています。
登録者は13,970人でベンペド群は6,992人、コントロール群は6,978人です。
主要転帰は4つのMACE(心血管疾患による死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、
冠動脈再建術)です。
経過観察期間は平均で40.6か月、ベースラインでのLDLコレステロールの平均は、両群
とも139.0でした。
3) 結果はベンペド群がLDLを29.2mg/dl低下させ、21.1%の低下率でした。
主要心血管イベント(4-MACE:心血管死、非致死性心筋梗塞/脳卒中、冠血行再建術の
複合)のリスクを13%有意に低下しています。
致死性/非致死性心筋梗塞は23%(危険率0.77)、冠動脈再建術は19%(危険率0.81)
の有意なリスク低下でした。
一方、致死性/非致死性脳卒中は、ベンペド酸群で15%の低下傾向を示したものの
有意差は認められません。
4) 副作用としての筋肉痛は差がありません。
新規糖尿病の発生もコントロール群と同等でした。
尿酸値の上昇、肝機能障害、尿管結石、クレアチニン増を認めています。
私見)
学会発表時に、本薬剤はスタチンに代わるものでなく、スタチンの忍容性がない場合の
代替薬の位置付けとしています。
スタチンの服用で、筋肉痛を心配される患者さんが意外に多い感じです。
本薬剤はゼチーアとの併用効果もあるとの事です。大いに期待できそうです。