新型コロナ後遺症(long COVID)と抗核抗体
Circulating anti-nuclear autoantibodies in COVID-19
survivors predict long COVID symptoms
survivors predict long COVID symptoms
新型コロナ感染の治癒過程で、10〜20%の人が後遺症を呈すると問題視されています。
急性期には自己抗体が進展し、それが病態の原因の一つとされています。
Long Covidの場合に自己抗体の消退がないか、または新たに自己抗体が生じた場合(de novo)
との関連性が指摘されています。
long Covidと自己抗体の抗核抗体(ANA)と血管系の因子(TNF-α,D-dimer)について調べた
論文が掲載されています。
1) 新型コロナ感染後の、回復期の患者106名を対象にしています。
回復後、3,6,12か月に検査をしています。
それぞれの時点で症状を記載しています。 (倦怠感、咳嗽、労作時呼吸困難)
比較対象として、正常の人(22人)、他の感染性呼吸器疾患(34人)を調べています。
2) 結果
ANAは回復期の3か月が一番高値で、3〜12か月にかけて平均3.99から1.55に減少して
いました。しかし30%が12か月後まで陽性でした。
興味があるのはlong Covidの12%が3、6か月時点では陰性でしたが、12か月の時点で
ANAが陽性になっており、de novo型を示唆します。
継続してANAの陽性者は、倦怠感、咳嗽、労作時呼吸困難が強い傾向でした。
TNF-αとCRPは、12か月後にANA高値の予測因子でした。
またTNF-αとD-dimerは、12か月後の症状と関連性がありました。
3) 結論
一般的な感染症でも初期にはANAが陽性ですが、暫くすると消退します。
新型コロナの場合にANAが持続する事とlong Covid との関連性が示唆され、12か月後も
持続するANA陽性は、long Covidの一部を示している可能性があります。
私見)
本院でもコロナの後遺症を訴えて来院される患者さんがいます。
私の印象にすぎませんが、20%もいない感じです。
Long Covidの病態と診断方法に関して研究がなされていますが、かなり専門的です。
本論文のANA,CRP,D-dimerを適時測定する事なら本院も可能のようです。
しかし、あくまでも十分に注意した問診が基本かもしれません。
long covid Circulating anti-nuclear autoantibodies in COVID-19 survivors predict long COVID symptoms.pdf