PPIが糖尿病患者の心血管疾患を誘発する?
<短 報>
Proton Pump Inhibitor Use and Risksof Cardiovascular Disease
and Mortality in Patients With Type 2Diabetes
and Mortality in Patients With Type 2Diabetes
胃酸分泌抑制剤のPPIは腸管の細菌叢を変化させます。
U型糖尿病患者において、PPIの使用が心血管疾患に影響しないか調べた論文があるので
ブログしてみます。
1) 2006年3月から2010年10月までに、U型糖尿病患者の内19,229人が登録しています。
平均年齢は59.5歳です。
本研究の適応対象者は、PPI服用群3,275人で非服用群15,954名です。
経過観察は、平均10.9年から11.2年です。
2) 服用群の方が明らかに危険率が高い結果です。
冠動脈疾患の危険率は1.27、心筋梗塞が1.34、心不全が1.35、脳卒中が1.11、
全死亡が1.3でした。
脳卒中と心血管疾患の死亡に関しては、両群とも明らかな相違はありませんでした。
サブグループを解析しても同様の結果です。
本試験では、PPIの使用期間に関しては調査を行っておりません。
3) U型糖尿病患者にPPIを処方する場合には、充分にそのメリットを勘案しなくては
なりません。
私見)
心血管疾患の二次予防で抗血小板薬、抗凝固薬を使用する際に、出血性胃病変の予防の
ためにPPIを使用します。
最近PPIに対する風当たりが強いようです。
糖尿病のある患者さんには然るべき時期に、H2ブロッカーに切り替えるべきかもしれません。
PPI Proton Pump Inhibitor Use and Risks of Cardiovascular Disease and Mortality in Patients With Type 2 Diabetes _ The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism _ Oxford Academic.pdf