今はライノウイルスの流行か?
Circulation of Rhinoviruses and/or Enteroviruses in
Pediatric Patients With Acute Respiratory Illness
Before and During the COVID-19 Pandemic in the US
Pediatric Patients With Acute Respiratory Illness
Before and During the COVID-19 Pandemic in the US
新型コロナも収束傾向で、インフルエンザも懸念した程ではないようです。
しかし、本院においては感冒症状を呈する患者さんが減少していない印象です。
迅速検査を行っても陽性率は10%以下です。
今回雑誌JAMAより、ライノウイルスの感染がアメリカではコロナ流行前後で同じように発生
しているとの報告がありました。
1) 2016年12月より2021年2月に救急外来を受診した、18歳以下の発熱もしくは呼吸器
感染症を呈する患者さんを対象にしています。
2) 38,198人を登録しています。
その中で11,303(29.6%)人はライノウイルス感染症でした。
全体の平均年齢が2.8歳です。
ライノウイルスとエンテロウイルスは抗原が交差反応するため、検査上は区別がつきま
せん。(取りあえず本ブログではライノウイルスとします。)
コロナ前ではライノウイルスの陽性率は29.4%(9,795/33,317)で
コロナ禍では30.9%(1,508/4,881)でした。
他のウイルスが同定されたのはコロナ前では42.2%で、コロナ禍では73.0%でした。
3) コロナ前およびコロナ禍で、ライノウイルスが1番多く同定されていました。
コロナ禍ではライノウイルスの感染者はやや年長児が多い傾向ですが、それでも5歳以下
では74.5%です。
4) コロナ禍でもその後においても、ライノウイルス感染は臨床的に重要な疾患となります。
5) 考察
コロナ禍ではマスク、ディスタンス、手洗いの励行による予防が推奨されてきましたが、
ライノウイルスとエンテロウイルスはエンベロープ(外殻)がないので、空気感染、
飛沫感染、接触感染とあらゆる伝播形式をとり、コロナウイルスやインフルエンザ、
アデノウイルスと異なり、ウイルスの安定性が高く、厄介なことにマスクやディス
タンス、手洗いがあまり有効でありません。
ライノウイルス感染は、基礎疾患のある特に2歳以下の乳幼児には喘息の増悪が懸念され
ます。
私見)
コロナ禍での発熱後1日たたなければ診断が出来ないなどと、訳の分からない選別は敵前逃亡
かもしれません。
ライノウイルス.pdf