人工関節周囲感染症
Periprosthetic Joint Infection
[N Engl J Med 2023;388:251-62]
[N Engl J Med 2023;388:251-62]
人工関節周囲感染症の総論が雑誌NEJMに掲載されていますのでブログして見ます。
1) 人工関節周囲感染症は稀な疾患です。
臨床的には本来の骨や関節の感染症とは異なります。
感染は細菌を始めとした微生物ばかりでなく、関節インプラントと患者の免疫機能とも
関係してきます。
微量の細菌(場合により真菌も)が人工関節周囲感染症を引き起こしますが、原因菌は
皮膚の細菌叢が、関節インプラントの表面に付着して手術の後に細菌が周囲に広がった
り、血行性や局所組織の感染巣から波及します。
細菌はbiofilmという膜を形成し、白血球や抗生剤の攻撃を避けます。
2) 臨床症状
主な症状は関節痛です。
時には炎症の局所症状である発赤、腫脹、局所の熱感がありますが、全身の発熱はない
事が多いです。
排出膿漏が原因の事もありますが、多くの症例では関係はありません。
非感染性の人工関節の不全との鑑別が困難な症例もあります。
3) 細菌
細菌が病原の主体ですが、極めて稀に真菌のこともあります。
70%が単独細菌ですが、25%は多菌種です。
細菌培養で原因菌が同定されるのは45%です。
肩関節の人工関節周囲感染症の場合は、44%がアクネ菌です。
下記の表を参照
4) 危険因子
下記の表を参照
肺炎などの他の臓器の感染症を併発している場合は、人工関節の手術は遅らせた方が
賢明です。関節リウマチを罹患している場合も危険因子となります。
人工関節の手術そのものが90分以上かかる場合も、危険率は1.6倍に上がります。
5) セファゾリンが予防投与に推奨されていますが、切開部が縫合されたら中断しても
よいです。
6) 診断
レントゲンや血液検査は診断に特異的でありません。
血液培養は2回実施する必要があります。
プロカルシトニンも時に有効です。残念ながら決め手になる診断ツールはありません。
私見)
稀な疾患ですが、人工関節周囲感染症は何年たっても発症の可能性があります。
単なる不具合と思わずに、本疾患を念頭に置く必要がありそうです。
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