至適血圧の変遷
Should We Change Target Blood Pressure?
高血圧の治療目標の変遷を記した記事が、MedPage Todayに載っていました。
1) 私たちが医学生の時は、年齢+100が治療目標でした。
高齢者は高血圧に耐えられるとする考えは、SHEP研究が出され一蹴されました。
その後は140/90が全ての年齢に適応される時代が続きます。
2) SPRINT研究が発表され、血圧の積極的治療の優位性が証明されました。
140でなく120に下げた方が、心血管疾患の発生が抑制されたためです。
しかし多くの患者が140から130に目標を定めた程度で、120は全ての患者には適応
されていません。
ガイドラインの勧奨を無視する形で、多くの患者さんが未だに140/80を目標に治療
されています。
3) 中国からの報告では、高齢者も血圧が低ければ低い方が良しとする結果を報告して
います。
4) 最近のJAMAの報告では、SPRINT研究の様に120に血圧を下げた方がベネフィットが
高いが、その効果はそれ程長続きせず、血圧が元に戻て高くなって10年経過すると、
利点は消失してしまいます。
5) 薬の副作用に関して十分な管理をし、患者さんとの同意を得る努力を臨床家は続け、
120を目標に掲げなくてはなりません。
私見)
血圧は従来通り“the lower is the better”との事です。
「まあいいか」ではなく、一歩も二歩も踏み込んで、患者さんの全身の動脈硬化、眼底検査
等を総合的に判断し、積極的治療に進むべきかもしれません。
Should We Change Target Blood Pressure_ _ MedPage Today.pdf