2022年12月26日

至適血圧の変遷

至適血圧の変遷

Should We Change Target Blood Pressure?



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 高血圧の治療目標の変遷を記した記事が、MedPage Todayに載っていました。


1) 私たちが医学生の時は、年齢+100が治療目標でした。
   高齢者は高血圧に耐えられるとする考えは、SHEP研究が出され一蹴されました。
   その後は140/90が全ての年齢に適応される時代が続きます。

2) SPRINT研究が発表され、血圧の積極的治療の優位性が証明されました。
   140でなく120に下げた方が、心血管疾患の発生が抑制されたためです。
   しかし多くの患者が140から130に目標を定めた程度で、120は全ての患者には適応
   されていません。
   ガイドラインの勧奨を無視する形で、多くの患者さんが未だに140/80を目標に治療
   されています。

3) 中国からの報告では、高齢者も血圧が低ければ低い方が良しとする結果を報告して
   います。

4) 最近のJAMAの報告では、SPRINT研究の様に120に血圧を下げた方がベネフィットが
   高いが、その効果はそれ程長続きせず、血圧が元に戻て高くなって10年経過すると、
   利点は消失してしまいます。

5) 薬の副作用に関して十分な管理をし、患者さんとの同意を得る努力を臨床家は続け、
   120を目標に掲げなくてはなりません。






私見)
 血圧は従来通り“the lower is the better”との事です。
 「まあいいか」ではなく、一歩も二歩も踏み込んで、患者さんの全身の動脈硬化、眼底検査
 等を総合的に判断し、積極的治療に進むべきかもしれません。









Should We Change Target Blood Pressure_ _ MedPage Today.pdf









posted by 斎賀一 at 18:06| 循環器