糖尿病治療薬・フォシーガの心不全に対する効果
Effect of Dapagliflozin on Cause-Specific Mortality in Patients
With Heart Failure Across the Spectrum of Ejection Fraction
With Heart Failure Across the Spectrum of Ejection Fraction
糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬のフォシーガが心不全に対して効果があり、最近では収縮率の
保たれている心不全(HFpEF)にもそれなりの結果が出ていることは、私の以前のブログでも
紹介しました。しかし、心不全の層別化と効用に関して、具体的には不明確でした。
今回雑誌JAMAに、心不全を横断的に調査したメタ解析が載っていましたのでブログします。
DAPA-HF研究(駆出率40%以下)とDELIVER研究(駆出率40%以上)の二つの研究からの
論文です。
1) 対象者はNYHA分類のU〜Wもしくは、血液検査のBNPの上昇です。
主要転帰は
・心不全の増悪(入院もしくは救急外来受診) ・心疾患による死亡です。
フォシーガ10mg/日群とプラセボ群に振り分けています。
2) 結果は
11,007人が登録し、死亡した人は1,628人でした。(平均年齢は71.1歳、70%が男性)
死亡例の中で心疾患が872人(53.5%)、非心疾患が487人(29.9%)です。
心疾患の内289人(33.1%)が心不全、441人(50.6%)が突然死、
69人(7.9%)が脳卒中、心筋梗塞が47人(2.9%)でした。
フォシーガ群とプラセボ群の比較は、下記のグラフをご参照ください。
3 )結論
フォシーガ群は心不全の全ての層に効果がありましたが、特に心不全の増悪と突然死に
関して、リスクを軽減していました。
4) 討論
突然死の原因としては不整脈が想定されますが、現実に心不全から不整脈を誘発し突然死
が発生する可能性は少なく、腎機能の低下、肺高血圧、左室機能低下が関与している
ため、それに対してフォシーガが優位に働いたと想像できます。
非心疾患の死亡にはフォシーガの効果はありませんでしたが、様々な要素が加わるためと
しています。
(上の図から、非心疾患の死亡は駆出率とはあまり関係ないようです。
しかし、心不全患者さんの死亡原因は、多くが突然死と心不全の増悪です。
いかに心不全の管理が重要かを示しています。)
上の図で左に変位していれば、フォシーガが優位です。
私見)
高齢者の患者さんからSGLT-2阻害薬は栄養分が出て行ってしまい、シワシワになって
しまったと訴えられました。
心不全も合併しているので服用を続けてと説明しましたが、フォシーガの5mgは心不全の
適応でないのが欠点でしょうか。
フォシーガ.pdf