パーキンソン病の早期の症状
Widening the Spectrum of Risk Factors, Comorbidities,
and Prodromal Features of Parkinson Disease
and Prodromal Features of Parkinson Disease
パーキンソン病の典型的な症状からは診断は容易ですが、進行が緩徐のため初期の微細な
所見からは、時に診断が遅れてしまうことがあります。
早期診断を旨としていますが、何をもって診断をするのか振り返ると迷うことがあります。
今回、パーキンソン病の早期所見を調べた論文が掲載されています。
それは確定診断の6年前から出現しているとしています。
1) 2011〜2020年にかけて、138,345人のパーキンソン病患者と276,690人のマッチング
したコントロール群とを比較しています。
経過観察は6年間、53%が男性、標準年齢は75歳
2) それぞれの前駆症状にスポットをあててブログしてみます。
・手振戦
比較的高率で前駆症状として認められますが、コントロール群でも1%認められます。
危険率は4.49
・歩行障害
肩関節痛と頚部痛の合併が前駆症状として認められますが、関節のこわばり
(stiffness)はなく一般的な関節症との鑑別点となります。
・無嗅覚
嗅覚障害は一般にも認められますが、無嗅覚となるとパーキンソン病の前駆症状と
なり得ます。
・皮膚感覚障害
皮膚疾患として、脂漏性皮膚と乾癬との関係も明らかになっています。
皮膚の感覚障害は今後の研究が待たれます。
・便秘
・めまい
疲労感、めまいは比較的多く、10%です。
・下肢むずむず脚症候群
色々な原因で起きるため、一般的にも認められます。
従って前駆症状として捉えるかは議論が多いようです。 危険率は3.37です。
・睡眠時無呼吸症候群
・睡眠時随伴症
不眠は一般的傾向です。RBD(レム睡眠行動障害)は一般的に認知度が低い
疾患ですが、実際にはパーキンソン病との関連が指摘されています。
・うつ状態
・統合失調症
危険率は4.00です。
・双極性障害(躁うつ病)
危険率は3.80です。
3)その他
・低血圧は比較的まれです。
・てんかんの危険率は2.26、聴力障害は1.14、片頭痛は1.21、関節炎は1.21、
逆流性食道炎は1.29、アルコール依存症は1.62、頭部外傷は1.32です。
逆に喫煙は0.92と減少させます。
以前よりよく言われている関連疾患としては、U型糖尿病、胃腸疾患(腸管の神経叢から
中枢神経系への病態の進展が想定されています。)、認知機能の障害(レビー小体が
線条体と線条体外に影響する。)があります。
この事は、パーキンソン病が脳以外の消化管やその他の器官に病態を形成する事を意味
します。
(その他の合併症は原文を参照してください。)
私見)
パーキンソン病は実地医家にとってかなり手ごわい疾患です。
再度勉強してブログします。
取り敢えず、下記に日本のガイドラインへのアクセスを示します。
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.html
パーキンソン JAMA (3).pdf
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