2022年11月11日

新型コロナに罹った人はブスター接種の効果減少?

新型コロナに罹った人はブスター接種の効果減少?
 
Interval between prior SARS-CoV-2 infection and booster vaccination
impacts magnitude and quality of antibody and B cell responses


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 以前の私のブログでも紹介しましたが、新型コロナに罹るよりもワクチン接種の方が抗体獲得
は高く、罹患と接種の両方を兼ね備えるとハイブリットとなり、抗体値は一層高まると言われて
いました。罹患しても抗体値は減弱してしまうので、罹患後1か月でブスター接種を勧めてきま
したが、オミクロン株優勢の時期となり、今回雑誌CELLより新たな見解が出されています。
免疫に疎い私としましては、出来る限りのブログとなってしまいました。

 先ず前知識として
・新型コロナウイルスが人の細胞に侵入する仕組みは以前のブログでも紹介しましたが、ウイ
 ルスのスパイク蛋白が人の細胞の受容体(レセプター)に結合して、そこから侵入が始まり
 ます。 このレセプターがACE-2です。





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このスパイク蛋白をよく見ますと、糖鎖で囲まれていて免疫機能から逃れる事が出来ます。
その中で裸の状態にあるのがRBDで、受容体であるACE-2と結合します。
このRBDに変異が生じ、オミクロン株は免疫機能から逃れる術を獲得してきています。
                            (natureダイジェストより)






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・新型コロナに対する防御機能には、中和抗体、結合抗体、細胞免疫があります。
・本論文では細胞免疫としてRBDに特異的に作用する免疫細胞のCD21とCD27lowを調べて
 います。
 抗体を作るB細胞の活性化は補助レセプター複合体であるCD21です。
 CD21により活性化されたCD27lowが新型コロナの細胞免疫に重要な地位にあります。
 (ちなみに伝染性単核球症の際にもEBウイルスがCD21と結合しB細胞を活性化し増殖します。
 その感染B細胞を殺すためにT細胞が増殖しB細胞は死滅してT細胞が多く観察されます。
 これが単核球です。Janeway免疫生物学より)



本論文を纏めますと


1) ブスター接種は抗体とメモリーB細胞を誘発して感染を防御しますが、感染の既往は逆に
   免疫機能をモディファイ・調整していまします。
   本研究は感染歴の違い(ブスター接種以前の感染の意味を180日以前と以内に分けて
   います)により3群に分けてブスター接種の効果を比較しています。
   2021年10月から2022年3月までのブスター接種をした66人が対象です。
   非感染群(44人)、ブレイクスルー感染群(11人 つまりブスター接種後に感染した人)
   感染歴のある群(11人)の3群です。
   感染歴群の感染は全てオミクロン株優勢以前です。
   ウイルスはオミクロン株以前とオミクロン株、それに対するスパイク結合抗体、
   中和抗体、メモリーB細胞をブスター接種後の60日で調べています。




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   論文を要約した上の図では、感染歴のある人はブスター接種の効果がオミクロン株の
   場合には低いことを示しています。



2) 細かく見ていきますと




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   血清抗体値をベースラインと60日後で比較しています。
   紫は非感染群、薄青が感染群、オレンジ色がブレイクスルー群です。
   何れの変異ウイルスも感染群がベースラインよりも60日後に低下しています。





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   中和抗体を調べていますが、当然ながら感染群がベースラインでは高値ですが
   60日後では非感染群と同等です。





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  最近の感染は、ブースターワクチン接種後のスパイク特異的B細胞の増殖反応を低下
  させます。




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   最近の感染はスパイク特異的B細胞の表現型を変化させています。



3) 討論
   近々の新型コロナ感染はブスター接種の効果を低下させています。
   結合抗体は感染群ではブスター接種後の60日においても存続していますが減少傾向です。
   中和は、非感染群と感染群でベースラインから60日目まで増加しましたが、抗体結合とは
   対照的に、中和力価は感染前群のベースラインから60日目まで増加しませんでした。
   RBDのB.1/BA.1の二重結合比は、感染群で最も高く、他の2群で最も低かった。
   (つまりオミクロン株では低下を意味します。B.1は以前の株でBA.1がオミクロン株)
   特に、3つのグループすべてでベースラインから60日目まで増加しました。
   (NTDについては、非感染者群は以前の感染群よりも同様に比率が高かった。)
   B細胞応答は、非感染群と感染後群で頑健であり、後者は画期的な感染からさらに後押し
   されました。しかし、以前の感染グループでは規模と幅が乏しいままでした。

4) 結論
   以前の感染つまり感染群ではブスター接種に対する反応がミュート(消音?)されて
   います。そのミュートの関係は感染とブスター接種との間隔に逆比例します。
   あまりにも間隔が短すぎるとブスター接種に対するB細胞の反応が抑制されます。






私見)
 症例数は限定的です。しかし間隔を開けた方が良さそうです。
 次回はCDCの勧告をブログします。







本論文 Interval.pdf

感染後のワクチン接種.pdf















posted by 斎賀一 at 21:03| 感染症・衛生