2022年10月07日

新しい血糖降下薬のコストパフォーマンス

新しい血糖降下薬のコストパフォーマンス

 <短 報>
First-Line Therapy for Type 2 Diabetes With Sodium–Glucose Cotransporter-2
Inhibitors and Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists


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 アメリカの糖尿病ガイドラインでは、第一選択薬はメトグルコからSGLT-2(以下省略記載)
とGLP-1にシフトする勢いです。
 今回雑誌Annal Internal Medicineから、そのコストパフォーマンスに関する論文が掲載
されています。


1) 生涯費用でメトグルコと比較しますと、SGLT-2は$43,000、GLP-1は$49,000の
   増加となります。

2) 寿命の効果はメトグルコと比較しても、SGLT-2でたったの3か月、GLP-1で4か月の
   延長にしかなりません。

3) 但し、新しい薬剤は糖尿病の合併症を低下させます。
   それによるコストの削減による効果は明白です。
   其々の合併症の生涯における発生頻度では
   心不全;
    メトグルコは14.2%、SGLT-2は13.2%、GLP-1は13.1%
   虚血性心疾患;
    メトグルコは18.8%、SGLT-2は17.3%、GLP-1は17.2%
   心筋梗塞;
    メトグルコは27.0%、SGLT-2は26.0%、GLP-1は25.5%
   脳卒中;
    メトグルコは17.2%、SGLT-2は16.3%、GLP-1は16.2%
   その他の細動脈疾患、例えば下肢切断、腎機能低下、網膜症の合併症は、3剤とも同じ
   発生頻度でした。

4)結論
  臨床家にとって、新しく登場したSGLT-2とGLP-1の心血管系疾患に対する効果は魅力的
  です。
  しかし常にそのコストを勘案し、患者に適した薬剤を選択する事は必要です。








私見)
 糖尿病の治療の進歩は素晴らしいもので、選択肢が広がっています。
 高齢者の自己負担が上がります。当然ながら実地医家もコストパフォーマンスを念頭に処方
 しなくてはなりません。ただ行きつく先は労働力としての国民のコストパフォーマンスに
 ならない事を後期高齢者は願います。







First-Line Therapy for Type 2.pdf














posted by 斎賀一 at 19:52| 糖尿病