2022年09月24日

小児のインフルエンザの入院におけるタミフルの効果

小児のインフルエンザの入院におけるタミフルの効果

 
Association of Early Oseltamivir With Improved Outcomes
in Hospitalized Children With Influenza,2007-2020



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 小児に限らず大人もインフルエンザに罹患したら、早期にタミフルを服用する事が勧められて
いますが、小児の入院症例に関してはバイアスが掛かり、その効果に関しては明白ではありま
せんでした。
 今回雑誌JAMAに小児の入院例に関しての報告がありました。


1) 2007年10月1日〜2020年3月31日の間に、インフルエンザで入院した55,799人中18歳
   以下の小児が対象です。  平均年齢は3.61歳   男性が56%
   入院後0〜1日以内でタミフルを服用した、早期治療群との比較です。
   早期治療群は33,207人(59.5%)です。
   主要転帰は入院期間です。
   二次転帰は7日以内で再入院、入院2日以降にICU転送、ECMO使用、入院中の死亡です。

2) 結果
   早期治療群は入院期間が3日間に対して、遅延群は4日間でした。
   7日以内で再入院は、3.5%対4.8%です。
   ICU転送は、2.4%対5.5%
   ECMO使用か死亡例は、0.9%対1.4%です。
   明らかに早期治療群が優勢です。

3) 考察
   統計によると、33%が入院してもタミフルで治療をしていません。
   その理由として、今までの文献からはタミフルの効果を疑問視する傾向があるためとして
   います。また、7%は入院後に遅れて治療となっています。
   特に重症例はタミフルの効果が不確実と言われていましたが、本報告では軽症から重症例
   にかけて、タミフルによる早期治療の必要性が証明されました。
   またサブグループとして、喘息患者にも当てはまります。






私見)
 ECMO使用と死亡例が1%もあるという事は、インフルエンザは小児においては新型コロナ
 以上の危険な感染症となっています。
 本年はインフルエンザワクチンに関して、本院も十分に対応できるようです。
 適切な時期に接種を予約してください。






タミフル JAMA 原文.pdf











posted by 斎賀一 at 16:45| インフルエンザ