2022年08月24日

小児の急性中耳炎の第一選択薬はペニシリン系

小児の急性中耳炎の第一選択薬はペニシリン系

<短報>
Amoxicillin versus other antibiotic agents for the treatment
of acute otitis media in children




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 アメリカの小児科学会AAPガイドラインでは、小児の中耳炎に対してアモキシ
シリン(ペニシリン系 本院ではパセトシン、サワシリン、ワイドシリン)
が第一選択薬としています。しかし、ワクチンエラー(ワクチンの時代)で
小児の肺炎球菌ワクチンが普及により、肺炎球菌に代わり、H.インフルエンザ菌
とM.カタラーシスが、急性中耳炎の原因菌として台頭してきています。
これらの菌は、アモキシシリンに対して耐性傾向です。そのため、実地医家は
ブロードスペクトル(カバーする菌種が広い)の抗生剤を使用する傾向です。
それでも実際の処方の頻度は、ナロースペクトルのアモキシシリンが56.6%と
一番多い傾向で、その中10日間処方が93%を占めています。
本研究は、アモキシシリンと他の抗生剤を比較検討しています。


 1) 6か月から12歳の小児を対象にしています。入院を必要とする症例や、
    チューブ治療をしている症例、合併症を有する症例は除外しています。
    2018年に外来及び、救急受診した1,051,007症例です。
    処方割合は、アモキシシリンが56.6%、セフゾンが20.6%、
    アモキシシリン+クラバモックスが13.5%、ジスロマックが9.3%
    処方されています。

 2) 主要転帰は、治療不良と再発です。治療不良とは、同じ抗生剤を
    2〜14日間継続。再発は、受診後15〜30日と定義しています。
    処方開始は、受診後1日以内が98%です。

 3) 結果
  
    治療不良、または再発は、アモキシシリンが2.2%、セフゾンが10.0%、
    アモキシシリン+クラバモックスが11.3%、ジスロマックが9.8%
    でした。
    急性中耳炎において、治療不良と再発は一般的に稀ですが、
    アモキシシリンが一番優れていました。

 4) 考察

    小児の急性中耳炎においては、H.インフルエンザ菌とM.カタラーシシは、
    自然治癒の傾向です。この事が、アモキシシリンに優位に働いていると
    推測しています。




私見)
  近医の一部の耳鼻科では、時に中耳炎にフルスペックに処方されていることが多い印象です。門外漢と、専門家の忌憚ない話が必要と常に感じています





Amoxicillin versus other antibiotic agents for the treatment of acute otitis media in children - The Journal of Pediatrics.pdf















posted by 斎賀一 at 21:21| 小児科