肺炎に抗生剤の時短療法
<短報>
Ultra-Short-Course Antibiotics forSuspected Pneumonia
With Preserved Oxygenation
With Preserved Oxygenation
肺炎と診断した時点で、酸素濃度(サチュレーション;Spo2)を測定し、
95%以上の患者を選んで、抗生剤を時短群として1〜2日間、通常群として
5日間以上の両群に振り分けて調べています。
肺炎の重症度は、肺組織の病変の程度との立場から、酸素の取り込みで
治療基準が設定出来ないか調べました。
1) 2017年5月から2021年2月までの、4病院からの集計です。
39,752人の肺炎疑い患者を登録しています。時短群は2,871人、
通常群は2,891人です。
その中から、比較対象出来る患者を抽出しています。
2) 入院死亡率は、両群ともにほぼ同じで、時短群2.1%、
通常群は2.8%、リスク率は0.75
30日間観察で入院freeの日数は、時短群23.1日に対し、
通常群22.7日です。危険率は1.01
30日間での死亡率は、時短群4.6%、通常群5.1%です。
危険率は0.91
腸内感染のC.difficileは、時短群で1.3%、通常群0.8%です。
危険率は1.67
3) 市中肺炎で入院する患者の1/3から1/2は、ウイルス性肺炎です。
院内感染の肺炎では、1/5がウイルス性肺炎です。
本研究の対象者の半分は、ウイルス性肺炎の可能性があります。
4) 症状が安定して、バイタルサインも正常で、Spo2が95以上なら、
抗生剤を1〜2日間で中止し、経過観察とするストラテジーも可能
とのことです。
私見)
今回、時間的余裕がなく、元文献を調べていません。年齢層、抗生剤に
ついては不明です。
上気道感染症の、本院の今までのストラテジーを更に進化させ、
聴診所見がなく、Spo2が95%以上の場合は、抗生剤なし。
CRP検査を行った場合で2以上(小児は1.5以上)の場合は、抗生剤を2日間処方。
更に、聴診所見がある場合は、レントゲン検査か2次施設へのご紹介。
といったストラテジーが、今は頭に浮かんでいます。
CRP検査の前に、Spo2測定が原則のようです。
抗生剤 時短 .pdf