2022年08月20日

LAMA(長時間作用型吸入抗コリン剤)の小児での有効性

LAMA(長時間作用型吸入抗コリン剤)の小児での有効性
            
<短報>
Intermittent Tiotropium Bromide for Episodic Wheezing
: A Randomized Trial
 



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 LAMAのスピリーバが、3歳以下の小児で有効との報告が、雑誌PEDRIATISに
掲載されています。
小児の場合は、ウイルス性疾患で喘息様気管支炎(一時的な喘鳴)を誘発しますが、SABAのベネトリンよりも副作用がなく、小児に受け入れやすいようです。
小児の喘息様気管支炎は、喘息の急性増悪に似ていますが、元来はウイルス性疾患により起こる、短期的な病態です。LAMAは間接的な作用で気管支を拡張し、
気道粘液の産生を抑制します。小児の喘鳴症状を、LAMAの間歇的吸入で抑制
出来るかの研究です。


 1) フィンランドの4病院で行われました。
    対象者は、6〜35か月の乳幼児で、臨床家が2〜4回の喘鳴発作を
    確認しています。
    80名が登録しました。3グループに分けています。経過観察は48週
    呼吸器感染症の喘鳴出現時に、7〜14日間の吸入治療です。
  
    ・ LAMAのスピリーバ群は、5μg/日+追加で、
      レスキューとしてベネトリン吸入をします。27名が登録
    ・ 吸入ステロイド群は、フルチカゾン125μgを1日2回
      +レスキューとして、ベネトリン吸入。25名が登録
    ・ ベネトリン吸入群としては、レスキューとして単独の使用
      28名が登録

 2) 主要転帰は、喘鳴のない期間の割合です。
    間歇的スピリーバ群が97%、フルチカゾン群が87%、
    ベネトリン単独群が88%
    ベネトリン群が、治療の中断が一番多い結果です。
    動悸などの副作用のためです。 

 3) 結論
    
    小児の喘鳴発作に間歇的スピリーバ吸入は、従来の治療に対して代替と
    なりうる可能性があります。



私見)
 日本では適応になっていませんが、以前より注目はされています。残念ながら、
医中誌で調べても、多くが古い文献でした。(下記に掲載します)
海外では、以前より注目されています。
 咳喘息、アトピー性咳嗽、感冒後咳嗽に、吸入ステロイド+LAMAの処方が散見
されますが、短期作用型を含めて抗コリン薬吸入は、より選択肢と考えています。
小児でも早く承認してもらいたいものです。




本論文.pdf

1 小児気管支喘息に対する吸入抗コリン薬の使用状況.pdf

2 小児急性喘息に対する抗コリン作動薬療法 _ Cochrane.pdf

3 小児喘息への抗コリン薬追加で呼吸機能改善.pdf

4 小児喘息にスピリーバレスピマット.pdf
















posted by 斎賀一 at 17:13| 小児科