LAMA(長時間作用型吸入抗コリン剤)の小児での有効性
<短報>
Intermittent Tiotropium Bromide for Episodic Wheezing
: A Randomized Trial
: A Randomized Trial
LAMAのスピリーバが、3歳以下の小児で有効との報告が、雑誌PEDRIATISに
掲載されています。
小児の場合は、ウイルス性疾患で喘息様気管支炎(一時的な喘鳴)を誘発しますが、SABAのベネトリンよりも副作用がなく、小児に受け入れやすいようです。
小児の喘息様気管支炎は、喘息の急性増悪に似ていますが、元来はウイルス性疾患により起こる、短期的な病態です。LAMAは間接的な作用で気管支を拡張し、
気道粘液の産生を抑制します。小児の喘鳴症状を、LAMAの間歇的吸入で抑制
出来るかの研究です。
1) フィンランドの4病院で行われました。
対象者は、6〜35か月の乳幼児で、臨床家が2〜4回の喘鳴発作を
確認しています。
80名が登録しました。3グループに分けています。経過観察は48週
呼吸器感染症の喘鳴出現時に、7〜14日間の吸入治療です。
・ LAMAのスピリーバ群は、5μg/日+追加で、
レスキューとしてベネトリン吸入をします。27名が登録
・ 吸入ステロイド群は、フルチカゾン125μgを1日2回
+レスキューとして、ベネトリン吸入。25名が登録
・ ベネトリン吸入群としては、レスキューとして単独の使用
28名が登録
2) 主要転帰は、喘鳴のない期間の割合です。
間歇的スピリーバ群が97%、フルチカゾン群が87%、
ベネトリン単独群が88%
ベネトリン群が、治療の中断が一番多い結果です。
動悸などの副作用のためです。
3) 結論
小児の喘鳴発作に間歇的スピリーバ吸入は、従来の治療に対して代替と
なりうる可能性があります。
私見)
日本では適応になっていませんが、以前より注目はされています。残念ながら、
医中誌で調べても、多くが古い文献でした。(下記に掲載します)
海外では、以前より注目されています。
咳喘息、アトピー性咳嗽、感冒後咳嗽に、吸入ステロイド+LAMAの処方が散見
されますが、短期作用型を含めて抗コリン薬吸入は、より選択肢と考えています。
小児でも早く承認してもらいたいものです。
本論文.pdf
1 小児気管支喘息に対する吸入抗コリン薬の使用状況.pdf
2 小児急性喘息に対する抗コリン作動薬療法 _ Cochrane.pdf
3 小児喘息への抗コリン薬追加で呼吸機能改善.pdf
4 小児喘息にスピリーバレスピマット.pdf