4回目のブスター接種・イスラエルからの報告
(遅ればせながら)
Association of Receipt of the Fourth BNT162b2 Dose
With Omicron Infection and COVID-19 Hospitalizations
Among Residents of Long-term Care Facilities
With Omicron Infection and COVID-19 Hospitalizations
Among Residents of Long-term Care Facilities
イスラエルでは、2021年12月初旬までにワクチン接種済の人で、コロナ感染者が発生し始めていました。イスラエル政府は、それを受けて60歳以上の住民に、
4回目のブスター接種を2021年12月31日の時点で決定しています。
当初、4回目は3回目と比較して、重症化の阻止率は、接種の1〜4週間後で
62〜71%に対して、45〜50%と低下していると報告しています。
今回、2022年1月10日から3月31日までのデータが集積されて発表となりました。6月の文献ですが、遅ればせながらブログして、接種をお勧めします。
1) 4回目のブスター接種と3回目のブスター接種の比較です。
4回目の接種は、3回目から4か月以上の間隔としています。
主要転帰は、オミクロン流行時での感染、入院、死亡です。
2) 結果
43,775人が登録しています。平均年齢は80歳。
4回目は24,088人で、3回目は19,687人です。
経過観察期間は、4回目が73日で、3回目が56日です。
ワクチン接種後7日経過しての感染者は、4回目が4,058人で、
3回目は4,370人でした。感染発生率は、17.6%対24.9%です。
入院率は、0.9%対2.8%、重篤率は、0.5%対1.5%、
死亡率は、0.2%対0.5%でした。
統計補正をしますと、4回目の効果は、3回目を1とすると、
感染阻止率は、0.66(34%減)、入院阻止率は、0.36(64%減)、
重篤阻止率は、0.33(67%減)、死亡阻止率は、0.28(72%減)
でした。
(3回目を1とした時の4回目の効果です。ブスター接種ですから、
4回目の方が効果があるのは当然です。)
3) 考察
オミクロンは30以上の亜種があり、以前の変異よりも感染力が強く、
ワクチンにより獲得された免疫機能をすり抜ける傾向とされています。
しかし、イスラエル政府は、4回目の接種が中和抗体を形成し、
十分に効果が出ると推測して政策を決定しています。
今回の報告でそれは証明され、オミクロン株でもクロス効果がある
としています。
結論的には、統計処置をしますと、デルタ株に対する3回目の
接種効果に比べて、4回目のその効果は、感染においては89%、
入院は92〜96%とされています。
(上の図3参照)
4) 4回目のブスター接種の効果は証明されました。オミクロン株に対しても、
それなりの防御を示しています。
私見)
イスラエル政府の危機管理政策は、良しにつけ悪しきにつけ、異次元です。
一部の実地医家において、「どうせオミクロンは軽症だから、接種の副作用を
考えたら、4回目のブスター接種はパス」との考えがありそうですが、
どんなもんでしょう。
やるべきことは、今やる。イスラエルに学ぶべき点もありそうです。
本論文 4回目接種 JAMA.pdf
1 ファイザーワクチンの4回目の接種 イスラエルからの報告・その1.pdf
2 ファイザーワクチンの4回目の接種 イスラエルの報告・その2.pdf
3 4回目の接種・イスラエルからの2つの報告.pdf