2022年07月15日

C型肝炎のウイルス治癒後でも肝がんの発生に注意

C型肝炎のウイルス治癒後でも肝がんの発生に注意

<短 報>

Hepatocellular carcinoma risk declines but remains high enough
for screening in the first 7 years after HCV cure with DAAs in
patients with cirrhosis or high FIB-4



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 C型肝炎のウイルス治療薬DAAの出現により肝がん(肝細胞癌)の発生は減少しましたが、
治癒後(SVR)も引き続き7年間の経過観察が必須との論文が出ています。


1) 前肝硬変以上(FIB-4スコア3.25以上)の場合は、SVR後の1年目では、1年間で
   肝がんの発生率は3.8%で、7年目では1.4%とのデータです。
   サブグループ解析で肝硬変になっている場合は、肝がんの発生は1.0〜4.5/100人/年
   の発生で肝硬変に移行していない場合でも0.3〜2.2/100人/年です。
   C型肝炎の肝硬変患者がウイルス除去をしない場合では、5年間で肝がんの発生は
   12.6%に対して、ウイルス除去(DAA治療)をすれば2.5%に減少します。
   しかし、FIB-4スコアが3.25以下でも肝がん発生は、年間で0.7%から1.3%あります。
   FIB-4スコアーが3.25以上の4,682人を対象に調べますと、スコアーが高い人は低い
   人の0.2/100人/年に対して1.2/100人/年と高い傾向で、DAA治療でウイルス除去
   することにより、FIB-4スコアが3.25から低下すれば、肝がんの発生率は
   2.2/100人/年から1.0/100人/年と低下します。
   SVR後の4年間では、治療前に肝硬変患者における肝がんの発生は約2%に対して
   治療前に前肝硬変状態なら1%以上との事です。

2) SVR後の7年間は、依然として肝がんの発生は肝硬変の有無に関わらず存在するという
   事が大事です。従ってSVR後の7年間の経過観察は必須です。


   FB-4の計算式は下記

   https://kanzo-kensa.com/examination/calc/








私見)
 アジャパーではありません。治療も診断も格段に進歩しています。
 肝硬変に近い状態でもウイルス治療をすることにより、肝がんの発生を年間で2%から
 1%に減少出来ます。
 最低でも7年間の経過観察が必要です。














posted by 斎賀一 at 21:36| 肝臓・肝炎